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1章【緑の竜と新しき伝説】
1話─異世界と魔法
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周りに村がない、人気もないようなとある森の中にある一件の小屋のなかに、1人の赤ん坊がいる。
その赤ん坊が目を覚ますと、近くで心配してみていた一人の女性は歓喜の声を上げた。
「あ!良かったぁぁ!目が覚めた!」
(え、この人誰?ええ?)
赤ん坊はまだ1歳にも満たないのに、今この時点では自我があるのだが、これは彼にしか分からない。
女性の歓喜の声を聞きつけ、木製の扉からは男性が現れた。
「どうしたシュミア!?」
「レルク!リュークが目を覚ましたのよ!」
(リュークって…まさか僕か?)
そしてシュミアと呼ばれた女性は赤ん坊を持ち上げた。
「もとはと言えばシュミアがリュークに魔法を当ててしまったのがな…」
「余波とはいえ魔法は魔法だものね…ごめんなさいねリューク。でも目を覚ましてくれて良かった!」
(魔法…余波……どういうことだ?)
☆★☆
リュークがシュミアの魔法の余波を受けてから7年の月日が経った。
「お母さん、お姉ちゃん、この魔術式ってどうなの?」
お母さんは、お察しの通りシュミアのことだ。
そしてお姉ちゃんというのは、リュークの産まれる二年前に産まれた女の子だ。名をアミリという。
「んー、普通に発動するなら魔術式には問題は無いけど魔法陣のこのアルサー線はここにしなくてもいいと思うよ」
「でもこれがないとここのパーサーⅡ線とファクⅣ線が繋がっちゃうからここにやるしかないんじゃないかな?パーサーⅡとファクⅣが繋がると魔術式が混ざってしまうし」
「あー、そういうことならここの魔術式をここと入れ替えてみたら?」
「「あ!それがあったか!」」
この世界には魔法がある。
魔法の発動方法は様々だ。
1、魔力操作による魔法の発動。
これは魔力と想像力を使って魔法を発動する方法。
地球で書かれているファンタジー作品の魔法の発動方法がこれにあたるだろう。
2、詠唱による魔力操作補助。
これは1の魔力操作を詠唱を使ってサポートしてもらうことで魔法を発動する方法。
1とは違い魔力さえあれば簡単に出来るが、魔力操作がオートなため威力はほぼ固定されている。込める魔力の量により増減するもののそこまでの大差はない。
3、魔力、魔術式、魔法陣を使う方法。
これは一般的に「紋章魔法」と言われている魔法方法だ。
ちなみにシュミアは3つ目の魔法の使い手だ。
この魔法は魔法陣を使い魔法を発動する方法だ。
主に使われるのは無詠唱魔法だ。
魔力さえあればほぼ発動可能なため。
逆に使われないのは紋章魔だ。
理由は作成に手間がかかりすぎる為だ。
それならばなぜ3の方法があるのか。
その理由は、3ならば消費する魔力が違うのだ。
例えば直径5cmの水玉を出すとしよう。
魔力を数値化した時、詠唱魔法や無詠唱魔法であれば10消費する魔力を、紋章魔法であれば2で済む。
使うものにより差は大きいものの、極限まで減らそうとすれば1/10以下にもなるのだ。
「……よし、これをこうして…」
紋章魔法を使うには、まず魔法陣を作らなければならない。
魔語とよばれる魔術式専用の文字を使う。その魔語で作られた言葉配列を魔術式という。
だが、魔術式だけでは発動しない。
魔法陣を作るため専用のインクで魔術式を書く。そしてその魔術式に魔力を流すことで長い魔術式が文字に似た図形となる。
この図形の書かれた紙を別の紙の上に載せ、上から圧迫する。すると、その紙に書かれた図形が下にある紙に移動する。
「…よし、とうとう線の本書きだ…」
円や線の書かれた型にこの魔術式の図形を何個も何個も移動させると魔法陣が完成する。
先ほどリューク達がパーサーの線などと言っていたが、この線は魔法陣の型にある線だ。
