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兄と私と、兄の親友 妹side[改稿版]※
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* シスコンの兄と、その兄の親友(ややS系ヒーロー)、妹(ヒロイン)の話です。隣の部屋には兄がいる、シチュエーションものです。大きな変更はありませんが、ちょこっとエピソードを追加しています。
******
兄が私を好き過ぎる。
高二の時、部活の後に迎えに来てって頼んだらデート中で。
ものすごい不機嫌な彼女を先に送ってから、一緒にご飯を食べて帰った。
デートだったら、断ってくれていいのに。
多分本当は彼女とご飯の予定だったんだよね?
その彼女とはまもなく別れた。
兄の言い分は、あの子より私の方が大事だからって。
え? なにそれ?
それからはさすがに急に兄を呼び出すことはなくなったけど、クリスマスを彼女より私を優先するとか気持ち悪いことを言い出したから、友達とクリパするって言ってカラオケに出かけたら泣かれた。
クラスの男の子はいたけど、彼氏じゃないし、コンパでもない。
気の合う友達と楽しんだだけ。
迎えに行くとか何度も連絡があってめんどくさかった。
兄にとって、いつまでも私は天使らしい。
永遠の少女、というか処女なのかな。
そんなもん、とうの昔に失っている。
初めては高一の時の彼氏と夏休みに。
夏は開放的になるっていうアレ。
兄はその頃大学一年で、リゾート地での自動車免許合宿中だったから気づいてない。
こんがり日焼けして、お土産にわけのわからないご当地キャラのぬいぐるみをくれたっけ。
私の恋も秋の学園祭が終わった後ナンカチガウってお互いにすれ違って別れたから、高一のクリスマスはのんびり家でテレビ観てたし、サンタコスした兄と写真撮った。
その後は部活で全国大会に行けることになって、それ一色。
二回戦で敗退したけど、スポーツ校でもない普通の高校でなかなか頑張ったと思う。
兄は彼女を家に連れてくることはなかったけど、中学から仲良くなったユキくんとノリくんは高校も一緒でたまに泊まっていた。
朝まで話していることもしょっちゅうで。
何をあんなに話すことがあるんだろうと思う。
男子高校生らしく、女の子のこととか、彼女の惚気?
そんなことを考えていたら。
音楽と音楽の合間に『俺が日本を動かす!』ってノリくんが言ったのが聞こえた。
小学生が将来、総理大臣になるっていうくらいのレベルの会話?
二人とも笑ってないのが怖かった。
スルースキルが身についてるのならいいけど。
それとも偏差値が高すぎる高校の日常会話なの?
テスト前の週末に集まる時は、ユキくんのお経のような数学解説が聞こえてくる。
あれは隣の部屋にいても昼間なのに眠くなる効果があるのがスゴい。
ちなみに化学もお経だった。
私は静かすぎるより誰か人のたてる物音があるほうが眠れるし、安心するから気にならない。
大学生になってからも、彼らは時々泊まりに来た。
彼らにとって三つ年下の私は妹で、私も兄が三人いるという感じ。
そもそも兄のシスコンっぷりがひどくて、二人とも私に近づいてこなかった。
ラッキースケベなお風呂で遭遇も、もちろんない。
脱衣所の扉に鍵があるし、人の気配がしたら踏み込むことはないし。
もちろん勝手に部屋に入ってくることもないし、もともと私は鍵はかけるタイプだし、彼らは兄の部屋からほぼ出てこない。
友達が気兼ねなく泊まれるのも、父が単身赴任中で、母は介護の仕事をしていて夜勤があるからかな。
両親もこの二人に関しては信頼してるようで、近所迷惑にならなければオッケーって感じでゆるい。
冬はみんなで一緒に鍋とかするしね。
一人暮らしの大学の友達の家に泊まりに行くこともあるけど、本当に友達なのか彼女なのかはわからない。
私は逆に家に友達を呼ばない。
過去に友達を泊めた時、兄がひょっこり顔を出して恋しちゃった女の子が二、三人現れたから。
協力してとか、クッキー渡してとか、勝手に押しかけてくるとか非常に面倒くさかった。恋に恋する乙女って強い。
一見、兄は爽やかなイケメンだし、乱視で近視だから見つめ癖があるのも勘違いされたのかも。
シスコン気味なのとタバコを吸うことを除けば、優しくて気遣いのできる男だと思うけど。
