【R18】特攻E小隊

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第七話 思いよ伝われ!

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「いや、多分あの時は、とにかく頑張れっといった気持ちで頭に手をやっただけで、特別に沙羅に思い入れがあったとかでは……」
 エリザベス博士が帰ってからの数日間、いろいろ試しているが何も進展せず、俺は焦りが募り、沙羅も結構イラついている様子だ。

「もう細かい事はいいよ! 
 とにかく同じ事が出来るようにならないと。
 尊敬でも激励でも愛情でも欲情でも構わないから、いろいろ思いを込めながら、頭を撫でてくれないかな~」
「そうは言っても、面と向かって改めてそれをやるのは結構つらいぞ……って、欲情はしないからな。というか、これ俺じゃなきゃダメなのか? 
 カレンのほうが気持ち入りやすいだろ!」

「小隊長。三百年ニ一人ノすきるカモシレナイモノですノデ、誰デモデハナイはずデス。軽々シク、部下ニふらナイデくだサイ」
 ポコに怒られた。

「何だよ。僕は小隊長のどんな気持ちでも受け止める覚悟がとうに出来てるのに、肝心の小隊長がこんなヘタレなんだものな~」と、沙羅がボヤく。

「あの~、あくまでも想像なんですが……」
 エルが口を開いた。

「多分これ、小隊長自身が、沙羅ちゃんに対して肯定的な気持ちでないと、うまくいかないように感じます。
 今のように、話が噛み合っていない状況ではダメだと思います」
 そのエルの言葉に、カレンが続ける。

「そうよね~。小隊長、もう腹括っちゃた方がいいですよぉ。
 あとで間違いが起きても、独身どうしですし、責任取っちゃえばいいんだから~」

「せ、責任っ!」なぜかエルが素っ頓狂な声を上げた。

「そうだな。カレンの言う通り……いや、責任のところはちょっと置いておいて……俺が腹を括らんと話は進まんな。
 わかった、腹を括るぞ! エルにばかり精神集中訓練させとく訳にもいかん。
 俺も精神集中して沙羅のことをポジティブな感情で撫でてみるよ」
「そう来なくっちゃ!」

 先日、エリザベス博士は、我々のテスト用に簡易式のマナグラフィーを置いて行ってくれた。これは、鏡のようなモニタに自分を写すと、体内のマナの濃さが色で分かるような機械だ。
 マナの動きがあれば視覚的に見られるらしい。

 とりあえず、マナグラフィーの前で沙羅と対面に座って、精神統一を始める。
(沙羅頑張れ、沙羅頑張れ、沙羅頑張れ……)

「小隊長、思ったことは口で言った方が自己暗示も効きやすいかもよ」
 沙羅が心配そうに俺の顔を覗き込んで言った。

「ばっ、馬鹿野郎……ちくしょう、わかったよ。
 ……沙羅頑張れ、沙羅頑張れ、沙羅頑張れ……」
 そう言いながら、沙羅の頭にぽんっと手を置いた。
「どうだっ?」

「う~ん、なんにも。
 本当に心の底から僕のこと思って集中してる?」
「ほらほら、腹括ったんだからどんどん試そ~」
 カレンも容赦ない。

「くそ、そんじゃ次だ! 
 沙羅可愛い、沙羅可愛い、沙羅可愛い……」
 ぽんっ。

「う~ん、よくわからないな」
「マナグラフィーも反応してませんね」
 エルにはマナグラフィーの監視をしてもらっている。

「じゃ、次は、紗羅愛してる! で」
「クソ、これ何の罰ゲームだ!
 沙羅愛してる! 沙羅愛してる! 沙羅愛してる! 沙羅愛してる!!」
「ちゃんと気持ち込めてるっ?」
(あっ、そうだった!)

 ぽんっ! と、沙羅の頭をはたいた次の瞬間。

「おっ、なんか来たような気がするっ!」
「マナグラフィーにも、わずかですが振動が記録されています!」
「やった―。
 やっぱり僕への愛情がトリガ―だったんだね?。 
 じゃ、次は、『沙羅とヤリたい』で!」

「ふっ、ふざけるな~」
 と、言いつつも、自分は本当にロリコンだったのかと、かなりのショックを隠せない状況ではあった。

 ◇◇◇ 
 
 その夜 エル・自室

「あ~ん。小隊長は、やっぱり小さい女の子が好みだったんだ―。
 こんなぷよぷよ無能エルフは用がないって事ぉ~?」

 みんなの前では何も言わなかったが、今日の事は結構ショックだった。

「せめて、前の方にちょっとでも魔法エネルギ―が集まったら、小隊長も少しは認めてくれるかな?」
 ワンドを右手に持ちながら、天井めがけて振ってみるが、その一方で左手は、また股間の布の中に滑り込んでいる。

(くりゅんっ)
「んっ、あんっ」

 その時だった。

 ぱしゅっ。ぱ―ん。

 風切り音とともに突然天井の照明が壊れ、破片が床に降り注いだ。

「えっ、何なにっ。狙撃? 
 し、下にいなくてよかったよ~。 
 それにしても、一体何が……」

 そう思いながら、ワンドを手にしたままだった右手を、じっと凝視した。

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