1 / 1
25時をこえても、君といたい。
しおりを挟む
最初は、白昼夢でも見ているのかと思った。
目の前の景色がふっと暗転し、気づけば世界には自分ひとりだけが取り残されていた。
どこまで歩いても、肌理の細かい、冷たい闇が続く。
けれど、不思議と怖くはなかった。むしろ穏やかで、静かな安らぎすらあった。
しばらくすると、まるで深い眠りから覚めるように現実へと戻る。
そして気づいた――この現象は、いつも24時ちょうどに起こるということに。
腕時計を着けて確かめると、暗闇にいるのはぴったり1時間。 時計の針が1時を指すと、世界は何事もなかったかのように0時から動き出す。
つまり、僕だけ“25時”を過ごしているということだ。
ただし、その“25時”は気まぐれにしか訪れない。 前回起きたのは、たしか数か月前。
今日もまた、静かにひとりでその1時間を過ごすはずだった。この、誰にも侵されない僕だけの時間を――
――声が聞こえた。
女の人の声だ。 濃い闇の中、かすかに旋律が揺れている。
どこか懐かしいような、寂しいような歌。
僕は思わず息をのんだ。 この空間で“自分以外の音”を聞いたのは、初めてだった。
「……誰か、いるんですか?」
歌がぴたりと止まる。
「僕の声、聞こえてますか?」
少しの沈黙のあと――
「……聞こえてます。あなたの声」
はっきりとした返答に、心臓が跳ねた。会話が、できている。
「そっちに行ってもいいですか?」
「……少しだけなら」
その声には、かすかな警戒と、同じくらいの興味と期待が混ざっていた。
僕は声のした方へと歩く。 足音だけが闇に吸い込まれていく。
まるで、この闇が僕らの存在を試しているように。
「この辺り、ですか?」
「……はい。ここにいます」
だが、どれだけ目を凝らしても、誰の姿も見えない。
「……どうやら、姿は見えないみたいですね」
「私からも、あなたは見えません。不思議……本当に、いるんですね」
声だけが、確かにそこにある。
まるで魂だけが世界に残されたような感覚だった。
「ここで誰かと出会うのは初めてです。よければ、このまま話しても?」
「うん……私も初めてです。いいですよ」
「じゃあ、ここに座りますね」
言ってから、ゆっくりと腰を下ろした。
闇の向こうで、彼女が小さく頷いた気がした。――見えないけれど、確かに、そこにいる。
「僕は――佑也。高校三年生で、東京に――」
「あれ……? いま、何かノイズが……」
「え?」
「途中から、よく聞こえませんでした。高校三年生の後」
「もしかして、住んでる場所が聞こえない? 東京に住んでるって言おうとしたんだけど……」
「私も言ってみるね。私は――明日香。同じく高校三年生で、――」
「うわっ……急に変な音がした」
互いに笑ってしまう。 どうやらこの空間では、個人を特定できるような“現実の鍵”となる情報は、あまり伝えられないらしい。
「……不思議な場所ですね」
「あの、同級生だしタメ口にしない?」
彼女が少しだけ笑ったような気がした。
闇の中で見えないはずなのに、その無垢な笑顔が確かに浮かんだ気がした。
それから、僕と彼女は、この不思議な空間での秘密の交流を何度も重ねるようになった。
会えるのは三回に一度くらい。 会えない夜は、ただ闇の中で彼女の声を思い出して過ごした。
受験の愚痴、将来の夢、好きな映画。
他愛もない話を沢山した。
季節がいくつも巡るうちに、僕たちの話題は少しずつ変わっていく。
大学、就職、仕事の疲れ、日常の小さな悩み―― いつのまにか、彼女と過ごす“25時”までのたった一時間が、僕の中でいちばん静かで、あたたかな時間になっていた。
顔も知らないのに、声を聞くだけで心が落ち着く。
彼女が笑うと、自分まで笑ってしまう。
いつからか、もう恋をしている、そんな自分に気づいていた。
時計の針が一時を指すと、世界はふっと現実へと戻る。そのたびに胸の奥が少し痛んだ。
どうか、あともう少しだけ――そう願っても、時間は容赦なく僕らを切り離す。
彼女と出会ってから、もう五年以上が経っていた。
最近は、あの場所に行ける日が減ってきた気がする。
最後に彼女の声を聞いてから、もう三か月が過ぎていた。
どれだけ現実での時間が進んでも、僕の中ではあの一時間より輝くことはない。
彼女に会いたい。次に会えるのはいつだろう。もう会えなかったら?
