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prologue
しおりを挟むさっきまで主人公総攻めのBL漫画を読みながらお酒を飲んでたと思ったけど。
「あなたみたいな子を待っていたのよ~! 絶対気にいるから!」
目の前に美しい女神様?
なんで?
あ、ワンカップ持ってるままだ。
「総攻めイイ♡って言ってたわよね? この世界はねぇ、女子が少ないから男同士で結婚することも多いの」
総攻めはイイ。
でもソレは二次元の話で。
それに、私が一番好きなのは少女漫画なんだけど?
「女の子と結婚したい子たちは肩身が狭くて不憫でね。……だからね、あなたが恋しちゃうような好みの子にすっごく愛されて大事にされて尽くされるわよ? ね? いいよね? この世界に残ってくれるわよね? あなたの幸せは約束するから!」
元からいなかったことになる?
それなら誰にも迷惑かけないよね?
仕事も疲れたし、忙しくて友達とも疎遠になったし恋人いたことないし。
親に結婚とか口出されるのめんどかったし。
弟と妹もいるし、家族も平気でしょ。
真面目に生きるの疲れたわー。
「働かなくてもいいからね! しかも一妻多夫よ! それでもって、ガンガン攻めてあげて♡」
攻めるのは、BLの好みの話で。
処女の私が、どうやって??
妄想?BL妄想で?
「あなたの柔軟なところがいいのよね~!それで、リバ可なのよね? うんうん、楽しんじゃって♡」
だんだんおかしな話になってきた。
これ、夢かな?
お酒、まわってきたのかな?
とりあえずぐびっと一口呑む。
「夫は5人まで持つのが義務! とりあえず、2人選んでおいたから! 相性いい子たちをね。あと3人は候補者の中から選んで。みんなで仲良く暮らしてね♡」
え? 5人の夫が義務?
いきなり一緒に暮らすの?
「どの子もあなたと相性のいい、幸せになれる子よ。夫同士それなりにうまくやれる協調性のある子達ばかり。……あなたのことがタイプって思っている相手だから遠慮なく好みで選ぶといいわ……さもないと、強制的に国が結婚相手を決めちゃうぞ♡」
生理的に受け付けない夫を選ばれたら先が思いやられるよね。
嫌いな上司みたいなやつとか。
一つの家に住むなら相性も協調性は大事、だよね。
あれ? なんか丸め込まれてる?
「あなた、普段は恥ずかしがり屋みたいだから、ぐいぐいイケる名前をつけてあげるわ!」
えっと、なんで?
自分の名前フツーに気に入ってるけど。
女神様の祝福?
「遠慮しなくていいから! そうね、どうせならゴージャスなのがいいわねぇ♡ ベラドンナ=パトリシア=ルーナ。美しく気高い月の女神、って感じの意味合いね。ふふふっ、どう?」
だいぶ名前負けしちゃうんで無理です。
こんな平均的中肉中背、直毛の黒髪、地味な日本顔の私にそれはない。
でもね、海外ではモテた。
オゥ、アジアンビューティー! エキゾチック! みたいな……うん、まぁ、つまりそういうね……さらにいえば化粧の映えないタイプのあっさりした顔だから。
「じゃあ。リオナで決定。この女教師風メガネを装着すれば、ほーら、気分あがるわよ! うん、似合う似合う♡ 思いっきり攻めちゃって!」
どこかで聞いたような設定だね?
鬼畜なゲームかなにかかな?
「じゃあ、がんばってね! 雌ライオン!」
「え? ぎゃあああぁぁぁ――!」
私の足元の床が消え、ワンカップがどこかに飛んだ。
「あ、彼らはノーマルだから、BLみたいな攻め方しちゃだめよ~♡ 体力、耐久力、回復力に加護つけとくわね! メガネも雰囲気アイテムなだけだから…………って、悲鳴で聞こえなかったかな?」
そんなわけで、攻めて欲しい夫達との異世界生活が始まるようです!
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