73 / 190
#73 ビーフステーキウェルダン編と、ツナ入りクリームソースパスタ。その1
しおりを挟む
さて、夜営業も無事に終了し、賄いを作る。
まずは、ツナを使用した一品を。
生パスタを大鍋に入れる。
続けてホワイトソースを入れてあるトレイを冷蔵庫から出すと、残っていたのは1ブロック=1皿分。
そのブロックをフライパンに入れて弱めの中火に掛け、焦げない様に混ぜながらじんわりと軟らかく戻して行く。
クリーム状になり、鍋肌から小さく沸いて来たら、オイルを切ったツナと塩茹でブロッコリを入れ、温めながら混ぜる。
ツナは使い切れないので、残りは明日の朝に使う事にしよう。
その頃にはパスタが茹で上がるので、水分を切ってホワイトソースに入れて和える。
皿に盛り、胡椒を多めに振って完成である。
さて、もう一品。
今日も無事ビーフステーキ肉が余ってくれたので、昨夜約束したウェルダンのステーキを焼く。
味付けは昨日と同様、塩胡椒とタイム。焼き方は殆ど変わらないが、裏返したら30秒ほどと昨日よりやや長め。
いつもは生臭さを敬遠する為か、もう少し長めに焼いていた。壱はそれを習いながらも「少し長めなんだな。肉が硬くならないかな」と思ってはいたが、それがこの食堂のレシピなのだからと、口を出さずにいた。
確かに味は美味しかったのだが、もっと軟らかく美味しくなるのなら、きっとその方が良い。
これまでも改良を重ねて来たと言っていた。ならこれからもそれで良い筈だ。昨日カリルも言っていたでは無いか。ギリギリの焼き加減で行けたら、と。
今回は昨日の様にカリルと、そして逆サイドには茂造が。
「主に肉を焼くのは儂じゃからの。儂も習っておかんとな」
壱は説明をしながら、ステーキを焼いて行く。裏返して肉を引き上げるタイミングで、やはり茂造も驚いて言った。
「そんなに短くて大丈夫なのかの?」
「充分。丁度良く火が通ってる筈だよ。切ってみたら解るからさ」
今回はステーキ肉が1枚だったので、添え付けのじゃがいもと人参も一緒に焼いて。両方とも既に茹でてあるので、温める程度である。
皿に盛り、塩茹でブロッコリも添えて。
他のメニューは既にマユリたちの手によって運ばれている。壱はステーキの皿を手に、茂造たちとホールに向かった。
「待たせたの。ではいただこうかの」
全員がテーブルに着き、早速食事が始まる。
壱は茂造とカリルが見つめる中、真っ先にビーフステーキにフォークを入れた。さて現れた断面は、中心部分までしっかりと火が通っている。赤い部分は無い。だが肉汁がじわりと滲み出て来る。
切り分けると、ふたりのフォークが早速伸びて来た。まずはカリルが躊躇無く口に入れ、じっくりと味わう様に咀嚼する。飲み込んだ後、眼を見開いた。
「うん! ああ、成る程な! 確かにこれは良いな! 中までしっかり火が通って赤い部分は無いけど、なんかいつもよりジューシーな感じがする。肉汁が多いのかな。凄いな! 焼き時間でこんなに変わんだな!」
「あんまり長く焼くと肉汁も少なくなっていくのかな。やっぱりちょっと火を通しすぎてたのかもだな。これくらいで丁度良いと思うんだけど」
「ふむふむ、軟らかくて食べ易くて良いの。勿論旨い。では、明日からビフテキはこの焼き方で行こうかの。大丈夫じゃ、ばっちり覚えたぞい」
茂造も満足そうに頬張りながら言った。
「あらぁ、また違う焼き方のステーキなのぉ~?」
マーガレットが訊いて来たので、壱は頷く。
「今日は中まで火が通ってるやつ。でもいつもと焼き時間が違うんだ。良かったらみんなも食べてみてよ」
「あらっ、じゃあ有り難く~」
「ボクもボクも!」
「わ、私も」
壱が言うと、マユリとメリアンもカットされたステーキにフォークを刺した。それぞれ噛り付き、納得した様に幾度も頷く。
「成る程ー、カリルの言う通りだ。何かしっとりしてると言うか。美味しいね!」
「で、ですね。美味しい、です」
「いいわねぇ。ワタシもこれぐらいの弾力が好きかも~」
サントも勿論しっかりと食べていて、うんうんと頷いている。
良し。これなら茂造の言う通り、食堂のビーフステーキを改良しても大丈夫だろう。少しはお役に立てただろうか。
