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第二章 E小隊・南方作戦
第九話 中出し・・・
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翌日、コトブキの能力を見せてもらうことになった。
コトブキは、軍服の胸元を大きくあけており、あまりに乳房が大きくて、締めると苦しいのかと思っていたら、いきなり自分の胸の谷間に右手を突っ込むと、マナから生成した矢を引っ張り出した。沙羅がいたら発狂しかねない光景だし、廻りで見ていた推し兵達も目のやり場に困っているようだ。それに気がついたようで、コトブキが解説してくれた。
「ああ、これなあ。別におっきなおっぱいの中に矢を隠しているじゃありんせん。
マナが心臓の所に球形に凝縮するんで、それを引っ張って延ばす感じでありんす。せやから、別に下乳からでも引っ張り出せるでありんすが、お見せしましょか?」といいつつ、制服を脱ごうとするのでそれを制する。
そしてみんながそれに目を奪われている間に、コトブキの左手には、いつの間にか三百年前の戦争時、特別に許可をもらって伐採したというエルフの森の御神木から作った弓があり、それにマナの矢をあてがうと、弦もないのにひゅんっと矢が前に飛び出した。
単発の威力はメグ・沙羅より若干劣っていたが、かなり遠くまで魔法弾を正確に投げられる。しかも、彼女が前の戦争の時に工夫したとかで、魔法弾に周りの空気を巻き込むことで、それ相応の物理ダメージを、着弾地点から近距離にいる人間や車両にあたえることが出来た。これならハミルのバフと組み合わせることで、かなりの敵に対抗できると思う。
一応、性的な話は、アイリス中尉や他のエルフ少女の前では厳禁と頭を下げてお願いし、推し兵達にもコトブキの前歴に関しては、口チャックを命じた。
また、コトブキは、三百年前の戦争従軍経験者で、ランドルフ中尉の上官でもあっただけあって、いろいろな経験や知識を持っているようだ。それを活かさない手はないと思い、歓迎会を兼ねて小隊メンバーたちとの談話会を催した。もちろん、下ネタ厳禁で……
アイリス中尉とエルフ少女たちが同席する中、 まずは、先日の中央平原の要塞戦の情況をコトブキに話し、ベテランの意見を聞いてみようと思ったのだが、コトブキはその詳細にはあまり興味がなさそうだった。
「……よくもまあドラゴンさんを……というより、ほんまは、我々エルフは、ドラゴンさん敵にしてはあかんのです。それは今言うても仕方ありんせんが……エルフと竜族が争っても、人間さんしか得をしなんしょ。
それにしても、肩車は傑作でありんすな。その、沙羅はんがお戻りになられたら、是非、実際にやって見せていただきたいでありんす」
「いや、そんなお見せするようなものでは……マナを継続的に渡すには致し方なく……そもそも、三百年前の戦時下で、エルフのマナを渡すスキルの記録があって、それを参考に考案したものなのですが……」
「あれ。それなら知っとりますえ。ランドルフはんは何も……いや、あん時、あん人はまだ鼻ったれだったんで知らんか」
「そうなのですか? 当時はいったいどのように……」
「中出しやす」
「へっ?」
「だから、な・か・だ・し ?」
「コトブキさん、だから下ネタは……って、ええっ―――」
