95 / 190
#95 昆布出汁の豚汁と、昆布の味噌佃煮で朝ご飯。その1
しおりを挟む
怒涛の夜営業が終わり、ゆったりと銭湯に浸かり、食堂に戻る。
壱は部屋に戻る前に、2階のキッチンに寄る。
昼にサユリに協力して貰って出来た昆布。早速明日の朝に使いたいので、鋏で適当なサイズに切って行く。
「サユリ、これ、また悪いんだけど、劣化を止めたりとか、増やしたりとか、お願い出来るかな」
茂造は既に自室に入っているが、サユリは壱に付いて来ていた。訊くと、サユリは鼻を鳴らす。
「そうカピな。我にとってもそれが楽カピ」
「ありがとう。助かるよ!」
これで昆布出汁がいつでも頂ける。
さて、明日の朝の準備である。と言っても、鍋に水を張り、昆布を浸けておくだけなのだが。
昆布出汁を取る為には、火に掛ける30分前から水に浸けるのが良いとされる。それは明日の朝に取り掛かっても間に合いそうかとは思うが、念の為前夜から浸けておく事にする。
昆布出汁の抽出には、水出しの方法もあると聞いた事がある。ならそれを兼ねさせて貰おう。
米も水に浸けておく。
し終えると、壱は部屋に戻る。後は寝るだけである。
「楽しみだなー昆布出汁の味噌汁!」
明日の昼には鰹も届く筈なので、ちゃんとした和風出汁を取る事が出来る日までもうすぐだ。
壱はベッドに潜り込む。サユリは壱の腰の辺りで丸まった。
「サユリ、お休み」
「お休みカピ」
眼を閉じると、すぐに眠気が訪れた。素晴らしきかな快眠。
さて、お待ちかねの朝である。壱はスキップでもしたくなる機嫌の良さで、キッチンに向かう。
昆布を浸けておいた鍋の蓋を開けると、水が薄っすらと色付いていた。
このままでも良い出汁が出ていそうだが、もっと濃く出す為に火に掛ける。鰹節が無いので、その分をカバーしたい。昆布の量も多めにしてある。
出汁が沸いて来たので、このタイミングで昆布を引き上げた。
そこに具を入れたい訳だが、今日は何にしようか。壱は一旦火を止め、厨房に降りる。
冷蔵庫を開けると、豚肉が眼に付いた。そうだ、豚汁にしよう。では他の具材は何にしようか。
棚を見て、玉ねぎ、じゃがいも、人参を取る。
2階に上がり、まずは米を炊く。
次に野菜を剥き始める。じゃがいもは皮を向いて適当に切り、人参は皮を剥かずにじゃがいもより少し小さなサイズに。
昆布出汁の鍋に入れて火を点ける。冷めてはいないので直ぐに沸いて来る。続けてざく切りにした玉ねぎを入れる。
次に豚肉を薄切りにして行き、鍋に入れて行く。灰汁を取り、少し煮込んで行く。
さて、お次は出汁を取った昆布である。捨てるなんてとんでも無い。今日は少し少なめだが、作ってみよう。
昆布を賽の目に切ると、フライパンへ。そこに味噌と砂糖、水を入れて、時折混ぜながら煮詰めて行く。
米が炊き上がったので、蓋を開けて解して蒸らす。
さて、豚汁の仕上げに入る。味噌を溶いて行く。緑のものは人参の葉を使うので、ざく切りにしておく。茂造が起きて来たら入れよう。
しかしその時、茂造が起きて来た。ナイスタイミング。
「じいちゃん、おはよう」
「おはようさんじゃのう、壱。今日もありがとうの。サユリさん起こして来るからの」
「うん。もう出来るよ」
茂造が洗面所に行くと、壱は豚汁に人参の葉を入れる。良く混ぜて、少し味を見てみる事にする。
壱は破顔する。ああ、久しぶりのこの味。ブイヨン出汁の味噌汁も確かに美味しかった。だがやはり昆布出汁には叶わない。
お揚げなどがあればもっと良かったのだが、無いので仕方が無い。今度豆腐作りなどに挑戦出来ないだろうか。
さて、昆布も良い感じに煮詰まって来た。昆布の味噌佃煮の完成である。これは小さな器に盛る。
豚汁をスープボウルに注ぎ、ご飯もスープボウルに。テーブルに置いて、朝食の完成である。
茂造がサユリとともに戻って来た。
「待たせたの。おや、何じゃろうかの、懐かしい香りがするぞい」
茂造が鼻をひくつかせた。
「サユリが採って来てくれた昆布を、サユリの魔法を借りて干したんだよ。今朝は昆布出汁で豚汁作ったよ!」
「おお!」
茂造が驚きで眼を見開き、次には嬉しそうに目尻を下げた。
壱は部屋に戻る前に、2階のキッチンに寄る。
昼にサユリに協力して貰って出来た昆布。早速明日の朝に使いたいので、鋏で適当なサイズに切って行く。
「サユリ、これ、また悪いんだけど、劣化を止めたりとか、増やしたりとか、お願い出来るかな」
茂造は既に自室に入っているが、サユリは壱に付いて来ていた。訊くと、サユリは鼻を鳴らす。
「そうカピな。我にとってもそれが楽カピ」
「ありがとう。助かるよ!」
これで昆布出汁がいつでも頂ける。
