傷物令嬢って私のことですか?

ルーキッドアン

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翌日、ガルシュ辺境伯サイモンが王都に到着した。
ガルシュから直接王城入りして国王ルパートにし、その際王妃も同席させて、この度の計らいについてがてら問い質した。もうどちらが格上か微妙である。

「この度の縁つなぎ話ですが...わが娘がフォーク候爵子息を否としたならどうされますか」と、その声は低音だ。
予想通り、国王はこの件を知らない様子。
しかもサイモンが静かに怒りを覚えている事を素早く察知し国王は焦った。
事の流れを王妃から聞き終え「無理強いはしないように。あくまでも出会いの機会を」との言質を取った。

「マリアンヌ様もそれで宜しいか」とサイモンが伺う体で釘を刺すと間髪入れず「良いな?」と国王が圧迫し了承をもぎ取った。

マリアンヌはサイモンには数回会っている。
マリアンヌの父である公爵は、パルスガンの戦いが起兵出陣から僅か五日で勝利した際、サイモンを稀に見る賢将だと手放しで褒め称えていた。
夫のルパートからもサイモン辺境伯は「政治・軍事・経済」全てに明敏な辺境の武人であると聞いていたが、これほどもの言いの硬い人柄であっただろうか。
国王である夫が全く寛ぐ素振りもなく緊張さえ伺えるとは。

「そもそも何故にブライオニーを?」
サイモンに対して畏怖の念を抱いたマリアンヌはセシリアの娘であるブライオニーに一度会ってみたかったのだと言い訳がましく言った。
そして手紙に記した様に出会いの機会が無い辺境では無く華やぐ王都で出会いの場を...と。
その上で王都の貴族と縁を繋いでくれるとなれば、マリアンヌ自らが社交界でブライオニーに目を掛けてあげられると...。

腕を組んで聞いていたサイモンはひとつ息を吐いて立ち上がった。
「全て娘の判断に任せます。王都が良いなら良いで構わないしニコラスを気に入るならそれも受け入れる。
しかしブライオニーが否と言えば終わりです。
そして王都に滞在中、フォーク家のニコラス殿がどう出ようと、ナターシャ嬢が何をなされようと、我が家は娘の意思を基に動きます。
降りかかる火の粉をそのままにはいたしません故、ご承知を」

降りかかる火の粉とは?...マリアンヌは、甥と姪が何故警戒されているのは分からなかった。
口ではどう言おうと、当主サイモンが娘を支配しているのではないかと訝しんだ。
であるから、甥ニコラスとブライオニーが惹かれ合い婚姻に至る事はマリアンヌ自身の欲では無く、貴族令嬢にとって僥倖であろうと信じるのであった。
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