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千暁と宵凛
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~その日の夜~
千暁は近所の公園のベンチに座っていた。
今にも雨が降り出しそうだった。
暫く吸っていなかったタバコに火をつけてスマホに目をやったが、誰からも連絡は来ていなかった。この辺りは住宅街なので、夜になるととても静かで、人通りも少ない。ぼーっとしていると、誰かが公園内に入ってきた。
気にせず下を向いてスマホを見ていると、目の前で足音が止まった。
「ただいま。」
顔を上げると、宵凛がいた。
千暁「えぇと・・・おかえり。帰るの明日じゃなかった?」
宵凛「1日早く帰れたんだ。」
千暁「そうなんだ。でもよく俺がここにいるの分かったね?」
宵凛「さっきタクシーで通ったから。」
宵凛が隣に座る。
宵凛「タバコ吸うんだ?」
千暁は最後にひと吸いし、火を消した。
千暁「久しぶりに吸ったよ。そういう気分でさ。でも臭いよな。ごめん。」
そういう気分・・・無性に寂しくなったとは言えなかった。千暁と宵凛の間に友達以上の関係性はない。寂しかったと口にするのも、抱き締めるのも違うことは分かっている。今の関係を壊すことが怖い。千暁は遠くを見つめることしかできなかった。目頭が熱い。零れ落ちそうになる涙を堪えていたら、雨が降り出した。
宵凛「帰ろうか。」
宵凛は立ち上がった。雨が顔に当たり、零れ落ちた涙を流してくれる。宵凛に気付かれなくて良かった。
千暁「帰ろう。」
2人は足早に帰宅した。
~翌朝~
千暁は目が覚めたが、体が重かった。きっと熱があるのだろう。悪寒もする。職場に連絡を入れ、病院に向かうため部屋を出た。
翠「おはよう。千暁君、お出かけ?」
リビングの掃除をしながら、翠が声をかけた。
千暁「風邪をひいたみたいなんで、病院に行ってきます。」
翠「大丈夫?1人で行ける?」
千暁「大丈夫です。行ってきます。」
こういう声かけが、1人ではないのだと嬉しくなる。
千暁が若干ふらつきながら歩いていると、碧が車で通りがかった。
碧「千暁、大丈夫か?」
千暁「大丈夫。ちょっと病院に行こうと思って。」
碧「付き添うから。乗って。」
碧はそう言うと、千暁を助手席に乗せた。
翠から千暁の話を聞いた宵凛が追いかけたが、ちょうど千暁を乗せた車が走り出したところだった。宵凛はその場で見ていることしか出来なかった・・・その様子を緋露も見ていた。
千暁は診察を終え、点滴をして貰っていた。その間に、碧が翠に状況説明の電話をかけた。
碧「もしもし?千暁にたまたま会って、しんどそうだったから、一緒に病院に来てる。点滴が終わったら送るから。」
翠「そうだったのね。ゆっくりでいいから、よろしくね。」
電話を切って、その場にいた宵凛と緋露に説明をする。
翠「碧から電話があって、たまたま千暁君と会ったから病院に付き添ってるって。点滴が終わったら送ってくれるから、心配いらないって。」
緋露「なぁんだ、碧さんかぁ。宵凛が誘拐かもって言うから焦ったじゃん。」
宵凛「碧さんって緋露も知ってる人?」
緋露「あぁ。千暁の元彼だからな。」
翠「碧は元彼だけど、もうかなり前に千暁君とは別れてるし、この前も千暁君と琥珀君と呑んでるくらい仲いい友達だからね。」
翠は表情の曇った宵凛が納得出来るように、なるべく丁寧に説明をした。
千暁が目を覚ますと、自分の部屋のベッドの上だった。何があったのか、いまいち思い出せない。確か病院に行こうとして、碧に会って・・・・
宵凛「起きたか?」
千暁「ん・・・どうしてここに?」
宵凛「翠さんが付いててやれって。熱が高かったから何かあった時危ないからって。」
千暁「ありがと・・・迷惑かけてごめん。」
宵凛「気にするなって。今夕方5時だよ。よく寝てたけど、体調どうだ?」
千暁「まだ少し頭が痛いけど、大分楽になったよ。」
宵凛「良かった。翠さんな起きたって言ってくるから、ゆっくりしとけよ。」
そう言って宵凛が部屋から出て、代わりに翠が入ってきた。
翠「まだ頭痛があるんだって?お粥作ったけど、食べられそう?薬の前に何か食べた方がいいかなと思うんだけど。」
千暁「もちろん食べます。」
宵凛がお粥を持ってきてくれた。
千暁「翠さん、ありがとうございます。いただきます。」
お粥を食べて、薬を飲み、また眠りについた。
翌朝千暁は元気になり、出社することが出来た。千暁は碧にお礼のメッセージを送った。
『昨日はありがとう。近いうちにお礼がしたいんだけど、思いついたら教えて』
しばらくして、碧から返信が来た。
『翠と出かける口実が欲しい』
それを見て、琥珀に電話をした。
千暁「もしもし琥珀?碧にお礼のメッセージ送ったら、お礼は翠さんとのデートの口実が欲しいんだって。俺1人じゃ考えられないから、一緒に考えてくれない?」