この型も、専用のインクで書かなければならない。
一見簡単に思えるが、一つの魔法陣に組み込む魔語の量は万を超える文字数となる。しかも、線や円の組み方を間違えたりすると発動しない、図形の場所が違うと指定した魔法が出てこないなどの事が起こる。一つのミスで全てが水の泡となる。そんなことだって起こり得るのだ。
完成した魔法陣は再び魔力を流し込む。そうすることにより人の頭の中に入るのだ。
そして頭の中に入った魔法陣を覚えていれば、いつでも使えるようになる。
「…っと、魔力を流す感覚は慣れないな」
リュークは今出来た魔法陣を見てそういった。
「それじゃあ発動してみて」
「…うん」
右手を前に出し、魔力を流した時に頭に流れてきた魔法陣を思い出す。
すると、リュークの手の上にリュークの頭と同じ大きさの火が出てきた。
「…やった……出来た!」
「おめでとう、リューク」
「6回目で自分で作れて…しかも効率化させての完成って凄いね」
この日、リュークは始めて紋章魔法を作った。
しかも、作った魔法はシュミアの教えた魔法陣を作ったのではなく、シュミアに教えられた魔法陣を更に効率化させたのだ。
無論、シュミアの教えた魔法も効率化されている。
無詠唱魔法を1回使う魔力で、シュミアの紋章魔法は8回ほど使える。
そして、今リュークが作った魔法は、無詠唱魔法が1回に対し、10回使えるまで効率化させたのだ。
「リューク早いよ……私まだ効率化なんて出来ないのに」
「アミリはまたまだ頑張ればいいのよ。……あれ?こんなにポンポン効率化されたら私……あれ?私っていらない?」
「「そんなことないよ!?」」
シュミアの発言にツッコミを入れるリュークとアミリ。
「どうせ私なんて魔法陣を教えるだけの都合のいい存在よ」
「そんな訳ないってば!」
「そうだよ!お母さんがいなかったら僕達いなかったし!」
腕を目に当ててシクシクシクと泣くシュミア。
ふたりが慰めるとパアァと顔を明るくし、二人を抱きしめた。
「あーもう!さすが私の子供達!」
「ちょ、お母さん」
「く、苦しい……」
シュミアの平均より少し大きな胸に圧迫され、呼吸困難になる2人。
それに気づいたのか、慌てて二人を解放する。
「「はぁ…はぁ…はぁ…死ぬところだった…」」
「ご、ごめんね」
そして呼吸を元に戻す。
すると、家の玄関からカチャリという音がした。
「ただいまー」
「「お帰りー」」
「レルク、シャル、お帰りなさい」
「ただいま!」
レルクは玄関から帰ってきた。レルクと一緒に1人の女の子も出てきた。
彼女はシャルロット。リュークの1つ下妹で6歳だ。
シャルロットというのは長いため、家族はシャルと呼んでいる。
2人は近くの村まで行き調味料だけを買ってきた。
近くの村と言うが、普通であれば歩いて3日かかる距離だ。
それをレルクとシャルロットはたった数時間で行き来した。
それを可能にしたのは彼の魔法だ。
レルクは強化魔法、阻害魔法の使い手で、自分に強化魔法を使用することにより数時間で行き来することを可能にしたのだ。
ちなみにシャルは抱き上げて行ったらしい。
ふと疑問が起こるだろう。なぜ調味料だけなのか。という疑問だ。
彼が調味料だけを買ってきた理由は、調味料以外には困ってないためだ。
この家の近くには畑があり、そこから野菜は取れる。
肉に関しては森の中にしょっちゅう魔物という動物に似て異なる生物が彷徨いているため、そいつらを倒しそれを食べている。
だが塩などの調味料の類は無理のためそれを買ってきたのだ。
レルクは机の上にある紙を見た。
「…お?まさかこれはリュークか?」
「そうよ…しかも私の魔法陣をもっと効率化させるのよ」
「凄いな、7歳にしてもう魔法陣を作ったのか」
レルクはリュークの髪をくしゃくしゃにするように撫でた。
「痛いよ、お父さん」
「お、悪かったな。調味料はいつもの所に置いておくぞ」
「分かったわ、お願いね」
そしてレルクは地下倉庫に行った。
