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第2話 あと、9か月
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いつも明るくて、前向きな旦那様から、どちらかと言えば、いろいろと考えこんでしまう事の多い私には、嬉しい驚きを沢山いただきました。
いつも、この決断で良かったのか、もっと違う方法を取っていれば、多くの人の助けになったのではないだろうか、と、私が様々なことを思っていると、
「大丈夫、もっと自信を持って、全員が満足出来ることなんて滅多にないんだから、ね、それに、もし誰かがルナシーの事を悪く言う奴がいたら、俺がそいつと勝負するし、誰が何を言っても俺はルナシーの味方だから、安心して」
と、子供の様ににっこりと笑うと、つられて私も笑ってしまい、
「やっぱり、ルナシーは笑ってる顔が一番いいよ、ずっと、そのままで俺の側にいてね、キレイなルナシーはみんな知ってるだろうけど、こんな可愛いルナシーは俺だけのものだから。」
そう言って、ギュッと抱き締められると、この腕の中は安心していいのだと、旦那様の匂いに包まれて幸せだったのに。
少しづつ、ずれて動き始めた歯車が元に戻ることはないのだと、この時の私はまだ知らなかったのです。
悪気は無くても、少々配慮に欠ける言動はあったのですが、私が妊娠したこともあり、初めての子供に過保護になっているのだろうと、まわりの者もみな、この頃はまだ旦那様の事を好意的に見ておりました。
ですが、使用人に対して、声を荒げて怒鳴る、無茶な要求を突きつけることも多くなり、いよいよ歯車は、ずれたまま動きを続けるのです。
私が、悪阻で動くことも出来ず、ろくに食事も取れなかった頃、ますます旦那様は、険しくなっていきます。
少し体を動かすと、吐き気が込み上げてくるのですが、
「一日、疲れて帰ってきて、隣でずっと青い顔して口を押えてられたら、食欲なんか無くなるわ! 少しぐらい我慢出来ないのか? 」
そんな無茶ぶりをさせるなら、ベッドに寝かせておいてくれればいいのに、そう思っても、口を開くと吐き気がこみあげてきそうで、何も言えません。
メイドの一人が、あまりの態度に私を可哀そうに思ったのでしょう、旦那様に反論いたします。
「若旦那様、奥様は今、安静になさらなければいけない時期で、本来ならベッドから起き上がることさえ、大変なのですよ、それを、若旦那様が一緒に食事をされたいと、仰せになるから、かなりご無理をしてらっしゃるのがわからないのですか? 」
その言葉を聞くなり、ガタンと大きな音を立てて、立ちあがり、
「召使いのクセに、不愉快な奴だな、悪阻なんか病気じゃないんだ、具合が悪くなるのは甘えてるからなんだろう? 気分が悪い、お前達がそうやって甘やかすから、こいつがつけあがるんだ! 」
旦那様の乱暴な態度で食器類が、ガチャガチャと音を立て、床に散らばり、そのまま、踏み付けるようにして屋敷を出て行き、朝になっても戻ってはきませんでした。
私は抱えられるようにして、ベッドまで戻り、そのまま倒れこむようにして横になり、誰もいなくなると、涙があとからあとから溢れてきて、止まりません。
今の私にあのような暴言は、誰が見てもやりすぎでしょう。
私が妊娠をする少し前から、旦那様は不機嫌なことが多くなっていたのですが、私のために慣れないお仕事を頑張っていらっしゃるのかと思うと、あまり、きつく言うことも出来ずに、いずれ、落ち着けばまた、以前の旦那様に戻っていただけると思っていたのです。
妊娠のため、私がろくに動くことも出来なくなってしまったのが、タイミング悪すぎました。
いつも、この決断で良かったのか、もっと違う方法を取っていれば、多くの人の助けになったのではないだろうか、と、私が様々なことを思っていると、
「大丈夫、もっと自信を持って、全員が満足出来ることなんて滅多にないんだから、ね、それに、もし誰かがルナシーの事を悪く言う奴がいたら、俺がそいつと勝負するし、誰が何を言っても俺はルナシーの味方だから、安心して」
と、子供の様ににっこりと笑うと、つられて私も笑ってしまい、
「やっぱり、ルナシーは笑ってる顔が一番いいよ、ずっと、そのままで俺の側にいてね、キレイなルナシーはみんな知ってるだろうけど、こんな可愛いルナシーは俺だけのものだから。」
そう言って、ギュッと抱き締められると、この腕の中は安心していいのだと、旦那様の匂いに包まれて幸せだったのに。
少しづつ、ずれて動き始めた歯車が元に戻ることはないのだと、この時の私はまだ知らなかったのです。
悪気は無くても、少々配慮に欠ける言動はあったのですが、私が妊娠したこともあり、初めての子供に過保護になっているのだろうと、まわりの者もみな、この頃はまだ旦那様の事を好意的に見ておりました。
ですが、使用人に対して、声を荒げて怒鳴る、無茶な要求を突きつけることも多くなり、いよいよ歯車は、ずれたまま動きを続けるのです。
私が、悪阻で動くことも出来ず、ろくに食事も取れなかった頃、ますます旦那様は、険しくなっていきます。
少し体を動かすと、吐き気が込み上げてくるのですが、
「一日、疲れて帰ってきて、隣でずっと青い顔して口を押えてられたら、食欲なんか無くなるわ! 少しぐらい我慢出来ないのか? 」
そんな無茶ぶりをさせるなら、ベッドに寝かせておいてくれればいいのに、そう思っても、口を開くと吐き気がこみあげてきそうで、何も言えません。
メイドの一人が、あまりの態度に私を可哀そうに思ったのでしょう、旦那様に反論いたします。
「若旦那様、奥様は今、安静になさらなければいけない時期で、本来ならベッドから起き上がることさえ、大変なのですよ、それを、若旦那様が一緒に食事をされたいと、仰せになるから、かなりご無理をしてらっしゃるのがわからないのですか? 」
その言葉を聞くなり、ガタンと大きな音を立てて、立ちあがり、
「召使いのクセに、不愉快な奴だな、悪阻なんか病気じゃないんだ、具合が悪くなるのは甘えてるからなんだろう? 気分が悪い、お前達がそうやって甘やかすから、こいつがつけあがるんだ! 」
旦那様の乱暴な態度で食器類が、ガチャガチャと音を立て、床に散らばり、そのまま、踏み付けるようにして屋敷を出て行き、朝になっても戻ってはきませんでした。
私は抱えられるようにして、ベッドまで戻り、そのまま倒れこむようにして横になり、誰もいなくなると、涙があとからあとから溢れてきて、止まりません。
今の私にあのような暴言は、誰が見てもやりすぎでしょう。
私が妊娠をする少し前から、旦那様は不機嫌なことが多くなっていたのですが、私のために慣れないお仕事を頑張っていらっしゃるのかと思うと、あまり、きつく言うことも出来ずに、いずれ、落ち着けばまた、以前の旦那様に戻っていただけると思っていたのです。
妊娠のため、私がろくに動くことも出来なくなってしまったのが、タイミング悪すぎました。
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