ここは番に厳しい国だから

能登原あめ

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 サディアスが私の脚の間に身を置くと、さっき以上に脚を広げることになって、彼の身体の大きさに驚いた。
 いつも軽々抱き上げてくれているけど、こんなふうに脚を開くことはなかったから。

「サディアス……」
「ゆっくり進めるから……」

 ひたりと彼自身が私に触れて、はっとする。
 先端があわいを前後に撫で、核に触れた。  
 ますます濡れた音が響いて私の欲を煽る。

「サディアス……あぁっ……!」

 私の声と同時に、彼が押し入ってきた。
 想像した通り、ずいぶん質量があって、彼の腕をぎゅっと握る。

「……アマヤ。……呼吸、しろ」

 はっはっ、と短く吐くことしかできなくて、彼も奥歯を噛みしめたような顔で一度腰を引いてから、ぐっと突き込む。

「ぁあっっ……!」

 彼自身が私の中の、ちょうどおへその裏側を擦るから、快感を拾って思わず背中を逸らす。

「アマヤ、待て」

 今すぐにも達しそう。

 そんな私の腰をがっちり掴み、すまない、と言って一気に貫いた。

「あぁぁぁーーっ……!」

 目の前でバチバチと光が弾けて、身体が跳ねる。
 いきなり訪れた絶頂感に、私は圧倒され、彼はそれに耐えた。

 それから彼は長く息を吐いて、ゆっくりと腰を揺らした。

「サディアスっ、あっ、はぁ、やっ、あぁっ……」

 彼は大きくゆっくり動くから、中をいっぱい擦られて、わけがわからなくなってくる。
 快楽を拾いやすくなっているのかも。

「アマヤ、愛している」
「あぁっ、わ、私、もっ……愛し、て、るっ……。……あっ、やあぁ……っ!」

 私の片足を腕にかけて揺さぶり始めた。

「サディ、アスッ! あぅ、ダメッ……これ、もっと、だめっ……」
「アマヤは、ダメばっかりだな……」

 くすっと笑って、一旦彼自身を抜くと、私をうつ伏せにした。

「サディアス……?」
「力を抜いていて」

 私をまたいで、後ろから突き入れる。

 これ、ダメ。
 ちょうど、おへその裏側ばかり、突かれることになる。

「~~~~っ、さでぃ、あす……っ」

 耳元で彼が笑う。

「止まれないって、言っただろう……?」

 彼が何度も何度も腰を打ちつけて、私を絶頂に追いやる。
 枕に顔を埋めて、涙も唾液も、それから嬌声もすべて吸いこまれた。

 彼の仕事のことはよくわかっていなかったけど、辺境で副隊長をしているだけあって、体力がありすぎるのかも。

 あぁ、もう。わけがわからない。
 彼を受け入れているそこは、ずっとヒクヒクと震えて、彼をつかんで離さない。

 もう無理だって、もう終わってって思うのに、彼は私のせいだって言う。

「アマヤが可愛くて、魅力的で、俺を離さないんだ。……もったいなくて、まだ果てたくない。……そう思う」

 長時間にも及ぶ行為。
 私の理解を超えていて、頭の中は真っ白で、彼から与えられる快楽を受け取るだけで精一杯。

「サディアス、私、身体を起こすこともできないわ……」

 彼の上に乗せられて、彼を受け入れたままくったりと身体を倒して言った。

「……明日も休みだ。……いや、今日か。大丈夫だ、ちゃんと面倒は見るよ、愛しい人」
「…………今日も泊まるのよね?」

 にっこり笑ってそうだと答える彼が、下から何度も突き上げて、私を翻弄する。
 声を上げすぎて、声が出ないなんてことも起こり、途中でとろっとした果汁を飲ませてもらい、それでもまだ終わらなかった。

「サディアスっ、……中に出して! 私を満たして!」

 そんなふうに懇願してようやく彼が白濁を吐き出したのは、空が白む頃。
 
「……ありがとう、サディアス……」

 彼の子種を奥深くに感じて、やっと終わると彼に感謝して抱きしめた。
 けれど、その後も硬さを保ったまま、飽きることなく私を絶頂に押し上げ、そのままそこから降りることもできずに打ち震えた。

 快楽で訳のわからなくなった私を貪り尽くし、彼が二度目に果てたところでようやく、ようやく私達の初めての営みが終わりを告げた。

 指一本、動かせなくなった私は、最初の頃のように全てを彼に委ねたのだけど、それはそれは愉しそうに世話をしてくれた。
 
「なんで……こんな……?」

 かすれた声で尋ねた私に。

「すまない。……我慢しすぎた反動だ。ずっと、アマヤの気持ちが向くのを待っていた……」

 そう言われたら、私は答えられない。

「もう我慢しないで……」
「…………ありがとう、おやすみ」

 私は彼に抱きこまれて、眠りについた。










 港町の宿屋にいる間、ずっと睦み合っていたからか、戻ってきた後も身体が動かせなくてしばらく仕事を休んだ。
 心配して顔を出したブレアさんだったけど、サディアスが御機嫌だったことと、私が睡眠不足やらなんやらだって、二人の関係性がこれまでより良くなったことを察して、気が向いたときだけ仕事を手伝ってと言った。
 もうすぐ仕事を休んでいた人が復帰するんだそう。

「それなら、もう、部屋でゆっくりしたらいい」

 サディアスの声に、ブレアさんが提案する。

「そろそろ、家族用の宿舎に移ったら? アマヤが料理してもいいし、私達に顔見せに毎晩ご飯食べに来てくれてもいいから」

 サディアスが眉間にシワを寄せたのを見て、ブレアさんが笑った。

「あーー、はいはい。食堂で食べる時間も惜しいのね。サディアス、あまり締めつけ過ぎると嫌われるわよ」
「…………」
「あの、それなら、復帰する人が戻るまで続けさせてください。その後は、彼と相談します」

 これで毎晩毎晩、彼に乱されることはなくなると、手加減してくれるはずと心の中で安堵したけれど、逆に起き上がれないくらい愛されることになるとは、この時は思わなかった。
 
 

 
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