異世界で再会した姉はおばあちゃんで、私はそこで恋に落ちた

能登原あめ

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番外編

新婚旅行 2 海へ

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 宿屋へ戻るとカウンターの前にさっきの女の子と、似たタイプの友人らしき子が立っていて、フランシスを見るなり近づいてきた。

 すーっと、表情が消えるからなんだか不思議でしかたない。
 何でもないと言っていたけど、フランシスにとってうんざりするような嫌なことがあったのかもしれないと思う。

「やっぱりここに泊まると思っていたのよ!フランシス、久しぶりに会ったし一緒に夕食食べに行こうよ」
「……無理」
 
 ため息をついたフランシスが、ちらっと私を見て小声でごめんと言った。

「あのさ。俺、結婚したばかりなんだ。だから、行かない。……そういうの、もうやめてくれるかな」
「…………」
「じゃあ、おやすみ」

 女の子たちはそのまま黙ってしまったから、私は会釈だけして二人の脇を通った。
 こんなところまで追いかけてくるなんて、フランシスの学生生活ってすごかったのかな。
 
 私の腰に腕を回して守るように歩いてくれるフランシスの横顔を見上げる。

 耳が赤い。
 思わず手を伸ばす。
 私をちらりと見て照れ笑いする。
 そのまま、部屋の中へ勢いよく入った。

「……まだ夕方前なのに、ユミと二人きりになりたくて、おやすみって言ったの、恥ずかしい」
「そう言えば……ふふっ、でも何も言われなかったから……気にしなくていいんじゃないかな」
「ん……そう、かな。……噂にされるのがいやで俺の大事な奥さんを紹介しなかったんだ。ごめんね。嫌な思いさせて」
「そんなこと、ないよ。……フランシスの見たことない顔を見れて驚いたし、その……フランシスが私を特別扱いしてくれているのがわかって、嬉しいかも?」

 何とも言えない空気を変えたくて、下からフランシスの顎にキスする。

「あんなに大人っぽくて綺麗な子より好きだって思ってくれてるの、かなって」

 そう言うと縦抱きにされて、ベッドに下ろされる。

「ユミ、大好き」
 
 顔中に口づけされてくすぐったい。
 フランシスの頬を両手で挟んで私から唇に吸いついて、ぺろっと舌で舐めた。

「……っ!」

 フランシスの驚く顔を見て笑っていたら、深く唇を重ねられて息が上がる。
 そうされると、力が抜けてお腹の奥がきゅんとするのに。

「……フランシス、大好き」

 彼の背中に腕を回してめいっぱい引き寄せた。
 私の首元を頭をのせてはぁっと熱い息を吐く。

「ユミといると我慢できない」
「どうして我慢するの?……二人きりなのに」

 私の言葉に顔を上げたフランシスが、下半身を押しつけてくる。

「……止まらなくなるから」

 そう言って顔を上げて私を見つめる。

「いいよ……フランシスと、触れ合うの、好きだから」
「……いつも、ユミのほうが、……余裕が、ある……なんで?」

 答える前に唇が塞がれる。
 うすく口を開けるとフランシスの舌が探るように歯列をなぞり、そのまま口内へと侵入した。
 
 それだけで体温が上がってもっともっとフランシスと近づきたくなる。

「余裕、なんて……ない……いつ、だって……フラン、シス……を私の中に、感じ、たいの……」
「ユミ……煽りすぎ」

 舌を絡める口づけを交わしながら、お互いの服を脱がし合う。

「きれい……」

 ふくらみに触れる指がつんと立ち上がった先端に向かって動く。
 私の顔を見ながら親指でそっとつまんで力を加えた。

「んっ、……舐めて……」
 
 嬉しそうに笑ってふくらみに唇を寄せアイスクリームを舐めるみたいに丁寧に舐め上げる。

「フランシスっ」

 思わず彼の頭を胸に抱えこんでしまい、喉の奥で笑うのが聞こえた。
 涙目で見つめると、大きく息を吐いて、彼が言う。
 
「……ごめん、かわいくて、つい……」
「もう、いいよ……フランシス、きて」
「……ユミ、まだ早いよ……」
「フランシスが意地悪するから……」

 顔を上げて口づけをせがむ。
 それから彼の腰に足を絡めてぎゅっと引き寄せた。

「ね? あとでいっぱいさわって。今はフランシスを感じたいの」
「…………」

 柔らかい口づけの後、彼の昂まりが私の脚の間に押しつけられる。
 つるりと滑って湿った音が微かに聞こえた。

「フランシス……大好き……」
「俺も、大好き」

 ゆっくりと私の中へと彼が進む。
 私を傷つけないよう慎重なその動きが、私を焦らしてますます欲が高まる。

 痛みを感じたのは結婚したあの夜だけ。
 それだって、フランシスは私に優しくて私が恥ずかしがるたびたくさんのキスとハグをくれたし、好きとかかわいいとかきれいだとか愛情を示してくれて、嫌がることはひとつもしなかった。

 だから私もまっすぐにフランシスに愛情を向けて、彼を求める。

「はぁ……ユミ、少し、きつい……」
「……んっ……でも、大丈夫、だから……全部、……ね?……」

 フランシスが腰を揺すり、お互いの隙間がなくなると唇を重ねた。

「んっ……」
「……っ……はぁ……ユミ、あったかくて、気持ちいい……」
「私も……気持ちよくて、……何にも、考えられなく、なっちゃうの……」

 この特別な感覚は彼とじゃなきゃ味わえないから。

「大好き……フランシス……奥、とんとんしてほしいの……」
「……!…………はぁ。…………ユミ、大好き。……っ! 急に、締めないで……はぁ……俺、いつまで経っても慣れないよ……」

 そう言いながら、ゆっくりと身体を起こし私を揺さぶりはじめた。
 みだらな音と、私たちの荒い息遣いや吐息まじりの声が部屋の中に響く。

「私だって……!慣れない、よ……心も、身体も……フランシスで、いっぱい、だもの……!」
「もぉ!……ユミ、俺をどうしたいの‼︎」

 揺さぶられては、果て。
 お互いの身体に手を這わせて抱き合って、唇を重ねて戯れているうちにまた揺さぶられることになって。

「ユミから離れられないよ……」
「フランシス……もっとしよ?」

 疲れ果てて夕食をとることも忘れて、その夜は抱きしめ合ったまま眠りについた。


 
 
 

 
 
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