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碧の片想い
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歓迎会以降千暁と宵凛は会えていない。宵凛の撮影で地方に滞在中だ。
何となく気まずいので、連絡も取れない日々が続いている。
モデルの仕事は煌びやかで、綺麗な女性や素敵な男性も多いだろう。もしかしたら言い寄られて・・・ということもあるかもしれない。再会前なら考えもしなかった悪い妄想しか膨らまない。
琥珀「浮かない顔して、どうした?・・・あぁ、宵凛がいないからか、分かりやすすぎるって何回言わせるんだよ。連絡取ってるのか?」
千暁「いや、それが出来ないから困ってるんだって。」
琥珀「意識しすぎだって。男友達から連絡来るとか普通じゃん。」
琥珀「まぁ、気持ちは分からなくもないよ。好きで仕方なくて、伝えて関係が壊れるくらいならって離れたんだろ?それなのに再会しちゃうんだもんな・・・俺も好きな人と距離考える時あるし。」
千暁「恋愛って難しいよなぁ。」
琥珀「呑みに行くか?気が晴れるかもだぞ?」
千暁「ありがとう。行きたい。」
千暁と琥珀はよく行く近所の居酒屋に向かった。
琥珀「とりあえず呑もう!酒の力は偉大だから。」
千暁「そうだな。」
千暁の表情が少し緩んだ。しばらく呑んでいると、宵凛からメッセージが来た。
『明後日戻ります』
この短いメッセージも嬉しすぎて、顔がニヤけてしまう。
千暁「ちょっと!琥珀!明後日帰ってくるって!」
琥珀「良かったじゃん。それなら今日は美味しい酒でも呑もう。」
2人がほろ酔いになった頃、声をかけられた。
「久しぶり。」
千暁「あ・・・・」
碧が立っていた。本当に久々の再会だった。
千暁「久しぶり。1人?」
碧「1人だよ。ちょっと2人とも少し話せる?」
千暁と琥珀は顔を見合わせた。琥珀にもとは一体どうしたのだろう。
琥珀「碧さん、何かありました?」
琥珀が切り出した。碧は注文したビールを一気に呑み干した。
碧「相談があって・・・実は・・・好きな人がいるんだ。」
千暁「良かったじゃん。例の女の子?」
碧「違う。あの子とはあれっきりだから。あれから俺、恋人も、そんな関係の人もいないから。」
千暁「本気なんだ。いつから好きなの?」
碧「気付いたのは、半年くらい前かな。それより前から連絡は取り合ってたけど。」
千暁「てか、気にしないからいいけど、元彼に恋愛相談されてる、この状況って。」
思わず千暁は笑ってしまった。
碧「あっ・・・ごめん・・・そうだよな。普通しないよな・・・でも相談出来る人がいなくて、思わず声をかけてしまって・・・」
千暁は見たことがない碧の姿に、本気を感じて嬉しくなった。
琥珀「千暁が大丈夫なら、俺は全然話を聞きますけど、俺、相手が女性ならアドバイスは難しいかもしれません。」
碧「もしかして、琥珀君って・・」
琥珀「恋愛対象は男性です。俺も好きな人いますよ。」
千暁「それで、今回碧はどっちなの?」
碧「男性だよ。中性的で、掴みどころがない感じ。」
琥珀「俺ら知ってる人ですか?」
碧は黙ってしまった。その様子で、千暁と琥珀は誰だか分かってしまった。
千暁「一応確認だけど・・・」
碧「それで合ってるよ。翠だよ。」
碧は照れて、耳まで赤くなっている。
千暁「どこに惚れたん?」
碧「あの雰囲気かな。綺麗だなと。ただ、翠の気持ちは分からないし、この関係を壊すのも怖いし・・」
千暁「その気持ちは分かるよ。」
琥珀「俺も言えないから分かります。」
みんな黙ってしまった。
碧「変な話をしてごめん。今日は俺が奢るから、もう忘れて呑もう!」
3人は他愛もない話をしながら、たくさん呑んだ。
~翌朝~
千暁の部屋のインターホンを琥珀が押した。
琥珀「翠さんに二日酔いって言ったら、しじみの味噌汁作ってくれたけど、いるか?」
千暁「欲しい。」
味噌汁を飲みながら、ふと碧のことが気になり、千暁は碧にメッセージを送った。
『二日酔いか?』
すぐに返信が来た。
『頭痛い』
それを読んで、翠に声をかける。
千暁「翠さん、味噌汁ってまだあります?」
翠「あるよ。おかわりする?」
千暁「実は昨日碧とばったり会って呑んだんですけど、碧も二日酔いって連絡があって、良かったら、呼んでいいですか?」
翠「もちろん。熱々にしとくね。」
千暁がメッセージを送ると、すぐ向かうと返信があった。
少しして玄関のインターホンが鳴った。
碧「ごめんな、急に来て。」
翠「気にしないで。でも3人で呑むなんて珍しいね?何かあった?」