琥珀「いいよ。来週なら空いてる。」
作戦会議は来週となった。
千暁は近所の公園のベンチに座っていた。
今にも雨が降り出しそうだった。
暫く吸っていなかったタバコに火をつけてスマホに目をやったが、誰からも連絡は来ていなかった。この辺りは住宅街なので、夜になるととても静かで、人通りも少ない。ぼーっとしていると、誰かが公園内に入ってきた。
気にせず下を向いてスマホを見ていると、目の前で足音が止まった。
「ただいま。」
顔を上げると、宵凛がいた。
千暁「えぇと・・・おかえり。帰るの明日じゃなかった?」
宵凛「1日早く帰れたんだ。」
千暁「そうなんだ。でもよく俺がここにいるの分かったね?」
宵凛「さっきタクシーで通ったから。」
宵凛が隣に座る。
宵凛「タバコ吸うんだ?」
千暁は最後にひと吸いし、火を消した。
千暁「久しぶりに吸ったよ。そういう気分でさ。でも臭いよな。ごめん。」
そういう気分・・・無性に寂しくなったとは言えなかった。千暁と宵凛の間に友達以上の関係性はない。寂しかったと口にするのも、抱き締めるのも違うことは分かっている。今の関係を壊すことが怖い。千暁は遠くを見つめることしかできなかった。目頭が熱い。零れ落ちそうになる涙を堪えていたら、雨が降り出した。
宵凛「帰ろうか。」
宵凛は立ち上がった。雨が顔に当たり、零れ落ちた涙を流してくれる。宵凛に気付かれなくて良かった。
千暁「帰ろう。」
2人は足早に帰宅した。
~翌朝~
千暁は目が覚めたが、体が重かった。きっと熱があるのだろう。悪寒もする。職場に連絡を入れ、病院に向かうため部屋を出た。
翠「おはよう。千暁君、お出かけ?」
リビングの掃除をしながら、翠が声をかけた。
千暁「風邪をひいたみたいなんで、病院に行ってきます。」
翠「大丈夫?1人で行ける?」
千暁「大丈夫です。行ってきます。」
こういう声かけが、1人ではないのだと嬉しくなる。
千暁が若干ふらつきながら歩いていると、碧が車で通りがかった。
碧「千暁、大丈夫か?」
千暁「大丈夫。ちょっと病院に行こうと思って。」
碧「付き添うから。乗って。」
碧はそう言うと、千暁を助手席に乗せた。
翠から千暁の話を聞いた宵凛が追いかけたが、ちょうど千暁を乗せた車が走り出したところだった。宵凛はその場で見ていることしか出来なかった・・・その様子を緋露も見ていた。
千暁は診察を終え、点滴をして貰っていた。その間に、碧が翠に状況説明の電話をかけた。
碧「もしもし?千暁にたまたま会って、しんどそうだったから、一緒に病院に来てる。点滴が終わったら送るから。」
翠「そうだったのね。ゆっくりでいいから、よろしくね。」
電話を切って、その場にいた宵凛と緋露に説明をする。
翠「碧から電話があって、たまたま千暁君と会ったから病院に付き添ってるって。点滴が終わったら送ってくれるから、心配いらないって。」
緋露「なぁんだ、碧さんかぁ。宵凛が誘拐かもって言うから焦ったじゃん。」
宵凛「碧さんって緋露も知ってる人?」
緋露「あぁ。千暁の元彼だからな。」
翠「碧は元彼だけど、もうかなり前に千暁君とは別れてるし、この前も千暁君と琥珀君と呑んでるくらい仲いい友達だからね。」
翠は表情の曇った宵凛が納得出来るように、なるべく丁寧に説明をした。
千暁が目を覚ますと、自分の部屋のベッドの上だった。何があったのか、いまいち思い出せない。確か病院に行こうとして、碧に会って・・・・
宵凛「起きたか?」
千暁「ん・・・どうしてここに?」
宵凛「翠さんが付いててやれって。熱が高かったから何かあった時危ないからって。」
千暁「ありがと・・・迷惑かけてごめん。」
宵凛「気にするなって。今夕方5時だよ。よく寝てたけど、体調どうだ?」
千暁「まだ少し頭が痛いけど、大分楽になったよ。」
宵凛「良かった。翠さんな起きたって言ってくるから、ゆっくりしとけよ。」
そう言って宵凛が部屋から出て、代わりに翠が入ってきた。
翠「まだ頭痛があるんだって?お粥作ったけど、食べられそう?薬の前に何か食べた方がいいかなと思うんだけど。」
千暁「もちろん食べます。」
宵凛がお粥を持ってきてくれた。
千暁「翠さん、ありがとうございます。いただきます。」
お粥を食べて、薬を飲み、また眠りについた。
翌朝千暁は元気になり、出社することが出来た。千暁は碧にお礼のメッセージを送った。
『昨日はありがとう。近いうちにお礼がしたいんだけど、思いついたら教えて』
しばらくして、碧から返信が来た。
『翠と出かける口実が欲しい』
それを見て、琥珀に電話をした。
千暁「もしもし琥珀?碧にお礼のメッセージ送ったら、お礼は翠さんとのデートの口実が欲しいんだって。俺1人じゃ考えられないから、一緒に考えてくれない?」
琥珀「いいよ。来週なら空いてる。」
作戦会議は来週となった。
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