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第7話 不穏な風
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この世に生を受けて十六年。男に押し倒された経験はない。エンリコの胸の中に抱かれ、ベアトリーチェの心臓は爆発寸前だった。
「エ、エンリコ様……! 私、私、まだ心の準備が……!」
「動かないでくださいっ!」
エンリコが叫んだ刹那、風を切り裂くような音がして地面に何かが突き刺さった。
矢だ。誰かが木々の隙間からこちらに弓を向けているのだ。
泥棒? 暴漢? 混乱する頭をもたげ、エンリコの体の下から必死に闇に目を凝らすが、相手の姿は見えない。巧みに月明かりを避けているようだ。
そうしている間も次から次へと矢が放たれる。強く吹く風のおかげでかろうじて狙いは外れているものの、そう長くは保たないだろう。このままではエンリコがハリネズミになってしまう。
「エンリコ様! どいてください! 私は大丈夫だから、守ったりしないで!」
「駄目だ! こっちは向こうから丸見えだ! 立ち上がった瞬間に的にされる! せめてあなただけでも……!」
そう言ってエンリコはベアトリーチェを抱く力を強めた。己を犠牲にする覚悟を固めたのだろう。まるでお伽話の一ページみたいな展開だが、ベアトリーチェにとっては悪夢と変わりなかった。
——お伽話のお姫様はよく平気ね! 命懸けで守られたって嬉しくないわよ!
精霊の力を使う? でも、そんなことをしたらケルティーナ人の秘密がバレてしまう。
何とかしてロレンツォを呼びたいが、どれだけ叫んだところで、この強い風の中では屋敷まで届かないだろう。
——でも、一か八か、やるしかないわ!
ようは精霊の力だと悟られなければいいのだ。全身の力を振り絞り、吹き荒ぶ風の力をさらに強める。
こちらに飛んできた矢がくるくるとおもちゃみたいに回転し、パラパラと地面に落ちていく。
その中で、大きく風に煽られた木がついに根本からへし折れ、轟音を立てて倒れた。
「木が……」
呆然と呟くエンリコの腕の力が微かに緩む。その隙に体の下から抜け出したベアトリーチェは、まるで俊敏な猫のような動きでその場に立ち上がった。
鼻から血がタラっと垂れる感触がする。かつてないほどの力を使ったせいで、今にも意識が飛びそうだ。でも、ここで気絶するわけにはいかない。
「エンリコ様、今のうちに逃げましょう!」
エンリコの手を取って小庭を抜け出そうとした時、闇の中から矢を射た張本人たちがぞろぞろと姿を現した。
全員真っ黒な服を着て、ご丁寧に覆面までしている。この場にいるのは十人だが、見えないだけで周りにもいるのかもしれない。
「あなたたち誰よっ! ここがベスタ家だと知っているの⁉︎」
ベアトリーチェを背に庇おうとするエンリコを制し、威嚇するように声を上げる。そうでもしないと倒れそうだからだ。
相手からは何の回答もなかったが、黒ずくめのうちの一人がベアトリーチェの姿を見てビクッと肩を震わせた。その反応で、相手もケルティーナ人だと気づく。
——きっと、精霊の力が怖いのね。こっちには好都合だけど!