まずは、ツナを使用した一品を。
生パスタを大鍋に入れる。
続けてホワイトソースを入れてあるトレイを冷蔵庫から出すと、残っていたのは1ブロック=1皿分。
そのブロックをフライパンに入れて弱めの中火に掛け、焦げない様に混ぜながらじんわりと軟らかく戻して行く。
クリーム状になり、鍋肌から小さく沸いて来たら、オイルを切ったツナと塩茹でブロッコリを入れ、温めながら混ぜる。
ツナは使い切れないので、残りは明日の朝に使う事にしよう。
その頃にはパスタが茹で上がるので、水分を切ってホワイトソースに入れて和える。
皿に盛り、胡椒を多めに振って完成である。
さて、もう一品。
今日も無事ビーフステーキ肉が余ってくれたので、昨夜約束したウェルダンのステーキを焼く。
味付けは昨日と同様、塩胡椒とタイム。焼き方は殆ど変わらないが、裏返したら30秒ほどと昨日よりやや長め。
いつもは生臭さを敬遠する為か、もう少し長めに焼いていた。壱はそれを習いながらも「少し長めなんだな。肉が硬くならないかな」と思ってはいたが、それがこの食堂のレシピなのだからと、口を出さずにいた。
確かに味は美味しかったのだが、もっと軟らかく美味しくなるのなら、きっとその方が良い。
これまでも改良を重ねて来たと言っていた。ならこれからもそれで良い筈だ。昨日カリルも言っていたでは無いか。ギリギリの焼き加減で行けたら、と。
今回は昨日の様にカリルと、そして逆サイドには茂造が。
「主に肉を焼くのは儂じゃからの。儂も習っておかんとな」
壱は説明をしながら、ステーキを焼いて行く。裏返して肉を引き上げるタイミングで、やはり茂造も驚いて言った。
「そんなに短くて大丈夫なのかの?」
「充分。丁度良く火が通ってる筈だよ。切ってみたら解るからさ」
今回はステーキ肉が1枚だったので、添え付けのじゃがいもと人参も一緒に焼いて。両方とも既に茹でてあるので、温める程度である。
皿に盛り、塩茹でブロッコリも添えて。
他のメニューは既にマユリたちの手によって運ばれている。壱はステーキの皿を手に、茂造たちとホールに向かった。
「待たせたの。ではいただこうかの」
全員がテーブルに着き、早速食事が始まる。
壱は茂造とカリルが見つめる中、真っ先にビーフステーキにフォークを入れた。さて現れた断面は、中心部分までしっかりと火が通っている。赤い部分は無い。だが肉汁がじわりと滲み出て来る。
切り分けると、ふたりのフォークが早速伸びて来た。まずはカリルが躊躇無く口に入れ、じっくりと味わう様に咀嚼する。飲み込んだ後、眼を見開いた。
「うん! ああ、成る程な! 確かにこれは良いな! 中までしっかり火が通って赤い部分は無いけど、なんかいつもよりジューシーな感じがする。肉汁が多いのかな。凄いな! 焼き時間でこんなに変わんだな!」
「あんまり長く焼くと肉汁も少なくなっていくのかな。やっぱりちょっと火を通しすぎてたのかもだな。これくらいで丁度良いと思うんだけど」
「ふむふむ、軟らかくて食べ易くて良いの。勿論旨い。では、明日からビフテキはこの焼き方で行こうかの。大丈夫じゃ、ばっちり覚えたぞい」
茂造も満足そうに頬張りながら言った。
「あらぁ、また違う焼き方のステーキなのぉ~?」
マーガレットが訊いて来たので、壱は頷く。
「今日は中まで火が通ってるやつ。でもいつもと焼き時間が違うんだ。良かったらみんなも食べてみてよ」
「あらっ、じゃあ有り難く~」
「ボクもボクも!」
「わ、私も」
壱が言うと、マユリとメリアンもカットされたステーキにフォークを刺した。それぞれ噛り付き、納得した様に幾度も頷く。
「成る程ー、カリルの言う通りだ。何かしっとりしてると言うか。美味しいね!」
「で、ですね。美味しい、です」
「いいわねぇ。ワタシもこれぐらいの弾力が好きかも~」
サントも勿論しっかりと食べていて、うんうんと頷いている。
良し。これなら茂造の言う通り、食堂のビーフステーキを改良しても大丈夫だろう。少しはお役に立てただろうか。
11
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる