愛されることはないと思っていました

能登原あめ

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【3】

41 約束の日② ※

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「ブレンダン様……っ」
「ベッドへ行こう」

 ソファでは満たされないと思ったのは私だけではないようです。
 私を軽々と抱き上げてベッドの端に下ろすと、ガウンの紐を引きました。
 つるりとした生地のため、するっと脱げて夫の前に扇情的な寝衣がさらされます。

「最高にきれいだ」

 夫は私を世界で一番美しい女性のように思わせてくださいます。
 優しく愛おしそうに見つめてくださるので、息が止まりそうになりました。思わず胸に手を当てます。

「あなたは変わらないな、今夜も美しい。丸ごと食べることになりそうだ」

 足元にひざまずいて室内履きをそっと脱がしたのです。
 そのまま足先に口づけを落とすのですから、私は漏れそうになる声を抑えました。

「……約束を覚えている?」
「はい」

 今こうしていることと、もう一つ。
 妊娠中にした約束ですが、私にしてほしいことがあったら遠慮せずに言ってください、と話しました。
 ブレンダン様が忘れるはずがありません。

 夫はひざまずいたまま、私を見上げて言いました。

「今夜、たくさん抱いてもいいか?」
「…………はい」

 他になんて答えられたでしょう。
 とても長く待たせてしまいましたし、もとからそのつもりでした。

 ブレンダン様は足先からゆっくり口づけ、指先で触れて私に火をつけていきます。
 もっと触れて欲しくて、今すぐ一つになりたいと思うほど身体中に口づけを落として煽り、私を翻弄して焦らしました。

 身につけていた寝衣は腰の辺りに引っかかっているだけで、素肌をさらしていましたが、私はもう隠す余裕もありません。

「想像以上にあなたに飢えていたようだ。それにしてもアリソン、あなたは可愛い。すべてが完璧だと言ったかな……」

 申し訳なさと恥ずかしさと、変わらず求めてもらえることの嬉しさで感情がごちゃ混ぜになっています。
 もうすでに夫の愛情をたくさん受け取って私の体は全身でブレンダン様を求めていました。

「その表情も愛おしい。愛しているよ」
「私も……んんっ」

 しとどに濡れてすでに夫を受け入れる準備はできていますのに、脚の間には触れてきません。
 もどかしくて脚をすり合わせる私を見てブレンダン様が笑いました。

「ブレンダン様、お願い……」
「私の妻はせっかちだね。あなたの準備がまだ整っていないのに」

 ブレンダン様が胸の尖りをもてあそびながら、もう片方を口に含みました。

「あっ、んんっ……ブレンダン様、もう、あぁっ!」
「……水、もう少し飲むか?」

 もしかしたら私の声が枯れるまで楽しむつもりなのかもしれません。
 声を我慢しようとしますと、ブレンダン様の片手が脚の間を探りました。
 触れただけで水音がして、夫の指を簡単に濡らします。

「もう待てない?」
「はい」
「だが、久しぶりだからしっかり解さないと」
「……っ、いじわるしないで」

 涙がこぼれて、声が震えてしまいました。
 ブレンダン様に甘えすぎて、我慢させすぎてしまった私が悪いことはわかっています。

「楽しんではいるが、いじわるなんてしていないよ」

 私をなだめるように唇を重ねてから、私の表情を見つつ、指に蜜をまとわせるように何度か撫でてから一瞬粒に触れました。

「あ、待って……」

 次に粒に触れられたら、達してしまいそうです。
 体は張り詰めていて震えました。
 ブレンダン様も私の反応で気づいたのでしょう。
 こんなこと、ありえませんのに。

「アリソン」

 夫の指が優しく粒に触れ、そのまま小刻みに指を動かしました。

「……っ、あぁ!」

 体がのけ反り、甘く痺れて目の前がチカチカと光が点滅して見えます。息が止まるかと思いました。
 
「感じやすくなっているようだ」

 私は息を整えることもできないまま、こんなにすぐに達してしまって恥ずかしいと思いました。

「その顔も可愛い……アリソン、力を抜いていて」

 ブレンダン様の指が小径を進みます。
 達したことで夫の指を勝手に締めつけていました。
 これまでより狭くなっているように感じます。

「痛む?」
「いえ、大丈夫です」

 指を挿入したまま粒に触れますから、再び快感を拾い始めました。
 ブレンダン様はまるで私が初めて男性を受け入れるかのように優しく丁寧に触れます。
 痛くないか確認しながら、慎重に指を増やして私が反応する場所を執拗に攻めました。

 何度も抱かれることになるだろうと思っていましたが、こんな風にじっくり触れてくると思いませんでしたので混乱してきました。

「……っ、どう、して……?」
「なにが?」

 ブレンダン様の昂まりは天を向いて、すでに準備ができていますのに。
 もう何度も受け入れてきましたから、これほど長く焦らさせてわけがわかりません。

「私はもう大丈夫ですから。これ以上、待てません。ブレンダン様と一緒に……よくなりたいです」

 あなたに優しくしたいんだ、ブレンダン様はそう言って大きく呼吸を整えました。
 軍隊時代に既婚者から産後の営みなど色々な話を聞いていたそうです。
 なんでも今後の夫婦関係に大きく影響するのだとか。