さて、明日の朝の準備である。と言っても、鍋に水を張り、昆布を浸けておくだけなのだが。
昆布出汁を取る為には、火に掛ける30分前から水に浸けるのが良いとされる。それは明日の朝に取り掛かっても間に合いそうかとは思うが、念の為前夜から浸けておく事にする。
昆布出汁の抽出には、水出しの方法もあると聞いた事がある。ならそれを兼ねさせて貰おう。
米も水に浸けておく。
し終えると、壱は部屋に戻る。後は寝るだけである。
「楽しみだなー昆布出汁の味噌汁!」
明日の昼には鰹も届く筈なので、ちゃんとした和風出汁を取る事が出来る日までもうすぐだ。
壱はベッドに潜り込む。サユリは壱の腰の辺りで丸まった。
「サユリ、お休み」
「お休みカピ」
眼を閉じると、すぐに眠気が訪れた。素晴らしきかな快眠。
さて、お待ちかねの朝である。壱はスキップでもしたくなる機嫌の良さで、キッチンに向かう。
昆布を浸けておいた鍋の蓋を開けると、水が薄っすらと色付いていた。
このままでも良い出汁が出ていそうだが、もっと濃く出す為に火に掛ける。鰹節が無いので、その分をカバーしたい。昆布の量も多めにしてある。
出汁が沸いて来たので、このタイミングで昆布を引き上げた。
そこに具を入れたい訳だが、今日は何にしようか。壱は一旦火を止め、厨房に降りる。
冷蔵庫を開けると、豚肉が眼に付いた。そうだ、豚汁にしよう。では他の具材は何にしようか。
棚を見て、玉ねぎ、じゃがいも、人参を取る。
2階に上がり、まずは米を炊く。
次に野菜を剥き始める。じゃがいもは皮を向いて適当に切り、人参は皮を剥かずにじゃがいもより少し小さなサイズに。
昆布出汁の鍋に入れて火を点ける。冷めてはいないので直ぐに沸いて来る。続けてざく切りにした玉ねぎを入れる。
次に豚肉を薄切りにして行き、鍋に入れて行く。灰汁を取り、少し煮込んで行く。
さて、お次は出汁を取った昆布である。捨てるなんてとんでも無い。今日は少し少なめだが、作ってみよう。
昆布を賽の目に切ると、フライパンへ。そこに味噌と砂糖、水を入れて、時折混ぜながら煮詰めて行く。
米が炊き上がったので、蓋を開けて解して蒸らす。
さて、豚汁の仕上げに入る。味噌を溶いて行く。緑のものは人参の葉を使うので、ざく切りにしておく。茂造が起きて来たら入れよう。
しかしその時、茂造が起きて来た。ナイスタイミング。
「じいちゃん、おはよう」
「おはようさんじゃのう、壱。今日もありがとうの。サユリさん起こして来るからの」
「うん。もう出来るよ」
茂造が洗面所に行くと、壱は豚汁に人参の葉を入れる。良く混ぜて、少し味を見てみる事にする。
壱は破顔する。ああ、久しぶりのこの味。ブイヨン出汁の味噌汁も確かに美味しかった。だがやはり昆布出汁には叶わない。
お揚げなどがあればもっと良かったのだが、無いので仕方が無い。今度豆腐作りなどに挑戦出来ないだろうか。
さて、昆布も良い感じに煮詰まって来た。昆布の味噌佃煮の完成である。これは小さな器に盛る。
豚汁をスープボウルに注ぎ、ご飯もスープボウルに。テーブルに置いて、朝食の完成である。
茂造がサユリとともに戻って来た。
「待たせたの。おや、何じゃろうかの、懐かしい香りがするぞい」
茂造が鼻をひくつかせた。
「サユリが採って来てくれた昆布を、サユリの魔法を借りて干したんだよ。今朝は昆布出汁で豚汁作ったよ!」
「おお!」
茂造が驚きで眼を見開き、次には嬉しそうに目尻を下げた。
10
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~
よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】
多くの応援、本当にありがとうございます!
職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。
持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。
偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。
「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。
草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。
頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男――
年齢なんて関係ない。
五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる