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1 婚約破棄
しおりを挟む「ステファニア! 喜べ! 婚約破棄だ‼︎ 俺の妻、いや王妃にはエロイーザがふさわしい!」
第二王子のカッシオ殿下が公衆の面前で婚約者のステファニア・ダンジェロに宣言した。
彼の隣にはエロキュンボディの子爵令嬢エロイーザが立っていて、怪訝な顔で彼を見上げている。
「殿下?」
「ほーら、これで俺達の間には障害は全てなくなった。エロイーザ、何も心配しなくていい。君こそ、我が妻に相応しい!」
茶番劇が始まったのは学園内のランチタイム。
爽やかな風を感じる人気のテラス席でのことだった。
「殿下……父に相談しなければなりませんし、このような場所でそのような話題は」
「うるさーい!」
控えめに話し出したステファニアをさえぎって、殿下がわめいた。
「話し合いなど必要ない! 婚約破棄は決定事項だ。俺は、俺が好きな女を選ぶ。お前のようなつまらない女はダンジェロ伯爵家ともどもくたばってしまえ!」
「そんな……! 一体私が何をしたと言うのでしょう?」
「お前のような貧相な体で子供を産むことなどできないだろう! ダンジェロ伯爵はそんな女と婚姻を結ばせようとしたのだから大罪だ!」
ステファニアは天使のような可愛らしい顔立ちで清楚な雰囲気の17歳。
王子妃としての教育をほとんど終えている才女でもあって、国民の人気も高いのだけど――。
「5日以内にダンジェロ伯爵家はこの国から出て行け! もしもとどまると言うなら、領地に火を放つ!」
「……っ!」
理不尽、と思わず口の中で呟いてしまった私のもとへ、殿下に美しいカーテシーを見せたステファニアがやって来た。
私達は近い将来、義理の姉妹になる。
「ルフィナ、帰りましょう」
国王陛下夫妻は隣国の王族の結婚式に招かれていて、あと一週間ほど国を空けている。
第一王子は遊学中でまだ帰ってきていない。
殿下はこのタイミングですべて片付けるつもりでいるのだと思う。
彼の邪な欲望だけでダンジェロ家を追放なんてあり得ない。
だけど私の婚約者でありステファニアの兄はこの話を聞いたら――。
たくさん話したいことはあったけれど、まずはお互いの両親に話さなくては。
私は幸せになりたいのだもの!
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