シェアハウスの住人は・・・

SMAM

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千暁と琥珀

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「もしもし?今いい?」
千暁(ちあき)「琥珀?おー久しぶり。大丈夫だよ。どうした?」
琥珀(こはく)「俺の住んでるシェアハウスに空きが出たけど、引越して来ないか?防音だし、各部屋インターホン付いてるし、ギターも弾けるぞ。千暁、家、探してなかったっけ?それとも、もう彼氏と同棲してる?」
千暁「同棲なんかしてないって。でも・・・本当にいいのか?決まってなくて、焦ってたから嬉しいけど。」
琥珀「大丈夫。大家さんに話しとくわ。また連絡するな。」

勤めて4年目。東京本社に異動となったことで、家を探していた千暁は、住む場所が決まってホッとしていた。千暁と琥珀は大学時代からの友人。いつも一緒にいて、よく飲んで、何でも話す間柄だ。・・・そして、お互いがゲイだと知っている。

~数日後~

翠(みどり)「じゃ、これが玄関と部屋の鍵ね。特に決まりごとはないけど、分からないことがあったら聞いてくれていいから。」
千暁「ありがとうございます。大家さん、今日からよろしくお願いします。」
翠「呼び方。大家さんでもいいけど、翠さんでいいよ。みんなそう呼んでるから。」
千暁「分かりました。」
翠が部屋に戻った後、入れ違いで琥珀が部屋から出てきた。
琥珀「終わったか?」
千暁「終わったよ。、ほら、鍵も貰ったし。本当に手伝い助かったよ。ありがとな。お礼に奢るよ。」
琥珀「その言葉、待ってました!今日はいないけど、あと、緋露(ひろ)っていうのがいるから。面白くていいやつだよ。明日紹介すらからな。」
千暁「楽しみにしてる。」


~居酒屋~

琥珀「結構呑んだなぁ。そういえば千暁、彼氏と最近どうなん?」
千暁「どうって?普通じゃね?付き合い長いし、遠距離だし、正直こっちに来たこともまだ言ってないしな。何なら東京にいるのは知ってるけど、住んでる場所も知らないし。」
琥珀「何年だっけ?ていうか、言わなくて大丈夫なん?」
千暁「大丈夫だろ。大学からだから、6年目かな。最近忙しくて、連絡もあんまりしてないなぁ。」
そんな話をしていたら、奥から出てきた人から声をかけられた。
「千暁?」
顔を上げると碧(そう)と同僚らしき人が立っていた。
碧「何してんの?てか、誰?」
千暁「マジか。久しぶり。大学時代の友達と呑んでるとこ。そっちは?」
碧「会社の同僚と呑んでて、帰るとこ。いつまでこっちにいる?」
千暁「あぁ・・・転勤になったから、しばらくは?」
碧「は?聞いてないけど?」
千暁「言ってないからな。驚いただろ?」
碧「それは・・・まぁかなり。」
千暁「ちなみにだけど、こいつと一緒に住んでるから。」
碧の表情が明らかに曇った。
琥珀がこのやり取りを聞いていて、喧嘩にならないか焦り始める。
琥珀「シェアハウスだろ!変なこと言うな!」
千暁が笑いを堪えている。
千暁「大丈夫だよ。本当にシェアハウスだから。会社の人待ってるし、今日は帰ったら?」
千暁が店の外を指差した。碧は仕方なくといった感じで店を後にしようとした。足を踏み出そうとした瞬間、小柄な女性が店に入ってきた。女性は当然のように碧の腕に自分の腕を絡ませた。

かよ「碧さぁん、お友達ですかぁ?紹介してくださいよぉ。」
いちいち鼻につく言い方だ。
碧「いや、まぁ・・・あ!みんな待ってるし、そろそろ合流しようか。」
歯切れが悪い。腕を組んだまま店から出て行った。
琥珀「おい!だから彼氏に言わなくていいのかって言っただろ!?大体あの女はなんなんだよ。気持ち悪い声出して!お前の彼氏も!鼻の下伸ばして嬉しそうに!・・・あっ・・・ごめん。」
琥珀が思ったことを全部言ってくれたからか、千暁は何の感情も湧いてこず、何ならその必死さに笑ってしまった。
千暁「琥珀、ありがとな。俺、お前がいて本当に幸せだわ。」
琥珀「彼氏と別れないのか?いつだか言ってた、『死ぬまでずっと好きな人』を想い続けても、罰は当たらないと思うけど・・・」
千暁「忘れられないけど、忘れたくて、あいつと付き合ってるからなぁ・・・俺も嫌なやつだよ。ある意味あいつを利用してるんだから。」

碧との出会いは大学時代。カフェバーでバイトをしていて、ナンパされたのだ。片想いの人と疎遠になり、半ば自暴自棄になってしまった。碧がバイなのも知っていたし、大人の包容力もあり、優しかったため、今まで何となく続いた関係だった。
千暁と琥珀は店を出た。千暁は夜空を見上げて呟いた。
千暁「そろそろ潮時かな。」
片想いの人への感情の埋め合わせに碧と付き合ったが、何も埋まらなかった。結局片想いの人のことが頭から離れず、碧への感情も薄れているのに付き合い続けているのだ。




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