碧「たまたまだよ。これ、コンビニスイーツ。みんなで食べて。」
翠「ありがとう。すぐ入れるから座って。」
仲睦まじい2人を見て、千暁と琥珀はそれぞれの片想い相手に会いたくなった。
何となく気まずいので、連絡も取れない日々が続いている。
モデルの仕事は煌びやかで、綺麗な女性や素敵な男性も多いだろう。もしかしたら言い寄られて・・・ということもあるかもしれない。再会前なら考えもしなかった悪い妄想しか膨らまない。
琥珀「浮かない顔して、どうした?・・・あぁ、宵凛がいないからか、分かりやすすぎるって何回言わせるんだよ。連絡取ってるのか?」
千暁「いや、それが出来ないから困ってるんだって。」
琥珀「意識しすぎだって。男友達から連絡来るとか普通じゃん。」
琥珀「まぁ、気持ちは分からなくもないよ。好きで仕方なくて、伝えて関係が壊れるくらいならって離れたんだろ?それなのに再会しちゃうんだもんな・・・俺も好きな人と距離考える時あるし。」
千暁「恋愛って難しいよなぁ。」
琥珀「呑みに行くか?気が晴れるかもだぞ?」
千暁「ありがとう。行きたい。」
千暁と琥珀はよく行く近所の居酒屋に向かった。
琥珀「とりあえず呑もう!酒の力は偉大だから。」
千暁「そうだな。」
千暁の表情が少し緩んだ。しばらく呑んでいると、宵凛からメッセージが来た。
『明後日戻ります』
この短いメッセージも嬉しすぎて、顔がニヤけてしまう。
千暁「ちょっと!琥珀!明後日帰ってくるって!」
琥珀「良かったじゃん。それなら今日は美味しい酒でも呑もう。」
2人がほろ酔いになった頃、声をかけられた。
「久しぶり。」
千暁「あ・・・・」
碧が立っていた。本当に久々の再会だった。
千暁「久しぶり。1人?」
碧「1人だよ。ちょっと2人とも少し話せる?」
千暁と琥珀は顔を見合わせた。琥珀にもとは一体どうしたのだろう。
琥珀「碧さん、何かありました?」
琥珀が切り出した。碧は注文したビールを一気に呑み干した。
碧「相談があって・・・実は・・・好きな人がいるんだ。」
千暁「良かったじゃん。例の女の子?」
碧「違う。あの子とはあれっきりだから。あれから俺、恋人も、そんな関係の人もいないから。」
千暁「本気なんだ。いつから好きなの?」
碧「気付いたのは、半年くらい前かな。それより前から連絡は取り合ってたけど。」
千暁「てか、気にしないからいいけど、元彼に恋愛相談されてる、この状況って。」
思わず千暁は笑ってしまった。
碧「あっ・・・ごめん・・・そうだよな。普通しないよな・・・でも相談出来る人がいなくて、思わず声をかけてしまって・・・」
千暁は見たことがない碧の姿に、本気を感じて嬉しくなった。
琥珀「千暁が大丈夫なら、俺は全然話を聞きますけど、俺、相手が女性ならアドバイスは難しいかもしれません。」
碧「もしかして、琥珀君って・・」
琥珀「恋愛対象は男性です。俺も好きな人いますよ。」
千暁「それで、今回碧はどっちなの?」
碧「男性だよ。中性的で、掴みどころがない感じ。」
琥珀「俺ら知ってる人ですか?」
碧は黙ってしまった。その様子で、千暁と琥珀は誰だか分かってしまった。
千暁「一応確認だけど・・・」
碧「それで合ってるよ。翠だよ。」
碧は照れて、耳まで赤くなっている。
千暁「どこに惚れたん?」
碧「あの雰囲気かな。綺麗だなと。ただ、翠の気持ちは分からないし、この関係を壊すのも怖いし・・」
千暁「その気持ちは分かるよ。」
琥珀「俺も言えないから分かります。」
みんな黙ってしまった。
碧「変な話をしてごめん。今日は俺が奢るから、もう忘れて呑もう!」
3人は他愛もない話をしながら、たくさん呑んだ。
~翌朝~
千暁の部屋のインターホンを琥珀が押した。
琥珀「翠さんに二日酔いって言ったら、しじみの味噌汁作ってくれたけど、いるか?」
千暁「欲しい。」
味噌汁を飲みながら、ふと碧のことが気になり、千暁は碧にメッセージを送った。
『二日酔いか?』
すぐに返信が来た。
『頭痛い』
それを読んで、翠に声をかける。
千暁「翠さん、味噌汁ってまだあります?」
翠「あるよ。おかわりする?」
千暁「実は昨日碧とばったり会って呑んだんですけど、碧も二日酔いって連絡があって、良かったら、呼んでいいですか?」
翠「もちろん。熱々にしとくね。」
千暁がメッセージを送ると、すぐ向かうと返信があった。
少しして玄関のインターホンが鳴った。
碧「ごめんな、急に来て。」
翠「気にしないで。でも3人で呑むなんて珍しいね?何かあった?」
碧「たまたまだよ。これ、コンビニスイーツ。みんなで食べて。」
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