地下倉庫では、保存可能な食材を入れている。
一方、シャルはというと、リュークの作った魔法陣を見ていた。
「これが魔法陣?」
「そうよ、これはリュークお兄ちゃんが作ったんだよ」
シュミアからこの魔法陣を作った人を聞かされ、シャルは作成者を見る。
「お兄ちゃん凄い!」
キラキラした目でリュークを見るシャル。
その目は「私も魔法陣を作りたい!」と言っているようだった。
「まだシャルは教えられないわよ」
「な、なんでよ!早く教えてよ!」
「だーめ、まだ7歳だし、無詠唱魔法もちゃんと出来てないでしょ」
「ぶーー!」
リュークが魔法陣の作り方を教えてもらったのは、8歳になると同時だ。
その前からアミリに教えて貰っている紋章魔法を聞き、シャル同様に「早く作りたい!」と言ったのだが、「アミリは8歳の時から始めたから、リュークも8歳になって無詠唱魔法をちゃんと出来たらね」ということで8歳になるまで教えてもらえなかった。
シャルは、リュークの魔法陣に手を伸ばした。
そして───
「「「───あ!」」」
───魔力を流した。
「───!?」
始めて魔法陣に魔力を流し、頭に流れてくる情報に少し困惑するシャル。
「ちょ!?シャル何してるの!?」
「え…なに…今の…は?」
「落ち着いて、大丈夫だから」
「う……うん」
そして深呼吸をした。
「…ふう、ふう、もう大丈夫だよ」
「…本当は8歳になってからのはずなんだけどなぁ…今のは魔法陣に魔力を流したからよ」
「そうなの?じゃあこの魔法が使えるの?」
「ええ、そうよ。でもまだ使っちゃ───」
「───えい!…っ!?!?」
紋章魔法を早く使いたかったのか、シュミアを無視して紋章魔法を使った。
すると、いきなり目の前に火の玉が現れ、ひどく驚いた。そして、その火は家に飛び火した。
「あー!!」
「あっちゃー、やっちゃった」
「───!?!?もう!」
シュミアは魔法を発動した。
すると、家のところどころが凍りついた。
「シャル!」
「ひっ!ご、ごめんなさい」
シャルの謝りは問答無用という感じで、シュミアは2階にある部屋へとシャルを連れていく。
「…私たちは氷を消しましょうか」
「そうだね、お姉ちゃん」
そして氷を消し始めた。
この氷は魔法で作られたため、少し時間がかかるが魔法を解析し魔力で相殺させることにより、消える。
シュミアの魔法は何度も何度も見ているため解析は簡単に終わり、2人は次々と氷を消し続けた。
普通であれば魔法を解析するのに2~3年はかかるものをほんの数秒で終わらし、あまつさえそれを相殺させる。その行為は一般的な魔法の常識を変えてしまうほどだ。
だが、それをまだ2人は知らない。
「…よし、これで終わりかな」
「お疲れ様。こっちも終わったよ」
☆☆☆
そのころ、レルクはというと…
「(ガタガタ)おーい、だれかいないかー(ガタガタ)」
シュミアが使った氷の魔法により温度が下がった地下倉庫にいた。
しかも、出入口である扉は2人が消したと思っているが、実は消しておらず空けれない状況にある。
「おーい!!!(ガタガタガタ)」
レルクが地下倉庫を出れたのは、説教が終わり解放されたシャルによって氷が消された時だった。
その赤ん坊が目を覚ますと、近くで心配してみていた一人の女性は歓喜の声を上げた。
「あ!良かったぁぁ!目が覚めた!」
(え、この人誰?ええ?)
赤ん坊はまだ1歳にも満たないのに、今この時点では自我があるのだが、これは彼にしか分からない。
女性の歓喜の声を聞きつけ、木製の扉からは男性が現れた。
「どうしたシュミア!?」
「レルク!リュークが目を覚ましたのよ!」
(リュークって…まさか僕か?)
そしてシュミアと呼ばれた女性は赤ん坊を持ち上げた。
「もとはと言えばシュミアがリュークに魔法を当ててしまったのがな…」
「余波とはいえ魔法は魔法だものね…ごめんなさいねリューク。でも目を覚ましてくれて良かった!」
(魔法…余波……どういうことだ?)
