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翠
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~作戦会議当日~
千暁と琥珀はアウトレットモールに来ていた。カフェでコーヒーを飲みながら作戦会議だ。
千暁「何でこんなに天気のいい日に琥珀とデートだよ。どうせなら宵凛と来たかった。」
琥珀「片想いを拗らせまくって告白も出来ないくせに、何がデートだよ。」
千暁「そういう琥珀はどうなんだよ。琥珀だって似たようなもんだろ?」
琥珀「俺は時期が来たら言うつもりだし。」
千暁「時期ねぇ・・・」
これはお互い時間のかかりそうな問題だったので、気を取り直して本題の翠の話に移った。
千暁「翠さんを呼び出す口実かぁ・・そもそも翠さんって謎な人なんだよなぁ。」
琥珀「それな。毎日何してるんだろ。」
千暁「気になって暫く観察してたんだけど、毎週木曜だけ朝から出かけるんだよなぁ。それ以外は家で家事とかしてるのに。」
琥珀「気になるなぁ。木曜・・・・今日じゃね?」
千暁「あ・・・・あれ?あれって翠さん?」
少し離れた位置に見覚えのある姿が見えた。
琥珀「ほんとだ。とりあえずついて行ってみるか?」
見失わないよう、見えない位置から様子を伺うことにした。
しばらく見ていると、知らない男性が翠に声をかけた。そのまま2人は移動するらしく駐車場へと向かった。
琥珀「やばっ。見失わないようにしなきゃ。千暁、行くぞ。」
千暁と琥珀も急いで車に乗り込む。
真後ろにいると不審に思われるかもしれないので、間に2台の車を挟み、ついて行くことにした。
千暁「彼氏かな?」
琥珀「決まったわけじゃないけど、大人な雰囲気漂ってたな。」
少し走ると高級そうなホテルに着いた。エスコートされる翠を、すかさず琥珀が写真におさめる。
千暁「これからどうする?」
琥珀「張り込むでしょ。」
~数時間後~
やっと2人が出てきた。どうやらここで別れるようだ。翠が相手に手を振り、見送ったことを確認して、車を翠の目の前に停めた。助手席の窓を開けて、声をかける。
千暁「どうも。」
翠の表情が固まった。
翠「・・・・どうしてここに?」
琥珀「翠さんこそ。とりあえず乗って貰えますか?」
翠は黙って後部座席に乗り込んだ。
車を走らせ、着いた先はカラオケボックスだった。
琥珀「行きましょうか。」
翠を千暁と琥珀の間に座らせて、話を聞くことにした。
琥珀が無言で写真を見せる。
千暁「彼氏さんですか?」
翠「彼氏だとしたら何?プライベートな時間だし、そっとしておいて欲しいんだけど?」
翠が珍しく苛立っている。
千暁と琥珀もプライベートなことに踏み込んでいるのは分かっているのだが、このまま引き下がるわけにもいかない。
翠の電話が鳴った。
翠「出てもいい?」
千暁「この場で出れます?」
翠はため息をついて、電話に出た。
翠「お疲れ様です。終わりました。またいつものように・・・よろしくお願いします。」
電話を切ると、琥珀が尋ねた。
琥珀「誰からです?」
翠は黙ったままだ。
千暁「ヤバいことしてませんよね?」
翠「どんなことを想像しているのか知らないけど、命の危険があるわけじゃないから。もう少ししたらもう1件電話があるから、話はそれからにして。」
翠がスマホの操作を終えると、電話が鳴った。
翠「はい。分かりました。では、また木曜に。」
電話に出る声が、いつもの温和で少し高い声ではなく、低い男性の声になる。
翠「終わったよ。それで何が聞きたい?隠しても仕方ないだろうし、この電話も気になってるんだろ。」
千暁「えぇ、そうですね。正直、隠し事なしでお願いしたいです。」
翠「ちなみにこれは本当に偶然?それとも誰かからの依頼?」
琥珀「別件で頼まれていることはありますが、もしかしたら関わってくるかもしれません。」
翠「・・・そう。」
翠「・・さっきの写真はお客様だよ。僕には親が作った借金がある。金額は安くないし、クリーンな所から借りていないから、なかなか額も減らない。それで、借りた所から紹介されたバイトをやって返してる最中ってわけ。名目はレンタル彼氏。1日お客様の相手をするから、もちろんホテルを行くし、ホテルでは、今、君達が見ている僕じゃない僕がいるのも事実だよ。それからさっきの電話だけど、1回目はバイト先からの振り込み連絡、スマホでそのまま入金して、2回目は入金したって連絡。信じられないって顔をしてるけど、事実だよ。僕は大分汚れた人間だし、借金を完済出来るまではこの生活だから、これからも誰のことも愛することは出来ないんだよ。もしかしたら死ぬまでかもしれないし、先が見えないからね。依頼内容が恋愛絡みなら、そのまま伝えて貰って構わないから。分かったら家に帰りたいんだけど。」
千暁がスマホを耳にあてた。
千暁「もしもし、聞こえた?全部知りたいって言ったよね?翠さんと話す?」
翠「誰?ていうか、繋がってたの?」
翠が怪訝そうな顔をする。千暁が無言でスマホを差し出す。
翠「もしもし?」
碧「もしもし。」
碧の声に、翠は辛く泣きそうな表情で、声を絞り出した。
翠「あなたにいちばん知られたくなかったのに・・・」
