フランチェスカ異聞ー紫の騎士と赤き公爵令嬢ー

遠野さつき

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第2部 悲劇を越えた先へ

33話

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 ロマーニャの森は昼間でも薄暗い。幾重にも重なり合う葉が空を覆うように広がり、太陽の光を遮っているせいだ。

 日暮れ前に辿り着いたとはいえ、ぐずぐずしているとあっという間に闇に閉ざされてしまう。それまでに今日の野営場所を見定めねばならない。

 四方を取り囲む鬱蒼とした木々は人の方向感覚を狂わせる。不用意に突き進めば、すぐに道を見失い、二度と太陽の光を拝めなくなるだろう。これこそが、ロマーニャの森が人喰いの森と呼ばれる所以だった。

 幸いにも、サミュエルにはシルヴィオが作り上げた地図がある。手製の地図には、森を抜ける最短ルートや、水を汲める小川や湧水の位置、果ては親切な森番の居場所に至るまで、小綺麗な筆跡できっちりと記されていた。

 灯したカンテラで行き先を確認しながら、ちらりと後ろを伺う。馬一頭分の距離を空けて静止したエミリアが、馬上でフランの立て髪を優しく撫でている。

 しかし、その表情は暗い。王都を飛び出してからというもの、彼女は一言足りとも言葉を発していなかった。サミュエルが疲れ具合を尋ねても首を振るだけで、ただ黙々と後をついてくるばかりだ。

 ——だいぶ参ってるな。

 ふう、と息をついて地図を畳んだとき、何かが頬にぽつりと当たる感触がした。触ると微かに濡れている。頭上を振り仰ぐと、茂った葉を揺らしながら、大粒の雨が降り注いでくる様が見えた。

「ついてないな……」

 思わず愚痴がこぼれたが、不運を嘆いている場合ではない。後ろのエミリアに声をかけ、サミュエルは馬首を北に向けた。

 この近くに親切な森番がいる小屋があるはずだ。テントがあるとはいえ、これからの長旅に備えて、できるだけ体力は温存しておいた方がいい。

 騎士たちとて森に入るには相当の準備がいる。まだ追手がこないことに賭けて、一晩の寝床を借りるつもりだった。

 ぽつぽつと降り始めた雨は瞬く間に豪雨になった。小屋に辿り着いたときには全身びしょ濡れになり、馬たちの立て髪もべったりと首に張り付いていた。

 森番の小屋は予想していたよりもしっかりとした作りで、隣に馬小屋も建てられていた。出かけているのだろうか。馬の姿は見当たらない。

 ——この雨だと、今日はもう戻ってこないかもしれないな。

 幸運に感謝しながら、そっと馬を下りて小屋に近づき、素朴な木作りの玄関に身を寄せる。慎重に中の様子を探ってみたが、何の気配も感じない。

 ノブに手をかけると、鍵はかかっていなかった。迷い込んだ旅人が使えるように、常に開けているのだろう。シルヴィオの言う通り、人が良いのは間違いなさそうだ。

「エミリア、今日はここで夜を明かしましょう。フランたちを繋いできますから、先に中に入っててください」

 こくり、と頷いたエミリアが、荷物を受け取って小屋の中に入って行った。いつもピンと伸びた背中は小さく丸まり、今にも倒れてしまいそうに見える。

 急く気持ちを押さえつけながら、サミュエルは手早く馬たちの手入れを済ませ、近くに積んであった飼い葉をたっぷりと与えてやった。

「ごめんな、フラン、カシウス。明日は、もっとちゃんと手入れしてやるから」

 わかっていますよ、と言うように鼻を鳴らす馬たちを撫で、サミュエルは小屋に戻った。

 魔法で火をつけてくれたのだろう。中から穏やかなオレンジ色の灯りが漏れ出している。扉を開けると、ふわりと温かい空気が頬を撫でた。

 ロングチュニックに着替えたエミリアが、広げた敷き布の上に腰を下ろし、火かき棒を手に、かまど兼暖炉の火を調節している。

 解いた赤い髪はしっとりと濡れ、いつもより若干ボリュームが落ち着いて見える。その頭上に張られたロープには濡れた洗濯物や袋がかけられ、ぽたぽたと床に滴を垂らしていた。

「荷物、中身は無事だったよ」

 火に視線を向けたまま、エミリアが部屋の奥を指差した。そこには腰の高さぐらいの小さな机があり、取り出した袋の中身が几帳面に並べられていた。

 机のそばには、ささやかなベッドが一つ備え付けられている。森番はケルティーナ人なのだろうか。薄手の掛け布団には独特の幾何学模様が刺繍されていた。

 ようやく話しかけてくれたことに安堵しながら、サミュエルはブーツを脱ぎ、濡れた服に手をかけた。そのまま一息に脱ごうとして、ぴたりと手を止める。

 ——二人っきりの密室で着替えていいのか?

