紋章最強の転生者はほのぼの生活したい(希望形)

燕上ゆうき(旧名:クゲルブ)

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1章【緑の竜と新しき伝説】

7話─魔法属性

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「……凄かったねリュークくんは」


 次の日、リュークはいち早く教室へ着こうと思い、授業が始まるだいぶ前に教室へと来た。

 だが、教室には既にエマがいた。

 彼女はリュークが来る少し前についたという。

 エマは昨日の決闘を見ていたらしく、今はその事を話している。


「あれは僕の全力だからね。魔力もなくなりそうだったし」


 これはリュークの嘘だが、あながち間違いでもない。

 魔力がなくなりそうだった。と言うのは嘘だが、リュークの全力があれなのには嘘ではない。

 他にもあの爆発以上の魔法を使うことは可能だが、現状のリュークではできない。


 理由は彼の母親であるシュミアが彼に封印をしたためだ。

 封印とは本来力が持ちすぎるもの、討伐するにできない魔物などを暴れさせないようにするためのものだ。

 シュミアはリュークの持つ魔法が何かの拍子に使ってしまったら危ない。ということで彼に封印を施したのだ。

 無論、これはアミリにも施している。


 現状のリュークでは、封印の効果で威力の高い魔法は使えない。

 科学の力をもっと使えばあの爆発以上の威力を出すことも可能だが、そんなのを使う機会が訪れないことをリュークは望んでいる。


「リュークくんって複数属性だったんだね」

「というと?」

「だって火の魔法を消してたじゃん。ということは火だけじやなく水の魔法も使えるってことでしょ?」

「水じゃなくて氷の魔法を使ったんだけど」

「え、氷魔法!?氷魔法って火魔法と相性が悪いんじゃないの!?」

「相性って確か…」


 魔法には属性相性があるとされている。

 属性は火、水、風、土があり、各それの上位属性となる熱、氷、大気、物、上位属性のない光と闇がある。


 そして各属性には相性があるという。


 火は風・氷に強く、水・大気に弱い。

 風は土・熱に強く、火・物に弱い。

 土は水・大気に強く、風・氷に弱い。

 水は火・物に強く、土・熱に弱い。


 熱は氷・水に強いが、大気・風に弱い。

 大気は熱・火に強いが、物・風に弱い。

 物は大気・風に強いが、氷・水に弱い。

 氷は物・土に強いが、熱・火に弱い。


 光と闇は互いに強く、互いに弱い。


「これが属性の相性だよ」

「やっぱそれか…それデマだよ」

「デマ?」

「僕の母親いわく、最近になって魔法の属性に相性ってものができたらしい」

「最近?ということは昔はなかったってこと?」

「ああ。魔法研究者の一部の人達が、魔法に関しての名声や利益が欲しいが為にでっち上げた嘘だよ。まあ、多少嘘でもない部分はあるんだけどね」


 嘘であればすぐにわかるのだが、なぜか属性というのが浸透している。

 なぜかと言うと、出された論文を検証する際、偶然に偶然が重なってしまい属性というのが証明されてしまったのだ。

 例えば、火と水では水の方が強い。

 これは間違いであり、本来は温度と量の差にもよるのだ。

 だが、量はわかっても温度差は分からなかった当時の研究者達は、検証のために同威力・同サイズの火と水をぶつけた。

 だが、当時の検証者の体調がよかったのか、魔法で作られた水の温度が異様に低かったのだ。

 それを誰も気にせずにぶつけた。

 結果、水が残った。

 そのため、水は火に強い。というのが広まってしまった。ということだ。


「魔法の相性は嘘ってこと?」

「ああ、物属性は阻害魔法、大気魔法は強化魔法ってことになってるけど、どっちも属性には分類されない無属性だし、他にも例えば」

 そしてリュークは一つのロウソクを取り出し、火をつけた。

「魔法相性で言えば、この火は風では消えず、水で消えるってことだけど」

 ロウソクについた火をリュークは息を吹きかけ消した。

「普通に風でも消える。これは別のことにも言えて、雨の日にも火の魔法が野外で使えたりするでしょ?」

「た、たしかに」

「だから属性相性なんてないんだよ。まあ光魔法と闇魔法は威力が同じなら相殺されるし、氷の例外があるからすべてが嘘ってわけではないけどね。」

「氷の例外?」

「うん。そもそも氷ってどういうのか分かる?」

「水が冷たくなった時に水が変化するもの…じゃないの?」

「あってるよ。氷は水が一定以下の温度になった時に氷に変化するんだ」


 そして氷を作り出す。


「魔法で作った氷も同じ、これは元々水だ。さっき属性相性はないって言ったけど、火に関しては氷には圧倒的に弱いって言っていい」

「なんで…?」

「氷は放置してると水になるでしょ。それは氷が周りの熱を吸って溶けたせいなんだ。つまり、氷には氷から水になる。そして水から蒸発する。どうやったって氷から蒸発することはないんだ」

