傷物令嬢って私のことですか?

ルーキッドアン

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「はぁ?!」

困惑した様子で読み進めていたサイモンの顔が苦いものに変わる。

「父上?なんて書いてあるのですか?」

ランディが聞けば、サイモンは無言のまま手紙をランディに渡しソファに沈み込んだ。
ランディも素早く手紙に目を通す。

「どうしてこうなった...」

眉間を押さえ首を振るランディに一体何事なんだとネイサンが詰め寄る。

「王妃がブライオニーとフォーク候爵令息の縁組を打診してきた」

ランディが忌々しい口調で答えた。

「フォーク候爵令息ってニコラスか?」

ネイサンも苦瓜を齧らされた様な顔であった。

「なんで...」

「父上、どうします?」

ランディが手紙をテーブルに置きながら正面に座る。

「きな臭い話ではないようですね...ここはご家族だけが良いかと」

騎士団長のエルリックが退室を申し出た。

「いや、良ければ居てくれ、知恵を借りたい」

サイモンが隣のソファをポンと叩いた。

王妃からの手紙を要約すると

「セシリア様の御息女・ブライオニーは18歳の今も未だ社交界にデビューしていないと聞いている。
僻地に捕らわれ王都の華やかさも知らず馬上で羊を追っているとは余りにも可哀想ではないか。
男手ばかりで気が回らないのは致し方ないので私(王妃マリアンヌ)自ら手を差し伸べよう。
そして、辺境の砦に留まっていれば出会いなど皆無であろうから、これも王妃直々に計らおう。
ついては我が甥のフォーク候爵令息ニコラスと見合いの席を設けるのでブライオニーを王都に連れてくるように
因みに我が子アレックスとソフィアとの結婚式には総出で出席でしょうね?」

とのことであった。

「大きなお世話ではあるが…概ね事実だな」

「確かにデビュタントは成されてないですね」

「僻地に捕らわれてる?」

「マジで大きなお世話!」

男共が頭を突き合わせながら唸った。

「百歩譲って王都へ物見遊山は良いさ!ビニーにガルシュ以外の地を見せてやりたいって俺だって思う、でも」

「なんでニコラスの野郎と見合いなんだよ!!」

「それ!」

二人が熱り立つ姿にエルリックが聞いた。

「その...フォーク候爵令息って方が問題有りなんですか?」

「「大有り!!」」

「ニコラスは王妃の甥っ子って立場で貴族子女の中で威張り散らすわ不正はもみ消すわ、やりたい放題のぼんくらだ。良い噂なんか一つも聞かない」

ネイサンがエルリックにニコラスの為人を説明する。

「ランディ様とは面識が?」

「有るには有る。俺とネイサンの丁度間の歳だ。俺の代の卒業パーティーで紹介されたが、奴は『辺境伯なんて片田舎のお上りさんだ』と俺を鼻で笑ったよ」

「なんて失礼な!」

エルリックも憤慨している。

「父親のフォーク候爵はマリアンヌ王妃の兄であることを誇示する方では無いし理性的な...酒が入らなければ理性的な方だ。その反面、奥方が貴族然とした気位の高い人らしい」

とフォーク候爵と面識あるサイモンが続けた。

「気位なんて方正なもんじゃないです。
見栄と欲と特権意識です。
それに悪意を足して煮詰めたのがニコラスと妹のナターシャですよ」

はランディの評価。

「そうそう!妹のナターシャもニコラスに輪をかけて酷い性格らしいな...
でも見目は美しいんだろ?社交界の若き華だって噂を聞いたが」

とネイサンが問えば、ランディが「見てみるか」と本棚から分厚い貴族名鑑を取り出した。

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