後ろ姿で番と気づいたけど相手はほぼゴリラだった

能登原あめ

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よん 

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             *アル視点



 部屋を開けたらたくさんの花のモチーフがいたるところに飾られていた。

「…………これは、……何事だ?」

 今日はキャットが元の職場を辞めることを告げて、ルームメイトとお別れして、部屋の片づけをしてくると言っていたから山へ罠を仕掛けに行った。

「アル~! おかえり! 会いたかった!」

 いきなり飛びついてきた小柄な猫獣人を抱きしめて着替えのためにひとまず寝室へ向かう。

「アル! すごいでしょ?」

 こっちにもベッドの周りに花のモチーフが飾られていた。

「…………これはどうしたんだ?」
「……前の住まいで作った物を全部持ってきたんだ~、つなぎ合わせればベッドカバーにもなるんだよ?」
「…………そうしたいのか?」

 正直、花柄のベッドカバーは遠慮願いたい。
 
「うふふー、これは今日だけ。そのうちいくつか組み合わせてスカーフとかベストとかカバンとか小物にして売るの。小遣いになるから」
「……なるほど」

 よかった。
 危うく花だらけの部屋になるところだった。

「よかったと思ってるでしょ? アル、眉間にシワ寄りすぎ」
「…………」
「お風呂入る? ごはん? それともワタシ?」
「お前だな」
「え? アルってそういう冗談言うんだねぇ」
 
 冗談ではなかったけれど、先に風呂にする。
 キャットと一緒にいると予想外の発言が多くて脱力することが多いが、それもかわいい。
 この間川で抱いた時うっかり口走りそうになった。 
 お前はめちゃくちゃかわいい。
 いや、死ぬほどかわいい、だったか。

 そう若くもないのにキャットを見ただけで今だってすぐ勃ち上がるし、果てても果てても欲望が尽きない。

 風呂から出たら、エプロンをつけた彼女がテーブルに料理を並べる。
 出会った後はキャットを抱き潰してばかりだったから、ずっと俺が食事を担当していた。
 今夜の料理が楽しみな反面、何が出てくるのか不安でもある。

「アル、座って。ご飯作ったんだよ~。おいしいものとおいしいものをかけ合わせたらおいしいものしかできないんだよ! 鹿のローストに……フルーツソース添え!バナナは~」
「入れてないよな?」
「うふふ~、食べてみて」

 相変わらず、バナナばかり推してくるのはどうしてだ?
 ゴリラは確かに果実が主食と聞いているが……キャットの頭の中がどうなっているのか全くわからない。

 おそるおそるステーキに赤黒いフルーツソースをのせて口に運ぶ。

「…………うまい。……黒スグリか?」
「うん、果物好きだよね? バナナはさすがに入れないかな!」
「…………果物が好きと俺が言ったことはないよな?」
「違うの?」
「…………違わない」
「ほら、やっぱり」

 何がやっぱり、だ。
 黙々と食べる俺をみて、キャットも自分の皿に手をつける。
 食べ方が綺麗だ。
 俺が捕った鹿肉をうまそうな顔をして食べるからこっちも満たされる。
 俺はあっという間に胃袋へ納め、皿に残ったソースもパンですくって平らげた。
 
「ごちそう様。うまかった」
「足りた? まだね、デザートもあるんだよ」

 俺の前に立ったキャットがいきなりぺろりと俺の唇を舐める。

「デザートはワタシ♡」
「いただこう」
「え? うそ⁉︎ んんっ」

 腰を引き寄せて、俺の膝に座らせる。
 舌を絡めれば、キャットがくったりと寄りかかった。

「……ちゃんと、デザートあるんだよぉ。……冗談だったのにぃ、アルのばかっ」

 潤んだ瞳で見上げるから、股間に熱が集中する。
 煽るのがいけないんだ。

「んぅ、アル……ご飯食べたばっかりだよぉ……」

 腰のあたりから服の下に手をすべり込ませ、小さな背中の骨に沿ってゆっくり指を這わせる。
 キャットがぴくんと体を反らせるから、その隙にあらわになった首筋に唇を寄せた。
 
「んっ……デザートぉ……」
「お前を食ってからな」

 もう一度唇を合わせてキャットの舌を絡めとる。
 首に腕を回してすがりついてくる小さな体をそっと抱いて立ち上がり、寝室に向かう。

「忘れてた……あとで片づける……」

 散らばった花のモチーフを見て、俺の腕から降りたキャットが、ベッドに乗っている分を片隅にまとめ始めた。
 四つん這いで尻を向けてくるから、ムラムラしてくる。
 キャットの腹側にあるズボンの腰紐を緩めてから下着と一緒に引き下ろした。

「え?」
 
 驚いて振り返ったキャットにのしかかり、勃ち上がった陰茎を押し当てて一気に貫く。

「~~~っっ……アルのばかぁっ」

 きつい。
 安心する。
 俺の忍耐力はどこへ行った?
 とにかくキャットの中へ入りたいと焦燥感に駆られるのだ。
 彼女の罵りが煽りにしか聞こえない。

「……すまない。埋め合わせはする」
「ご飯のあと片付け、お願い」
「……わかった」

 この後足腰立たなくなるだろうしな。
 それは伝えないけれど。
 やった!と笑って言うキャットにたっぷり口づけてから、ぐりぐりと腰を押しつけた。

「あっ、あっ、そこ、だめぇ……」
 
 馴染んでくるとぬちゅぬちゅと水音が大きくなる。
 抜けるギリギリまで腰を引き、ゆっくりと奥まで突き入れる。
 キャットを焦らして絶頂の手前まで押し上げ、ぱんぱんと腰を打ちつけた。

「アル、アルっ、あっ! いいっ、いいよぉ……」

 上半身を支えられなくなって、シーツに顔をうずめて嬌声をあげる。
 尻だけ高く上げて快楽を受け入れる姿にいっそう欲が高まる。
 内壁が陰茎を搾り取るように動いて早く吐き出せと誘った。

「アルっ、早くちょうだいよぉ!」
「……っ!」

 彼女のおねだりにすぐさま答えようと、何度か腰を打ちつけて、あっさり果てた。

「アルの、あっつい~……こんなの、すぐまたイっちゃうからぁ」

 そんなこと言うからむくむくと大きくなって、キャットの中に何度も突き入れることになるのに。

「あっ、んっ、アルぅ!」
「すまない。……今夜のデザートはお前だけでいい」

 
 
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