立っているのもやっとだが、後一回ぐらいは力を使えるだろう。ナイフを抜く黒ずくめたちを睨み据えた瞬間、闇の中から聞き慣れた声が近づいてきた。
「ベアトリーチェ様!」
「エンリコ様!」
まるでこの場に吹き荒れる風のような勢いで、倒れた木の向こうから息を切らせたロレンツォとリカルドが飛び込んできた。
ここに来るまでに戦闘になったのだろう。二人、特にリカルドの頬には闇夜でも目立つ鮮血が付着している。
二人は一瞬で状況を把握したようで、声もなく左右に散開すると、黒ずくめたちが身構える隙を与えず、一斉に襲いかかった。
銀色の刃が満月の光に反射する度に、黒ずくめたちから悲鳴が上がる。
ロレンツォが優雅な身のこなしで剣を振るうのに対し、リカルドの戦い方は粗野の一言だった。
頭突きはするわ、蹴りは入れるわで容赦無く相手を薙ぎ倒していく。農場で見せた穏やかさが嘘のように目は殺気立ち、顔には怒りが張り付いていた。
——リカルド様って、怒ると怖いタイプなのね……。
薄れゆく意識の中で最後に考えたのは、そんなくだらないことだった。
ハッと目を覚ますと、そこには見慣れた天井が広がっていた。どうやら、気絶して自室に運び込まれたらしい。窓からは朝焼けとおぼしき光が差し込んでいる。
風はまだおさまっていないようだ。鳥の鳴き声に混じって、ひゅうひゅうとうるさい音が聞こえてくる。
ベッドの左側には、両手を組んで前屈みに椅子に座り、じっとこちらを見つめているロレンツォがいた。
髪の毛はくしゃくしゃで目の下にはクッキリと色濃いクマが浮いているが、見る限り怪我はなさそうだ。
「ロレンツォ、無事だったのね……。助けてくれてありがとう。屋敷のみんなも無事? 誰も怪我をしてない?」
「大丈夫です。ニケがちょっと怪我をしましたが、軽傷です。逃げる時に転んだみたいですね」
「そう……。でも、よかった。みんな生きてて……」
胸のつかえが下り、大きく息をつく。
「エンリコ様も……?」
聞いたら怒るかもしれないと思いつつ、どうしても気になるので口に出す。
案の定ロレンツォは一瞬で顔を真っ赤にしたが、怒りを噛み殺すように歯軋りをして、普段より二オクターブぐらい低い声で言った。
「……無事です。今はお部屋でお休みになっていますよ。リカルド様も何ともありません。というか、あの人はきっと殺しても死にませんよ。強すぎます」
矛盾した言葉だが、言いたいことはわかるような気がする。苦笑いすると、ロレンツォは両手で顔を覆い、はあっと深いため息をついた。
「……本当によかった。あなたが無事で……。あなたに何かあったら、俺は……」
その続きは言えないようだった。
無骨な両手がカタカタと震えている。ベアトリーチェはベッドに身を起こすと、丸まったロレンツォの背中を優しく撫でた。
「ごめんなさい、ロレンツォ……。こんなことになるとは思わなかったの。もう勝手に出歩いたりしないわ。本当よ?」
ロレンツォは両手を顔から外し、涙で濡れた目でベアトリーチェを睨んだ。
「約束ですよ。俺の寿命をこれ以上縮めたくなければ、大人しくしていてください」
「わかったわ。どこかに行きたい時はきちんとロレンツォに言うから、ついてきてくれる?」
小首を傾げると、ロレンツォは泣き笑いのような表情を浮かべて小さく頷いた。
同時に部屋の中にノックの音が響き、反射的に扉の方に視線を向ける。
「姉さん、僕だよ。起きてる? 入ってもいい?」
「ヴィットリオ! 農場から戻ってきたのね。入ってちょうだい」
ベアトリーチェの声に応じ、扉が静かに開く。
「あれっ、ロレンツォ。まだ姉さんの部屋にいたの? 昨日から寝てないんでしょ? 大丈夫?」
ロレンツォはそれには答えず、涙目を隠すように顔を伏せると、頭を下げ、静かに部屋を出て行った。