そろそろ長続きする彼女を見つけてほしい。
日づけが変わってしばらくした頃、静かに部屋のドアが開いた。
鍵を開けておいたのはわざと。
私は一番最後にお風呂に入ったところで、ちょうどドライヤーで髪を乾かしていた。
鍵をかける音が耳に届く。
「……どうしたの?」
「みんな寝たから会いにきた」
私を抱きしめて髪の匂いを嗅ぐ。
隣の部屋はガンガンにロックがかかっていて、こっちまで重低音が響いてくる。
音楽の趣味がほぼ一緒だからアリだけど、両親がいたら下に響いてるって怒るかも。
「いい匂い。今夜はここにいようかな」
「戻らなくていいの?」
「酒も飲んでるし、みんな起きないよ」
私の唇を啄んで、舌を絡める。
ちょっとアルコールの匂いがするキス。
「したい」
「ユキくん、バレちゃうよ?」
「そろそろ公表したい」
「うん、そうだね。……でもこんなことしてるの、バレるのは恥ずかしい」
四か月くらい前から私たちはつき合い始めた。
二人の関係が変わったのがあっという間で、それからは階段を転げるように早かったかも。
普段は外でデートしているし、こんな風にこっそり部屋で会うことも何度かあったけど、ここでその先に進もうとするのは今夜が初めてで。
「んっ……待って……」
電気を消してベッドに向かおうとする彼を押しとどめると、窓辺に背を向けて立たされてウエストから手が滑り込む。
いつでも彼と触れ合っていたい気持ちもあって、こんな状況なのに抵抗する気も起きない。
ほんの少し開けたカーテンから近隣の灯りが入り、お互いの表情が見える程度には明るかった。
ユキくんの表情は我慢できないっていってる。
「ベッドいや?」
「ん、音でバレそう」
ベッドの軋む音って結構響くと思う。
だって、昔よく兄がベッドの上で跳ねて遊んでいたけど、ギシギシスプリングの音が聞こえたから。
「……このまま、抱くよ」
耳元で低くささやかれるとダメ。
私は彼の背中に腕を回してぎゅっと抱きしめた。
こうして触れ合うのが気持ちいいって教えてくれたのは彼だから、私がとろけちゃうのはしかたない。
「キス、して」
そうささやいたのに、彼は私の首にキスしながら、パジャマのボタンを外していく。
彼がおやすみブラのカップを押し上げて胸をあらわにした。
こんなことならもっと可愛い下着にしておけばよかったな。あまり見えてないといいな、なんて思っていると、そのまま屈んで先端を濡れた熱い口に含む。
お腹の中がキュンとして、私は自分の手で口を押さえた。
「耐える姿が……かわいい」
「……っ!」
ちゅっと吸われて下着が濡れてくる。
反対側も同じようにされて、空いた片手で彼の髪に指を差し入れた。
先端を咥えながら上目遣いで私を見て笑う。
ふだんからは考えられないくらいエロくて色っぽい雰囲気に、背中がぞくりとする。
ユキくんはちゅ、と音を立てて口を離し、そのまま私のショートパンツを下着ごと下ろした。
「濡れてる」
嬉しそうに言う彼の指が脚のあわいをゆっくり撫でる。
わかっていることを言われるのも恥ずかしてユキくんの目を見ていられない。
「んっ……」
一気に二本の指を差し込まれて、腰が震えた。
この後自分がどうなってしまうか考えると、声を出さない自信がない。
「こっち見て」
本当はここでやめないとだめなのに。
カラダは彼を求めていて。
わずかに指を曲げてゆっくり動かしながら、親指を強く押し当ててぐりっと突起を刺激する。
「……ぁぅ……」
いきなり口を押さえていた手をとられ、唇で塞がれた。
これ、だめ。
声が漏れちゃう。
彼の舌が口内を嬲り、口を閉じさせてくれない。
しかも水音を立てながら指を動かし続けるから、頭がぼんやりしてきた。
鼻から息が抜けてわずかに声が漏れる。
「ユキ、くん……めっ……!」
より深く口づけられて、彼の口の中に喘ぎが漏れた。
目の前が白んでがくがくと震え、彼が抱きしめてなだめる。
「ごめん、かわいくてつい、夢中になった」
「ばか……」
涙目になる私の顔中に口づけてもう一度かわいいって笑う。
さっきからお腹の辺りをぐりぐりと硬いものがあたる。
視線を下げると彼のスウェットパンツが盛り上がっていた。
「私がしようか?」
彼がしてくれたみたいに。
だけど、彼は首を横に振りポケットからゴムを取り出した。
「中に挿れたい」
「……ずっとそこに?」
いつからそこに入れてたんだろう?
