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しおりを挟む「ベルナルドさん、全部って言ったら全部なんです」
そう答える私に、ほんの少し困ったように笑う。
「アンの体も表情も、そうじゃないって教えてくれましたよ」
「……はい?」
今度は私が困惑した。
「例えば……ここ」
「あっ!」
クリトリスに触れられて思わず声を漏らす。ベルナルドさんはそんな私を見て、口元を緩めた。
「真珠に触れるとすごく濡れますし、俺の魔物をきつく締めつけますよね、ほら、今も」
「んっ……ベルナルドさん……」
「気持ちよくないですか?」
自身なさげに尋ねられたら、素直に答えるしかない。
「気持ち、いいです」
「よかった……アンの顔を見ていると、すごく興奮します。くまなく探したい。今も、強い衝動をなんとか抑えているのですが……」
ベルナルドさんが正直に話すから、思わず笑ってしまった。
「大好きです、ベルナルドさん」
ぎゅっと強く抱きつくと、抱きしめ返してくれる。ちょうどベルナルドさんの耳が視界に入ってぱくっと耳たぶを喰んだ。
ブルッと震えるのを感じて、いたずら心で私は彼の耳たぶを舐めたり甘噛みしたり、さらには彼の乳首を指でなぞって楽しんでいると。
「アン……」
ベルナルドさんに吐息混じりで名前を呼ばれた。
「……アンの過去が気にならないと言ったら嘘になりますが、訊くつもりはありません。あなたと未来を共にするのは私だけですから」
「…………」
「困らせたいわけではありません。あなたに飽きられないよう頑張ります」
なんと答えても墓穴を掘るような気がする。
「あなたを塗り替えさせて下さい」
「そんな必要ないです。もう全部、ベルナルドさんでいっぱいなのに」
「…………」
今度はベルナルドさんが黙ってしまった。
でも、私を抱きしめたまま体を起こして、そのまま膝の上に乗せる。
ベルナルドさんを受け入れたままなのが気になるけど、ピッタリとくっついて、お互いを抱きしめ合って、こういう時間は大好き。
「アン、愛しています」
「ベルナルドさん、私も、愛しています」
そう答えてから、こんなことをしてるのに、私達は今もかしこまった話し方をしていて笑いが込み上げる。
「アン?」
「ベルナルドさん、私達、夫婦なのに言葉がかたいなぁって……」
「そう、ですね。長年こうして話してきたというのもありますが、今も緊張しているのかも……アンが気になるなら、直しましょう。あなたは好きなように、話して」
私の頬を大きな手で撫でた。
「ベルナルドさんの今の話し方も好き。そのままのベルナルドさんが大好きなので、話しやすいほうで大丈夫です。……私も緊張してるから」
「アン……」
どちらからともなくキスをして、抱きしめ合った。
「んっ、」
「アンはここも好きですよね?」
舌で上顎をなぞられて体に力が入る。
「ベルナルド、さん……」
「……っ、そんなに締めつけられると、もちません。別のことを試していいですか?」
「別のこと」
「はい、別のことを」
ベルナルドさんが私をうつ伏せにして、後ろに回り込んだ。
腰を引き上げられて、恥ずかしさに枕に顔を埋める。
「アンの隠されたところがすべて見えますね。興奮します……この小さな泉が俺を受け入れて……」
そう言いながら指を挿し入れて、くるりと中を探る。
指の向きが違うからか感覚が違う。ベルナルドさんは私の反応を確かめながら指を動かした。
「んっ!」
「ここ、好きですよね。ほかにもどこが好きか教えて。指の届かないところも」
そんなふうに言うから、体が想像して再び濡れてきた。
「奥、好きですか? 触れてほしい?」
指を抜いて、ベルナルドさんが体を重ねてきた。
ぐぐっと誰も触れたことのない深い場所まで押し拡げられるのはまだ慣れないし、脚が震えてくる。
体を倒したベルナルドさんが、私の耳元で、気持ちよさそうに息を吐いた。
「あなたの耳も可愛いです。……もしかして、耳、弱いですか? 締めつけてきますね」
さっき私がしたようにベルナルドさんが耳を喰み、さらに耳孔に舌を差し入れ、胸を包み込んだ。
やっぱり彼は勘もいいし、覚えが早いのかも。
「……っ、ん、ふ……」
硬くなった乳首を弄びながら、ゆっくり腰を押しつける。
そんなことをされたら、お腹の中がキュンとなって、もっと気持ちよくなりたいって思ってしまった。
「……あなたが全部、と言ったのも本当なのかもしれませんね」
腰を回すように押しつけた後、体を起こしてゆっくり腰を引いた。
「ああっ……」
「……追いすがってくるみたいです。出て行ってほしくないのですか? すぐにあなたの中へ戻るのに」
「ベルナルドさん、もう!」
話さないで。
煽ったり、私を恥ずかしくさせたり、ベッドの中のベルナルドさんは普段と全然違う!
「イきそうですか? たくさん感じてもらえると、俺も嬉しい」
その声に笑みが含まれていたのはわかったけれど、研究熱心なベルナルドさんは魔物を解放させつつ、私を追い詰める。
体中がべとべとで、何度も何度も揺さぶられて、声も抑えられなくなって。
「あっ、熱っ、ベルナルドさんの、いっぱい、でてるっ」
「気持ちいい……俺の魔物を泉で癒して下さい」
どこを触れられても気持ちいいんだって、私達がお互いに理解するのに長い時間ベッドで過ごすことになった。
「…………」
「…………」
目が覚めると、堅い床に2人でブランケットにくるまっていた。
私はベルナルドさんに包まれているから平気だけど、体が痛いんじゃないかな?
「べッ……」
「……アン、大丈夫ですか?」
声がおかしい。
今のダミ声は何?
「こちらをどうぞ」
驚いていると、ベルナルドさんが腕を伸ばして飲み物を取ってくれた。
それを飲みながら、ベッドを見上げて驚く。真ん中がくぼんでいて、ベッドのフレームが折れてしまったみたい。
視線に気づいたベルナルドさんが照れたように笑った。
「まさかベッドが壊れるなんて驚きました。新しいものは、もっと大きくて頑丈なものを用意しましょう」
そういう問題なのかな。
でもベルナルドさんは新しい楽しみを見つけてしまったみたいだし……。
「……今日はもう動けませんよ?」
全身が筋肉痛になっているから、ベルナルドさんにそっと体を預けた。
そんな私の背中をそっと撫でてくれる。
「わかっています。これから風呂を用意しますから、ゆっくり浸かって疲れをほぐしましょう。俺が責任を持って」
「お風呂じゃしませんから!」
かぶせるように言うと、ベルナルドさんが一瞬何か考えたみたい。
余計なことを言ってしまったかも!
「風呂で、ですか。……わかりました、今日は我慢します」
「絶対ですよ?」
「アンがそう言うなら」
ベルナルドさんは、ちゃんと約束を守った!
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