それを呆然と見送っていたヴィットリオがハッと我に返り、ベッドに近づく。激しい火事を物語るように、服は煤で汚れていた。
「びっくりした……。ロレンツォ泣いてたじゃん。何したの、姉さん」
「死ぬほど心配させた。反省してるわ」
「それがわかってるんならいいよ」
よいしょ、と椅子に腰を下ろしたヴィットリオが穏やかに笑う。言われることはわかっているので、先手を打ってこちらから話しかける。
「農場、火事になったって? どのくらいの被害になったの?」
「うーん……燃えた範囲は広いんだけどね。休耕地だったから、実質的な被害はゼロかなぁ。ちょっとバナヌの木に燃え移ったりしたけど、収穫した後だったしね。不幸中の幸いってやつだよ」
「お母様たちは……?」
「あー、大丈夫大丈夫。みんな元気だよ。風も強かったし、念のために一晩泊まっただけ。だから心配しないで」
口元に笑みを浮かべたまま、ヴィットリオはひらひらと右手を振った。
「それより姉さんだよ。なんでこんな無茶したの。木をへし折るなんてさぁ」
「だって、それしか思いつかなくて……」
「まあ、結果的に助かったからよかったけど、もうやんないでよね。姉さんが倒れたって聞いて、心臓が止まるかと思ったんだから」
「ごめんね、ヴィー……」
口をへの字にしたヴィットリオの頭をそっと撫でる。大人びているとはいえ、まだ十三歳だ。屋敷に戻る間、気が気でなかっただろう。
「黒ずくめたちはみんな捕まったの?」
「それがさぁ、相手方に女がいたみたいで、精霊の力でこっちの目を眩ませたんだって。その隙に何人か逃げちゃったみたい」
「え? じゃあ、まだそのあたりにいるの? エンリコ様たちにも力を知られちゃったってこと? それって大丈夫なの?」
矢継ぎ早に問いかけるベアトリーチェに、ヴィットリオは肩をすくめた。
「すぐに捕まると思うよ。ここは島国だもん。海に出ない限り逃げきれないでしょ。それに、精霊の力はケルティーナ特有の鉱石で作った閃光弾って説明したみたいだから、たぶん大丈夫じゃないかな? 叩くと光を放つ石があるのは本当だし、他国には輸出してないから向こうには確かめる術もないしさ」
まるで用意されていた回答を話すみたいにすらすらと答えるヴィットリオに、植え込みでのミゲルの姿が重なる。
賢い弟だ。普段から口は回る方だが、回り過ぎているという気もする。
「ヴィー、あなた、何か嘘ついてない?」
「どうして嘘なんてつくのさ。そんなことをして僕に何のメリットがあるの?」
そう言われると答えられない。唸りながら散々迷った末、昨日抱いた疑惑を口にした。
「……ひょっとして、うちをよく思ってない他領の仕業なんじゃない? 農場が火事になった日に襲撃されるって出来過ぎよね?」
「まさか。火は行商人のタバコの不始末で、黒ずくめたちはお尋ね者の盗賊団だったって。お伽話の読み過ぎだよ」
笑い飛ばされて頬が熱くなる。穴があったら入りたいとは、このことを言うのだろう。
残念ながら穴はないのでベッドに潜り込むと、頭のあたりをぽんぽんと叩かれる感触がして、そうっと布団から顔を出した。
「心配しないで、姉さん。何も怖いことなんてないよ。だから早く良くなってね。父さんと母さんも、とても心配してるんだから。後で怒られるのを覚悟しときなよ?」
「うん……」
もごもごと呟くと、ヴィットリオは榛色の瞳を優しく細め、椅子から立ち上がった。
「じゃあ、ニーナを呼んでくるね。昨日からずっと部屋の外で待機してるみたいだからさ。くれぐれも無理して動いちゃダメだよ? また様子見にくるからね」
手を振りながら去っていった小さな背中と入れ替わるように、部屋に飛び込んできたニーナがベッドに駆け寄ってきた。
顔からは血の気が失せ、いつもきちんと纏められた髪も乱れている。目の下のクマもひどい。ロレンツォと同じで、一睡もしていないようだ。
「ああ、お嬢様! ご無事でよかった! まさかこんなことになるなんて……。生きた心地しませんでしたよ!」
「ニーナ……」
ぎゅうっと痛いほど抱きしめられて、思わず涙腺が緩む。軽はずみな行動でここまで心配させてしまった事実に、ひどく胸が痛んだ。
「ごめんなさい。もう不用心に出歩いたりしないわ。ロレンツォとも約束したの」
「本当ですよ。私の残り少ない寿命をこれ以上縮めないでくださいな。私がいなくなったら、誰がお嬢様の髪を結うんです?」
ロレンツォと同じことを言われ、さらに胸が痛む。宥めるように背中を摩ると、ニーナはもう一度強くベアトリーチェを抱きしめた後、よろけるように体を離した。
その拍子に腰が側机にぶつかり、置いていた手帳が床に落ちる。それを拾い上げたニーナが不思議そうに小首を傾げた。
「あら、これは……? 本……? いえ、手帳ですね。お嬢様のですか?」
「書庫で見つけたの。たぶん、四百年ぐらい前のご先祖様のよ。今まで残っていたのが驚きよね」
まだあまり読めていないが、それらしい記述がいくつもあった。
四百年前といえばランベルト王国が建国された頃だ。持ち主は冒険心豊かな人間だったようで、半ば逃げるように家を飛び出した後、ケルティーナを離れて大陸中を旅していたらしい。
ミミズがのたくったような文字からは、当時の海向こうの様子が生き生きと伝わってきた。
「どうして、ご先祖様だとわかるんです? どこにも名前は書かれていないのに」
「だって、私と同じ浮遊の力があるみたいだし……」
そこまで言って、ハッと我に返った。咄嗟に口を覆ったが後の祭りだ。
「……お嬢様は浮遊の力をお持ちなんですか? 女王陛下を除けば、数百年に一人しか生まれないと言われているのに?」
「……お母様には内緒にしててくれる? 誰にも言うなって言われているの」
呆けたように口をぽかんと開けているニーナから手帳を受け取り、おずおずと顔を見上げる。
カテリーナにバレたら小言では済まない。ただでさえ無茶して力を使ってしまった後だ。これ以上叱られる要素を増やしたくはなかった。
「そんなこと、口に出せやしませんよ。私の妹も力は強い方でしたが、お嬢様ほどではありませんでした。まさかこんなに身近に……」
「え? ニーナって妹がいたの?」
ニーナの生家はベスタ家の分家筋だ。祖母の従姉妹の、そのまた従姉妹という遠縁のため、詳しい話はあまり知らない。長い付き合いだが、こうして家族の話を聞くのも初めてだった。
「もしかして、お姉さんやお兄さんもいる? その人が後を継いでいるの?」
「いえ、私は長女です。兄もいませんよ。ですが、私が使えるのは明かりの力ぐらいですから……。せめて火や水でも出せないと当主にはなれません」
——え、でも、別に当主になるのに精霊の力は関係ないんじゃ……。
そう言いかけて口を噤んだ。よくよく考えてみれば、力の強さだけで次期当主に据えられた身の上だった。
ベスタ家の分家筋なら、同じく精霊の力の強さで次期当主を決めてもおかしくはない。
精霊の力というものは植物の種子に似ていて、芽吹くかどうかは個人差がある。だが、大抵は長女の力が一番強いというのが通例らしく、そうでないニーナは珍しかった。
ベアトリーチェの力が強いのは長女ということに加え、一重に相性が良かったからだ。もしこれから妹が生まれても、ベアトリーチェほど力は強くないだろう。
「お嬢様はそんなに強い力をお持ちなのに、どうして当主になるのを嫌がるんですか? 浮遊の力もそうですが、成人してもいないのに木まで薙ぎ倒すなんて、女王陛下にも匹敵しますよ」
