紋章最強の転生者はほのぼの生活したい(希望形)

燕上ゆうき(旧名:クゲルブ)

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1章【緑の竜と新しき伝説】

2話─リュークの魔法作成と祝福

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 リュークが初めて紋章魔法を作ってから4年の月日が流れた。

 リュークは今日も魔法を使っている。

 シュミアとアミリ、そしてシャルもいる。

 シャルは去年10歳になり、ようやくシュミアから本格的に紋章魔法を使っている。


 ちなみにだが、シュミアに教わる前から例のリュークが作った魔法を使う時があるのだが、その度にシュミアに怒られている。


「それでもリュークは凄いわね。魔法陣はほぼ1回やれば覚えるし、簡単な魔法陣なら頭の中で組み立てられるし…本当に人間なのかしら?」

「自分の息子に対して人間じゃないとは!?」


 リュークはすこし特殊な体質をしていた。

 本来紋章魔法を使うには、作った魔法陣に魔力を流し、その時に頭に流れてくる情報がある。それを思い出し、その上それに合わせた魔力操作をすることで指定した魔法が使えるようになる。


 つまり、流れてくる情報魔法陣を覚えてなければならない。

 普通ならば、魔法陣も外国語の単語を覚えるように何十回とやって覚える。だが、リュークは1発で覚えてしまうのだ。

 しかもある程度までの魔法であれば頭の中で作成が可能だ。

 シュミアが人間かどうか疑問になる理由は後者が大きい。


 何度も言うようだが、魔法陣の型の作成や魔語の魔術式の作成には特殊なインクが必要になる。

 だが、リュークはそれを使わずに頭の中で作ることが出来るのだ。異様なのは簡単に想像できるだろう。


 そして疑問になる理由が前者ではないのは、シュミアは2~3回ほどで、アミリとシャルはリューク同様に魔法陣を一発で覚えてしまうためだ。


 その理由は、ベースとなっている魔法を無詠唱で使える。かつ、一般的な魔法よりも無詠唱状態で魔力の流れを制御し、効率化していることによりスムーズに使えること。そしてその効率化した無詠唱魔法よりも効率化されているために脳が覚えやすくなっているのだが、それは誰も知らない。


 シュミアが2~3回かかる理由は歳による脳が…おっと誰か来たようだ。


「リュークおにいちゃんとアミおねぇちゃん私の自慢の兄姉けいしなのです!」


 リュークの隣に座っているシャルがドヤ顔で言った。

 リュークはもちろん、彼女やシュミア、アミリも他の人から見たら『人間か?』と疑いたくなるような人物なのだ。無知は罪なりとはいったものだ。


「そういえばおにいちゃんはなんの祝福を得たんですか?」


 この世界では、人類は10歳になると祝福という名の超能力のようなものが貰えるようになる。

 祝福は10歳になると同時に貰えるのだ。

 与えているのは神である。だが、どの神が与えているのかは宗教によって別れるため、無教派からしたら不明だ。

 宗教も、国により異なり、国の宗教での神は他の宗教には居ない。よって、「すべての神が各国にいる子供に祝福を与えている。」という考えの人もいる。

 しかも、反宗教主義者の人にも祝福は与えられるため、「祝福は神ではなく、10歳により人としての潜在意識のようなものが覚醒するためだ。」という考えの人もいる。

 そのため、「何故か?」と聞かれて百パーセントの答えで「これだ!」と言える人はいない。


「僕は『第三者視点』っていう祝福を手に入れたんだが…」
「だいさんしゃしてんですか?なんですかそれは」


 貰った祝福はその本人には思い出そうとするだけでわかる。
 だが、その能力が何なのかはわからない。


「僕にはわからない。お母さんも知らないそうだし…」

「まあいずれ分かるようになるわよ。私も最初はなんのスキルか分からなかったし。無駄祝福の場合も多いからなんも問題無いわよ」


 アミリの持っているスキルは『アクティブアップ』というスキルだ。

 効果としては、自分のやりたいことをやると基礎能力が上がるというのだが、小さい強化魔法を使ったほうが圧倒的に早く動けるとかいう死に祝福だった。

 例えて言えば、「走ろうと思って走るのと思わないで走るの、1キロ走った時に数メートルの差が生まれる。」程度でしか無い。

 無いよりマシだ。のように彼女は思っている。
 

「まあいつかわかるだろ」


 リュークは祝福のない現状に満足していた。

 そのため、そこまで気にしてはいなかった。


「ただいまー」

「「「「お父さんおかえりー」」」」

「今日はビッグモスが狩れたぞー」


 レルクは今日、肉がなくなってきていたため魔物狩りに行っていた。

 ビッグモスはなかなか手に入らない食材なのだ。そのため、心なしかすこし喜んでいる様子だ。


「ビッグモスね…解体して倉庫にある冷庫に置いてて。あとで使うから」

「了解」


 その日の夕食はビッグモスのビーフシチューとなった。




☆☆☆




「よっしゃ出来た!」


 誰もいない家の中、リュークは1人で魔法陣を作成していた。

 今、レルクとアミリは調味料を買いに、シュミアとシャルはシャルの魔法の訓練を兼ねた肉の確保のため魔物狩りに行った。

 訓練も兼ねたら狩りすぎるのではないか?と思うだろうが、魔物の肉は普通の肉より痛みにくいためある程度なら倉庫にしまっておいても問題ないのだ。


 最近はリュークも調味料を買うために一緒に行ったりする。

 リュークはレルクに強化魔法、阻害魔法を習ったためレルクやアミリと同じように簡単に村まで行き来ができる。

 だが、今日は一緒に行かなかった。理由はリュークが魔法の作成をしていたためだ。


「よし、早速やってみるか」


 そう言ってリュークは家を出た。




☆☆☆




 家の裏から少し歩いたところには海がある。

 その海はきれいな海で、水がほぼ透明に近い。日本で言えば沖縄のような海だ。

 周りに島がないため、きれいな水平線を見ることが出きる。そこからみる夕日はすごくきれいな夕日なのだが、毎日のように見ているためリュークはほぼ飽きている・


 リュークは失敗しても大丈夫のように砂浜の上で魔法を発動した。

 ついこの間も同じ魔法を作ったのだが、魔法陣にダメなところがあったためか頭を強打した。そのため、頭を打たないように砂浜の上で行っているのだ


「…よし、ちゃんと出来てる」


 リュークは空中で止まり、そう呟いた。



 リュークの行っているのは飛行魔法に見えるだろう。が、違うものだ。


 飛行魔法を作ろうとしても理論が完全証明できない。

 体に逆ベクトルの重力を─とかファンタジー作品であるが、あれだと空中で止まることは不可能だし横方向に進むことも不可能だ。


 ならば重力を逆ベクトルにするのではなく体を上に動かすようにすればいいと考えるがそれも無理だ。

 そもそもの話、人の体ほどの重さを魔力操作で持ち上げようとしてもほぼ不可能だ。

 体ごとというのは不可能だが、「皮膚を」や「服を」ならば可能だ。


 だが、それをすればどうなるか。

 皮膚ならば、体が下に行ってるのに皮膚が上に引っ張られ、切れる。

 服ならば、下半身がやばい事になるし、上半身に関しては服だけがポーンと行ってしまう。


 そこでリュークが考えたのは、足を固定すればいいじゃんという事だ。


 リュークの考えた魔法を発動すると、足元に空気と音による壁のようなものができる。

 これは任意で消すことが可能で、空中で「ここで踏みたい」と思えばそこをふむことが可能となる。

 つまり、空中散歩ができるようになるのだ。


「よーし、いざ水平線の果てへ!」


 そしてリュークは空中散歩を始めた。




☆☆☆




