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江戸のあるお話
♡暴かれた本音(R15)♡
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「な、んで……っ」
わからない。出ていったんじゃなかったの?
「意地張って、大嘘ついてる女をひとりにしとけるか」
「う、嘘なんか……っ!」
「じゃ、なんで泣いてんだ。女房になるのはお断りだって突っぱねときながら、俺が出てってすぐに何つったよ?」
(──聞かれて、た?)
そう思い至った途端、すっと血の気が引いた。
違う、と言葉にしたいのに出来なくて、身体をすくませてうつむくと、そっと引き寄せられた。
「ったく……。最初に押し倒した時からわかりやす過ぎんの。お前は」
くくっ、と喉の奥で笑ったあいつの手が、頭を優しく撫でてきて。
「どうせ、俺のそばにいたら足でまといになるだの迷惑かけるだの思ってたんだろ」
そこまで見透かされてたなんて───。
ますますいたたまれなくなって下を向く頬に手をかけられて、上向かされる。
「心配すんな。俺は絶対死なねぇから」
何で、そんなこと言い切れるの?
共に過ごす夜を重ねるたびに、あんたの腕や背中に小さな切り傷が増えていたのは、私を苦しめてた輩を斬るためだったんでしょう?
「そんな顔すんな」
やつがまた、私を強く抱き込んだ。
「もう、つべこべ言わず俺の女房に収まってりゃいいんだよ。──それとも何か?」
優しかった声音が低くなって、
「お前、郷に帰ったら俺なんか忘れて他の男と懇ろになるつもりじゃ」
「馬鹿なこと言わないでよ! そんなつもりなんか」
かっとなって遮ると、あいつが一気に顔をほころばせた。
「な、何よその顔」
「いや、だってさ。もう俺以外の男は必要ないってことだろ?」
再度問われて、今度は頭に一気に血が上る。
(言わされた──!!)
そう気づいた時には、後の祭り。
「ほら。お前さん素直過ぎるんだから。変な野郎に騙されないためにも、俺のそばにいなきゃ駄目なの。ん?」
こめかみに唇を寄せたやつの諭すような声に身体が勝手に震えて。
「俺以外の男に、こうされたいか?」
ぐっと押しつけられた腰にやつの劣情を感じて、下半身が甘く疼く。
思い知る。
もう、無理なんだって。
こいつのいない夜を越えて朝を迎えるなんて。
そして。
こいつ以外の男に身はおろか心を委ねるなんて。
絶対に──。
突き上げられるようにやつの首に手を回して、
「あんた以外の男なんか……いらない」
耳元でささやいて初めて私から唇を奪う。
一瞬驚いた素振りを見せたあいつの舌がするり、と入り込んできて。
いつものように絡まれているのに
いつも以上に息が上がる。
帯が解かれる音も変わらないのに
それだけでやつを受け入れる箇所がじゅんとなって。
どうしたんだろう、私。
何か、変だ。
唇を離し、帯を剥ぎ取って投げ捨てたあいつがにやりと笑う。
やっぱり、気づかれてる。
いつもと違う私を。
「もう、加減なんかしねぇから。覚悟しな」
そう言ってのしかかってきたやつが、私の首筋に唇を寄せて襟から手を差し入れてきた──。
わからない。出ていったんじゃなかったの?
「意地張って、大嘘ついてる女をひとりにしとけるか」
「う、嘘なんか……っ!」
「じゃ、なんで泣いてんだ。女房になるのはお断りだって突っぱねときながら、俺が出てってすぐに何つったよ?」
(──聞かれて、た?)
そう思い至った途端、すっと血の気が引いた。
違う、と言葉にしたいのに出来なくて、身体をすくませてうつむくと、そっと引き寄せられた。
「ったく……。最初に押し倒した時からわかりやす過ぎんの。お前は」
くくっ、と喉の奥で笑ったあいつの手が、頭を優しく撫でてきて。
「どうせ、俺のそばにいたら足でまといになるだの迷惑かけるだの思ってたんだろ」
そこまで見透かされてたなんて───。
ますますいたたまれなくなって下を向く頬に手をかけられて、上向かされる。
「心配すんな。俺は絶対死なねぇから」
何で、そんなこと言い切れるの?
共に過ごす夜を重ねるたびに、あんたの腕や背中に小さな切り傷が増えていたのは、私を苦しめてた輩を斬るためだったんでしょう?
「そんな顔すんな」
やつがまた、私を強く抱き込んだ。
「もう、つべこべ言わず俺の女房に収まってりゃいいんだよ。──それとも何か?」
優しかった声音が低くなって、
「お前、郷に帰ったら俺なんか忘れて他の男と懇ろになるつもりじゃ」
「馬鹿なこと言わないでよ! そんなつもりなんか」
かっとなって遮ると、あいつが一気に顔をほころばせた。
「な、何よその顔」
「いや、だってさ。もう俺以外の男は必要ないってことだろ?」
再度問われて、今度は頭に一気に血が上る。
(言わされた──!!)
そう気づいた時には、後の祭り。
「ほら。お前さん素直過ぎるんだから。変な野郎に騙されないためにも、俺のそばにいなきゃ駄目なの。ん?」
こめかみに唇を寄せたやつの諭すような声に身体が勝手に震えて。
「俺以外の男に、こうされたいか?」
ぐっと押しつけられた腰にやつの劣情を感じて、下半身が甘く疼く。
思い知る。
もう、無理なんだって。
こいつのいない夜を越えて朝を迎えるなんて。
そして。
こいつ以外の男に身はおろか心を委ねるなんて。
絶対に──。
突き上げられるようにやつの首に手を回して、
「あんた以外の男なんか……いらない」
耳元でささやいて初めて私から唇を奪う。
一瞬驚いた素振りを見せたあいつの舌がするり、と入り込んできて。
いつものように絡まれているのに
いつも以上に息が上がる。
帯が解かれる音も変わらないのに
それだけでやつを受け入れる箇所がじゅんとなって。
どうしたんだろう、私。
何か、変だ。
唇を離し、帯を剥ぎ取って投げ捨てたあいつがにやりと笑う。
やっぱり、気づかれてる。
いつもと違う私を。
「もう、加減なんかしねぇから。覚悟しな」
そう言ってのしかかってきたやつが、私の首筋に唇を寄せて襟から手を差し入れてきた──。
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