無情にも時ばかり過ぎていき、不安は募る一方だ。
自分ではどうすることもできない状況に、ただ胸を締め付ける痛みを感じるしかなかった。
25時の世界は気まぐれで、呼ばれるときもあれば、まったく訪れない夜もある。
それでも、24時を迎えるたびに胸がざわついた。
今日こそは行けるだろうか――そんな期待を、もう数え切れないほど繰り返してきた。
そんな夜、会社の飲み会があった。
二次会まで付き合わされ、解散したのは23時半。アルコールのせいで頭が少しふらつく。
駅へ向かう夜道、冷たい風が頬を刺した。
前から女の子二人組が歩いてくる。 そのうちの一人と、何気なく目が合った。
その瞬間、呼吸が止まった。
――わかった。 見たことがないはずなのに、声も姿も知らないはずなのに、 なぜか、それが彼女だと確信した。
世界が、音もなく闇に呑まれる。 時計の針が、ちょうど0時を刺していた。
静寂に包まれた闇の中で、先ほど目が合った彼女が立っていた。
「……明日香、だよね?」
「うん。佑也……まさか、本当に……」
ずっと姿の見えなかった彼女が、いま、目の前に。
「会いたかった」
「私も……。これ、夢じゃないよね?」
「たぶん、そう信じたい」
「姿が見えるの、変な感じだね……」
彼女の一言で、僕は顔を覆った。
「えっ、なに?」
「最悪だ……酔っ払いのくたびれた状態で会うとか……」
「ふふふ。スーツ男子って良いと思うけど?」
「そ、そうか」
たまたま客との打ち合わせがあり、スーツを着ていた自分を褒めたかった。
「ねぇ、私はどう?イメージと違った?」
「想像通り、いや、想像以上に……かわいいかも」
「ちょっと、からかわないでよ!」
誓って本心なのだが、照れた彼女はさらにかわいかった。
「見えるってことは触れられるのかな?試してみても良い?」
「……いいよ」
そっと手を伸ばした。指先が触れた瞬間、確かなぬくもりが走る。
「……ほんとに、実在するんだ」
「うん、いるね」
いつの間にか、自然に笑っていた。
あの見えなかった空間の中で、何度も想像していた笑顔が、いま僕の目の前にあった。
「伝えたいことがあるんだ」
彼女は黙ってうなずく。その瞳の奥に、同じ光を見た。
「好きです。ずっと前から、ずっとあなたが好きでした」
「……私も。同じ気持ち。ずっと、言えなかったけど」
世界が静まり返る。時計を見ると、0時55分を指していた。
「そろそろ時間だね」
「やばい、緊張する。どうしよう、全然違う世界に飛ばされたら」
「縁起でもないこと言わないで!」
彼女は祈るように両手を組んだ。 俺も真似をし、両手を組む。
いつもはあっという間にすぎる時間が、やけに長く感じる。
「ねぇ、手繋がない……?」
僕の提案に彼女は頷き、そっと手を出してくれた。
その手に自分の手を重ね、ぎゅっと握る。
そして――
暗闇が溶け、現実の街の灯りがにじんだ。
次の瞬間、僕は地面の上に立っていた。 数メートル先に、彼女がいる。
たまらず駆け出し、強く抱きしめた。
「えっ……!?なに!?」
彼女の隣にいた女性が、声をあげた。
僕と彼女は顔を見合わせ、歓喜に満ちた笑顔を交わしあった。
「……夢じゃなかった」
「うん。現実だよ」
僕らはスマホを取り出し、連絡先を交換した。
その光景があまりに現実的で、なんだか笑えてきた。
「ちょっと、二人の世界に入らないで!説明して!」
「えーっと彼氏の佑也、だよね?」
「佑也です。よろしくお願いします」
「……え、いつの間に彼氏できたの?」
「ついさっき!」
「いや、ほんと意味わかんない!」
こうして、僕と明日香は恋人になった。
それ以来、僕たちはあの不思議な空間にいけていない。
――あの25時は、僕らのための、特別な時間だったんだ。
***
「ねぇ、なに考えてるの?」
「かわいい妻と出会えた、あの不思議な時間のことをね」
「ふふ。あれがなかったら、私たちは出会えなかったもんね」
「そうだな。でももう24時を待たなくても、会える」
「25時をこえてもね」
僕らは笑い合った。
目の前の景色がふっと暗転し、気づけば世界には自分ひとりだけが取り残されていた。
