お嫁さんを探しに来たぼくは、シロクマ獣人の隊長さんと暮らすことになりました!

能登原あめ

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3 どうしたら?

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 女の子達は驚いたように男を見て、その後はぴたりと口を閉じた。
 ぼくはウェッとなってそのまま引きずられるように歩き、彼女達に黙ったまま見送られた。

 この状態はなんだろう?
 突然のことでよくわからない。
 じいちゃんが、街には悪い奴がいるって言っていたのに、ぼくは早速悪い奴に捕まってしまったのかもしれない!

「あの! ぼく、肉屋のヤンさんのところへ行きたいんです! 離して下さい!」

 男がぴたりと止まり、ぼくの襟首を掴んだまま見つめてきた。

「俺は警備隊に所属している、ロイクだ。困っていたようだから助けたつもりだったんだが……余計なお世話だったか?」

 警備隊、ということは信じて大丈夫なのかな?
 嘘をついているようには思えない。
 顔はきりっとして力強く雄々しくみえる。
 ぼくより頭ひとつ分は大きく、がっちりしていて横幅も二人分くらいありそう。
 歳はぼくよりもかなり大人に見えた。
 
「あのっ、助けてくれてありがとうございます。ぼく、ジョゼフです」

 そういうとロイクさんが少しだけ顔を緩めた。

「そうか。これからヤンさんのところに行くなら案内しよう」
「あ、ありがとうございます!」

 本当に親切な人らしい。
 そこでやっと手を離してくれてほっとする。
 思わず喉をさすった。
 お仕事柄手荒なのかな……。
 そんなぼくの様子を見て彼が眉をひそめた。

「すまない、大丈夫か?」
「はい、平気です」
「……ジョゼフはこの街へ来たばかりなのか?」
「はい、今日着いたばかりでさっきの女の子達につかまってしまいました」
「……なるほど」

 ロイクさんが来た時微妙な空気になったのは、警備隊の人間に揉めていると思われたくなかったのかな。
 街の警備をしている男が主人公で事件をバッサバッサ解決する話を読んだことがある。
 もしかしたらあれは本当の話だったのかもしれない。
 
 二人で並んで無言のまま街の中心を通り過ぎ、肉屋の前にたどり着いた。
 だけど建物の明かりが消えていて、三日ほど店を閉めると貼り紙がある。

「え…………」

 どうしよう。
 じいちゃん、どうしたらいいんだろう。
 まさかこんなことになるなんて思わなくて不安でたまらない。

「……ジョゼフは彼ら以外に知り合いがいないのか?」

 ロイクさんに話しかけられてハッとした。
 今、一人じゃなかったんだ。

「はい、あの、どこか宿屋を知りませんか? できれば安いところがいいんですが……」

 行商人のじいちゃんに、山で採れる食材や薬草を売っていたからお金はある。
 だけど宿の値段がわからないし、すぐに使い切ってしまうかもしれない。

 ぼくって本当に何も知らないんだ。
 やっぱり山にいたほうがよかったのかな。

「……ジョゼフ、広くはないが俺の家に来るか? ソファと毛布くらいなら貸すことができる」
「本当ですか? ロイクさん、ありがとうございます! ぼく、どうしたらいいかわからなくて……すごく、すごく助かります」

 涙が出そうになって、思わず袖でゴシゴシ目元をこすった。
 
「たいしたことじゃない。それに、そんなことをしたら目が傷つくぞ」
「……大丈夫です」
「じゃあ、こっちだ」
 
 ロイクさんが背を向けた時、隣の家から男の人が顔を出した。
 ぼくはヤンさんに会いに来たと告げる。

「ヤンさん夫婦は、港町まで移民の子供達を引き取りに行ったよ。……もしかして、アンタもヤンさんのところへ来たのかい……?」
「はい……ですけど、また出直してきます。三日後に戻るんですよね?」
「ああ、多分。何か問題が出てくるとしばらく足止めを食らうけど……長くても一週間で戻るはずだよ!」
「わかりました。ありがとうございます!」

 じいちゃんが伝え忘れたのか、日付けを教え間違えたのか。
 それともヤンさん夫婦が日付けを勘違いしたのか忘れてしまったのかも。
 とにかく行き違いがあったらしい。

「家が決まるまでいてくれてもいい」
「……っ! ありがとうございます。なるべく早く決めます」

 ロイクさんのおかげで、ぼくの心は折れずにすんだ。
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