 ノリクではエミリアが起きる前に着替えを済ませていたから、こうして改めて肌を晒すのは何だか気恥ずかしかった。

「どうした? 早く着替えないと風邪をひくぞ」
「いや、その、外で脱いだ方がいいのかなって」
「今さらだろ。王城であれだけ堂々とドレスを脱ぎ捨てておいて」

 確かにそうなのだが、あそこにはシルヴィオもいたし、そもそも緊急事態だった。できればなかったことにしたい。

 しかし、許しを得たことには変わりないので、エミリアに背を向けつつ、手早く着替えた。

「暑いか?」
「いえ、雨で体が冷えてますし、ちょうどいいです」

 エミリアの隣に腰を下ろし、炙るように暖炉に両手をかざす。冷えた体にじんわりと伝わる熱が、この上なく気持ちいい。

 そのまま、二人ともしばらく黙って火に当たっていたが、ふいにエミリアが「なあ」と沈黙を破った。

「はい」
「事情、聞かせてくれよ。なんであんなことになったんだ」

 火を見つめたまま淡々と問うエミリアに、サミュエルは四日前の話を聞かせた。

 エミリアはじっと黙って耳を傾けていたが、先王夫妻の死の真相、そして何より、フランチェスカを蹂躙したい理由がエンリコに対する強い憎しみ故のものなのだと知り、色の失せた唇を震わせていた。

「……カルロは、エンリコ様さえいなければと思ったのかもしれません」

 その果てに、エンリコの血を引くエミリアまでも憎んだ。理不尽な話だが、あり得ないことではない。サミュエルもフランチェスカに向かう前は、エミリアを同じ目で見ていたからだ。

「羨ましかったのかもしれない……」
「え?」
「自分がどれだけ努力しても得られないものを、父上は易々と手に入れていく。だから、取り上げて壊してやろうと思ったのかも……」
「そんな……だったら、親父もそうじゃないですか。むしろエンリコ様より先王夫妻のそばにいたと思いますよ」
「いや、きっとカルロにとって、ロドリゴ卿は……」

 エミリアはそれ以上何も言わず、ぎゅっと唇を噛み締めた。

「……それから? 私とお前がシルヴィオの特訓を受けてた頃、ロドリゴ卿はどう動いていたんだ? ただ貴族たちに声をかけただけじゃないんだろう?」
「まず親父はカルロに、エミリア……フランチェスカ公爵が後ろ盾を求めてやってきたと言ったんです。息子を殺したとも知らず、のこのこと剣を持ってやってきた。だから、罠に嵌めて復讐をしたい。そのために貴族たちを集めさせてくれと」

 カルロはロドリゴが全てを気づいているとは知らない。だから、開戦の意を見せたエミリアがロドリゴを訪ねたことを怪しみはしただろうが、最終的に許可を出した。

 エミリアが何を企んでいるのか確認したかっただろうし、王城で言っていたように、暗殺者がきたことで身の危険を感じ、なりふり構わずに強硬策に出たと思ったのかもしれない。

 許可を得たロドリゴは、怪しまれずに貴族たちに接近できるという状況を利用して、特に信頼のおける反戦派たちの元を訪ね、先王夫妻の死の真相と南部の戦争の一部始終を明かした。そして反乱を起こす意思を伝え、彼らに助力を仰いだ。

 彼らはみんな古くからの忠臣で、先王夫妻の死を深く悼んでいた。エンリコが戦争を起こしたことにも懐疑的だったらしい。そのため、カルロが犯した罪を知るや否や怒髪天をつく勢いで怒り出し、揃ってロドリゴに追従の意を示した。

 新興貴族たちばかりが取り立てられる現状にも不満を抱いていたようだ。カルロは知らず知らずのうちに敵を増やしていたとも言える。

 古老たちに今まで黙っていたことを散々絞られ、げっそりして帰ってきたロドリゴの「こうなることがわかってたから黙ってたんだ」という愚痴混じりの呟きが今も忘れられない。