「えっと、水魔法だと「水」っていう壁が1枚、氷だと「氷」っていうのと「水」っていう壁が2枚あるってこと?」

「…よく今の説明でそこまで考えついたね」


 氷は四散させた。

 そして話を終えて…リュークは何かに気づいたようだ。


「やってしまった…」

「ん?どうしたの?」

「やってしまったああああああああ!!!」


 ガンガンガンガン


 リュークは叫びながら頭を机にたたき始めた。

 二人が話している間に登校していたクラスメイトたちはリュークの不可解な行動に驚きを隠せなかった。

 無論、エマも相当驚いている。


「ど、どうしたのリュークくん!?」

「自重しろって言われたのにいいいいい!!」


 ガンガンガンガン


 未だ止めないリューク。彼の額からは血が出ている。


「リュークくん!血!血が出てるよ!」

「あ…まあ大丈夫だろ」

「大丈夫じゃないでしょ!」

「それより!」

「それより!?」


 リュークは血をほったらかしにし、エマの肩を掴んだ。


「え、ちょ、リュ、リュークくん!?」

「僕の言ったこと誰にも言わないでね!」

「う、うん、わ、わかったよ」


 リュークは、口約束だがエマが承諾してくれたことに安心した。

 だが頭から血が出ているのは変わっていない。


「リュークくん、頭…どうするの?」

「んー…とりあえずは拭くか」


 タオルを取り出し拭いている…が。


「…止まらないな」


 と、その時、クルエルが入ってきた。


「そろそろホームルームを始め…リューク、頭どうした」

「いえ、すぐに止まるので大丈夫です」

「…と言ってる割には拭いているタオルが真っ赤だが?」


 そう、リュークが拭いている布は元々は白に近いクリーム色だったが、リュークの血でほぼ赤と化している。


「医療室行って来い」

「わ、わかりました」


 流石に止まらないのが理解したのか、リュークはおとなしく医療室へ行った。


(回復魔法を使えいいんだろうけど…確か回復魔法って光魔法だったはず…これ以上多属性魔法が使えるって知れ渡ったら流石にやばいよな…)


 回復魔法を使いたいリュークだが、傷を治すための回復魔法を使わなかった。


(うっ…めまいが…血が足りなくなったのか?血がなくなるのはやばいな…コレぐらいはいいだろ)


 さすがに血がなくなるのはやばいと感じたリュークは「治血ちけつ魔法」という回復魔法の一種を使い、血を増やした。

 すると、めまいがいくらか軽くなった。


(にしてもなんでこんなに血が出てるんだろう…封印の副作用か?)


 あらかじめシュミアには封印することによりある程度の副作用があるとは言われていた。

 これも封印の副作用であり、リュークは傷が治りにくい体質になっていた。


(はぁ…これは回復魔法は使えるってことにしておかないとやばい気がする…どうするか )


 封印されてから傷を負ったのは初めてだったリュークには、どうするかは学園生活に関わる問題であった。

 どうするか考えていると、医療室まで来ていた。


「失礼します」

「はいはーい。お、昨日の…えっと、リューカくんかね?」

「リュークです…昨日のって決闘みてたんですか?」

「まあね。アタイは保健医だから決闘があったら行かなきゃならんさよ」

「保健医?」

「ああ。保健医っつーのは医療室の担任はもちろん、救護班の班長もやらなきゃいけない忙しい仕事さよ。そんため、決闘が何回も何回も来ると大変さよ」


 彼女は額を抑えているリュークを見た。


「話がそれちまったさよ。さて、見るからに額から血って感じだが、どうしたんだい?」

「い、いえ、ちょっとありましてね」

「ん?まあいい。さっさと見せて治しちまうとするか」

「…口調が安定してないですね」

「え!?まじかい…うーん、無意識だからなおしようがないんだよな…」


 まあいいさね。といい、リュークの額に手を当てて治癒を始めた。


「…はい、おわりさよ。結構血が出てると思うから過度な運動はしないようにね」

「わかりました。ありがとうございました」


 そう言ってリュークは部屋を出た。



 リュークが出ていった後、リュークを治した張本人は考えていた。


「…血が結構出てたはずだとおもうんだがな…顔色は変わってないし、痩せ我慢してるようでもなかった」


 彼女はリュークの手にしていたタオルを見て、相当な出血量だと認識している。

 普通の人であれば倒れてもおかしくない量だ。


「普通ならぶっ倒れてもおかしくない量なんだけどな……」


 そして一つの可能性にたどり着く。


「まさか治血ちけつ魔法も…となると光属性も使える……?……さて、学園長にどう報告すればいいんさよ」


 はぁ。とため息をつく彼女に答える人は誰1人いなかった。
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