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#106 夜の賄いで、鰹のたたきをみんなで。その2
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「サユリがそう言ってくれるなら安心だな。実はこのたたき、もっと美味しく作る方法があるんだよ」
「ほう、それは興味深いカピな」
サユリが鋭く眼を細める。
「藁に火を付けて、その炎で表面を炙るんだ。この村、麦育ててるだろ。もうすぐ米も作るし。その藁を貰えて、環境さえあれば、もっと美味しいたたきが作れるよ」
「その環境とはどう言うものカピか」
「ええと、ドラム缶とか、いやこの村では見た事無いか。四方を囲った耐熱の空間で藁を燃やしたら良いのかな?」
「なら、裏庭に耐火煉瓦か石で組めば良いカピ。耐火煉瓦も作れるカピよ。少しならストックが陶製工房にあった筈カピ」
「そっか。じゃあじいちゃんに言って、陶製工房に聞いてみるかな。藁焼きのたたきは本当に美味しいよ。これとは比べ物にならないぐらい」
元の世界で行った高知料理の居酒屋で頂いた藁焼きのたたきの味を思い出し、壱は眼を細める。
壱たちの世界でも、そういう専門店でも無ければ、なかなか食べられないものだった。
「ほう、それは楽しみカピ」
サユリはまた鼻を鳴らす。これは嬉しい証拠と見た。
陶製工房と言えば、擂り鉢を作って貰わなければ。これも底の溝の彫り方などを調べて、紙に写して。
絵心がある方では無いが、どうにか出来るか?
藁を焼く場所はどうにかなるとして、鰹を炎の上に翳すのに、金属製の長い串が最低でも2本必要だ。
この村では、金属加工はある程度出来る様だが、材料の生成はされていない。ある程度のストックはあるのだろうか。まずは木製工房のロビンに相談してみよう。
ああ、木製工房と言えば、箸も作って貰わなくては。これはサイズを調べなければならない。ただの木の棒と言う訳には行かない。使いやすいサイズで無ければ。
ああもう、調べなければならないもの、作って貰いたいものがいっぱいだ。
「なぁイチ、鰹のたたき、もう無いのか?」
カリルの台詞にたたきの皿を見ると、たたきは勿論玉ねぎとにんにくも綺麗さっぱり無くなっていた。他の料理はまだあるのに。
ああ、結局1切れしか食べられなかったか。少し残念。だが、みんな気にいってくれた様で良かった。たたきはまた作れば良い。
と思っていると、壱の小皿に鰹のたたきが2切れ、玉ねぎとにんにくスライスが添えられて置かれていた。一体誰が。
みんなを見渡す。隣に座るマユリと眼が合うと、頷きながらにっこりと微笑まれた。たたきを指差し、眼で「これマユリが?」と聞くと、マユリはまた頷く。
「ありがとう」
小さく言うと、マユリは照れた様にまた笑った。気が利く女性なのだ。
「サユリは? あれから食べられた?」
サユリに聞くと、ふむ、と頷く。
「マユリに纏めて取って貰ったカピ。堪能したカピよ」
「だったら良かった」
壱はマユリがキープしてくれた分のたたきを平らげた。
さて、では他の料理を楽しもうとしようか。何にしようかな。壱はやや悩んだ末、まず、鶏のハーブ焼きに手を伸ばした。
「ほう、それは興味深いカピな」
サユリが鋭く眼を細める。
「藁に火を付けて、その炎で表面を炙るんだ。この村、麦育ててるだろ。もうすぐ米も作るし。その藁を貰えて、環境さえあれば、もっと美味しいたたきが作れるよ」
「その環境とはどう言うものカピか」
「ええと、ドラム缶とか、いやこの村では見た事無いか。四方を囲った耐熱の空間で藁を燃やしたら良いのかな?」
「なら、裏庭に耐火煉瓦か石で組めば良いカピ。耐火煉瓦も作れるカピよ。少しならストックが陶製工房にあった筈カピ」
「そっか。じゃあじいちゃんに言って、陶製工房に聞いてみるかな。藁焼きのたたきは本当に美味しいよ。これとは比べ物にならないぐらい」
元の世界で行った高知料理の居酒屋で頂いた藁焼きのたたきの味を思い出し、壱は眼を細める。
壱たちの世界でも、そういう専門店でも無ければ、なかなか食べられないものだった。
「ほう、それは楽しみカピ」
サユリはまた鼻を鳴らす。これは嬉しい証拠と見た。
陶製工房と言えば、擂り鉢を作って貰わなければ。これも底の溝の彫り方などを調べて、紙に写して。
絵心がある方では無いが、どうにか出来るか?
藁を焼く場所はどうにかなるとして、鰹を炎の上に翳すのに、金属製の長い串が最低でも2本必要だ。
この村では、金属加工はある程度出来る様だが、材料の生成はされていない。ある程度のストックはあるのだろうか。まずは木製工房のロビンに相談してみよう。
ああ、木製工房と言えば、箸も作って貰わなくては。これはサイズを調べなければならない。ただの木の棒と言う訳には行かない。使いやすいサイズで無ければ。
ああもう、調べなければならないもの、作って貰いたいものがいっぱいだ。
「なぁイチ、鰹のたたき、もう無いのか?」
カリルの台詞にたたきの皿を見ると、たたきは勿論玉ねぎとにんにくも綺麗さっぱり無くなっていた。他の料理はまだあるのに。
ああ、結局1切れしか食べられなかったか。少し残念。だが、みんな気にいってくれた様で良かった。たたきはまた作れば良い。
と思っていると、壱の小皿に鰹のたたきが2切れ、玉ねぎとにんにくスライスが添えられて置かれていた。一体誰が。
みんなを見渡す。隣に座るマユリと眼が合うと、頷きながらにっこりと微笑まれた。たたきを指差し、眼で「これマユリが?」と聞くと、マユリはまた頷く。
「ありがとう」
小さく言うと、マユリは照れた様にまた笑った。気が利く女性なのだ。
「サユリは? あれから食べられた?」
サユリに聞くと、ふむ、と頷く。
「マユリに纏めて取って貰ったカピ。堪能したカピよ」
「だったら良かった」
壱はマユリがキープしてくれた分のたたきを平らげた。
さて、では他の料理を楽しもうとしようか。何にしようかな。壱はやや悩んだ末、まず、鶏のハーブ焼きに手を伸ばした。
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