 彼らはロドリゴたちが王都を脱出したタイミングで自領に赴き、周辺の所領にも反乱をうながした上で、自らも蜂起すると約束してくれた。

「王国軍の兵力は圧倒的ですが、その大部分は各地に駐屯しています。その土地の領主が王国に反旗を翻したら?」

 王国軍の各地派遣は、元々は治安維持と領主の監視のために作られた制度だったが、長き平和の果てに目的は形骸化し、その土地で家族を作ったものも多い。

 長くいればいるほど愛着も湧く。王国軍の兵士の多くは土地も財産も持たない無産階級だ。王都が故郷であるものならともかく、そうでないものにとっては、今自分がいる場所こそが守るべき故郷だった。

「つまり……王国軍対反乱軍という図式にしたいってことか? 確かに王国軍の兵力が分断されれば優位になるが……でも、そんなに上手くいくのか? どんなにロドリゴ卿が人望厚くても限界がある」

 眩暈がしたように、エミリアが片手で額を押さえた。

「それに、もし上手くいったとしてもその後は? カルロには妻も子もいない。次は後継者争いが起きるぞ! 十年前にロドリゴ卿が危惧したように、近隣諸国も攻めてくるかも……」
「だから俺たちはファウスティナに向かうんです。貴族たちを味方につけ、内乱を早く納めるためには、わかりやすく、かつ絶対的な旗印が必要になる」
「旗印? ファウスティナ公爵に助力を請うのか? 確かに王家の血を引いているが……」
「いいえ、彼よりもはるかに強力な旗印です。俺たちが引き入れるべきは、カルロの双子の弟、ダンテです」

 エミリアの目が大きく見開かれた。無理もない。サミュエルとて、信じられない気持ちだった。

 ——親父もとんでもない隠し玉を持ってたもんだ。

 深く嘆息したサミュエルは、呆然とするエミリアに、ロドリゴから聞いた過去を語った。

 二十八年前、カロリーナは美しい金髪と青い瞳を持つ男児を産んだ。赤子を取り上げたのは、ロドリゴに毒殺の秘密を託して亡くなった、まだ若き日の侍医だ。

 その場に立ち会っていたのは、夫であるアデルと、親友のロドリゴとソフィア、そしてカロリーナの侍女と、侍医の助手の青年だった。エンリコはその頃フランチェスカを継いだばかりだったので、王都にはいなかった。

 産声が二つ上がったとき、現場は騒然となった。双子で、よりにもよって王位継承権を持つ男児だ。生かしておけば禍根が残る。しかし、アデルとカロリーナには、どちらかを選ぶことなどとてもできなかった。

 幸いにも信頼できる人間で脇を固めていたので、秘密が漏れる可能性は低かった。アデルは、その場に居た全員に誓約書を書かせ、この秘密を墓まで持っていくことを約束させると、生まれたばかりの赤子にカルロとダンテと名付け、ダンテをカロリーナの実家であるファウスティナに預けることを決めた。

 そして、ロドリゴは城の人間に気づかれぬよう、仮の夫婦となった侍女と助手を連れて、まだ目も開かないダンテをファウスティナまで送り届けた。その手に、決して提出されることのない出生証明書を携えて。

 アデルとカロリーナがカルロに一歩引いた態度で接していたのは、遠いファウスティナにダンテを隠したという負い目があったからだ。

 何せ双子なのだ。カルロの顔を見るたびに、否が応でも、もう一人の息子のことを思い出してしまう。

 会うことが叶わない分、ダンテの気配を感じるのは、身を切るように辛かっただろう。愛情が深い故の葛藤なのだが、それが結果的にカルロの心に闇を植えつけたのは、何とも皮肉な話だった。

 カルロの成人式の日、ロドリゴはアデルの命でファウスティナに滞在していたと言っていた。それは、共に祝えないアデルたちの代わりに、ダンテの成人式を祝うためだったのだ。

「子供の頃、俺は一度、見たことがあります。カルロやエンリコ様と同じ、金髪青目の青年を」

 エンリコの肖像画を見上げたときに感じた既視感の正体はこれだったのだ。ロドリゴがファウスティナ公爵と話している隙に迷い込んだ庭園で、サミュエルはダンテと会っていた。

