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18 それから(終)
しおりを挟むイーサン兄様の結婚式。
十八歳になったばかりの花嫁さんが幸せそうに笑う。
それを見た兄様も嬉しそうに目を細めた。
羨ましい。
思わずアーサー様の手を握っちゃう。
だって来年は、私達も結婚するのだもの。
アーサー様が私をちらりと見て、口角を上げた。
うん。大好き。
脚はみんなと変わらないくらい回復しているのに、アーサー様は時々こっそり甘やかす。
少し疲れてつまづきそうになるのは、そそっかしいからなのかもって思うのだけど。
アーサー様が助けてくれて私達が近づきすぎると、父様がまだ早いってギロッと睨む。
あと一年、節度を守れって。
ドレスのサイズが合わなくなるようなことはするなって。
もちろんそんなつもりはない。
時々アーサー様のほうがこれ以上近づいてはダメだって言う。
困った顔をして離れるの。
もっと触れ合っていたいのに。
それから、ずいぶん前から伯爵家から縁談の申し込みがあったそうだけど、申し込むたび父様が断っていたらしい。
私はそんなことになっているとは知らなくて、どうなっているんだとアーサー様に詰め寄って聞き出したルーナ様と殿下が、こと細かに陛下に話したそう。
侯爵家が力を持ちすぎないように、伯爵家に嫁ぐことは悪くないよねって。
それに、私とアーサー様の恋物語を陛下がお気に召したらしい。
王妃ただ一人を大切にする陛下は、意外とロマンティックな面もおありなのかも。
私がどれだけアーサー様が好きか伝わったのかな……何だか少し恥ずかしいような、この想いが認められて嬉しいような。
侯爵には、隣の領地ですぐ会えるし、隣同士の領地で結束が強くなるだろうって。
平和な時代だからこその提案と、まわりの協力で私達は結ばれることとなった。
兄様達や母様があっさりよかったね、おめでとうって声をかけてくれて……ちょっと拗ねた様子のローガン兄様まで!
最終的に父様も私が幸せになるならいいって、隣だし近くにいるもんねって涙ぐんで祝ってくれた。
まだたくさん準備をしなくてはならないけど、本当の結婚式でも父様が泣いてしまうかもって心配になる。
でも、父様には母様がいるんだから大丈夫。
私も二人みたいにいつまでも仲のいい夫婦になりたい。
「来年……十八歳になったら」
アーサー様が私を見つめる。
十八歳の誕生日の次の日に結婚式を挙げるの。
母様より誕生日の遅い父様もそうだったって。
嬉しいことを二日連続でお祝いできるからって。
それを聞いて私達も真似をすることにした。
「楽しみですね、アーサー様」
「……あぁ」
アーサー様がほほ笑む。
格好いい。
見飽きることがないの。
いつだって、アーサー様は素敵。
指を絡めて手をつなぎなおす。
いつもの包まれるように手を重ねるのも好きだけど、なんだかもっと近づいた気持ちになる。
「アーサー様、大好きです」
一瞬ぎゅって痛いくらい握って、アーサー様がはぁ、って息を吐いてから私の耳元に唇を寄せる。
「エヴァ、好きだ」
くすぐったいし、嬉しくてたまらない。
一度『好きだ』と口に出してしまえば、難しいことじゃなかったんだって、私のいろんな表情が見れるならもっと早く言えばよかったって婚約した後アーサーが言った。
私長生きできるのかなぁ?
いつだって心臓がドキドキして苦しくなるんだから。
今だって、アーサー様のほうを向くと思いがけず近くに顔があって驚いた。
一瞬で顔が赤くなっちゃうのは仕方ないと思うの。
「……かわいい」
焦茶色の瞳がいたずらっぽく輝いて、私の頬に一瞬かすめるようなキスをする。
「……!」
「……誰も見てない」
アーサー様が私を引き寄せ、腕の中に閉じ込めた。
私の婚約者は最高に格好いい。
心臓止まりそうだけど。
一瞬見上げると赤い耳が見えたけど、私の頭をそっと胸に押しつけた。
アーサー様、顔見られたくないのかな。
きゅん。大好き。
慌てて走ってきた父様が私達を引き離すまで幸せを噛みしめた。
終
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最後までお読みいただきありがとうございました!
このあとおまけ小話が2話あります。
その先はRとなりますので、苦手な方、アーサーのイメージが崩れるのは嫌だという方はご注意ください。
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