「だって、私が望んだわけじゃないもの……」
愚痴るようにこぼした時、一瞬、ニーナの表情が翳ったような気がした。
「ニーナ?」
急に不安に駆られ、甘えるように細身の体に擦り寄る。ニーナは黙ってベアトリーチェを見下ろしていたが、やがて口元に微かな笑みを浮かべ、小さく頷いた。
「……そうですね。あなたは自由な小鳥。羽ばたくのを誰にも止められやしませんわ」
囁くように呟いたニーナが、乱れた布団をかけ直してくれる。頭を撫でる手つきは、子供の頃に怖い夢を見て泣いていたベアトリーチェを慰めてくれた時と同じ、とても優しいものだった。
「さあ、ゆっくりお眠りください。日が昇り切るまでには、まだ時間がありますからね。いい夢を見られますように」
低く、穏やかに響く子守唄の旋律に誘われ、ベアトリーチェは闇の中に意識を手放した。
「エ、エンリコ様……! 私、私、まだ心の準備が……!」
「動かないでくださいっ!」
エンリコが叫んだ刹那、風を切り裂くような音がして地面に何かが突き刺さった。
矢だ。誰かが木々の隙間からこちらに弓を向けているのだ。
泥棒? 暴漢? 混乱する頭をもたげ、エンリコの体の下から必死に闇に目を凝らすが、相手の姿は見えない。巧みに月明かりを避けているようだ。
そうしている間も次から次へと矢が放たれる。強く吹く風のおかげでかろうじて狙いは外れているものの、そう長くは保たないだろう。このままではエンリコがハリネズミになってしまう。
「エンリコ様! どいてください! 私は大丈夫だから、守ったりしないで!」
「駄目だ! こっちは向こうから丸見えだ! 立ち上がった瞬間に的にされる! せめてあなただけでも……!」
そう言ってエンリコはベアトリーチェを抱く力を強めた。己を犠牲にする覚悟を固めたのだろう。まるでお伽話の一ページみたいな展開だが、ベアトリーチェにとっては悪夢と変わりなかった。
——お伽話のお姫様はよく平気ね! 命懸けで守られたって嬉しくないわよ!
精霊の力を使う? でも、そんなことをしたらケルティーナ人の秘密がバレてしまう。
何とかしてロレンツォを呼びたいが、どれだけ叫んだところで、この強い風の中では屋敷まで届かないだろう。
——でも、一か八か、やるしかないわ!
ようは精霊の力だと悟られなければいいのだ。全身の力を振り絞り、吹き荒ぶ風の力をさらに強める。
こちらに飛んできた矢がくるくるとおもちゃみたいに回転し、パラパラと地面に落ちていく。
その中で、大きく風に煽られた木がついに根本からへし折れ、轟音を立てて倒れた。
「木が……」
呆然と呟くエンリコの腕の力が微かに緩む。その隙に体の下から抜け出したベアトリーチェは、まるで俊敏な猫のような動きでその場に立ち上がった。
鼻から血がタラっと垂れる感触がする。かつてないほどの力を使ったせいで、今にも意識が飛びそうだ。でも、ここで気絶するわけにはいかない。
「エンリコ様、今のうちに逃げましょう!」
エンリコの手を取って小庭を抜け出そうとした時、闇の中から矢を射た張本人たちがぞろぞろと姿を現した。
全員真っ黒な服を着て、ご丁寧に覆面までしている。この場にいるのは十人だが、見えないだけで周りにもいるのかもしれない。
「あなたたち誰よっ! ここがベスタ家だと知っているの⁉︎」
ベアトリーチェを背に庇おうとするエンリコを制し、威嚇するように声を上げる。そうでもしないと倒れそうだからだ。
相手からは何の回答もなかったが、黒ずくめのうちの一人がベアトリーチェの姿を見てビクッと肩を震わせた。その反応で、相手もケルティーナ人だと気づく。
——きっと、精霊の力が怖いのね。こっちには好都合だけど!
