通訳なので他国の皇子にBLの婚約破棄の現場を実況した結果、旅立つことになりました。

能登原あめ

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夫婦編

1 旅立ちの前に

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「さすがに今夜はピートさん、おやすみなんですね」
「うむ、今夜は自宅に帰っている」

 ジェリーとの夜食タイムに現れたのは皇宮勤めの侍女さんたちで、テーブルに食事を並べ終わるとさーっと去っていった。
 急なお願いのはずなのに、嫌な顔一つせず仕事してくれてありがたい。
 
 あれ?
 これってもしかして。

「ジェリーが、夜食の用意を頼んでくれていたんですか?」
「うむ。……お腹がすいたら、眠れないのだろう?」

 さすが! 私の夫ってすごい!

「ジェリー、大好きです!」
「……オレもだ。……クミンに言われると胸がぽかぽかして嬉しいな……恥ずかしくもあるが」
「私もずっとそうでした! 嬉しいけど、恥ずかしかったです」
「うむ……しかし、言わなければ伝わらないのだ。クミン、愛してるぞ」
「はい……私も、デス」

 きゅんってするけど、愛してると言うのはハードルが高い。

「クミン、もうオレのつ、妻なのだからそんなにかしこまった話し方をしなくて良い。それからピートたちにも、敬称つけなくていいぞ。俺の、つ、妻なのだからな」

 そっか。皇子さまの妻になって、身分が高くなったから立場的なものがあるのかな、多分。

「あ、はい……わかりまし、じゃなくて、わかった。……ちょっと色々慣れるまで変な話し方になっちゃうかもしれないけど、許して?」
「うむ、もちろんだ」

 かわいいなぁ、かわいいなぁってジェリーが念仏のように唱えながら、サンドウィッチを私の口に運ぶ。
 ちょっと忙しい。

 何をかわいいと思っているのかわからないけど、ジェリーが私をかわいいと思ってくれるならすっごく幸せなことだよね!

「ところで、ジェリー? ピート、の婚約者の方に会うことはできないんで、できないのかな?」

 なかなか言葉がすんなりいかないのは私の中でジェリーはやっぱり特別な、カレーの皇子さまだからなのかも?

「うむ。明日から三泊ほどピートの伯爵家に泊まって旅の準備をするから、もしかしたらその時に会えるかもしれないな。……伯爵家のほうが、家に帰ったような気持ちになるから、クミンもその間にカラダを休めるのだぞ?」

 ジェリーが休ませてくれれば、もっと疲れが取れるけどね?
 まぁ、いいけど。








「ジェリー様、おかえりなさいませ。そちらのかたが奥方様のクミ様ですね。ようこそおいでくださいました。それから、ご結婚おめでとうございます」

 ピートのお母さんである伯爵夫人が、私たちをもてなしてくれた。

「うむ。これからは妻もよろしく頼む」
「よろしくお願いします」

 さすがピートが育った環境なだけあって、素敵!
 温かい雰囲気の中歓迎されて嬉しい。
 彼の実家だなんて申し訳なく思ったけど、さりげない気遣いは皇宮より居心地いいよ!
 
 彼のお父さんや上のお兄さんたちが皇宮のほうに詰めているとかで、今いるのは真ん中のお兄さん二人だけ。
 
 ピートは控えめな印象の姿かたちだけど、お兄さん方はみんな騎士団に所属していてがっちりしているらしいから、変わり種みたい。

 ごくたまに他のお兄さんもジェリーの護衛についてくることもあるらしいから、そのうち会えるのかな。

「ピート、婚約者殿といつ会うのだ?」

 部屋に案内された後、ジェリーが訊いた。
 彼はほんの少し苦笑いをしたけど、すぐ答えてくれる。

「実は昨夜からこちらにおります」
 
 ピートと早く会いたかったのかな。
 もしかして、遠距離恋愛?

「この後連れて参りますね」
「うむ。お前が大事にしている子だろう? 楽しみにしてるぞ」

 






「はじめまして、殿下。奥方様。わたくし、ベラと申します。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」

 華がある!
 きれい! 色っぽい!
 こりゃ、男に会わせたくないよね!
 ピートが隠したくなるのもわかる。

 ちらりとジェリーを見ると、フツーだ。

「うむ。……よろしく頼む」

 あれ? それだけ⁇
 うっとりされちゃうよりいいけどね?

「……では、今しばらくおくつろぎください」

 二人は挨拶だけして去っていった。

「ジェリー? きれいな子、だったね」
「うむ。……ピート好みの女人だった。二人がうまくいくといいな」

 ピートさん、面食いだったんだなぁ。
 あんなきれいな子をおいて旅に出るなんて心配かもね。
 仕事だからしょうがないけど。
 やっぱり侍女になってもらったほうがいいのかなぁ。
 
「クミン? クミンが世界で一番かわいいぞ!」

 私が黙ったからやきもち焼いたと思ったのかな。
 
「ジェリー、それは言い過ぎ……」
「何がだ? オレは各国を回っているが、クミン以上の極上の女人をみたことないのだ……うむ」

 極上の女人とか、聞いたことない褒め言葉に戸惑いしか感じない!

「信じてもらえぬのだな……ならば」

 そう言って私を抱え上げると大きなソファに下ろして、服を剥いだ。

「かわいい……クミンは服を着ていても脱いでもデイジーのようにかわいらしい」

 デイジー?
 ばあちゃんが言ってた……雛菊。
 つまり、延命菊のことだ‼︎
 私が長生きしそうなほどしぶとそうってこと?

「ジェリー、ひどい……」
「なぜ、涙ぐむ? かわいい花ではないか。小さくて」

 私の顔中に口づけた後、ふくらみに顔を寄せてそう言う。
 そのタイミング‼︎

「かわいい、クミンはどこもかしこもかわいくてオレはいつもこうして抱かずにはいられないのだ」

 胸の先端を指でくりくりしたかと思えば、もう片手を脚の間へ延ばす。

「信じてくれないのか?」
「ジェリーは、大げさだと、思うゥ!」

 ずぷりと太い指を挿れられて、身体が震えた。

「オレに馴染むように、柔らかく包んでくれるここもかわいい」

 ぐちゅぐちゅと指を動かされると、頭がぼんやりしてくる。

「ジェリぃが♡ 触るからぁ♡ こうなっちゃうのにぃ~♡♡」

 指を抜いてぺろりと舐めると、ためらいなくおちんちん様で貫いた。

「んあぁっっ……♡ ジェリぃ♡ 汚しちゃうからぁ♡ ベッドいこっ……♡♡」
「……もう、遅いっ」

 じゅぶじゅぶと突き立てられて、唇が重なるともうわけが分からない。
 おちんちん様をぎゅうぎゅう絞りながら私はイった。

「クミンっ……く……」

 私の中で吐精した後、呼吸ができなくなるくらい力一杯抱きしめてくる。

「クミン……この世で一番かわいい、オレの妻。クミンが実感するまで何度だって言おう。……このソファがオレたちの愛でびしょ濡れになるまで抱いてもいい」

 布張りのソファのお尻の下がしっとり濡れている。
 人様のうちでどう証拠隠滅したらいいかわからない!

 こんな愛の証はいらないんだけど!
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