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4章 偏食お嬢さんと、血液を作るご飯
第13話 これ、鶏とか豚でも作れますよね?
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冷暗庫と食材庫を開けて、献立を考える。
「ん~、やっぱり馴染みのある煮込みが良いかな。手軽に出来るやつ。蒸し大豆まだあるよね」
「あるぜ」
蒸す調理法の無いこの世界では大豆は水煮にするのだが、浅葱はほくほく感を生かしたいので、工夫をして蒸しているのである。
「じゃあ決まり」
浅葱は食材を出し、早速調理に取り掛かる。
にんにくは微塵切り、玉葱はスライスし、多めのパセリも微塵切りに。
早速購入して来ていた牛ヒレ肉を適当なサイズに切り、塩胡椒で下味を付けて、オリーブオイルを引いた鍋で焼き付けて行く。
牛ヒレ肉を一旦引き上げて、余分な脂が殆ど出ていない事を確認したらオリーブオイルを足して、まずは弱火でにんにくを炒める。
香りが出たら玉葱を入れ、しんなりするまで炒める。
白ワインを入れて強火にし、鍋底に付いた牛ヒレ肉の旨味を刮げながら、しっかりと煮詰めて行く。
そこに焼き付けた牛ヒレ肉、大豆の水煮と水を入れて中火で煮込んで行く。
さて仕上げ。赤ワインビネガーを入れて強火で強い酸味を飛ばす様に煮込み、パセリを加えてさっと混ぜて、塩胡椒で味を整える。
牛ヒレ肉と大豆とパセリのビネガー煮込み、完成である。
「お待たせ。牛の脂身の少ないお肉を、ビネガーでさっぱりと煮てみたよ」
浅葱とカロムふたりで運び、それぞれの前に置いてやる。ふわりと漂う香りに、マリナは鼻をひくつかせた。
「良い香り。爽やかな感じがする。美味しそう。じゃあ早速」
そう言ってスプーンを手にしたマリナを、マルスが嗜める。
「姉ちゃん、お祈り」
「あ、また忘れてた。駄目だぁ、アサギくんの料理の前だとつい急いちゃって」
マリナは苦笑するとスプーンを元の場所に置き、胸元で両手を組む。感謝を捧げ、顔を上げると。
「じゃあいただきまーす!」
今度こそスプーンを取り、マリナは牛肉を掬い上げる。そして口へ。もぐもぐとしっかり味わって、嬉しそうに頬を綻ばせた。
「美味しい~。ビネガーのお陰でお肉がすごいさっぱりと食べられる~」
「本当だ。これ赤ワインビネガーですか? 牛肉に負けてない。この前の赤ワイン煮込みはもっとしっかりとした感じだったけど、こっちはさっぱりで、でも牛肉に合うんですね」
浅葱もひとつ食べてみる。赤ワインビネガーの程良い酸味が、脂身の少ない牛ヒレ肉を更にさっぱりさせている。柔らかな牛ヒレ肉は噛めば噛むほど旨味が滲み出て来て、赤ワインビネガーと合わさって更なる美味しさを生み出す。
「大豆もほくほくしてて美味しい。凄いなぁ」
マリナは満足げにうっとりと眼を細める。
「この緑のは何ですか?」
「パセリだよ」
「パセリ!?」
マリナが驚いて眼を見開く。
「嘘。私パセリ今でも食べられないよ? 青臭くて苦くて」
「パセリは火を通したら青臭みも苦味も抑えられるんだ。それを微塵切りにしてあるから、気にならないでしょう?」
「全然気にならない。普通に食べちゃってる」
「うちはパセリ出る時は煮物の飾りで、普通に一口大ぐらいの房だもんなぁ。姉ちゃんは食べられないから最初から抜いてるし」
「マルスくんはパセリ大丈夫なの?」
「はい。特別好きじゃ無いですけど、食べられます。なので出て来たら普通に食べますよ」
「牛肉もだけど、大豆とパセリにも貧血を緩和する栄養素があるんだ。特にパセリは凄いんだよ。ほうれん草より凄いよ。だからこうして食べられるんだったら、どんどん摂って欲しいな」
「お母さんに頼んでみる。微塵切りは面倒だろうから、私がやっても良いし」
「今日は包丁で微塵切りにしたけど、冷凍したら簡単だよ」
この世界の冷暗庫には、氷が作れる程度の性能の冷凍スペースがあるのだ。
「冷凍したパセリを乳鉢とかで潰したら、簡単に出来るよ」
「そっかぁ、成る程ね。今度やってみよう。うん、やっぱりお肉もパセリも美味しく食べられる。凄いなぁ」
マリナはそう言いながら次から次へと口に運んで行く。
「これ、鶏とか豚でも作れますよね?」
マルスの問いに、浅葱は「うん」と頷いた。
「鶏と豚だったら、赤ワインビネガーより白が合うと思うよ。後でこれの作り方を渡すから、アレンジしてみてね」
「おう。食ったらちゃちゃっと書いてやるからよ」
「いつもごめんね、ありがとう」
「いやいや。アサギはゆっくり字覚えてくれりゃ良いからな」
「うん。また勉強しなきゃ」
「ねぇマルス、あんたもしかして料理に興味があったりするの?」
マリナの言葉に、マルスは少し照れた様に笑う。確かにマルスの台詞の端々に、それらしい気配は滲んでいたが。
「うん。面白そうだなって思って。でも母さんは菓子作りは好きだけど、料理はそうでもなさそうだったから、教えてとか言い辛くてさ。今は前よりは楽しそうだけど」
「じゃあさ、マルスくんさえ良かったら、僕で良かったら教えるよ。いつでもここに来てくれて良いからね」
「本当ですか? やったぁ! ありがとうございます」
マルスが嬉しそうに破顔する。
「その時は私も一緒に来るからね。味見してあげる」
「いや、姉ちゃんがいると使える食材限られるから遠慮してくれ」
「酷い!」
そんな会話を楽しみながら、夕飯の時間は流れて行った。
マリナの貧血は緩和し、偏食も大分改善された。ロロアの薬、そして浅葱の料理によって。
料理が好きでは無かったルビアも、最近では楽しそうに料理していると言う。
慢心するつもりは無い。だが嬉しい、良かったと思うぐらいは良いのでは無いだろうか。
上手く行けばまだ薬も減らせるだろうし、いつか飲まなくても良い日が来るだろう。
それまで、浅葱も少しでも助けになれたら良いと思っている。
さて、では新しい貧血緩和メニューを考えてみようか。
「ん~、やっぱり馴染みのある煮込みが良いかな。手軽に出来るやつ。蒸し大豆まだあるよね」
「あるぜ」
蒸す調理法の無いこの世界では大豆は水煮にするのだが、浅葱はほくほく感を生かしたいので、工夫をして蒸しているのである。
「じゃあ決まり」
浅葱は食材を出し、早速調理に取り掛かる。
にんにくは微塵切り、玉葱はスライスし、多めのパセリも微塵切りに。
早速購入して来ていた牛ヒレ肉を適当なサイズに切り、塩胡椒で下味を付けて、オリーブオイルを引いた鍋で焼き付けて行く。
牛ヒレ肉を一旦引き上げて、余分な脂が殆ど出ていない事を確認したらオリーブオイルを足して、まずは弱火でにんにくを炒める。
香りが出たら玉葱を入れ、しんなりするまで炒める。
白ワインを入れて強火にし、鍋底に付いた牛ヒレ肉の旨味を刮げながら、しっかりと煮詰めて行く。
そこに焼き付けた牛ヒレ肉、大豆の水煮と水を入れて中火で煮込んで行く。
さて仕上げ。赤ワインビネガーを入れて強火で強い酸味を飛ばす様に煮込み、パセリを加えてさっと混ぜて、塩胡椒で味を整える。
牛ヒレ肉と大豆とパセリのビネガー煮込み、完成である。
「お待たせ。牛の脂身の少ないお肉を、ビネガーでさっぱりと煮てみたよ」
浅葱とカロムふたりで運び、それぞれの前に置いてやる。ふわりと漂う香りに、マリナは鼻をひくつかせた。
「良い香り。爽やかな感じがする。美味しそう。じゃあ早速」
そう言ってスプーンを手にしたマリナを、マルスが嗜める。
「姉ちゃん、お祈り」
「あ、また忘れてた。駄目だぁ、アサギくんの料理の前だとつい急いちゃって」
マリナは苦笑するとスプーンを元の場所に置き、胸元で両手を組む。感謝を捧げ、顔を上げると。
「じゃあいただきまーす!」
今度こそスプーンを取り、マリナは牛肉を掬い上げる。そして口へ。もぐもぐとしっかり味わって、嬉しそうに頬を綻ばせた。
「美味しい~。ビネガーのお陰でお肉がすごいさっぱりと食べられる~」
「本当だ。これ赤ワインビネガーですか? 牛肉に負けてない。この前の赤ワイン煮込みはもっとしっかりとした感じだったけど、こっちはさっぱりで、でも牛肉に合うんですね」
浅葱もひとつ食べてみる。赤ワインビネガーの程良い酸味が、脂身の少ない牛ヒレ肉を更にさっぱりさせている。柔らかな牛ヒレ肉は噛めば噛むほど旨味が滲み出て来て、赤ワインビネガーと合わさって更なる美味しさを生み出す。
「大豆もほくほくしてて美味しい。凄いなぁ」
マリナは満足げにうっとりと眼を細める。
「この緑のは何ですか?」
「パセリだよ」
「パセリ!?」
マリナが驚いて眼を見開く。
「嘘。私パセリ今でも食べられないよ? 青臭くて苦くて」
「パセリは火を通したら青臭みも苦味も抑えられるんだ。それを微塵切りにしてあるから、気にならないでしょう?」
「全然気にならない。普通に食べちゃってる」
「うちはパセリ出る時は煮物の飾りで、普通に一口大ぐらいの房だもんなぁ。姉ちゃんは食べられないから最初から抜いてるし」
「マルスくんはパセリ大丈夫なの?」
「はい。特別好きじゃ無いですけど、食べられます。なので出て来たら普通に食べますよ」
「牛肉もだけど、大豆とパセリにも貧血を緩和する栄養素があるんだ。特にパセリは凄いんだよ。ほうれん草より凄いよ。だからこうして食べられるんだったら、どんどん摂って欲しいな」
「お母さんに頼んでみる。微塵切りは面倒だろうから、私がやっても良いし」
「今日は包丁で微塵切りにしたけど、冷凍したら簡単だよ」
この世界の冷暗庫には、氷が作れる程度の性能の冷凍スペースがあるのだ。
「冷凍したパセリを乳鉢とかで潰したら、簡単に出来るよ」
「そっかぁ、成る程ね。今度やってみよう。うん、やっぱりお肉もパセリも美味しく食べられる。凄いなぁ」
マリナはそう言いながら次から次へと口に運んで行く。
「これ、鶏とか豚でも作れますよね?」
マルスの問いに、浅葱は「うん」と頷いた。
「鶏と豚だったら、赤ワインビネガーより白が合うと思うよ。後でこれの作り方を渡すから、アレンジしてみてね」
「おう。食ったらちゃちゃっと書いてやるからよ」
「いつもごめんね、ありがとう」
「いやいや。アサギはゆっくり字覚えてくれりゃ良いからな」
「うん。また勉強しなきゃ」
「ねぇマルス、あんたもしかして料理に興味があったりするの?」
マリナの言葉に、マルスは少し照れた様に笑う。確かにマルスの台詞の端々に、それらしい気配は滲んでいたが。
「うん。面白そうだなって思って。でも母さんは菓子作りは好きだけど、料理はそうでもなさそうだったから、教えてとか言い辛くてさ。今は前よりは楽しそうだけど」
「じゃあさ、マルスくんさえ良かったら、僕で良かったら教えるよ。いつでもここに来てくれて良いからね」
「本当ですか? やったぁ! ありがとうございます」
マルスが嬉しそうに破顔する。
「その時は私も一緒に来るからね。味見してあげる」
「いや、姉ちゃんがいると使える食材限られるから遠慮してくれ」
「酷い!」
そんな会話を楽しみながら、夕飯の時間は流れて行った。
マリナの貧血は緩和し、偏食も大分改善された。ロロアの薬、そして浅葱の料理によって。
料理が好きでは無かったルビアも、最近では楽しそうに料理していると言う。
慢心するつもりは無い。だが嬉しい、良かったと思うぐらいは良いのでは無いだろうか。
上手く行けばまだ薬も減らせるだろうし、いつか飲まなくても良い日が来るだろう。
それまで、浅葱も少しでも助けになれたら良いと思っている。
さて、では新しい貧血緩和メニューを考えてみようか。
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