後ろ姿で番と気づいたけど相手はほぼゴリラだった

能登原あめ

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* ほんの少し♡飛んでました。






******


「アル、一緒にお風呂入ろう?」

 ワタシはカバンの中から石鹸を取り出した。
 実家から持ち出した石鹸が残り四個とクシと鏡。
 それに着替え二着と寝間着代わりのシャツとタオルで終わりだから、アルが空けてくれたクローゼットはスッカスカ。
 物はなくてもなんとかなる。

 カバンの大半を占めていたのは花のモチーフ。それを編んだかぎ針二本ととじ針にハサミ。

 肌の手入れはしない。
 実家で作った石鹸は蜂蜜と植物油が入っているから洗いっぱなしでも何もしなくて大丈夫。
 母もそう。
 
 いい香りのするものは好きだし、お風呂も好き。
 皿洗いの仕事の時の住まいはシャワーしかなかったけど石鹸のおかげで疲れを残さず働けたと、思う……多分。

 アルの家には浴槽があって、ゆっくり浸かれるのがいい。
 アルはいい匂いだし、ワタシが好きな石鹸の匂いになったらもっともっと、すごくいい匂いになるはず。
 考えるだけでたまらない気持ちになる。

「………………わかった」

 なんだか長考していたアルが頷いたので、いそいそとお風呂の準備を始めた。






 アルが入ってろと言うから、先に髪も体も洗い終わって。
 それでもまだやってこなくて、アルのためにモコモコの泡を作って待っていた。

「アル~っ! まだぁ~?」
「…………」

 ガラッと扉を開けて全裸のアルが入ってくる。
 アルの陰茎が反り返ってる。
 ナンデ?

「……アル、元気だね?」
「お前が誘ったからだろ?」
「……(お風呂には)誘ったけど」
「すぐ体洗うから待ってろ」
「洗ってあげるよ? ほら、石鹸準備してたから」
「…………任せる」

 アルにシャワーをかけてから、後ろに立ってモコモコの泡で髪を洗う。

「いい匂いだな。……キャットと同じ匂いがする」
「いいよね! ワタシもこの匂いするの? 嬉しいな~」

 一度流してからアルの大きな背中に塗り広げる。
 この背中、大好き。
 こうして堪能できて嬉しい。

「アルの背中、大好き♡ アルのことは全部好きだけどっ」

 そう言って思わず、抱きついた。

「あっ……」

 お互い裸だから、アルの背中で滑り台みたいにつるりと滑る。

「…………背中はもういい」
「えーと、前も洗う?」

 無言で頷くアルの胸に手を伸ばした。

「向かい合わせで、裸なの。恥ずかしい」
「誘ったのはお前だぞ?」
「そうだけど、こんな風になると思わなかった‼︎」

 お腹の辺りまで洗った後は、ちらちら下半身を見る。

「えーと、私が洗う?」
「できれば」

 アルの陰茎に泡をつけて手早くこする。
 なんだか硬いし熱いし大きいからさっさと済ましたほうがいいよね。

「うっ……!」
「あ、ごめん! 力、強かった?」
「いや……ちょうどいい」
「そっか、じゃあどんどんいくね~」
 
 両手に包んでしゅこしゅこ上下に洗った後は、くびれたところやくぼみを丁寧に洗う。
 それから、不思議な触り心地のしわしわ~で重そうな袋の方も泡で包んで、ついでにお尻も洗ってしまう。

 その間、アルがウホウホ唸っていたけど。
 うんうん、アルらしいよね。
 やっぱりそう遠くないところにゴリラ獣人がいるんだなぁ、アルが知らないだけで。
 ワタシは番の体を洗える幸せに浸って、どっしりした太ももから足先まで一気に洗う。
 アルの全部が好き。
 
「あとは~、腕と顔かなぁ?」

 にゅっと伸びたアルの腕に腰を掴まれて太ももに乗せられる。

「ほら」
「この体勢じゃ洗えないよ?」

 アルに背中を預けてぎゅっと抱きしめられると泡がワタシに移ってツルツルすべる。
 
「なんか、くすぐったいけど、気持ちいいね。ワタシもアルに洗ってもらえばよかったなぁ」
「……次はやる」
「うん! じゃあ残り洗うね~」

 お互いをシャワーで流し合って、ワタシは満足した。
 思わず、アルの肌に顔を寄せてくんくんと匂いを嗅ぐ。

「アル、いい匂い~。ワタシと同じ匂いだけど、やっぱりアルのほうがいい匂いだなぁ」
「…………どれだけ、煽る気だ?」

 煽ってないよ?
 と、言える雰囲気でもなくて。
 ずっと、元気だなぁとは思っていたけど。
 男のセイリはわからない。

「もう、いいか?」
 
 とりあえず、こくこくと頷いた。
 番にされて嫌なことは、ない!……はず、多分。







「あっ……! アルぅ。ここ、お風呂のなかぁ……」

 一旦二人で湯船に浸かったのは、ワタシが風邪をひかないように、らしい。

 湯船の中でアルに背を向けて立たされて、ワタシの秘裂に舌を這わす。
 それは初めての経験で。

 たいていのことは初めてなんだけど、口を使うとかこんなの驚く。
 ざらっとした舌と蜜口に埋められた指のコンビネーションに脚ががくがくした。

「アル、これだめぇ……」
「しかたねぇな」
 
 立ち上がったアルが蜜口に陰茎を押し当てる。
 触れた瞬間はくちりと音がして、すぐにずちゅんと一気に貫かれた。

「ああぁぁああっっーー!」

 お腹に回された腕に支えられながら、アルがずちゅずちゅと抽挿する。
 お風呂だからか音も響くし耳も犯されているみたい。
 
「アル、早く出してよぉ! 頭、おかしくなっちゃう♡」
「まだ、挿れたばっかりだろうが。……ちっとくらい馬鹿になっても、変わらねぇだろ」
「でもぉ! こんなにっ、してたらぁ……」
「…………なんだ?」
「ワタシの、中枢神経系が、……破壊されちゃうよぉ」
「…………わかりづれぇな」

 
 



 


 
 
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