異世界もふもふ食堂〜僕と爺ちゃんと魔法使い仔カピバラの味噌スローライフ〜

山いい奈

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#143 藁焼き場作り

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 壱は食堂に戻ると、中には入らず、耐火煉瓦れんがとサユリを乗せた手押し車を押したまま裏庭に回る。

 時間的に、これから作業出来るだろうか。今日で終わらなくても良いが、出来れば一気にやってしまいたい。

 先日の田んぼ作りで煉瓦積みはそれなりに慣れたつもりだし、少しは手際良く出来ると思うのだが。

 ああもう、こうして考えているより、実行した方が早い。壱はスコップを出すと、耐火煉瓦を積む位置に溝を掘り始める。耐火煉瓦片手に長さを測りながら。

 掘り終わると、トレイを出し、耐火モルタルを捏ねる。そして早速耐火煉瓦に塗り、積み始める。

 集中し、黙々と作業をする。サユリは手押し車から降りて、地面でくつろいで壱の作業をのんびりと眺めていた。

「壱、煉瓦積み巧くなったカピな」

「本当? 田んぼ作りの時にそれなりに慣れたつもりでいたけど、そう言って貰えると嬉しいよ」

 壱は笑みを浮かべながら、せっせと手を動かす。

 夜の仕込みが始まるまでに終わるだろうか。



 そのまま、時折一息吐きながら耐火煉瓦を積み続け、終わった時には「はー!」と大きく息を吐いた。

 30センチ程四方の耐火煉瓦で出来た枠。高さも30センチ程。ここに藁を入れ火を付けて、かつおなどを炙ってタタキを作るのだ。

 合うサイズの網があれば、バーベキューなども出来そうだ。この村ではまだ網を見た事が無いので、無いと思うのだが。

 とりあえずは鰹のタタキだ。漁師に鰹をお願いしよう。鰹だけでは無く、まぐろや鮭の炙りも美味しい。香ばしいマリネが出来るだろう。

「出来たカピか」

「うん。これでタタキが作れるよ」

「楽しみだカピ」

「本当? サユリがそう言ってくれると、他の村の人にも受け入れて貰える自信が出るよ」

「少なくとも、先日のタタキは食堂のメンバーには受け入れられていたカピよ」

 さて汗を掻いてしまったので、着替えなければ。手も綺麗に洗って、夜営業の仕込みに備えよう。

 そう思って厨房へ繋がるドアを開けると、既に仕込み作業が始まっていた。壱は驚き、そして焦る。

「え? え!? うわ、ごめん! 遅刻だ!」

 壱が慌てて言うと、茂造がほっほっほっと笑う。

「構わんぞい。いやの、壱を探して裏庭を覗いたら、熱心に煉瓦を積んでおったからの。見た所残る煉瓦も少なかったからの、仕上げて貰おうと思っての。あれじゃろう? 前に言っていた、鰹のタタキを作る場所じゃろ?」

「あ、うん、そう。じいちゃんありがとう。カリルもサントもありがとう。ごめんね」

「良いって良いって。この前作ってくれたやつより旨い鰹が食べられるんだろ? 楽しみだな!」

「うん、本当にありがとう。じゃ、俺着替えて来るから」

 壱は素早く階段へと向かう。

「慌てんでも良いからの」

「ありがとう」

 壱は出来る限り静かに、しかし急いで2階に上がった。
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