立っているのもやっとだが、後一回ぐらいは力を使えるだろう。ナイフを抜く黒ずくめたちを睨み据えた瞬間、闇の中から聞き慣れた声が近づいてきた。
「ベアトリーチェ様!」
「エンリコ様!」
まるでこの場に吹き荒れる風のような勢いで、倒れた木の向こうから息を切らせたロレンツォとリカルドが飛び込んできた。
ここに来るまでに戦闘になったのだろう。二人、特にリカルドの頬には闇夜でも目立つ鮮血が付着している。
二人は一瞬で状況を把握したようで、声もなく左右に散開すると、黒ずくめたちが身構える隙を与えず、一斉に襲いかかった。
銀色の刃が満月の光に反射する度に、黒ずくめたちから悲鳴が上がる。
ロレンツォが優雅な身のこなしで剣を振るうのに対し、リカルドの戦い方は粗野の一言だった。
頭突きはするわ、蹴りは入れるわで容赦無く相手を薙ぎ倒していく。農場で見せた穏やかさが嘘のように目は殺気立ち、顔には怒りが張り付いていた。
——リカルド様って、怒ると怖いタイプなのね……。
薄れゆく意識の中で最後に考えたのは、そんなくだらないことだった。
ハッと目を覚ますと、そこには見慣れた天井が広がっていた。どうやら、気絶して自室に運び込まれたらしい。窓からは朝焼けとおぼしき光が差し込んでいる。
風はまだおさまっていないようだ。鳥の鳴き声に混じって、ひゅうひゅうとうるさい音が聞こえてくる。
ベッドの左側には、両手を組んで前屈みに椅子に座り、じっとこちらを見つめているロレンツォがいた。
髪の毛はくしゃくしゃで目の下にはクッキリと色濃いクマが浮いているが、見る限り怪我はなさそうだ。
「ロレンツォ、無事だったのね……。助けてくれてありがとう。屋敷のみんなも無事? 誰も怪我をしてない?」
「大丈夫です。ニケがちょっと怪我をしましたが、軽傷です。逃げる時に転んだみたいですね」
「そう……。でも、よかった。みんな生きてて……」
胸のつかえが下り、大きく息をつく。
「エンリコ様も……?」
聞いたら怒るかもしれないと思いつつ、どうしても気になるので口に出す。
案の定ロレンツォは一瞬で顔を真っ赤にしたが、怒りを噛み殺すように歯軋りをして、普段より二オクターブぐらい低い声で言った。
「……無事です。今はお部屋でお休みになっていますよ。リカルド様も何ともありません。というか、あの人はきっと殺しても死にませんよ。強すぎます」
矛盾した言葉だが、言いたいことはわかるような気がする。苦笑いすると、ロレンツォは両手で顔を覆い、はあっと深いため息をついた。
「……本当によかった。あなたが無事で……。あなたに何かあったら、俺は……」
その続きは言えないようだった。
無骨な両手がカタカタと震えている。ベアトリーチェはベッドに身を起こすと、丸まったロレンツォの背中を優しく撫でた。
「ごめんなさい、ロレンツォ……。こんなことになるとは思わなかったの。もう勝手に出歩いたりしないわ。本当よ?」
ロレンツォは両手を顔から外し、涙で濡れた目でベアトリーチェを睨んだ。
「約束ですよ。俺の寿命をこれ以上縮めたくなければ、大人しくしていてください」
「わかったわ。どこかに行きたい時はきちんとロレンツォに言うから、ついてきてくれる?」
小首を傾げると、ロレンツォは泣き笑いのような表情を浮かべて小さく頷いた。
同時に部屋の中にノックの音が響き、反射的に扉の方に視線を向ける。
「姉さん、僕だよ。起きてる? 入ってもいい?」
「ヴィットリオ! 農場から戻ってきたのね。入ってちょうだい」
ベアトリーチェの声に応じ、扉が静かに開く。
「あれっ、ロレンツォ。まだ姉さんの部屋にいたの? 昨日から寝てないんでしょ? 大丈夫?」
ロレンツォはそれには答えず、涙目を隠すように顔を伏せると、頭を下げ、静かに部屋を出て行った。
それを呆然と見送っていたヴィットリオがハッと我に返り、ベッドに近づく。激しい火事を物語るように、服は煤で汚れていた。
「びっくりした……。ロレンツォ泣いてたじゃん。何したの、姉さん」
「死ぬほど心配させた。反省してるわ」
「それがわかってるんならいいよ」
よいしょ、と椅子に腰を下ろしたヴィットリオが穏やかに笑う。言われることはわかっているので、先手を打ってこちらから話しかける。
