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ド派手な新しい仲間
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私はエリカのおかげで無傷で済んだので、ボロボロの彼女に肩を貸して、なんとかギルドまで辿り着いたのだった…。
そして、私たちはギルドに先程あった件を報告し、ギルドは自警団に、彼らの身柄を確保するように通報した。
想像していないような大変なことになってしまったが、私たちは無事生還出来て良かったと、ようやく安堵出来た…。
報告が済んでからしばらくして、私はエリカの治療を見守りながら、彼女のことを気に掛けていた…。雇っていた人間にあんな裏切りを受けたのだ。ショックを受けているのではないかと思った。
「…ごめんなさい。」
エリカがなにやら謝ってきた。
私に向けて…だろうか…?
私がキョトンとしていると、エリカは話を続けた。
「…わたくしはお金さえ払っていれば、
みんな言うことを聞いてくれると
思っていました…。」
「あの男にも言われましたが、
本当に世間知らずなんです…。」
私はエリカの話を黙って聞いている…。
「世間知らずなわたくしが冒険に出ても、
誰も仲間になってくれない…。
わたくしにはお金を払うことしか
選択肢がなかった…。」
なんとなく分かっていたが…。
こいつと私はどこか似ているのだと改めて気付かされた…。
「そんなわたくしの認識の甘さで、
貴女を危険に巻き込んでしまった…
本当になんとお詫びしたら…。」
「これ…貸しだから…。」
「…え?」
「いつか返してよね…!」
「は…はい…!」
私は笑いながら彼女に言った。
彼女も私に笑顔を見せてくれた。
そして、今まで忘れていたことを思い出した…。
私、勝負に負けてなかったっけ…?
「あ…あのエリカさん…。」
「その貸し…今すぐ
返してもらう訳には…。」
私が言いにくそうにボソボソ話していると…。
コンコンと医務室のドアがノックされた。
エリカが「どうぞ。」と答えると、そこにケンジくんが現れた…。
終わった…。私は勝負に負け、悪漢に襲われそうになり、ヘトヘトに疲れて、散々『無駄』な目に遭ったのに、ケンジくんまで取られるなんて…!
「あの…大変な目に遭って、
大怪我されている時に
どうかと思ったんですけど…
早く伝えておかないとって思って…。」
やめて…ケンジくん…!私を見捨てないで…!
「本当に申し訳ないのですが…
仲間の件は無かったことにして
もらえませんか…。」
「え…?」
「今、医務室の外から
2人の会話を聞いていたんですけど…。
俺もお金さえあればどうにか出来ると
思っていたので…。」
「でも…それって、やっぱり
どうなのかなって…そう思って…。」
「ケンジくん…。
一体何があったの…?」
ケンジくんはずっと様子がおかしかった…。私は彼に嫌われたからだと思っていたが、どうやらそうではないようだった…。
「実は、お願いされていたんだ…。
モッタのお母さんから…。」
「モッタをギルドから
抜けさせて欲しいって…。」
「えっ…!?」
「危険な依頼も多いから、
心配なんだって…。」
「ある日突然、いなくなる
んじゃないかって…。」
「……。」
今日、いなくなりそうな目に遭ってしまったので、私はそんなことないとは言えなかった…。
「どうしようかと…悩んでいたら、
エリカさんがギルドに現れて…。」
「そこで思い付いたんです…。
大金を手に入れて、俺がいなくなれば、
モッタはもうギルドに通わなく
なるんじゃないかって…。」
「じゃあ…100万マニーは…。」
「全部君の家に渡すつもりだった…。」
まさかそんなことになっていたなんて…。私は信じられずに固まっていた…。
「でも、モッタが俺のことを
あんなに必要としてくれて
いるなんて知らなくて…。」
「俺も…ぐっ…モッタと一緒に
いたかった…から…!」
「ケンジくん…。」
ケンジくんは涙を流していた…。自分の感情を押し殺して、私たちのために身を引いてくれていたのであろう…。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった…。
「…お断りしますっ!!」
「「え…っ!?」」
私たちはハモっていた…。
おい、空気読めよ…!?
何故かエリカがこの期に及んで断るとか抜かしてきたのだ…。どういうつもりだ…!?やっぱりお金持ちはどこかおかし…。
「わたくしはケンジさんを
気に入りました。」
「そして、モッタさんも
わたくしは大好きです。」
「…!!?」
私は顔を赤く染めた…。
「なので、わたくしを
貴女たちの仲間に
入れてくれませんか…?」
「その…お金は無しで…。」
エリカが俯きながら目を瞑っている。
私たちに断る理由はなかった。
…お金が欲しくないと言ったら嘘になるが…。
「…ん。」
「あっ…!」
私がぶっきらぼうに右手を差し出すと、エリカは嬉しそうに両手で握手するのだった。
そして、私たちはギルドに先程あった件を報告し、ギルドは自警団に、彼らの身柄を確保するように通報した。
想像していないような大変なことになってしまったが、私たちは無事生還出来て良かったと、ようやく安堵出来た…。
報告が済んでからしばらくして、私はエリカの治療を見守りながら、彼女のことを気に掛けていた…。雇っていた人間にあんな裏切りを受けたのだ。ショックを受けているのではないかと思った。
「…ごめんなさい。」
エリカがなにやら謝ってきた。
私に向けて…だろうか…?
私がキョトンとしていると、エリカは話を続けた。
「…わたくしはお金さえ払っていれば、
みんな言うことを聞いてくれると
思っていました…。」
「あの男にも言われましたが、
本当に世間知らずなんです…。」
私はエリカの話を黙って聞いている…。
「世間知らずなわたくしが冒険に出ても、
誰も仲間になってくれない…。
わたくしにはお金を払うことしか
選択肢がなかった…。」
なんとなく分かっていたが…。
こいつと私はどこか似ているのだと改めて気付かされた…。
「そんなわたくしの認識の甘さで、
貴女を危険に巻き込んでしまった…
本当になんとお詫びしたら…。」
「これ…貸しだから…。」
「…え?」
「いつか返してよね…!」
「は…はい…!」
私は笑いながら彼女に言った。
彼女も私に笑顔を見せてくれた。
そして、今まで忘れていたことを思い出した…。
私、勝負に負けてなかったっけ…?
「あ…あのエリカさん…。」
「その貸し…今すぐ
返してもらう訳には…。」
私が言いにくそうにボソボソ話していると…。
コンコンと医務室のドアがノックされた。
エリカが「どうぞ。」と答えると、そこにケンジくんが現れた…。
終わった…。私は勝負に負け、悪漢に襲われそうになり、ヘトヘトに疲れて、散々『無駄』な目に遭ったのに、ケンジくんまで取られるなんて…!
「あの…大変な目に遭って、
大怪我されている時に
どうかと思ったんですけど…
早く伝えておかないとって思って…。」
やめて…ケンジくん…!私を見捨てないで…!
「本当に申し訳ないのですが…
仲間の件は無かったことにして
もらえませんか…。」
「え…?」
「今、医務室の外から
2人の会話を聞いていたんですけど…。
俺もお金さえあればどうにか出来ると
思っていたので…。」
「でも…それって、やっぱり
どうなのかなって…そう思って…。」
「ケンジくん…。
一体何があったの…?」
ケンジくんはずっと様子がおかしかった…。私は彼に嫌われたからだと思っていたが、どうやらそうではないようだった…。
「実は、お願いされていたんだ…。
モッタのお母さんから…。」
「モッタをギルドから
抜けさせて欲しいって…。」
「えっ…!?」
「危険な依頼も多いから、
心配なんだって…。」
「ある日突然、いなくなる
んじゃないかって…。」
「……。」
今日、いなくなりそうな目に遭ってしまったので、私はそんなことないとは言えなかった…。
「どうしようかと…悩んでいたら、
エリカさんがギルドに現れて…。」
「そこで思い付いたんです…。
大金を手に入れて、俺がいなくなれば、
モッタはもうギルドに通わなく
なるんじゃないかって…。」
「じゃあ…100万マニーは…。」
「全部君の家に渡すつもりだった…。」
まさかそんなことになっていたなんて…。私は信じられずに固まっていた…。
「でも、モッタが俺のことを
あんなに必要としてくれて
いるなんて知らなくて…。」
「俺も…ぐっ…モッタと一緒に
いたかった…から…!」
「ケンジくん…。」
ケンジくんは涙を流していた…。自分の感情を押し殺して、私たちのために身を引いてくれていたのであろう…。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった…。
「…お断りしますっ!!」
「「え…っ!?」」
私たちはハモっていた…。
おい、空気読めよ…!?
何故かエリカがこの期に及んで断るとか抜かしてきたのだ…。どういうつもりだ…!?やっぱりお金持ちはどこかおかし…。
「わたくしはケンジさんを
気に入りました。」
「そして、モッタさんも
わたくしは大好きです。」
「…!!?」
私は顔を赤く染めた…。
「なので、わたくしを
貴女たちの仲間に
入れてくれませんか…?」
「その…お金は無しで…。」
エリカが俯きながら目を瞑っている。
私たちに断る理由はなかった。
…お金が欲しくないと言ったら嘘になるが…。
「…ん。」
「あっ…!」
私がぶっきらぼうに右手を差し出すと、エリカは嬉しそうに両手で握手するのだった。
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