 リュークが魔法を発動した地点から約50キロメートルほど経った場所にとある島がある。

 その島でリュークは呆然としていた。


「なんだ…この島は……」


 島は四国の半分ほどの大きさがあり、4月の沖縄並温度となっている。


 そんな島で、リュークが呆然としている理由はというと、


「なんだこれは…サトウキビに胡椒の実じゃないか…」


 島はサトウキビや胡椒のツル、クローブ(日本では丁香と呼ばれている)の原料となるチョウジノキ、ナツメグなどといった高級調味料がたくさんある。

 本来であれば同一気候では育たない植物もあり、リュークは驚愕するしかなかった。


「…人がいる感じはしないな…全て自然に自生したのか?にしてはおかしすぎね?あ、わさびもあるし」


 この島には、人がいる形跡はない。

 人がいればなにか採集してもおかしくはないのだが、その跡が全くないのだ。

 砂浜には足跡がない。木々や草木が生い茂る森の中も踏み倒されているような道はなく、ぬかるんでいる地面にも、動物すらも歩いたような跡は見られない。


「…ならとっても問題ないよな」


 そしてリュークは空間収納魔法を使って調味料の元を入れていった。


「…ついでに塩も作るか。大豆があれば豆腐も一緒に作ってたんだけどな」


 塩の作成方法は簡単だ。

 海水を煮詰めてこしてまた煮詰めてを繰り返せば塩ができる。

 こすのは白く濁った時なのだが、この濁りの正体はニガリであり、豆腐作成の時に必ず必要になるものだ。


 だが今は大豆がないため、にがりがあっても無意味なのだ。

 いつの日か大豆が手に入るだろう。そう信じてにがりも空間収納魔法を使って入れた。




☆☆☆




 数分後、大量の塩を完成させたリュークは満足したのか、家のあるところまで飛んでいった。


 飛んでいったと言ったのには語弊はない。なぜなら彼は足に強化魔法を使い空中で横向きに足場を作り、その足場を蹴って家に到着したのだ。

 見知らぬ人からすると、横方向に飛んでいるように見える。だがこのあたりには人はいなく、飛んでいる彼を見る人はいない。


 まあ、見たからといって何?と思うリュークである。


「ただいまー!…って誰もいないのか」


 誰もいないことを確認したリュークは自分の部屋に行きベッドに横たわった。


「はぁ、シャルは何してるんだろ」


 そう言って目を閉じた─そして数秒もしないうちに、リュークは飛び上がった。


「な、なんだ今のは…」


 リュークが飛び上がった理由は、目を閉じたらシャルとシュミアが見えたからだ。


「…もしかして『第三者視点』ってそういう事なのか…?」


 リュークはシャルが見えないかと考えて目を閉じた。

 すると、シャルが魔法を使い牛型魔物を倒す瞬間が見えた。


「…幻覚ではないか…なんだこれすごい使える祝福じゃないか」


 そして今度はレルクを見た。

 すると、視界にはリュークも見たことある女性が、レルクに抱きついていたのだ。

 性的な意味ではないのだが、リュークは見てはいけないものを見てしまった感情が湧き上がった。


 アミリをみると、今は調味料の買い物中のようだ。


「……まさか浮気?」




☆☆☆




 その夜、食事前に家族4人にリュークの作った魔法を見せることになった。


「どんなのができたのですかおにいちゃん?」

「ふっふー、見て驚けシャル!」


 そしてリュークは椅子1個分浮いた。


「「「「……………」」」」

「あ、あれぇ?」


 4人の無反応に、リュークはこんな魔法はもうとっくに出来ていたのかという疑問が頭をよぎった。

 だがそんな疑問がすぐに消えたのはシャルの一言による。


「お、おお、おにいちゃんそれ飛行魔法!?」

「え?…あ、いや、違うよ。これは足の裏に足場を作ってるんだ」


 魔力操作による空気の固定と音による固定の補強を簡単に説明する。だが、これが理解出来たのはシュミアだけだ。


「なるほど、そうなると立てるようになるのね。しかも任意で即解除即起動が行える…自分の体付近だからラグも起きない…リューク凄いわね!」

「え?お母さんどういうこと?」

「簡単に言えば、魔力の壁を足の裏に作って、それに乗ってるって感じだよ」

「………さすがおにいちゃんです!」


 シャルはよく分かっていないようだ。

 レルクやアミリはリュークの言ったこととシュミアから助言をもらいようやく理解した様子。


「それと僕のスキルがどんなのがわかったよ」

「『第三者視点』って奴か?どんな奴だったんだ?」


 そして第三者視点に関しても説明した。


「僕はシャルが牛型魔物を倒してるところが見えたんだ。かっこよかったぞ」

「ありがとうおにいちゃん!」




☆☆☆




 そして食事が終わり、シュミアとシャル、アミリが洗い物をしてる間にリュークがレルク対して、洗い物をしている3人に聞こえないような小さな声で言った。


「…お父さん、浮気はよくないよ?」


 その一言に、レルクの肩が跳ね上がる。


「ちが、あれは浮気ではない、あっちから抱きついてきただけであってだな」

「…まあ僕も勝手に見るのが悪かったよ。今後はあまり祝福を使わないようにするし。まあお父さんのいうことは信じるよ。本当に浮気してたらお母さんが知らない訳ないだろうし」

「ま、まああいつはそういった勘は鋭そうだもんな……」
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