傷物令嬢って私のことですか?

ルーキッドアン

文字の大きさ
28 / 72

28.

しおりを挟む
給仕が、ランディらのテーブルにデザートと珈琲を運び、いよいよ食事の終わりが見えてきた。

『そう言えば、お兄様』とナターシャの癇に障る声が響く。

『西の辺境伯の娘とのお見合い話はどうなりましたの?』

「(ごほっ)!!!!」
「?! ?! ?!」
「????」 

声を上げなかった私たちを褒めて!!ターニャは喉を押さえて思った。

『どうなるも、こうなるも無いだろう』と吐き捨てるニコラス。

『どうして俺が僻地のオンナと見合いしなきゃならないなんだ』

『マリアンヌ様にも困ってしまうわね、田舎者を紹介しようだなんて!』

『ああ、全くだ!』

ターニャとブライオニーがランディを瞠目する。
ゴン!
テーブルに突っ伏すランディ。

「(ランディ様!!!初耳ですけど???」
「(お兄様!!!初耳なんですけどー???」

フォーク兄妹の会話は続く。

『エリーに聞いたのよ、その田舎者の事。』

『エリー??』

『ほら副侍女長のエリー・オルテガよ』

『ああ!それで?田舎者と知り合いなのか?』

田舎者、田舎者、五月蝿いな!ブライオニーが鼻に皺を寄せる。

『エリーはガルシュの出身なんですって。だから良く知っているらしいの。
で、辺境伯の娘...ビリオニーって言ったかしら?』

『ビリオニー?!変な名前!』

「「「(ブライオニーです!!!)」」」

テーブルの上でターニャの手が怒りに震え出した。
ランディが堪えて堪えて!と手を重ねる。

『エリーが言うには、そのビリオニーって、ものすごい我儘で、礼儀知らずで、乱暴者なんですってよ』

え?私?とブライオニーが自分を指さす。

『しかもね、フフフ...』

『何だ?』

『赤毛でひょろひょろっと背ばかり高くて、胸はぺちゃんこで、極めつけに...』

ターニャの手の上で今度はランディの手が怒りに震える。
お兄様、我慢、我慢ですとブライオニーの手が更に重ねられた。三人の掌が重なり合ってる妙な格好である。

怒りは怒りとして蓄積されるが、もう、こうなっては聞いてやろうじゃないか!
極めつけ...のその先を。

『顔に傷が有るんですって!』

ナターシャがデザート用ナイフで右頬をスーッとなぞる真似をした。

『何だよそれ?!そんな傷物を俺に充てがうとはどういうことだ』

『さぁ。その子の母親がマリアンヌ様と学園時代に親しかったんじゃないかしら?
で、嫁の貰い手が無い娘を何とか高位貴族に嫁がせたくて泣きついたんじゃないの?』

『ふざけるなよ!』

『どっかの後妻にでもなれば良いものを。エリーが言っていたように我儘なんでしょうね』

あぁ、目力だけで、人を殺められたら良いのにとターニャは思った。
あぁ、人を呪う術が辺境の古書に載って無かっただろうかとランディは思った。
そしてブライオニーは失敗した伝言ゲームみたいに外耳の切り傷が顔に移ったのだな?と納得したのであった。

訪れたことも無いガルシュ領を田舎田舎と繰り返し、会ったこともない令嬢を傷物傷物となじり続け、悪意、侮蔑、嘲笑...切れ目無く続き結論が出たようだった。

『俺は絶対に会わないぞ。アレックス様の結婚式ギリギリまで王都を出て、見合いはしない!...披露パーティーで紹介されても無視してやる!』

『それが良いわお兄様。田舎者がどれ程場違いな所に来たのか後悔すれば良いのよ!』

『傷物令嬢は砦にしまっておけば恥をかかずに済むものを...』

『まぁそれはそれで楽しいじゃなぁい?私に任せてお兄様。』

フフフと笑ってナプキンを外したナターシャに
やり過ぎるなよと言って、立ち上がるニコラスなのであった。

しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

《完結》当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 日曜日以外、1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします! 2025年3月17日 お気に入り登録400人達成 驚愕し若干焦っております! こんなにも多くの方に呼んでいただけるとか、本当に感謝感謝でございます。こんなにも長くなった物語でも、ここまで見捨てずに居てくださる皆様、ありがとうございます!! 2025年6月10日 お気に入り登録500人達成 ひょえぇぇ?! なんですと?!完結してからも登録してくださる方が?!ありがとうございます、ありがとうございます!! こんなに多くの方にお読み頂けて幸せでございます。 どうしよう、欲が出て来た? …ショートショートとか書いてみようかな? 2025年7月8日 お気に入り登録600人達成?! うそぉん?! 欲が…欲が…ック!……うん。減った…皆様ごめんなさい、欲は出しちゃいけないらしい… 2025年9月21日 お気に入り登録700人達成?! どうしよう、どうしよう、何をどう感謝してお返ししたら良いのだろう…

お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして

みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。 きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。 私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。 だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。 なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて? 全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです! ※「小説家になろう」様にも掲載しています。

私が、良いと言ってくれるので結婚します

あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。 しかし、その事を良く思わないクリスが・・。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです

古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。 皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。 他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。 救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。 セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。 だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。 「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」 今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします

柚木ゆず
恋愛
 ※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。  我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。  けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。 「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」  そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

処理中です...