傷物令嬢って私のことですか?

ルーキッドアン

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王太子夫妻の結婚披露パーティーは王城の大広間で盛大に催される。
既に下位の貴族らは入場を済ませて、順に入ってくる高位貴族を待っていた。

オースティン伯爵家の当主ジョセフとポリー夫妻、娘のターニャとは王城の控室で落ち合った。

「まぁ!わかっていたけどランディ様すっごくかっこいいわね!」

「かっこいい」なんて賛辞は一周回って久しぶりに聞いたよと、ランディが笑う。

「じゃぁなぁに?麗しい?セクシー?...ゾクゾクする?押し倒...」

「ストップ!かっこいいで良いよ。それと!ターニャ、君も素敵だよ」

「ありがとう。貴方がパートナーだってわかってたら、もっと頑張ったなんだけどな」急に言うんだもの!とターニャは両手を上げた。

ターニャのドレスは銀のオーガンジーと群青色のタフタで仕上げたオートクチュール。
デコルテを強調して背の低いターニャでも詰まりを感じずに着こなせるドレスで良く似合っている。

ターニャは「気を使ってくれたのね!」とランディのフォールド型ポケットチーフをスッと撫でた。

群青色のポケットチーフは勿論ターニャのドレスに合わせて差し込んだ。
今日までブライオニーに関わってくれた優しき従姉妹殿。
感謝を込めてしっかりパートナーを務めるよと言えば

「はぁ。デビュタントのときもそうだったけど」

「え?」

「会場中の女性から陰口とシャンパンを浴びる可能性大だわ」せっかくお洒落したのに~と泣く真似をするターニャであった。

『ご準備を』と声が掛かって、大広間前に並ぶ。

「ブライオニーのお支度は?」

「うん。素晴らしく綺麗だったよ」

「でしょ?!あー早く会いたいわ」

「ターニャ!あのドレス、背中が...」

「背中が丸見え!セクシーでしょ?」

「ホント、策士だな君は」

「ガルシュの策士に言われるなんて嬉しいことだわ」

ジョセフとポリーの背中を見ながら移動する間も二人の会話は続くのであった。



『オースティン伯爵家、ジョセフ・オースティン様
ポリアンナ・オースティン様
タチアナ・オースティン様
ガルシュ辺境伯家、ランディ・ガルシュ様』

入場である。

案の定!織り込みであったが、ランディの登場で「きゃぁああ!」「ランディ様~!」「どうしてターニャ嬢と?!」
大騒ぎである。

王都で流行った歌劇の主人公だって打ち負かす程の歓声。
絵姿を量産して売ったら儲かるんじゃない?やってみる?

ランディの腕に手を掛けて一緒に歩くターニャは、突き刺さる嫉妬と羨望の視線に何だか笑えてきた。

「マゾなのターニャ?」

「今、目覚めたわ」

クククッ、フフフッと笑い合う二人。
「嘘~!」「嫌~!」とギャラリーは増々ヒートアップするのであった。


  伯爵家が入場し終えて候爵家。王国に候爵位は六つ。
そのトリをフォーク候爵家が担うらしい。

候爵夫妻に続いて
『ニコラス・フォーク様
ナターシャ・フォーク様』 とお呼びが掛かれば、派手な兄妹が派手派手しく入場してきた。

ニコラスは黒にも見える濃紺のタキシード。最近はやりのショールカラーにカマーバンドは深紅。蝶ネクタイも同じく。

「キザったらしい」とはターニャの口から漏れた悪口。

ナターシャは入場と共に会場がざわついた程の薄いピンクのシフォン。煌めかしい会場の照明で一瞬白いドレスに見えたため困惑の声が上がったが、自身への賛辞だと思ったナターシャはツンと澄まして上座へ歩いていった。

いつ見てもお美しいとか可憐だとの囁き声が耳に届いたが
「絶対にビニーの方が可愛い」シスコンランディが言い切れば「当然よ」と頷くパートナーであった。

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