どこまで歩いても、肌理の細かい、冷たい闇が続く。
けれど、不思議と怖くはなかった。むしろ穏やかで、静かな安らぎすらあった。
しばらくすると、まるで深い眠りから覚めるように現実へと戻る。
そして気づいた――この現象は、いつも24時ちょうどに起こるということに。
腕時計を着けて確かめると、暗闇にいるのはぴったり1時間。 時計の針が1時を指すと、世界は何事もなかったかのように0時から動き出す。
つまり、僕だけ“25時”を過ごしているということだ。
ただし、その“25時”は気まぐれにしか訪れない。 前回起きたのは、たしか数か月前。
今日もまた、静かにひとりでその1時間を過ごすはずだった。この、誰にも侵されない僕だけの時間を――
――声が聞こえた。
女の人の声だ。 濃い闇の中、かすかに旋律が揺れている。
どこか懐かしいような、寂しいような歌。
僕は思わず息をのんだ。 この空間で“自分以外の音”を聞いたのは、初めてだった。
「……誰か、いるんですか?」
歌がぴたりと止まる。
「僕の声、聞こえてますか?」
少しの沈黙のあと――
「……聞こえてます。あなたの声」
はっきりとした返答に、心臓が跳ねた。会話が、できている。
「そっちに行ってもいいですか?」
「……少しだけなら」
その声には、かすかな警戒と、同じくらいの興味と期待が混ざっていた。
僕は声のした方へと歩く。 足音だけが闇に吸い込まれていく。
まるで、この闇が僕らの存在を試しているように。
「この辺り、ですか?」
「……はい。ここにいます」
だが、どれだけ目を凝らしても、誰の姿も見えない。
「……どうやら、姿は見えないみたいですね」
「私からも、あなたは見えません。不思議……本当に、いるんですね」
声だけが、確かにそこにある。
まるで魂だけが世界に残されたような感覚だった。
「ここで誰かと出会うのは初めてです。よければ、このまま話しても?」
「うん……私も初めてです。いいですよ」
「じゃあ、ここに座りますね」
言ってから、ゆっくりと腰を下ろした。
闇の向こうで、彼女が小さく頷いた気がした。――見えないけれど、確かに、そこにいる。
「僕は――佑也。高校三年生で、東京に――」
「あれ……? いま、何かノイズが……」
「え?」
「途中から、よく聞こえませんでした。高校三年生の後」
「もしかして、住んでる場所が聞こえない? 東京に住んでるって言おうとしたんだけど……」
「私も言ってみるね。私は――明日香。同じく高校三年生で、――」
「うわっ……急に変な音がした」
互いに笑ってしまう。 どうやらこの空間では、個人を特定できるような“現実の鍵”となる情報は、あまり伝えられないらしい。
「……不思議な場所ですね」
「あの、同級生だしタメ口にしない?」
彼女が少しだけ笑ったような気がした。
闇の中で見えないはずなのに、その無垢な笑顔が確かに浮かんだ気がした。
それから、僕と彼女は、この不思議な空間での秘密の交流を何度も重ねるようになった。
会えるのは三回に一度くらい。 会えない夜は、ただ闇の中で彼女の声を思い出して過ごした。
受験の愚痴、将来の夢、好きな映画。
他愛もない話を沢山した。
季節がいくつも巡るうちに、僕たちの話題は少しずつ変わっていく。
大学、就職、仕事の疲れ、日常の小さな悩み―― いつのまにか、彼女と過ごす“25時”までのたった一時間が、僕の中でいちばん静かで、あたたかな時間になっていた。
顔も知らないのに、声を聞くだけで心が落ち着く。
彼女が笑うと、自分まで笑ってしまう。
いつからか、もう恋をしている、そんな自分に気づいていた。
時計の針が一時を指すと、世界はふっと現実へと戻る。そのたびに胸の奥が少し痛んだ。
どうか、あともう少しだけ――そう願っても、時間は容赦なく僕らを切り離す。
彼女と出会ってから、もう五年以上が経っていた。
最近は、あの場所に行ける日が減ってきた気がする。
最後に彼女の声を聞いてから、もう三か月が過ぎていた。
どれだけ現実での時間が進んでも、僕の中ではあの一時間より輝くことはない。
彼女に会いたい。次に会えるのはいつだろう。もう会えなかったら?
