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二十.俺達の戦いはこれからだ!
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その夜。
俺とデガラシは、井坂秘書さんが手配してくれた赤坂のホテルにいた。
「田中……田中は私の事怖くなったりした?」
いっしょにベッドに横になりながらデガラシが言う
「なんで? あの市民祭りの事か? でも今日の事を見た後だと、それも仕方ないんだろうと思えるよ。あいつを逃したら、カズくんだけじゃなくてその後何人も犠牲者出ただろうし。まあ、魔王を指一本でパチンと消しちゃうとかはちょっと怖いかも」
「あーん。あれはもう出来ないから。でもそうか。私はもう魔法使いにはなれないんだ」
「そうだな。その権利、今日使っちゃったしな。だからもう処女でいる必要もない」
「わたしさ……あの私が消しちゃった人達を元に戻せないかって思って、魔法使いを目指してたんだと思うの。忘れちゃってたけど……でも、もうそれも果たせなくて……それだと、これからの人生もずっとデガラシかなって思っちゃう……」
「そんな事ねえさ。市民祭りの事は確かに不幸な事故だったとは思うけど、今日晴れて魔王ブリッツクリークを消滅させられたんだ。多少はその人達の供養になったと思うぞ。だからデガラシ。お前は俺といっしょに、これから自分の幸せを考えていこうや」
「田中優しいね…………それじゃ……しよっか?」
◇◇◇
発表会があんな事になってしまい、インペリアルとしては大損害だとは思ったのだが、なぜかロックス氏は全く無傷で、羽田に着いた以後の記憶がない状態だったので、坂出一輝が適当に取り繕った様でプロジェクトにも大きな影響はなく、リンダ夫人と無事離日した。
最初に羽田で坂出社長がロックス氏に会った時に、魔王は坂出社長からロックス氏に鞍替えしたのだろうとノルマンディが言っていて、それがダンケルク・インペリオンのファイナル・ギャラクシー・アローで的確に思念体だけいぶりだされて、外に出て来たとの事だった。
また坂出一輝がそれなりの機関に手をまわしてくれ、今回の一連の騒動に関しては、国家レベルで闇に葬る事になりそうだ。
そんな訳で外部的には何とかなったのだが、困ったのはインペリアル社内の方だ。
吉崎も秘書課の人達も、その他大勢も……みんな坂出社長や魔法少女達の秘密を知ってしまった。とてもボーナス十倍で口チャックしてくれるとは思えなかったのだが……。
「馬鹿にしないでよ田中。私だって、マジノ・リベルテの信者だし! あの人達の不利になるような事、する訳ないじゃない!」吉崎がそう言っていたのだが、他のみんなも大体そんな感じだった。やっぱり魔法少女はみんなに愛されているんだなと、つくづく痛感した。
そして愛と言えば、坂出一輝と月代夫人は、今回の事を契機に話し合い、もう一度やり直そうという事になったらしい。よかったよかった。
やがて年も明け、俺は世界戦略構想部でロックス氏との共同開発事業に関する仕事に真面目に取り組んでいた。吉崎も隣の机で仕事をしているが、俺がデガラシと結ばれてから全くと言っていいほど俺に絡んで来なくなった。だが、相変わらず足利社長の所には通っているらしい。
すると井坂秘書さんがやって来て、俺に来客だと告げた。
呼ばれるままに来客用の応接室に行くと、高校生位だろうか? 女の子が四人座っていた。
「えっと。私が田中です。今日はどの様なご用件でしょうか?」
そう言って俺が挨拶した所、四人の中の一人が立ち上がって、ぴょこんと深くお辞儀をした。
「あ、あの田中さん……いつも応援有難うございます! 私達四人はクワトロ・カクテルで、私は鷺沼睦月……クワトロ・モスコミュールです!!」
うしろに結んだ小さなおさげに大きなリボンを付けた少女がそう言ったので、俺は驚いて聞き返した。
「えっ、ちょっと待って。クワトロ・カクテルって……あの魔法少女戦隊の?」
「はい。それで私、いっつも、しかもしょっちゅう田中さんに応援してもらっているのを感じてまして……どんな人だろって機関に確認してもらったら、なんとマジノ・ダンケルクさんの旦那さんだったという……」
「はは。それで直接会いたくなったとか?」
「はい……それもあるんですが……あの、いきなりずうずうしいお願いだとは思うんですが、田中さん。私達の戦術コーチになってもらえませんか? 田中さん。もう卒業したはずのマジノ・リベルテで先月、魔王ブリッツクリークを討ち果たしたって……」
「いや、討ち果たしたのは、ダンケルク達マジノ・リベルテで、俺は何もやってない……」
「お願いします! 私達、もうそろそろ卒業も意識しないといけない年齢なんですが、肝心の魔王討伐も全くメドが立たず、その上、来月でアニメ放送が終わっちゃったらもっとヤバいんじゃないかって……もう不安で怖くて……ずっと出口のない暗闇の中をさ迷ってるみたいな感じなんです!」
そして四人が同時に立ち上がって、お願いしますと俺に頭を下げた。
いやー。これどうする? デガラシに相談するか?
……って、いや。もう決まってる。デガラシなら絶対こう言うさ。
「全ての闇は、私が切り裂く!!」ってな。
(終)
俺とデガラシは、井坂秘書さんが手配してくれた赤坂のホテルにいた。
「田中……田中は私の事怖くなったりした?」
いっしょにベッドに横になりながらデガラシが言う
「なんで? あの市民祭りの事か? でも今日の事を見た後だと、それも仕方ないんだろうと思えるよ。あいつを逃したら、カズくんだけじゃなくてその後何人も犠牲者出ただろうし。まあ、魔王を指一本でパチンと消しちゃうとかはちょっと怖いかも」
「あーん。あれはもう出来ないから。でもそうか。私はもう魔法使いにはなれないんだ」
「そうだな。その権利、今日使っちゃったしな。だからもう処女でいる必要もない」
「わたしさ……あの私が消しちゃった人達を元に戻せないかって思って、魔法使いを目指してたんだと思うの。忘れちゃってたけど……でも、もうそれも果たせなくて……それだと、これからの人生もずっとデガラシかなって思っちゃう……」
「そんな事ねえさ。市民祭りの事は確かに不幸な事故だったとは思うけど、今日晴れて魔王ブリッツクリークを消滅させられたんだ。多少はその人達の供養になったと思うぞ。だからデガラシ。お前は俺といっしょに、これから自分の幸せを考えていこうや」
「田中優しいね…………それじゃ……しよっか?」
◇◇◇
発表会があんな事になってしまい、インペリアルとしては大損害だとは思ったのだが、なぜかロックス氏は全く無傷で、羽田に着いた以後の記憶がない状態だったので、坂出一輝が適当に取り繕った様でプロジェクトにも大きな影響はなく、リンダ夫人と無事離日した。
最初に羽田で坂出社長がロックス氏に会った時に、魔王は坂出社長からロックス氏に鞍替えしたのだろうとノルマンディが言っていて、それがダンケルク・インペリオンのファイナル・ギャラクシー・アローで的確に思念体だけいぶりだされて、外に出て来たとの事だった。
また坂出一輝がそれなりの機関に手をまわしてくれ、今回の一連の騒動に関しては、国家レベルで闇に葬る事になりそうだ。
そんな訳で外部的には何とかなったのだが、困ったのはインペリアル社内の方だ。
吉崎も秘書課の人達も、その他大勢も……みんな坂出社長や魔法少女達の秘密を知ってしまった。とてもボーナス十倍で口チャックしてくれるとは思えなかったのだが……。
「馬鹿にしないでよ田中。私だって、マジノ・リベルテの信者だし! あの人達の不利になるような事、する訳ないじゃない!」吉崎がそう言っていたのだが、他のみんなも大体そんな感じだった。やっぱり魔法少女はみんなに愛されているんだなと、つくづく痛感した。
そして愛と言えば、坂出一輝と月代夫人は、今回の事を契機に話し合い、もう一度やり直そうという事になったらしい。よかったよかった。
やがて年も明け、俺は世界戦略構想部でロックス氏との共同開発事業に関する仕事に真面目に取り組んでいた。吉崎も隣の机で仕事をしているが、俺がデガラシと結ばれてから全くと言っていいほど俺に絡んで来なくなった。だが、相変わらず足利社長の所には通っているらしい。
すると井坂秘書さんがやって来て、俺に来客だと告げた。
呼ばれるままに来客用の応接室に行くと、高校生位だろうか? 女の子が四人座っていた。
「えっと。私が田中です。今日はどの様なご用件でしょうか?」
そう言って俺が挨拶した所、四人の中の一人が立ち上がって、ぴょこんと深くお辞儀をした。
「あ、あの田中さん……いつも応援有難うございます! 私達四人はクワトロ・カクテルで、私は鷺沼睦月……クワトロ・モスコミュールです!!」
うしろに結んだ小さなおさげに大きなリボンを付けた少女がそう言ったので、俺は驚いて聞き返した。
「えっ、ちょっと待って。クワトロ・カクテルって……あの魔法少女戦隊の?」
「はい。それで私、いっつも、しかもしょっちゅう田中さんに応援してもらっているのを感じてまして……どんな人だろって機関に確認してもらったら、なんとマジノ・ダンケルクさんの旦那さんだったという……」
「はは。それで直接会いたくなったとか?」
「はい……それもあるんですが……あの、いきなりずうずうしいお願いだとは思うんですが、田中さん。私達の戦術コーチになってもらえませんか? 田中さん。もう卒業したはずのマジノ・リベルテで先月、魔王ブリッツクリークを討ち果たしたって……」
「いや、討ち果たしたのは、ダンケルク達マジノ・リベルテで、俺は何もやってない……」
「お願いします! 私達、もうそろそろ卒業も意識しないといけない年齢なんですが、肝心の魔王討伐も全くメドが立たず、その上、来月でアニメ放送が終わっちゃったらもっとヤバいんじゃないかって……もう不安で怖くて……ずっと出口のない暗闇の中をさ迷ってるみたいな感じなんです!」
そして四人が同時に立ち上がって、お願いしますと俺に頭を下げた。
いやー。これどうする? デガラシに相談するか?
……って、いや。もう決まってる。デガラシなら絶対こう言うさ。
「全ての闇は、私が切り裂く!!」ってな。
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