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当主歴最長の北辺境伯も会場入りを果たし、最後の公爵家へと移った。
大トリは王太子と結婚したソフィア嬢の実家アシュトン公爵家。
ソフィアの兄で嫡男のゲイリー・アシュトンはパートナーを伴わず入場した。
どうした事かとざわついたがオーケストラの荘厳なメロディーが王族の入場を告げたことで意識が削がれる。
そしてエントランスとは反対側の扉から王族、王太子夫妻、国王夫妻が来場され結婚祝賀パーティーの開会が宣言された。
『この善き日に~』と国王から祝賀の挨拶があり、王国お抱えの楽団がワルツを奏でる。ファーストダンスは新婚のアレックス王太子がソフィア様をリードして口火を切り弟のデービット殿下と婚約者の令嬢...と続いた。
それぞれのパートナーを伴ってワルツが繰り広げられる。貴族間の交流、挨拶も暇無く続いていた。
その間もブライオニーへの興味関心は留まることを知らない。
誰も彼もがガルシュ辺境伯一行を視野に入れ
「あの噂は何だったのか」
「傷跡など何処にもないじゃないの!」と囁き合っている。
それだけではない。
「素晴らしいドレスを美しく着こなしていらっしゃる」
「ガルシュご兄妹共になんて麗しいの」
「あの黒髪のパートナーは誰?素敵だわ」
と賛辞が止まらない。
実際に、ターニャが誂えてくれたドレスは会場に居る老若男女の目を奪って離さないようであった。
レースやリボンの装飾が無くスッキリとしたデザインで肩から背中は露出していてもいやらしさがない。
近年のトレンドは可愛らしさを取り入れたタフタやオーガンジーであったが以前ターニャが言っていたようにそのトレンドは飽和気味で、この洗練されたデザインは正にこれから流行るであろう最先端のドレスであった。
そして流行ると言えども着る人を選ぶデザインのドレスであった。
今まで常であったように社交界の大輪として持て囃されるはずのフォーク候爵家ナターシャは自分の入場後に現れた「件の令嬢」に視線も話題も賛美もかっさわれて怒り心頭であった。
その怒りの前提には「どういう事なの?!」という困惑があった。
頬に醜い傷跡のある田舎娘ではなかったのか?!
皆から浴びせられるのは良くて同情、多くは蔑みと嘲笑であるはずであった。
それが...令息たちと並ぶほどの長身は堂々として、何も飾らない髪は潔く背に流れている。
その背中に時折、遠慮がちに添えられるパートナーの手。
田舎令嬢のパートナー!?
名前どころか存在すら知らなかったあの紳士は何処の誰ですって?
見上げるほどの上背と鍛えられた体躯が凛々しい。
黒いタキシードを纏う姿は辺境伯と同様に悠然としている。
いい男!!
更に悔しい事に「王国随一の美男子」と謳われるガルシュの嫡男ランディまでもが、妹をこの上なく慈しむように側にいるではないか。
「気に入らないわ!」ナターシャは酷く憤った。
当主歴最長の北辺境伯も会場入りを果たし、最後の公爵家へと移った。
大トリは王太子と結婚したソフィア嬢の実家アシュトン公爵家。
ソフィアの兄で嫡男のゲイリー・アシュトンはパートナーを伴わず入場した。
どうした事かとざわついたがオーケストラの荘厳なメロディーが王族の入場を告げたことで意識が削がれる。
そしてエントランスとは反対側の扉から王族、王太子夫妻、国王夫妻が来場され結婚祝賀パーティーの開会が宣言された。
『この善き日に~』と国王から祝賀の挨拶があり、王国お抱えの楽団がワルツを奏でる。ファーストダンスは新婚のアレックス王太子がソフィア様をリードして口火を切り弟のデービット殿下と婚約者の令嬢...と続いた。
それぞれのパートナーを伴ってワルツが繰り広げられる。貴族間の交流、挨拶も暇無く続いていた。
その間もブライオニーへの興味関心は留まることを知らない。
誰も彼もがガルシュ辺境伯一行を視野に入れ
「あの噂は何だったのか」
「傷跡など何処にもないじゃないの!」と囁き合っている。
それだけではない。
「素晴らしいドレスを美しく着こなしていらっしゃる」
「ガルシュご兄妹共になんて麗しいの」
「あの黒髪のパートナーは誰?素敵だわ」
と賛辞が止まらない。
実際に、ターニャが誂えてくれたドレスは会場に居る老若男女の目を奪って離さないようであった。
レースやリボンの装飾が無くスッキリとしたデザインで肩から背中は露出していてもいやらしさがない。
近年のトレンドは可愛らしさを取り入れたタフタやオーガンジーであったが以前ターニャが言っていたようにそのトレンドは飽和気味で、この洗練されたデザインは正にこれから流行るであろう最先端のドレスであった。
そして流行ると言えども着る人を選ぶデザインのドレスであった。
今まで常であったように社交界の大輪として持て囃されるはずのフォーク候爵家ナターシャは自分の入場後に現れた「件の令嬢」に視線も話題も賛美もかっさわれて怒り心頭であった。
その怒りの前提には「どういう事なの?!」という困惑があった。
頬に醜い傷跡のある田舎娘ではなかったのか?!
皆から浴びせられるのは良くて同情、多くは蔑みと嘲笑であるはずであった。
それが...令息たちと並ぶほどの長身は堂々として、何も飾らない髪は潔く背に流れている。
その背中に時折、遠慮がちに添えられるパートナーの手。
田舎令嬢のパートナー!?
名前どころか存在すら知らなかったあの紳士は何処の誰ですって?
見上げるほどの上背と鍛えられた体躯が凛々しい。
黒いタキシードを纏う姿は辺境伯と同様に悠然としている。
いい男!!
更に悔しい事に「王国随一の美男子」と謳われるガルシュの嫡男ランディまでもが、妹をこの上なく慈しむように側にいるではないか。
「気に入らないわ!」ナターシャは酷く憤った。
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