無情にも時ばかり過ぎていき、不安は募る一方だ。
自分ではどうすることもできない状況に、ただ胸を締め付ける痛みを感じるしかなかった。
25時の世界は気まぐれで、呼ばれるときもあれば、まったく訪れない夜もある。
それでも、24時を迎えるたびに胸がざわついた。
今日こそは行けるだろうか――そんな期待を、もう数え切れないほど繰り返してきた。
そんな夜、会社の飲み会があった。
二次会まで付き合わされ、解散したのは23時半。アルコールのせいで頭が少しふらつく。
駅へ向かう夜道、冷たい風が頬を刺した。
前から女の子二人組が歩いてくる。 そのうちの一人と、何気なく目が合った。
その瞬間、呼吸が止まった。
――わかった。 見たことがないはずなのに、声も姿も知らないはずなのに、 なぜか、それが彼女だと確信した。
世界が、音もなく闇に呑まれる。 時計の針が、ちょうど0時を刺していた。
静寂に包まれた闇の中で、先ほど目が合った彼女が立っていた。
「……明日香、だよね?」
「うん。佑也……まさか、本当に……」
ずっと姿の見えなかった彼女が、いま、目の前に。
「会いたかった」
「私も……。これ、夢じゃないよね?」
「たぶん、そう信じたい」
「姿が見えるの、変な感じだね……」
彼女の一言で、僕は顔を覆った。
「えっ、なに?」
「最悪だ……酔っ払いのくたびれた状態で会うとか……」
「ふふふ。スーツ男子って良いと思うけど?」
「そ、そうか」
たまたま客との打ち合わせがあり、スーツを着ていた自分を褒めたかった。
「ねぇ、私はどう?イメージと違った?」
「想像通り、いや、想像以上に……かわいいかも」
「ちょっと、からかわないでよ!」
誓って本心なのだが、照れた彼女はさらにかわいかった。
「見えるってことは触れられるのかな?試してみても良い?」
「……いいよ」
そっと手を伸ばした。指先が触れた瞬間、確かなぬくもりが走る。
「……ほんとに、実在するんだ」
「うん、いるね」
いつの間にか、自然に笑っていた。
あの見えなかった空間の中で、何度も想像していた笑顔が、いま僕の目の前にあった。
「伝えたいことがあるんだ」
彼女は黙ってうなずく。その瞳の奥に、同じ光を見た。
「好きです。ずっと前から、ずっとあなたが好きでした」
「……私も。同じ気持ち。ずっと、言えなかったけど」
世界が静まり返る。時計を見ると、0時55分を指していた。
「そろそろ時間だね」
「やばい、緊張する。どうしよう、全然違う世界に飛ばされたら」
「縁起でもないこと言わないで!」
彼女は祈るように両手を組んだ。 俺も真似をし、両手を組む。
いつもはあっという間にすぎる時間が、やけに長く感じる。
「ねぇ、手繋がない……?」
僕の提案に彼女は頷き、そっと手を出してくれた。
その手に自分の手を重ね、ぎゅっと握る。
そして――
暗闇が溶け、現実の街の灯りがにじんだ。
次の瞬間、僕は地面の上に立っていた。 数メートル先に、彼女がいる。
たまらず駆け出し、強く抱きしめた。
「えっ……!?なに!?」
彼女の隣にいた女性が、声をあげた。
僕と彼女は顔を見合わせ、歓喜に満ちた笑顔を交わしあった。
「……夢じゃなかった」
「うん。現実だよ」
僕らはスマホを取り出し、連絡先を交換した。
その光景があまりに現実的で、なんだか笑えてきた。
「ちょっと、二人の世界に入らないで!説明して!」
「えーっと彼氏の佑也、だよね?」
「佑也です。よろしくお願いします」
「……え、いつの間に彼氏できたの?」
「ついさっき!」
「いや、ほんと意味わかんない!」
こうして、僕と明日香は恋人になった。
それ以来、僕たちはあの不思議な空間にいけていない。
――あの25時は、僕らのための、特別な時間だったんだ。
***
「ねぇ、なに考えてるの?」
「かわいい妻と出会えた、あの不思議な時間のことをね」
「ふふ。あれがなかったら、私たちは出会えなかったもんね」
「そうだな。でももう24時を待たなくても、会える」
「25時をこえてもね」
僕らは笑い合った。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。
四季
恋愛
お前は要らない、ですか。
そうですか、分かりました。
では私は去りますね。
運命の番より真実の愛が欲しい
サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。
ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。
しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。
運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。
それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる