私が好きと言ったら抱きしめるあなたは、好きと言ってくれない。

能登原あめ

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14 もっと一緒にいたい!

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 毎月一度、アーサー様が手紙を運んで来て、伯爵領となりか、侯爵領うちに泊まっていく。
 侯爵領の時は、一緒に朝の散策をする。
 約束はしないのだけど、なぜかそう。
 約束したわけじゃないけど、私が転ばないように手をつないで歩く。

 嬉しくてぎゅっと握ると、そっと握り返してくれる。
 だからもう一度握り返しちゃうの。
 アーサー様はどんな顔をしているのかなって、見上げるといつも以上に無表情。

「アーサー様」
「……ん」

 唸るように返事するけど、少し耳が赤い。
 アーサー様、恥ずかしいのかな。
 目は合わせてくれないけど、私の手の甲を親指で撫でているの。
 これって、無意識?
 なんだかくすぐったいけど、やめて欲しくない。

 アーサー様が格好いい上に、かわいくみえちゃうんだから私はどうしたらいいんだろう!
 大好き。

 手が熱くなってきたけど、絶対離したくないからぎゅうってする。
 





 リンゴの季節には、アーサー様に腰を持ち上げてもらって、二つもぐ。
 これは二人で決めたこと。


 一度、甘いリンゴを食べてもらいたくて、アーサー様が止める前に木に駆け寄って登りかけた。
 だけどその時は足が滑ってアーサー様に抱き止められて。

『心臓が止まるかと思った。もうやめてくれ』
『はい、ごめんなさい』
『……分かればいいんだ』

 それ以上怒ることはなくて、私が怪我しなくてよかった、なんて言うから。

『アーサー様、大好きです』

 私がそう言うと顔を赤らめてぎゅってきつく抱きしめてくれる。
 お耳に息がかかってくすぐったいけど、『エヴァ』ってちょっとだけかすれた声でささやくの。

 嬉しいけれど、アーサー様は私をどう思っているのかな。
 嫌われてはいないと思うけど、言ってくれないとわからないのに。

 しばらく私の髪を優しく撫でてくれて、それから大きく息を吐いて急に体を離す。
 それがちょっとさみしいけど、アーサー様が何度も深呼吸して、いつもの顔に戻そうとする姿は、とってもかわいらしい。
 
 きっと私と同じでドキドキがおさまらないんだと思う。
 アーサー様とくっついていたら、ちょっと早い心臓の音が聞こえてきたから。

 
 そんなことを思い出しながら、木の根元に隣り合って座り、リンゴにかじりつく。
 食べてる間はお互い無言になってしまうけど、触れ合う肩から熱が伝わって安心するの。

「このままずっとこうしていられたらいいのに」
「……風邪を引いてしまう」

 そんなふうに言うから、私はアーサー様に寄りかかる。

「こうしていれば、温かいです。……アーサー様って、全部熱いですよね」
 
 顔を上げたら真っ赤になっていて。

「あなたは……はぁ」
 
 アーサー様がなぜかため息をついて私の頭を撫でた。
 
 あー、どうしよう。
 もう一度好きって言いたい。でも、我慢。
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