☆★☆
リュークがシュミアの魔法の余波を受けてから7年の月日が経った。
「お母さん、お姉ちゃん、この魔術式ってどうなの?」
お母さんは、お察しの通りシュミアのことだ。
そしてお姉ちゃんというのは、リュークの産まれる二年前に産まれた女の子だ。名をアミリという。
「んー、普通に発動するなら魔術式には問題は無いけど魔法陣のこのアルサー線はここにしなくてもいいと思うよ」
「でもこれがないとここのパーサーⅡ線とファクⅣ線が繋がっちゃうからここにやるしかないんじゃないかな?パーサーⅡとファクⅣが繋がると魔術式が混ざってしまうし」
「あー、そういうことならここの魔術式をここと入れ替えてみたら?」
「「あ!それがあったか!」」
この世界には魔法がある。
魔法の発動方法は様々だ。
1、魔力操作による魔法の発動。
これは魔力と想像力を使って魔法を発動する方法。
地球で書かれているファンタジー作品の魔法の発動方法がこれにあたるだろう。
2、詠唱による魔力操作補助。
これは1の魔力操作を詠唱を使ってサポートしてもらうことで魔法を発動する方法。
1とは違い魔力さえあれば簡単に出来るが、魔力操作がオートなため威力はほぼ固定されている。込める魔力の量により増減するもののそこまでの大差はない。
3、魔力、魔術式、魔法陣を使う方法。
これは一般的に「紋章魔法」と言われている魔法方法だ。
ちなみにシュミアは3つ目の魔法の使い手だ。
この魔法は魔法陣を使い魔法を発動する方法だ。
主に使われるのは無詠唱魔法だ。
魔力さえあればほぼ発動可能なため。
逆に使われないのは紋章魔だ。
理由は作成に手間がかかりすぎる為だ。
それならばなぜ3の方法があるのか。
その理由は、3ならば消費する魔力が違うのだ。
例えば直径5cmの水玉を出すとしよう。
魔力を数値化した時、詠唱魔法や無詠唱魔法であれば10消費する魔力を、紋章魔法であれば2で済む。
使うものにより差は大きいものの、極限まで減らそうとすれば1/10以下にもなるのだ。
「……よし、これをこうして…」
紋章魔法を使うには、まず魔法陣を作らなければならない。
魔語とよばれる魔術式専用の文字を使う。その魔語で作られた言葉配列を魔術式という。
だが、魔術式だけでは発動しない。
魔法陣を作るため専用のインクで魔術式を書く。そしてその魔術式に魔力を流すことで長い魔術式が文字に似た図形となる。
この図形の書かれた紙を別の紙の上に載せ、上から圧迫する。すると、その紙に書かれた図形が下にある紙に移動する。
「…よし、とうとう線の本書きだ…」
円や線の書かれた型にこの魔術式の図形を何個も何個も移動させると魔法陣が完成する。
先ほどリューク達がパーサーの線などと言っていたが、この線は魔法陣の型にある線だ。
この型も、専用のインクで書かなければならない。
一見簡単に思えるが、一つの魔法陣に組み込む魔語の量は万を超える文字数となる。しかも、線や円の組み方を間違えたりすると発動しない、図形の場所が違うと指定した魔法が出てこないなどの事が起こる。一つのミスで全てが水の泡となる。そんなことだって起こり得るのだ。
完成した魔法陣は再び魔力を流し込む。そうすることにより人の頭の中に入るのだ。
そして頭の中に入った魔法陣を覚えていれば、いつでも使えるようになる。
「…っと、魔力を流す感覚は慣れないな」
リュークは今出来た魔法陣を見てそういった。
「それじゃあ発動してみて」
「…うん」
右手を前に出し、魔力を流した時に頭に流れてきた魔法陣を思い出す。
すると、リュークの手の上にリュークの頭と同じ大きさの火が出てきた。
「…やった……出来た!」
「おめでとう、リューク」
「6回目で自分で作れて…しかも効率化させての完成って凄いね」
この日、リュークは始めて紋章魔法を作った。
しかも、作った魔法はシュミアの教えた魔法陣を作ったのではなく、シュミアに教えられた魔法陣を更に効率化させたのだ。
無論、シュミアの教えた魔法も効率化されている。
無詠唱魔法を1回使う魔力で、シュミアの紋章魔法は8回ほど使える。
そして、今リュークが作った魔法は、無詠唱魔法が1回に対し、10回使えるまで効率化させたのだ。
「リューク早いよ……私まだ効率化なんて出来ないのに」
「アミリはまたまだ頑張ればいいのよ。……あれ?こんなにポンポン効率化されたら私……あれ?私っていらない?」
「「そんなことないよ!?」」
シュミアの発言にツッコミを入れるリュークとアミリ。
「どうせ私なんて魔法陣を教えるだけの都合のいい存在よ」
「そんな訳ないってば!」
「そうだよ!お母さんがいなかったら僕達いなかったし!」
腕を目に当ててシクシクシクと泣くシュミア。
ふたりが慰めるとパアァと顔を明るくし、二人を抱きしめた。
「あーもう!さすが私の子供達!」
「ちょ、お母さん」
「く、苦しい……」
シュミアの平均より少し大きな胸に圧迫され、呼吸困難になる2人。
それに気づいたのか、慌てて二人を解放する。
「「はぁ…はぁ…はぁ…死ぬところだった…」」
「ご、ごめんね」
そして呼吸を元に戻す。
