シェアハウスの住人は・・・

SMAM

文字の大きさ
8 / 8

しおりを挟む
~作戦会議当日~

千暁と琥珀はアウトレットモールに来ていた。カフェでコーヒーを飲みながら作戦会議だ。
千暁「何でこんなに天気のいい日に琥珀とデートだよ。どうせなら宵凛と来たかった。」
琥珀「片想いを拗らせまくって告白も出来ないくせに、何がデートだよ。」
千暁「そういう琥珀はどうなんだよ。琥珀だって似たようなもんだろ?」
琥珀「俺は時期が来たら言うつもりだし。」
千暁「時期ねぇ・・・」
これはお互い時間のかかりそうな問題だったので、気を取り直して本題の翠の話に移った。

千暁「翠さんを呼び出す口実かぁ・・そもそも翠さんって謎な人なんだよなぁ。」
琥珀「それな。毎日何してるんだろ。」
千暁「気になって暫く観察してたんだけど、毎週木曜だけ朝から出かけるんだよなぁ。それ以外は家で家事とかしてるのに。」
琥珀「気になるなぁ。木曜・・・・今日じゃね?」
千暁「あ・・・・あれ?あれって翠さん?」
少し離れた位置に見覚えのある姿が見えた。
琥珀「ほんとだ。とりあえずついて行ってみるか?」
見失わないよう、見えない位置から様子を伺うことにした。
しばらく見ていると、知らない男性が翠に声をかけた。そのまま2人は移動するらしく駐車場へと向かった。
琥珀「やばっ。見失わないようにしなきゃ。千暁、行くぞ。」
千暁と琥珀も急いで車に乗り込む。
真後ろにいると不審に思われるかもしれないので、間に2台の車を挟み、ついて行くことにした。
千暁「彼氏かな?」
琥珀「決まったわけじゃないけど、大人な雰囲気漂ってたな。」

少し走ると高級そうなホテルに着いた。エスコートされる翠を、すかさず琥珀が写真におさめる。

千暁「これからどうする?」
琥珀「張り込むでしょ。」

~数時間後~

やっと2人が出てきた。どうやらここで別れるようだ。翠が相手に手を振り、見送ったことを確認して、車を翠の目の前に停めた。助手席の窓を開けて、声をかける。
千暁「どうも。」
翠の表情が固まった。
翠「・・・・どうしてここに?」
琥珀「翠さんこそ。とりあえず乗って貰えますか?」
翠は黙って後部座席に乗り込んだ。
車を走らせ、着いた先はカラオケボックスだった。
琥珀「行きましょうか。」

翠を千暁と琥珀の間に座らせて、話を聞くことにした。
琥珀が無言で写真を見せる。

千暁「彼氏さんですか?」
翠「彼氏だとしたら何?プライベートな時間だし、そっとしておいて欲しいんだけど?」
翠が珍しく苛立っている。
千暁と琥珀もプライベートなことに踏み込んでいるのは分かっているのだが、このまま引き下がるわけにもいかない。

翠の電話が鳴った。

翠「出てもいい?」
千暁「この場で出れます?」
翠はため息をついて、電話に出た。
翠「お疲れ様です。終わりました。またいつものように・・・よろしくお願いします。」
電話を切ると、琥珀が尋ねた。
琥珀「誰からです?」
翠は黙ったままだ。
千暁「ヤバいことしてませんよね?」
翠「どんなことを想像しているのか知らないけど、命の危険があるわけじゃないから。もう少ししたらもう1件電話があるから、話はそれからにして。」
翠がスマホの操作を終えると、電話が鳴った。
翠「はい。分かりました。では、また木曜に。」
電話に出る声が、いつもの温和で少し高い声ではなく、低い男性の声になる。
翠「終わったよ。それで何が聞きたい?隠しても仕方ないだろうし、この電話も気になってるんだろ。」
千暁「えぇ、そうですね。正直、隠し事なしでお願いしたいです。」
翠「ちなみにこれは本当に偶然?それとも誰かからの依頼?」
琥珀「別件で頼まれていることはありますが、もしかしたら関わってくるかもしれません。」
翠「・・・そう。」
翠「・・さっきの写真はお客様だよ。僕には親が作った借金がある。金額は安くないし、クリーンな所から借りていないから、なかなか額も減らない。それで、借りた所から紹介されたバイトをやって返してる最中ってわけ。名目はレンタル彼氏。1日お客様の相手をするから、もちろんホテルを行くし、ホテルでは、今、君達が見ている僕じゃない僕がいるのも事実だよ。それからさっきの電話だけど、1回目はバイト先からの振り込み連絡、スマホでそのまま入金して、2回目は入金したって連絡。信じられないって顔をしてるけど、事実だよ。僕は大分汚れた人間だし、借金を完済出来るまではこの生活だから、これからも誰のことも愛することは出来ないんだよ。もしかしたら死ぬまでかもしれないし、先が見えないからね。依頼内容が恋愛絡みなら、そのまま伝えて貰って構わないから。分かったら家に帰りたいんだけど。」

千暁がスマホを耳にあてた。

千暁「もしもし、聞こえた?全部知りたいって言ったよね?翠さんと話す?」
翠「誰?ていうか、繋がってたの?」
翠が怪訝そうな顔をする。千暁が無言でスマホを差し出す。

翠「もしもし?」
碧「もしもし。」
碧の声に、翠は辛く泣きそうな表情で、声を絞り出した。

翠「あなたにいちばん知られたくなかったのに・・・」
それから顔を手で覆い泣き続けた。








しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話

日向汐
BL
「好きです」 「…手離せよ」 「いやだ、」 じっと見つめてくる眼力に気圧される。 ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26) 閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、 一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨ 短期でサクッと読める完結作です♡ ぜひぜひ ゆるりとお楽しみください☻* ・───────────・ 🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧 ❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21 ・───────────・ 応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪) なにとぞ、よしなに♡ ・───────────・

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる

水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。 「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」 過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。 ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。 孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。

処理中です...