「だから、あの時はマナ補給するのに、性交して中出ししたんどす。
そのスキルホルダーの精液は、濃縮マナの固まりだと思えばよろし。
まあ、そこまでマナ不足で切迫する事態はほぼなかったし、あちきも試したことはないでありんす。まあ、ツルマンジュさんなんかは、たまに試されていたようでありんすが……」
あっ、なんか今の問題発言は聞き流そう……。
「ほんとに、マジなんですか?」
「ほんまにマジざんす! だから小隊長さんも記憶の片隅にとどめておいて、絶体絶命のピンチの時には、思い切りぬぷっとやって、どぴゅっと中出ししたらよろし。でもまあ、沙羅はんは貯められんらしいので、いっぺんに出してもきさんじでありんすから、肩車は正解かもな」
もう全身冷や汗でびっしょりなのがわかる。いや、廻りの視線が痛すぎるぞ。
アイリス中尉もカレンもリサも、何か汚らわしいものを見るようなものすごく冷たい眼で、遠くから俺を見ている。
「あの―。なかだしってなんですか?」
ハミル―、お前その質問、わざとじゃないのか―。さっきコトブキは『性交』ってはっきり言ってたろ。
……ともかく、話題を変えよう。
「コトブキさん、そ、それで、三百年前の戦争の時はどんな様子だったんですか」
コトブキは、こっちの意図を察してくれたようで、笑いながら話題を変えてくれた。
「わっちらの時は、人間さんが相手で、しかも三百年前でおはしますやろ。武器もお互い、剣と弓なんで、互角の勝負が出来ましたし、ましてや森の中では、夜襲でもゲリラ戦でも、最初はエルフの一人勝ちだったんでありんす。昼間お見せしたように、あちきの矢もマナに空気巻き込むことで範囲攻撃が出来たりと使い勝手がよかったんでありんすが、だんだん、人間さんのほうが鉄砲とか爆弾とか工夫しだして……
結局、ここで徹底的にやり合っても将来に禍根を残すだけなので、互角なうちに手打ちにして、共存を図った方がええやろという事になりんしてな。人間さんの中で、王国のやり方を嫌ってはる方々にも働きかけて、エルフと王国はんは協定を結んで、停戦したんどす」
「なるほど、それで停戦後しばらくして、反王権派の人たちが決起して、王室が政権を民衆に譲渡して民主制になったわけですね。そして、それでも王室廃絶を望む人たちが決起して共和国と王国は分裂した……」
人間側の歴史は、さすがにアイリス中尉のほうが詳しいようだ。
「そうでありんすな。でも本当にあの時、人間さんと対等で手打ちしていて良かったと思うざんす。今、人間さんと遣り合ったら、武器一つとってもエルフは全く歯がたちませんえ」
「そうですね。それじゃ竜族が人間との争いを中止したのも、もしかしたら……」
「そうどす。ドラゴンさんたちはお強いんですが、いかんせんわっちらが戦った時より二百五十年ほど後なため、人間さんの技術も進歩なさっていて、大層苦労された事でありんしょ。あのまま戦争つづけていたら、どっちかが消えるまでやるしかなかったでありんす」
なるほど、あそこで生息地を渡して砂漠に引き下がったのは、彼らなりの判断がやはりあったのだなと思う。そして多分、今や力関係が何かバランスを崩しはじめた……中出しは焦ったが、今日はいろいろ勉強になるな。
「でも、いまはエルちゃん砲があるから、人間さん相手でもなんとかなったりして―」
「おい、馬鹿。カレン、何言ってんだ!
あれ一発くらいで戦争終わったりしないって……」
「え―、小隊長。な・か・だ・し、すれば、何発でも発射できるわよ―。きゃ―!」
ぼこっ。
鈍い音がして、そっちをみると、アイリス中尉が、カレンの頭を思いっきりグーで、叩いていた。
「ふざけないで! 戦争は遊びじゃないのよ!」
思いっきり叱られて、カレンは小さくなってしまった。
「まあまあ……カレンはん。
本来、セックスなんてもんは愛し合って楽しんでやるもんで、人を傷付けるためにするもんではおわしません。そこんとこはき違えんようにしような」
「……はいっ……」
そこへ、マイケルが電文を持ってきてくれた。
『エル君たちの救出と西半島大規模侵攻を同時作戦でやる事になるかもしれないので、A・E及び推し小隊は、至急、第七師団に合流されたし。 カリストス』
みんなの眼の色が変わったのが判る。俺もアイリス中尉と眼を合わせた。
「いよいよですね!」
コトブキは、軍服の胸元を大きくあけており、あまりに乳房が大きくて、締めると苦しいのかと思っていたら、いきなり自分の胸の谷間に右手を突っ込むと、マナから生成した矢を引っ張り出した。沙羅がいたら発狂しかねない光景だし、廻りで見ていた推し兵達も目のやり場に困っているようだ。それに気がついたようで、コトブキが解説してくれた。
「ああ、これなあ。別におっきなおっぱいの中に矢を隠しているじゃありんせん。
マナが心臓の所に球形に凝縮するんで、それを引っ張って延ばす感じでありんす。せやから、別に下乳からでも引っ張り出せるでありんすが、お見せしましょか?」といいつつ、制服を脱ごうとするのでそれを制する。
そしてみんながそれに目を奪われている間に、コトブキの左手には、いつの間にか三百年前の戦争時、特別に許可をもらって伐採したというエルフの森の御神木から作った弓があり、それにマナの矢をあてがうと、弦もないのにひゅんっと矢が前に飛び出した。
単発の威力はメグ・沙羅より若干劣っていたが、かなり遠くまで魔法弾を正確に投げられる。しかも、彼女が前の戦争の時に工夫したとかで、魔法弾に周りの空気を巻き込むことで、それ相応の物理ダメージを、着弾地点から近距離にいる人間や車両にあたえることが出来た。これならハミルのバフと組み合わせることで、かなりの敵に対抗できると思う。
一応、性的な話は、アイリス中尉や他のエルフ少女の前では厳禁と頭を下げてお願いし、推し兵達にもコトブキの前歴に関しては、口チャックを命じた。
また、コトブキは、三百年前の戦争従軍経験者で、ランドルフ中尉の上官でもあっただけあって、いろいろな経験や知識を持っているようだ。それを活かさない手はないと思い、歓迎会を兼ねて小隊メンバーたちとの談話会を催した。もちろん、下ネタ厳禁で……
アイリス中尉とエルフ少女たちが同席する中、 まずは、先日の中央平原の要塞戦の情況をコトブキに話し、ベテランの意見を聞いてみようと思ったのだが、コトブキはその詳細にはあまり興味がなさそうだった。
「……よくもまあドラゴンさんを……というより、ほんまは、我々エルフは、ドラゴンさん敵にしてはあかんのです。それは今言うても仕方ありんせんが……エルフと竜族が争っても、人間さんしか得をしなんしょ。
それにしても、肩車は傑作でありんすな。その、沙羅はんがお戻りになられたら、是非、実際にやって見せていただきたいでありんす」
「いや、そんなお見せするようなものでは……マナを継続的に渡すには致し方なく……そもそも、三百年前の戦時下で、エルフのマナを渡すスキルの記録があって、それを参考に考案したものなのですが……」
「あれ。それなら知っとりますえ。ランドルフはんは何も……いや、あん時、あん人はまだ鼻ったれだったんで知らんか」
「そうなのですか? 当時はいったいどのように……」
「中出しやす」
「へっ?」
「だから、な・か・だ・し ?」
「コトブキさん、だから下ネタは……って、ええっ―――」
「だから、あの時はマナ補給するのに、性交して中出ししたんどす。
そのスキルホルダーの精液は、濃縮マナの固まりだと思えばよろし。
まあ、そこまでマナ不足で切迫する事態はほぼなかったし、あちきも試したことはないでありんす。まあ、ツルマンジュさんなんかは、たまに試されていたようでありんすが……」
あっ、なんか今の問題発言は聞き流そう……。
「ほんとに、マジなんですか?」
「ほんまにマジざんす! だから小隊長さんも記憶の片隅にとどめておいて、絶体絶命のピンチの時には、思い切りぬぷっとやって、どぴゅっと中出ししたらよろし。でもまあ、沙羅はんは貯められんらしいので、いっぺんに出してもきさんじでありんすから、肩車は正解かもな」
もう全身冷や汗でびっしょりなのがわかる。いや、廻りの視線が痛すぎるぞ。
アイリス中尉もカレンもリサも、何か汚らわしいものを見るようなものすごく冷たい眼で、遠くから俺を見ている。
「あの―。なかだしってなんですか?」
ハミル―、お前その質問、わざとじゃないのか―。さっきコトブキは『性交』ってはっきり言ってたろ。
……ともかく、話題を変えよう。
「コトブキさん、そ、それで、三百年前の戦争の時はどんな様子だったんですか」
コトブキは、こっちの意図を察してくれたようで、笑いながら話題を変えてくれた。
「わっちらの時は、人間さんが相手で、しかも三百年前でおはしますやろ。武器もお互い、剣と弓なんで、互角の勝負が出来ましたし、ましてや森の中では、夜襲でもゲリラ戦でも、最初はエルフの一人勝ちだったんでありんす。昼間お見せしたように、あちきの矢もマナに空気巻き込むことで範囲攻撃が出来たりと使い勝手がよかったんでありんすが、だんだん、人間さんのほうが鉄砲とか爆弾とか工夫しだして……
結局、ここで徹底的にやり合っても将来に禍根を残すだけなので、互角なうちに手打ちにして、共存を図った方がええやろという事になりんしてな。人間さんの中で、王国のやり方を嫌ってはる方々にも働きかけて、エルフと王国はんは協定を結んで、停戦したんどす」
「なるほど、それで停戦後しばらくして、反王権派の人たちが決起して、王室が政権を民衆に譲渡して民主制になったわけですね。そして、それでも王室廃絶を望む人たちが決起して共和国と王国は分裂した……」
人間側の歴史は、さすがにアイリス中尉のほうが詳しいようだ。
「そうでありんすな。でも本当にあの時、人間さんと対等で手打ちしていて良かったと思うざんす。今、人間さんと遣り合ったら、武器一つとってもエルフは全く歯がたちませんえ」
「そうですね。それじゃ竜族が人間との争いを中止したのも、もしかしたら……」
「そうどす。ドラゴンさんたちはお強いんですが、いかんせんわっちらが戦った時より二百五十年ほど後なため、人間さんの技術も進歩なさっていて、大層苦労された事でありんしょ。あのまま戦争つづけていたら、どっちかが消えるまでやるしかなかったでありんす」
なるほど、あそこで生息地を渡して砂漠に引き下がったのは、彼らなりの判断がやはりあったのだなと思う。そして多分、今や力関係が何かバランスを崩しはじめた……中出しは焦ったが、今日はいろいろ勉強になるな。
「でも、いまはエルちゃん砲があるから、人間さん相手でもなんとかなったりして―」
「おい、馬鹿。カレン、何言ってんだ!
あれ一発くらいで戦争終わったりしないって……」
「え―、小隊長。な・か・だ・し、すれば、何発でも発射できるわよ―。きゃ―!」
ぼこっ。
鈍い音がして、そっちをみると、アイリス中尉が、カレンの頭を思いっきりグーで、叩いていた。
「ふざけないで! 戦争は遊びじゃないのよ!」
思いっきり叱られて、カレンは小さくなってしまった。
「まあまあ……カレンはん。
本来、セックスなんてもんは愛し合って楽しんでやるもんで、人を傷付けるためにするもんではおわしません。そこんとこはき違えんようにしような」
「……はいっ……」
そこへ、マイケルが電文を持ってきてくれた。
『エル君たちの救出と西半島大規模侵攻を同時作戦でやる事になるかもしれないので、A・E及び推し小隊は、至急、第七師団に合流されたし。 カリストス』
みんなの眼の色が変わったのが判る。俺もアイリス中尉と眼を合わせた。
「いよいよですね!」
応援ありがとうございます!
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