すると、家の玄関からカチャリという音がした。
「ただいまー」
「「お帰りー」」
「レルク、シャル、お帰りなさい」
「ただいま!」
レルクは玄関から帰ってきた。レルクと一緒に1人の女の子も出てきた。
彼女はシャルロット。リュークの1つ下妹で6歳だ。
シャルロットというのは長いため、家族はシャルと呼んでいる。
2人は近くの村まで行き調味料だけを買ってきた。
近くの村と言うが、普通であれば歩いて3日かかる距離だ。
それをレルクとシャルロットはたった数時間で行き来した。
それを可能にしたのは彼の魔法だ。
レルクは強化魔法、阻害魔法の使い手で、自分に強化魔法を使用することにより数時間で行き来することを可能にしたのだ。
ちなみにシャルは抱き上げて行ったらしい。
ふと疑問が起こるだろう。なぜ調味料だけなのか。という疑問だ。
彼が調味料だけを買ってきた理由は、調味料以外には困ってないためだ。
この家の近くには畑があり、そこから野菜は取れる。
肉に関しては森の中にしょっちゅう魔物という動物に似て異なる生物が彷徨いているため、そいつらを倒しそれを食べている。
だが塩などの調味料の類は無理のためそれを買ってきたのだ。
レルクは机の上にある紙を見た。
「…お?まさかこれはリュークか?」
「そうよ…しかも私の魔法陣をもっと効率化させるのよ」
「凄いな、7歳にしてもう魔法陣を作ったのか」
レルクはリュークの髪をくしゃくしゃにするように撫でた。
「痛いよ、お父さん」
「お、悪かったな。調味料はいつもの所に置いておくぞ」
「分かったわ、お願いね」
そしてレルクは地下倉庫に行った。
地下倉庫では、保存可能な食材を入れている。
一方、シャルはというと、リュークの作った魔法陣を見ていた。
「これが魔法陣?」
「そうよ、これはリュークお兄ちゃんが作ったんだよ」
シュミアからこの魔法陣を作った人を聞かされ、シャルは作成者を見る。
「お兄ちゃん凄い!」
キラキラした目でリュークを見るシャル。
その目は「私も魔法陣を作りたい!」と言っているようだった。
「まだシャルは教えられないわよ」
「な、なんでよ!早く教えてよ!」
「だーめ、まだ7歳だし、無詠唱魔法もちゃんと出来てないでしょ」
「ぶーー!」
リュークが魔法陣の作り方を教えてもらったのは、8歳になると同時だ。
その前からアミリに教えて貰っている紋章魔法を聞き、シャル同様に「早く作りたい!」と言ったのだが、「アミリは8歳の時から始めたから、リュークも8歳になって無詠唱魔法をちゃんと出来たらね」ということで8歳になるまで教えてもらえなかった。
シャルは、リュークの魔法陣に手を伸ばした。
そして───
「「「───あ!」」」
───魔力を流した。
「───!?」
始めて魔法陣に魔力を流し、頭に流れてくる情報に少し困惑するシャル。
「ちょ!?シャル何してるの!?」
「え…なに…今の…は?」
「落ち着いて、大丈夫だから」
「う……うん」
そして深呼吸をした。
「…ふう、ふう、もう大丈夫だよ」
「…本当は8歳になってからのはずなんだけどなぁ…今のは魔法陣に魔力を流したからよ」
「そうなの?じゃあこの魔法が使えるの?」
「ええ、そうよ。でもまだ使っちゃ───」
「───えい!…っ!?!?」
紋章魔法を早く使いたかったのか、シュミアを無視して紋章魔法を使った。
すると、いきなり目の前に火の玉が現れ、ひどく驚いた。そして、その火は家に飛び火した。
「あー!!」
「あっちゃー、やっちゃった」
「───!?!?もう!」
シュミアは魔法を発動した。
すると、家のところどころが凍りついた。
「シャル!」
「ひっ!ご、ごめんなさい」
シャルの謝りは問答無用という感じで、シュミアは2階にある部屋へとシャルを連れていく。
「…私たちは氷を消しましょうか」
「そうだね、お姉ちゃん」
そして氷を消し始めた。
この氷は魔法で作られたため、少し時間がかかるが魔法を解析し魔力で相殺させることにより、消える。
シュミアの魔法は何度も何度も見ているため解析は簡単に終わり、2人は次々と氷を消し続けた。
普通であれば魔法を解析するのに2~3年はかかるものをほんの数秒で終わらし、あまつさえそれを相殺させる。その行為は一般的な魔法の常識を変えてしまうほどだ。
だが、それをまだ2人は知らない。
「…よし、これで終わりかな」
「お疲れ様。こっちも終わったよ」
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そのころ、レルクはというと…
「(ガタガタ)おーい、だれかいないかー(ガタガタ)」
シュミアが使った氷の魔法により温度が下がった地下倉庫にいた。
しかも、出入口である扉は2人が消したと思っているが、実は消しておらず空けれない状況にある。
「おーい!!!(ガタガタガタ)」
レルクが地下倉庫を出れたのは、説教が終わり解放されたシャルによって氷が消された時だった。
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