「また双子か……王家は呪われているんじゃないのか?」

 はは、と乾いた笑い声を上げるエミリアの顔は、今にも泣きそうに歪んでいた。震える手が垂らした髪をくしゃりと掴む。

「……それで? ロドリゴ卿からの手紙には何が書いてある? これからの指示か?」
「ああ、そうですね。開けましょう」

 押し殺した声に弾かれるように立ち上がり、机の上に置かれていた封筒を手にとる。念の為に蝋紙で包んでいたおかげで、中は無事のようだ。

 封蝋を切り、中身を取り出す。入っていたのは、ファウスティナ公爵宛ての封筒と、エミリア宛ての封筒だった。

 道理で分厚いはずだ。他には手のひらぐらいの大きさの羊皮紙が一枚だけ入っていて、そこにはサミュエルに向けて、『しっかりやれ』と一行だけ書かれていた。

「指示というか……エミリア宛てです」
「……私に?」

 戸惑いつつも封筒を受け取ったエミリアが、小さく折り畳まれた羊皮紙を取り出し、中の文字に目を走らせていく。

 何が書かれているのだろうか。読み進めていくうちに顔は青ざめ、羊皮紙を持つ手は隠せないほどに震えていた。

 ハラハラしながら見守るサミュエルの前で、最後まで手紙を読み終えたエミリアが「ううっ」と嗚咽を漏らす。そして、そのままくずおれるように床にうずくまって泣き始めた。

 まるで子供のように泣きじゃくるエミリアに戸惑いながら、床に落ちた手紙を拾い上げる。

 そこには、エミリアに黙って事を起こしたことへの謝罪、エンリコを救えなかったことへの悔恨、そしてカルロの罪を隠し、結果的に悲劇を生んだことへの懺悔が書き連ねてあった。

『馬鹿息子をよろしく。どうか生き延びてくれ』

 何度も迷いながら書いたのだろう。乱れた筆跡の最後には、そう記されていた。

「なんで……なんで、こんな……私のせいだ……私が生きたいと願ったから……だから……」
「エミリア、泣かないで……全て覚悟の上なんですよ。あなたを守るためなら、俺たちはどんなことだってする。フランチェスカのみんなだって……」
「やめてくれ! 私にそんな価値はない! 元々、間引かれるはずの命だったんだ! なのに……こんな……こんなことになるのなら、最初から殺されていればよかった!」
「馬鹿なことを言うな!」

 細い両肩を掴み、力ずくで床から引き剥がす。涙で濡れた瞳の中に、激しい怒りをたたえたサミュエルの顔が映り込んでいた。

 未来から戻った日、共に生きたいと言ってくれたのは何だったのか。約束を違えるつもりなら、エミリアだろうと許さない。

「俺が何のために戻ってきたと思ってるんだ? マリアンナさんとも約束したでしょう! あなたは生き延びるんですよ!」
「生き延びた先に何があるんだ? 私はこの世界から消された存在だぞ! みんな私にエミリオを重ねているだけだ! お前だって……お前だってそうだろう? お前が好きになったのは未来の私で、今の私じゃないっ!」
「そんなわけないだろ!」

 かあっと頭に血が上り、湧き上がる衝動のままにエミリアを仰向けに押し倒した。両手首を掴んで、暴れる足を太ももで押さえ込み、食いつくように口付けを落とす。

 サミュエルから逃れようと、エミリアは必死に身を捩って抵抗したが、女の力で敵うわけもない。そのうち執拗な責めに疲れ果て、くたっと力が抜けたところで、ようやく唇を離した。

「……俺の胸に耳を当ててください」

 酸欠のためか、顔を真っ赤にして空気を求めるエミリアに覆い被さり、耳元に囁く。彼女は意図がわからず戸惑っていたが、サミュエルが引かないのを見ると、頭を起こし、そっと胸に耳を当てた。

「聞こえるでしょう? 俺の心臓の音。こうしてそばにいるだけで、破裂しそうなほどドキドキしてるんですよ。自覚したのは確かに遅かったけど、きっと、城壁の上で一緒に小麦畑を見たときから、俺はあなたに惚れてたんだ」

 まだエミリアをエミリオだと思っていた頃、夕焼けに照らされた横顔を、美しいと感じたことを覚えている。憎しみに囚われていたばかりに、気づかないふりをして蓋をしたのだ。

 しかし、エミリオがエミリアだと知った瞬間から、その気持ちはどんどん大きくなっていき、そしてついにあふれ出した。

 ここまできたら、もう止めることなどできやしない。フランチェスカを囲む双子川のように、ずっと先まで流れていくしかないのだ。

「好きだ、エミリア。これから何が起きたって、俺たちはずっと一緒だ。たとえ信じて貰えなくても、何度だって言うよ。俺は、あなたを愛してる」

 大きく見開かれたエミリアの瞳から、涙があふれ出した。掴んだままだった手首から手を離し、震える体を力一杯抱きしめる。

 大きく息を吸い込むと、彼女の体からは、二人が愛してやまない、フランチェスカの小麦畑の香りがした。
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