「農場、火事になったって? どのくらいの被害になったの?」
「うーん……燃えた範囲は広いんだけどね。休耕地だったから、実質的な被害はゼロかなぁ。ちょっとバナヌの木に燃え移ったりしたけど、収穫した後だったしね。不幸中の幸いってやつだよ」
「お母様たちは……?」
「あー、大丈夫大丈夫。みんな元気だよ。風も強かったし、念のために一晩泊まっただけ。だから心配しないで」
口元に笑みを浮かべたまま、ヴィットリオはひらひらと右手を振った。
「それより姉さんだよ。なんでこんな無茶したの。木をへし折るなんてさぁ」
「だって、それしか思いつかなくて……」
「まあ、結果的に助かったからよかったけど、もうやんないでよね。姉さんが倒れたって聞いて、心臓が止まるかと思ったんだから」
「ごめんね、ヴィー……」
口をへの字にしたヴィットリオの頭をそっと撫でる。大人びているとはいえ、まだ十三歳だ。屋敷に戻る間、気が気でなかっただろう。
「黒ずくめたちはみんな捕まったの?」
「それがさぁ、相手方に女がいたみたいで、精霊の力でこっちの目を眩ませたんだって。その隙に何人か逃げちゃったみたい」
「え? じゃあ、まだそのあたりにいるの? エンリコ様たちにも力を知られちゃったってこと? それって大丈夫なの?」
矢継ぎ早に問いかけるベアトリーチェに、ヴィットリオは肩をすくめた。
「すぐに捕まると思うよ。ここは島国だもん。海に出ない限り逃げきれないでしょ。それに、精霊の力はケルティーナ特有の鉱石で作った閃光弾って説明したみたいだから、たぶん大丈夫じゃないかな? 叩くと光を放つ石があるのは本当だし、他国には輸出してないから向こうには確かめる術もないしさ」
まるで用意されていた回答を話すみたいにすらすらと答えるヴィットリオに、植え込みでのミゲルの姿が重なる。
賢い弟だ。普段から口は回る方だが、回り過ぎているという気もする。
「ヴィー、あなた、何か嘘ついてない?」
「どうして嘘なんてつくのさ。そんなことをして僕に何のメリットがあるの?」
そう言われると答えられない。唸りながら散々迷った末、昨日抱いた疑惑を口にした。
「……ひょっとして、うちをよく思ってない他領の仕業なんじゃない? 農場が火事になった日に襲撃されるって出来過ぎよね?」
「まさか。火は行商人のタバコの不始末で、黒ずくめたちはお尋ね者の盗賊団だったって。お伽話の読み過ぎだよ」
笑い飛ばされて頬が熱くなる。穴があったら入りたいとは、このことを言うのだろう。
残念ながら穴はないのでベッドに潜り込むと、頭のあたりをぽんぽんと叩かれる感触がして、そうっと布団から顔を出した。
「心配しないで、姉さん。何も怖いことなんてないよ。だから早く良くなってね。父さんと母さんも、とても心配してるんだから。後で怒られるのを覚悟しときなよ?」
「うん……」
もごもごと呟くと、ヴィットリオは榛色の瞳を優しく細め、椅子から立ち上がった。
「じゃあ、ニーナを呼んでくるね。昨日からずっと部屋の外で待機してるみたいだからさ。くれぐれも無理して動いちゃダメだよ? また様子見にくるからね」
手を振りながら去っていった小さな背中と入れ替わるように、部屋に飛び込んできたニーナがベッドに駆け寄ってきた。
顔からは血の気が失せ、いつもきちんと纏められた髪も乱れている。目の下のクマもひどい。ロレンツォと同じで、一睡もしていないようだ。
「ああ、お嬢様! ご無事でよかった! まさかこんなことになるなんて……。生きた心地しませんでしたよ!」
「ニーナ……」
ぎゅうっと痛いほど抱きしめられて、思わず涙腺が緩む。軽はずみな行動でここまで心配させてしまった事実に、ひどく胸が痛んだ。
「ごめんなさい。もう不用心に出歩いたりしないわ。ロレンツォとも約束したの」
「本当ですよ。私の残り少ない寿命をこれ以上縮めないでくださいな。私がいなくなったら、誰がお嬢様の髪を結うんです?」
ロレンツォと同じことを言われ、さらに胸が痛む。宥めるように背中を摩ると、ニーナはもう一度強くベアトリーチェを抱きしめた後、よろけるように体を離した。
その拍子に腰が側机にぶつかり、置いていた手帳が床に落ちる。それを拾い上げたニーナが不思議そうに小首を傾げた。
「あら、これは……? 本……? いえ、手帳ですね。お嬢様のですか?」
「書庫で見つけたの。たぶん、四百年ぐらい前のご先祖様のよ。今まで残っていたのが驚きよね」
まだあまり読めていないが、それらしい記述がいくつもあった。
四百年前といえばランベルト王国が建国された頃だ。持ち主は冒険心豊かな人間だったようで、半ば逃げるように家を飛び出した後、ケルティーナを離れて大陸中を旅していたらしい。
ミミズがのたくったような文字からは、当時の海向こうの様子が生き生きと伝わってきた。
「どうして、ご先祖様だとわかるんです? どこにも名前は書かれていないのに」
「だって、私と同じ浮遊の力があるみたいだし……」
そこまで言って、ハッと我に返った。咄嗟に口を覆ったが後の祭りだ。
「……お嬢様は浮遊の力をお持ちなんですか? 女王陛下を除けば、数百年に一人しか生まれないと言われているのに?」
「……お母様には内緒にしててくれる? 誰にも言うなって言われているの」
呆けたように口をぽかんと開けているニーナから手帳を受け取り、おずおずと顔を見上げる。
カテリーナにバレたら小言では済まない。ただでさえ無茶して力を使ってしまった後だ。これ以上叱られる要素を増やしたくはなかった。
「そんなこと、口に出せやしませんよ。私の妹も力は強い方でしたが、お嬢様ほどではありませんでした。まさかこんなに身近に……」
「え? ニーナって妹がいたの?」
ニーナの生家はベスタ家の分家筋だ。祖母の従姉妹の、そのまた従姉妹という遠縁のため、詳しい話はあまり知らない。長い付き合いだが、こうして家族の話を聞くのも初めてだった。
「もしかして、お姉さんやお兄さんもいる? その人が後を継いでいるの?」
「いえ、私は長女です。兄もいませんよ。ですが、私が使えるのは明かりの力ぐらいですから……。せめて火や水でも出せないと当主にはなれません」
——え、でも、別に当主になるのに精霊の力は関係ないんじゃ……。
そう言いかけて口を噤んだ。よくよく考えてみれば、力の強さだけで次期当主に据えられた身の上だった。
ベスタ家の分家筋なら、同じく精霊の力の強さで次期当主を決めてもおかしくはない。
精霊の力というものは植物の種子に似ていて、芽吹くかどうかは個人差がある。だが、大抵は長女の力が一番強いというのが通例らしく、そうでないニーナは珍しかった。
ベアトリーチェの力が強いのは長女ということに加え、一重に相性が良かったからだ。もしこれから妹が生まれても、ベアトリーチェほど力は強くないだろう。
「お嬢様はそんなに強い力をお持ちなのに、どうして当主になるのを嫌がるんですか? 浮遊の力もそうですが、成人してもいないのに木まで薙ぎ倒すなんて、女王陛下にも匹敵しますよ」
「だって、私が望んだわけじゃないもの……」
愚痴るようにこぼした時、一瞬、ニーナの表情が翳ったような気がした。
「ニーナ?」
急に不安に駆られ、甘えるように細身の体に擦り寄る。ニーナは黙ってベアトリーチェを見下ろしていたが、やがて口元に微かな笑みを浮かべ、小さく頷いた。
「……そうですね。あなたは自由な小鳥。羽ばたくのを誰にも止められやしませんわ」
囁くように呟いたニーナが、乱れた布団をかけ直してくれる。頭を撫でる手つきは、子供の頃に怖い夢を見て泣いていたベアトリーチェを慰めてくれた時と同じ、とても優しいものだった。
「さあ、ゆっくりお眠りください。日が昇り切るまでには、まだ時間がありますからね。いい夢を見られますように」
低く、穏やかに響く子守唄の旋律に誘われ、ベアトリーチェは闇の中に意識を手放した。
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そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
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※お待たせしました。
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