それから顔を手で覆い泣き続けた。
千暁と琥珀はアウトレットモールに来ていた。カフェでコーヒーを飲みながら作戦会議だ。
千暁「何でこんなに天気のいい日に琥珀とデートだよ。どうせなら宵凛と来たかった。」
琥珀「片想いを拗らせまくって告白も出来ないくせに、何がデートだよ。」
千暁「そういう琥珀はどうなんだよ。琥珀だって似たようなもんだろ?」
琥珀「俺は時期が来たら言うつもりだし。」
千暁「時期ねぇ・・・」
これはお互い時間のかかりそうな問題だったので、気を取り直して本題の翠の話に移った。
千暁「翠さんを呼び出す口実かぁ・・そもそも翠さんって謎な人なんだよなぁ。」
琥珀「それな。毎日何してるんだろ。」
千暁「気になって暫く観察してたんだけど、毎週木曜だけ朝から出かけるんだよなぁ。それ以外は家で家事とかしてるのに。」
琥珀「気になるなぁ。木曜・・・・今日じゃね?」
千暁「あ・・・・あれ?あれって翠さん?」
少し離れた位置に見覚えのある姿が見えた。
琥珀「ほんとだ。とりあえずついて行ってみるか?」
見失わないよう、見えない位置から様子を伺うことにした。
しばらく見ていると、知らない男性が翠に声をかけた。そのまま2人は移動するらしく駐車場へと向かった。
琥珀「やばっ。見失わないようにしなきゃ。千暁、行くぞ。」
千暁と琥珀も急いで車に乗り込む。
真後ろにいると不審に思われるかもしれないので、間に2台の車を挟み、ついて行くことにした。
千暁「彼氏かな?」
琥珀「決まったわけじゃないけど、大人な雰囲気漂ってたな。」
少し走ると高級そうなホテルに着いた。エスコートされる翠を、すかさず琥珀が写真におさめる。
千暁「これからどうする?」
琥珀「張り込むでしょ。」
~数時間後~
やっと2人が出てきた。どうやらここで別れるようだ。翠が相手に手を振り、見送ったことを確認して、車を翠の目の前に停めた。助手席の窓を開けて、声をかける。
千暁「どうも。」
翠の表情が固まった。
翠「・・・・どうしてここに?」
琥珀「翠さんこそ。とりあえず乗って貰えますか?」
翠は黙って後部座席に乗り込んだ。
車を走らせ、着いた先はカラオケボックスだった。
琥珀「行きましょうか。」
翠を千暁と琥珀の間に座らせて、話を聞くことにした。
琥珀が無言で写真を見せる。
千暁「彼氏さんですか?」
翠「彼氏だとしたら何?プライベートな時間だし、そっとしておいて欲しいんだけど?」
翠が珍しく苛立っている。
千暁と琥珀もプライベートなことに踏み込んでいるのは分かっているのだが、このまま引き下がるわけにもいかない。
翠の電話が鳴った。
翠「出てもいい?」
千暁「この場で出れます?」
翠はため息をついて、電話に出た。
翠「お疲れ様です。終わりました。またいつものように・・・よろしくお願いします。」
電話を切ると、琥珀が尋ねた。
琥珀「誰からです?」
翠は黙ったままだ。
千暁「ヤバいことしてませんよね?」
翠「どんなことを想像しているのか知らないけど、命の危険があるわけじゃないから。もう少ししたらもう1件電話があるから、話はそれからにして。」
翠がスマホの操作を終えると、電話が鳴った。
翠「はい。分かりました。では、また木曜に。」
電話に出る声が、いつもの温和で少し高い声ではなく、低い男性の声になる。
翠「終わったよ。それで何が聞きたい?隠しても仕方ないだろうし、この電話も気になってるんだろ。」
千暁「えぇ、そうですね。正直、隠し事なしでお願いしたいです。」
翠「ちなみにこれは本当に偶然?それとも誰かからの依頼?」
琥珀「別件で頼まれていることはありますが、もしかしたら関わってくるかもしれません。」
翠「・・・そう。」
翠「・・さっきの写真はお客様だよ。僕には親が作った借金がある。金額は安くないし、クリーンな所から借りていないから、なかなか額も減らない。それで、借りた所から紹介されたバイトをやって返してる最中ってわけ。名目はレンタル彼氏。1日お客様の相手をするから、もちろんホテルを行くし、ホテルでは、今、君達が見ている僕じゃない僕がいるのも事実だよ。それからさっきの電話だけど、1回目はバイト先からの振り込み連絡、スマホでそのまま入金して、2回目は入金したって連絡。信じられないって顔をしてるけど、事実だよ。僕は大分汚れた人間だし、借金を完済出来るまではこの生活だから、これからも誰のことも愛することは出来ないんだよ。もしかしたら死ぬまでかもしれないし、先が見えないからね。依頼内容が恋愛絡みなら、そのまま伝えて貰って構わないから。分かったら家に帰りたいんだけど。」
千暁がスマホを耳にあてた。
千暁「もしもし、聞こえた?全部知りたいって言ったよね?翠さんと話す?」
翠「誰?ていうか、繋がってたの?」
翠が怪訝そうな顔をする。千暁が無言でスマホを差し出す。
翠「もしもし?」
碧「もしもし。」
碧の声に、翠は辛く泣きそうな表情で、声を絞り出した。
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それから顔を手で覆い泣き続けた。
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