「……もしも痛みを感じたら我慢しないで」
「はい」

 子どもだって産みましたのに。
 大げさだと思いました。
 蜜口に当てられた昂まりが、ゆっくり隘路を押し拡げるように進みます。

「……っ、あ」

 苦しいのは久しぶりだからでしょうか。
 ブレンダン様は時々腰を引いては先へ進み、ゆっくり時間をかけてすべてをおさめました。

「アリソン、大丈夫か?」

 私の脚はがくがくと震えています。
 これまでと感覚が違うので、ブレンダン様に腕を伸ばして抱きしめてもらいました。

「はい、少しだけ……そのままでいてください」
「……わかった」

 ブレンダン様は私の唇をついばみます。
 久しぶり過ぎて体が驚いているのかもしれません。
 ブレンダン様の昂まりはとても大きいですもの。

 馴染むまで動かずに待ってくださって、ブレンダン様のほうが私の体をわかっているようです。
 優しい気遣いに体だけでなく胸もいっぱいになりました。

「愛しています、ブレンダン様。大好き」
「私も愛しているよ。受け入れてくれてありがとう。……あなたのすべてが愛しくてたまらないんだ」

「私だってブレンダン様のすべてが愛おしくてたまりません」
「可愛い、可愛いなアリソン」

 見つめ合って笑い合い、唇を重ねます。
 お互いの舌を絡めて息を奪うような口づけに変わった頃、ブレンダン様がゆっくり腰を揺らしました。

「痛む?」
「大丈夫です、少しも痛くない」
「よかった」

 唇を重ねながら、この後は気持ちいいだけだ、などと言ってゆっくり腰を引きました。
 ブレンダン様の大きな昂まりが、内壁を刺激するのですぐに体が甘く痺れてきます。

「ブレンダン、さまっ⁉︎」

 とん、と軽く奥を突かれただけで、私の体は再び達しました。
 そのままぐりぐりと押しつけるように小刻みに動かれて、引き伸ばされる絶頂に私は声を上げるしかありません。

「あっ、あぁっ、そんな……っ」
「可愛い、可愛いアリソン、気持ちいいね」

 とても楽しそうなブレンダン様の顔。
 
「一度目はもちそうもない。出していいか?」
「ん、はい……」

 私の両脚をしっかり抱えてブレンダン様が揺さぶりました。
 昇りつめたままの、甘くても過ぎた快楽に逃れたくなります。でも夫の力強い腕は逃してくれません。

「あっ! ひ、あぁっ、あ、あん」

 激しい律動に声を抑えることができませんでした。
 荒々しくされても痛くないくらい、私の体は時間をかけてブレンダン様にほぐされてしまったようです。

 もうこのまま頂から降りてこられないような気がします。
 
「あっ、もう……っ、ブレンダン、さまっ」
「…………ッ!」

 ブレンダン様が最奥に押しつけるようにしながら精を吐き出しました。
 もう何も考えることができません。

「愛している」

 私を上から覆うように抱きしめた後、くるりと反転して、いつの間にか夫の上に乗り上げていました。
 私の重みが心地いいのだと、手足に力が入らない状態でも軽いと言うのです。
 たくましい体に身を預けてささやきました。

「……愛しています」

 お互いの速い鼓動がよく聞こえます。
 そのまま抱きしめ合っていると、眠気が襲ってきました。

 でも。
 私の中のブレンダン様がむくむくと育つのを感じて――。

「ブレンダン様?」

 顔を上げてブレンダン様を見下ろしますと、私の後頭部に手を回されて口づけを交わすことに。

「んんっ」

 そのまま私を試すように下からゆっくり突き上げられて、ブレンダン様の回復の速さに驚いてしまいました。
 もう脚に力が入りませんのに。

「アリソン、あとで一緒に風呂に入ろう。洗ってあげるから」
「……はい。……っ、あっ、あぁっ!」

 ブレンダン様は余裕のある様子で楽しむように揺さぶります。
 私はまだまだ体力が足りません。
 夫の二度目の吐精の後、水を飲んだ私はうつ伏せになって枕に顔を埋めました。

「少し休んだらいい」

 夫の言葉どおり……とはいかないようで、休めそうにはありません。
 力の抜けた私の肩にブレンダン様が口づけを落とし、後ろから昂まりが押しつけられました。
 腰をつかんでゆっくり、確実に隘路を押し拡げていくのです。

「うンッ……!」
「アリソン。痛かったか?」
「いえ……大丈夫。でも、これ、これでは……
休めません……っ、んう、んんっ」

 耳たぶを口に含まれて、ぞくぞくしました。

「それはすまない」

 声に笑みが含まれています。
 それに夫の両手が自由に動いて私を煽るのです。どうして今、粒に触れようとするのでしょう。
 ベッドと夫の狭間で私にできることはすべてを受け入れて震えることくらいです。

「……あッ」
「そんなに締めつけなくても」
「ブレンダンさまのっ、せいで、す……!」
 
 振り返ると唇が重なりました。
 すべり込んだ舌と同じ様に昂まりが緩慢に動きます。

「…………ん、」

 きっと指を動かすのも億劫になるほど、むさぼられてしまうでしょう。
 でも久しぶりですし約束ですから、それでいいと思いました。
 ブレンダン様の深い愛に私も溺れたいのです。

 そうして私たちのクリスマスはまだまだ終わらないのでした。
 

 
 
 
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