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#171 結婚式とパーティの準備をしよう その1

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 さぁ、カルとミルの結婚パーティの料理を作ろう。

 壱が作った段取りやレシピを、茂造がこの世界の言葉で書き直したものを、カリルとサントに渡す。

 ふたりはそれを真剣な表情でじっくりと読み込んだ後、カリルは大きく、サントは小さく頷いた。

「成る程。初めて作る料理ばっかりだけど、行けそうだな! 段取りも解りやすい。じゃ、始めるとするか。判らない所があれば、イチに聞けば良いんだよな?」

「はい。お願いします」

「ほっほっほ、では始めるとするかの。儂も初めて食べる料理もあるから、楽しみじゃのう」

 では、みんなで手分けをして調理開始である。

 まず、鍋をオリーブオイルで満たし、さばいて腹身と背身に分けた半身分のかつお、にんにく、ローリエを入れ、火に掛ける。

 オイルが熱くなり、材料から泡が出て来たら火を弱め、そのまま煮込んで行く。

 次に玉ねぎを微塵切みじんぎりにし、やや深めの鍋に敷き詰めておく。

 続いて取り出すのは豚ロースのブロック肉。表面に塩と胡椒こしょうを擦り込み、フライパンで全面に焼き目を付ける。中まで火を通す必要は無い。

 そうしてこんがりと良い焼き色になった豚肉を、玉ねぎの微塵切りの上に乗せ、蓋をすると、弱火に掛ける。

 蒸すのである。これで後は数十分置いておく。

 次は牛肉である。適当な大きさに切り、塩と胡椒で下味を付けておく。

 玉ねぎは薄切り、マッシュルームは半分にカット。にんにくは包丁の腹で潰しておく。

 まずは鍋にオリーブオイルを引き、牛肉の表面を強火で焼き、一旦取り出す。

 同じ鍋で玉ねぎとにんにくを炒める。玉ねぎが淡い飴色になったら牛肉を戻し、赤ワインと水を注ぎ、塩とローリエを入れて煮る。

 灰汁が出れば丁寧に掬う。

 マッシュルームを追加して、後は弱火で煮込んで行くだけである。

 次は鶏肉だ。鍋に水を入れて火に掛ける。

 部位がもも肉、胸肉、ささみとばらばらなので、ささみの大きさに合わせてカットして行く。

 湯が沸いたら塩を入れ、続けて鶏肉を入れて行く。

 再沸騰したら極弱火にし、じっくりと火を通して行く。

 続けてたいである。これも捌いて切り身にして貰ってある。

 浅蜊あさりは昨夜から冷蔵庫で砂吐きをさせていたので、もう終わっている筈だ。貝殻同士をこすり合わせる様に洗って行く。

 合わせる野菜はトマト。ざく切りにする。オリーブとブラックオリーブもふんだんに。これは切らない。にんにくは微塵切りにしておく。

 調べたレシピではアンチョビやケイパーで味を付けるが、この村には無いので、鯛の肝を使う。

 温めたフライパンに入れ、木べらで潰しながらじっくりと炒めて行く。白ワインを少量加え、アルコールとともに臭みを抜いて行く。

 そもそも捌きたて、新鮮なので、臭みは殆ど無い筈だ。

 そうして肝ソースの出来上がり。アンチョビの代わりに少量を使う。

 後は鯛と浅蜊から旨みが出るだろうから、美味しく出来るだろう。

 さて、フライパンを火に掛けてオリーブオイルを引く。そこで鯛の表面を香ばしく焼いて、弱火に掛けてオリーブオイルを引いた浅型の鍋に移して行く。

 鯛の隙間の鍋底でにんにくと鯛の肝ソースを炒め、香りが出たら鍋を揺すって全体に行き渡らせて、他の具材を入れて行く。

 浅蜊、トマト、オリーブ、ブラックオリーブ。そして白ワインを振り、アルコールを飛ばす。その頃には浅蜊の口が開き掛ける。アルコールが飛んだら水を加え、煮込んで行く。

 この頃に鶏肉が茹で上がる。バットに布を敷いき、そこに鍋から上げて並べ、冷まして行く。

 さぁ次だ。ブロッコリを小房に分けて、沸かした湯で茹でて行く。勿論塩も入れてある。

 玉ねぎはスライスにして水にさらす。、今日は生でたっぷりいただくので、少しでも辛味を抜いておきたい。

 茹で上がったブロッコリはザルで丘上げにする。バットに布を敷き、その上に並べて粗熱あらねつを取り、そのまま冷まして行く。

 玉ねぎもそろそろ良いだろう。布で水分をしっかりと拭き取り、冷めたブロッコリと一緒に、使う直前まで冷蔵庫に入れておく。

 その間に鶏肉の粗熱が取れたので、両手で割いて解して行く。手で千切りにくい皮は包丁で千切りに。それも冷蔵庫に入れた。

 さて、蒸しておいた豚肉がそろそろ出来上がっているだろうか。蓋を開けると、白い湯気とともに甘い豚の香りが鼻を包む。良い匂いだ。

 真ん中に深く串を刺してみると、柔らかい豚肉からじわっと溢れ出て来るのは透明の肉汁。よし、大丈夫だ。

 取り出し、バットの上に置いて粗熱を取る。その後は冷蔵庫に入れるのだ。

 鍋に残っている玉ねぎ。これで豚肉のソースを作る。弱火で蒸していたので、焦げ付きも殆ど無い。

 甘くなっている玉ねぎをそのまま炒め、ほんのりと色が付いたら赤ワインを入れて煮詰めて行く。塩と胡椒で味を整え、バターを落として出来上がり。

 これも粗熱を取り、冷蔵庫へ。

 次に再びの鰹だ。残りの半身分を腹身と背身に切り分けて、串を打つ。

 トレイに乗せて裏庭に出ると、藁焼きの準備。耐火煉瓦たいかれんがで作成した枠にわらを入れ、火を付けると、勢い良く燃え上がる。

 その上、炎の中に鰹を突っ込むと、表面が香ばしく焼けて、良い香りが漂って来る。

 全ての面に焼き色が着いたらトレイに戻し、厨房に戻り、水を張ったボウルに放り込む。

 火は表面にしか入っていないので、すぐに粗熱は取れる。確認してから水から上げ、表面を良く拭い、トレイに乗せて冷蔵庫で冷やしておく。

 ここまで来たら、あと一息。

 オリーブオイルで煮ておいた鰹が出来上がって来たので、引き上げ、バットに乗せてフォークで解して行く。

 次にきゃべつをザク切りに。にんにくは微塵切りに、唐辛子は輪切りに。

 これの仕上げは後にして、次は鮭を。適当な大きさに切り、これも仕上げは後で。冷蔵庫に入れておく。

 これらの作業を、全員で進めて行った。
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