初めからその目的で私の部屋に来たにしても、この家で落としたら大問題なんだけど。
お風呂の後なら数時間も前からになるし。
呆れる私に、彼はしかたないだろって笑った。
パンツを下げた彼に、私はしゃがんで彼自身にキスしてからゴムを両手で取りつける。
少しは慣れてきたかな。
これが可愛く見えるんだから不思議。
脇の下に手を入れられて立ち上がると、唇を啄まれた。
「好きだよ」
「私も好き」
口の中でモゴモゴ言うように気持ちを伝えあって。
くるりと後ろ向きにされぐっと腰を引き寄せられて、慌てて出窓に手を伸ばす。
「声、気をつけて」
後ろからゆっくり挿入されて私は再び手で口を覆った。
声を聞かれたくない。
ユキくんがこんなふうに抱こうとするのは、ベッドでの行為を拒否したから?
彼は優しいけど、意地悪だと思う。
これならベッドでおとなしく座位くらいがよかったかもしれない。
でもそれも響くような?
結局は立つかフローリングの二択だったのかも。
隣の部屋に兄達がいること、後ろから立ったままつながること、後ろめたさにいつもより濡れている。
それがわかっているのか、彼の手が脚のあわいにのび、揺さぶりながら突起に触れてくる。
「……っ!」
「……すご……締まったね。……イきたくないな。……気持ちいい」
耳元でささやかれる声が、熱くてくすぐったい。
どうしよう、今にもイきそう。
音を立てないようにゆっくり大きく動くから、まんべんなく擦られてもっと締めつけてしまった。
「我慢しないで」
ぐっと押しつけるように動いて私は絶頂に押し上げられる。
そのまま揺さぶり続けるから、イったままひたすら声を押し殺した。
涙が流れるほど気持ちいいのに苦しい。
「……もっとしたい。声聞きたいな」
首を横に振る私の耳たぶに噛みつく。
「明日、休み? ホテル行こ?」
首を縦に振ると、かすかに笑った彼が動きを速める。
隣の部屋ではあいかわらず音楽がガンガン鳴り響いているけど、肌を叩く音と粘着音、それに私の漏らす声や彼の荒い息づかいが隣に聞こえないか気にならないわけではない。
けど、声を抑えることに精いっぱいで。
「ん……っ、……!」
膜越しに欲望を吐き出した彼が私をきつく抱きしめてから、自身を抜いた。
抜ける時の感覚も恥ずかしいくらい感じて、慌てて唇を噛む。
お互いの鼓動が速くて、どくどくと体に響いている。
ユキくんも気持ちよかったんだと思うと嬉しい。
首筋に軽く音を立ててキスをされて、なんだか幸せな気持ちになった。
「も一回、シャワー借りたら怪しまれるかな?」
「……このまま戻る方がバレると思うけど。ユキくんが先に……」
「俺は後始末するから、お先にどうぞ」
震える脚が動くようになるまで抱きしめてくれて、そのままぐずぐずしていたかったけど、ユキくんが私の唇を軽く啄む。
「動けそう? 本当はずっとこうしていたいけど、二人が起きる前に浴びた方がいい」
「うん。……そうだね」
そう言いながらもしっかり抱きしめてくれる。
ユキくんも離れたくないって思ってくれているみたいで嬉しい。
私からもキスして部屋を出た。
順番にシャワーを浴びて、もう一度私の部屋で彼に抱っこされながら麦茶を飲む。
「明日さ、みんなの前でつき合ってるって言いたい」
ユキくんの言葉に迷いながら頷いた。
やっぱり隠して付き合い続けるのは後ろめたい。兄の反応は怖いけど、ユキくんのほうがもっと罪悪感があるかもしれない。
「ノリくんもいるほうが、兄が暴走しないかな?」
「……そうだといいなって、思う」
そしたら、そのままデートに出かけられるって私は思った。
******
兄が私を好き過ぎる。
高二の時、部活の後に迎えに来てって頼んだらデート中で。
ものすごい不機嫌な彼女を先に送ってから、一緒にご飯を食べて帰った。
デートだったら、断ってくれていいのに。
多分本当は彼女とご飯の予定だったんだよね?
その彼女とはまもなく別れた。
兄の言い分は、あの子より私の方が大事だからって。
え? なにそれ?
それからはさすがに急に兄を呼び出すことはなくなったけど、クリスマスを彼女より私を優先するとか気持ち悪いことを言い出したから、友達とクリパするって言ってカラオケに出かけたら泣かれた。
クラスの男の子はいたけど、彼氏じゃないし、コンパでもない。
気の合う友達と楽しんだだけ。
迎えに行くとか何度も連絡があってめんどくさかった。
兄にとって、いつまでも私は天使らしい。
永遠の少女、というか処女なのかな。
そんなもん、とうの昔に失っている。
初めては高一の時の彼氏と夏休みに。
夏は開放的になるっていうアレ。
兄はその頃大学一年で、リゾート地での自動車免許合宿中だったから気づいてない。
こんがり日焼けして、お土産にわけのわからないご当地キャラのぬいぐるみをくれたっけ。
私の恋も秋の学園祭が終わった後ナンカチガウってお互いにすれ違って別れたから、高一のクリスマスはのんびり家でテレビ観てたし、サンタコスした兄と写真撮った。
その後は部活で全国大会に行けることになって、それ一色。
二回戦で敗退したけど、スポーツ校でもない普通の高校でなかなか頑張ったと思う。
兄は彼女を家に連れてくることはなかったけど、中学から仲良くなったユキくんとノリくんは高校も一緒でたまに泊まっていた。
朝まで話していることもしょっちゅうで。
何をあんなに話すことがあるんだろうと思う。
男子高校生らしく、女の子のこととか、彼女の惚気?
そんなことを考えていたら。
音楽と音楽の合間に『俺が日本を動かす!』ってノリくんが言ったのが聞こえた。
小学生が将来、総理大臣になるっていうくらいのレベルの会話?
二人とも笑ってないのが怖かった。
スルースキルが身についてるのならいいけど。
それとも偏差値が高すぎる高校の日常会話なの?
テスト前の週末に集まる時は、ユキくんのお経のような数学解説が聞こえてくる。
あれは隣の部屋にいても昼間なのに眠くなる効果があるのがスゴい。
ちなみに化学もお経だった。
私は静かすぎるより誰か人のたてる物音があるほうが眠れるし、安心するから気にならない。
大学生になってからも、彼らは時々泊まりに来た。
彼らにとって三つ年下の私は妹で、私も兄が三人いるという感じ。
そもそも兄のシスコンっぷりがひどくて、二人とも私に近づいてこなかった。
ラッキースケベなお風呂で遭遇も、もちろんない。
脱衣所の扉に鍵があるし、人の気配がしたら踏み込むことはないし。
もちろん勝手に部屋に入ってくることもないし、もともと私は鍵はかけるタイプだし、彼らは兄の部屋からほぼ出てこない。
友達が気兼ねなく泊まれるのも、父が単身赴任中で、母は介護の仕事をしていて夜勤があるからかな。
両親もこの二人に関しては信頼してるようで、近所迷惑にならなければオッケーって感じでゆるい。
冬はみんなで一緒に鍋とかするしね。
一人暮らしの大学の友達の家に泊まりに行くこともあるけど、本当に友達なのか彼女なのかはわからない。
私は逆に家に友達を呼ばない。
過去に友達を泊めた時、兄がひょっこり顔を出して恋しちゃった女の子が二、三人現れたから。
協力してとか、クッキー渡してとか、勝手に押しかけてくるとか非常に面倒くさかった。恋に恋する乙女って強い。
一見、兄は爽やかなイケメンだし、乱視で近視だから見つめ癖があるのも勘違いされたのかも。
シスコン気味なのとタバコを吸うことを除けば、優しくて気遣いのできる男だと思うけど。
そろそろ長続きする彼女を見つけてほしい。
日づけが変わってしばらくした頃、静かに部屋のドアが開いた。
鍵を開けておいたのはわざと。
私は一番最後にお風呂に入ったところで、ちょうどドライヤーで髪を乾かしていた。
鍵をかける音が耳に届く。
「……どうしたの?」
「みんな寝たから会いにきた」
私を抱きしめて髪の匂いを嗅ぐ。
隣の部屋はガンガンにロックがかかっていて、こっちまで重低音が響いてくる。
音楽の趣味がほぼ一緒だからアリだけど、両親がいたら下に響いてるって怒るかも。
「いい匂い。今夜はここにいようかな」
「戻らなくていいの?」
「酒も飲んでるし、みんな起きないよ」
私の唇を啄んで、舌を絡める。
ちょっとアルコールの匂いがするキス。
「したい」
「ユキくん、バレちゃうよ?」
「そろそろ公表したい」
「うん、そうだね。……でもこんなことしてるの、バレるのは恥ずかしい」
四か月くらい前から私たちはつき合い始めた。
二人の関係が変わったのがあっという間で、それからは階段を転げるように早かったかも。
普段は外でデートしているし、こんな風にこっそり部屋で会うことも何度かあったけど、ここでその先に進もうとするのは今夜が初めてで。
「んっ……待って……」
電気を消してベッドに向かおうとする彼を押しとどめると、窓辺に背を向けて立たされてウエストから手が滑り込む。
いつでも彼と触れ合っていたい気持ちもあって、こんな状況なのに抵抗する気も起きない。
ほんの少し開けたカーテンから近隣の灯りが入り、お互いの表情が見える程度には明るかった。
ユキくんの表情は我慢できないっていってる。
「ベッドいや?」
「ん、音でバレそう」
ベッドの軋む音って結構響くと思う。
だって、昔よく兄がベッドの上で跳ねて遊んでいたけど、ギシギシスプリングの音が聞こえたから。
「……このまま、抱くよ」
耳元で低くささやかれるとダメ。
私は彼の背中に腕を回してぎゅっと抱きしめた。
こうして触れ合うのが気持ちいいって教えてくれたのは彼だから、私がとろけちゃうのはしかたない。
「キス、して」
そうささやいたのに、彼は私の首にキスしながら、パジャマのボタンを外していく。
彼がおやすみブラのカップを押し上げて胸をあらわにした。
こんなことならもっと可愛い下着にしておけばよかったな。あまり見えてないといいな、なんて思っていると、そのまま屈んで先端を濡れた熱い口に含む。
お腹の中がキュンとして、私は自分の手で口を押さえた。
「耐える姿が……かわいい」
「……っ!」
ちゅっと吸われて下着が濡れてくる。
反対側も同じようにされて、空いた片手で彼の髪に指を差し入れた。
先端を咥えながら上目遣いで私を見て笑う。
ふだんからは考えられないくらいエロくて色っぽい雰囲気に、背中がぞくりとする。
ユキくんはちゅ、と音を立てて口を離し、そのまま私のショートパンツを下着ごと下ろした。
「濡れてる」
嬉しそうに言う彼の指が脚のあわいをゆっくり撫でる。
わかっていることを言われるのも恥ずかしてユキくんの目を見ていられない。
「んっ……」
一気に二本の指を差し込まれて、腰が震えた。
この後自分がどうなってしまうか考えると、声を出さない自信がない。
「こっち見て」
本当はここでやめないとだめなのに。
カラダは彼を求めていて。
わずかに指を曲げてゆっくり動かしながら、親指を強く押し当ててぐりっと突起を刺激する。
「……ぁぅ……」
いきなり口を押さえていた手をとられ、唇で塞がれた。
これ、だめ。
声が漏れちゃう。
彼の舌が口内を嬲り、口を閉じさせてくれない。
しかも水音を立てながら指を動かし続けるから、頭がぼんやりしてきた。
鼻から息が抜けてわずかに声が漏れる。
「ユキ、くん……めっ……!」
より深く口づけられて、彼の口の中に喘ぎが漏れた。
目の前が白んでがくがくと震え、彼が抱きしめてなだめる。
「ごめん、かわいくてつい、夢中になった」
「ばか……」
涙目になる私の顔中に口づけてもう一度かわいいって笑う。
さっきからお腹の辺りをぐりぐりと硬いものがあたる。
視線を下げると彼のスウェットパンツが盛り上がっていた。
「私がしようか?」
彼がしてくれたみたいに。
だけど、彼は首を横に振りポケットからゴムを取り出した。
「中に挿れたい」
「……ずっとそこに?」
いつからそこに入れてたんだろう?
初めからその目的で私の部屋に来たにしても、この家で落としたら大問題なんだけど。
お風呂の後なら数時間も前からになるし。
呆れる私に、彼はしかたないだろって笑った。
パンツを下げた彼に、私はしゃがんで彼自身にキスしてからゴムを両手で取りつける。
少しは慣れてきたかな。
これが可愛く見えるんだから不思議。
脇の下に手を入れられて立ち上がると、唇を啄まれた。
「好きだよ」
「私も好き」
口の中でモゴモゴ言うように気持ちを伝えあって。
くるりと後ろ向きにされぐっと腰を引き寄せられて、慌てて出窓に手を伸ばす。
「声、気をつけて」
後ろからゆっくり挿入されて私は再び手で口を覆った。
声を聞かれたくない。
ユキくんがこんなふうに抱こうとするのは、ベッドでの行為を拒否したから?
彼は優しいけど、意地悪だと思う。
これならベッドでおとなしく座位くらいがよかったかもしれない。
でもそれも響くような?
結局は立つかフローリングの二択だったのかも。
隣の部屋に兄達がいること、後ろから立ったままつながること、後ろめたさにいつもより濡れている。
それがわかっているのか、彼の手が脚のあわいにのび、揺さぶりながら突起に触れてくる。
「……っ!」
「……すご……締まったね。……イきたくないな。……気持ちいい」
耳元でささやかれる声が、熱くてくすぐったい。
どうしよう、今にもイきそう。
音を立てないようにゆっくり大きく動くから、まんべんなく擦られてもっと締めつけてしまった。
「我慢しないで」
ぐっと押しつけるように動いて私は絶頂に押し上げられる。
そのまま揺さぶり続けるから、イったままひたすら声を押し殺した。
涙が流れるほど気持ちいいのに苦しい。
「……もっとしたい。声聞きたいな」
首を横に振る私の耳たぶに噛みつく。
「明日、休み? ホテル行こ?」
首を縦に振ると、かすかに笑った彼が動きを速める。
隣の部屋ではあいかわらず音楽がガンガン鳴り響いているけど、肌を叩く音と粘着音、それに私の漏らす声や彼の荒い息づかいが隣に聞こえないか気にならないわけではない。
けど、声を抑えることに精いっぱいで。
「ん……っ、……!」
膜越しに欲望を吐き出した彼が私をきつく抱きしめてから、自身を抜いた。
抜ける時の感覚も恥ずかしいくらい感じて、慌てて唇を噛む。
お互いの鼓動が速くて、どくどくと体に響いている。
ユキくんも気持ちよかったんだと思うと嬉しい。
首筋に軽く音を立ててキスをされて、なんだか幸せな気持ちになった。
「も一回、シャワー借りたら怪しまれるかな?」
「……このまま戻る方がバレると思うけど。ユキくんが先に……」
「俺は後始末するから、お先にどうぞ」
震える脚が動くようになるまで抱きしめてくれて、そのままぐずぐずしていたかったけど、ユキくんが私の唇を軽く啄む。
「動けそう? 本当はずっとこうしていたいけど、二人が起きる前に浴びた方がいい」
「うん。……そうだね」
そう言いながらもしっかり抱きしめてくれる。
ユキくんも離れたくないって思ってくれているみたいで嬉しい。
私からもキスして部屋を出た。
順番にシャワーを浴びて、もう一度私の部屋で彼に抱っこされながら麦茶を飲む。
「明日さ、みんなの前でつき合ってるって言いたい」
ユキくんの言葉に迷いながら頷いた。
やっぱり隠して付き合い続けるのは後ろめたい。兄の反応は怖いけど、ユキくんのほうがもっと罪悪感があるかもしれない。
「ノリくんもいるほうが、兄が暴走しないかな?」
「……そうだといいなって、思う」
そしたら、そのままデートに出かけられるって私は思った。
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