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「訴訟...になるのでしょうか。」
フレデリカが不安気に呟けば、トリシアは「上等よ」と鼻で笑った。
爵位をかさに、うら若い令嬢を脅かそうとしてるのよ。
向こうの弁護士だって当主だって兄達だって、原告側が不貞行為をしていたことや職務規定違反の件は聞いていないと思うわ。
都合よく喋って、書かせただけよこんなの!
訴状を中指で弾く。
トリシアは逞しい。
実際トリシアは何度も裁判を経験していた。
デザインの盗用や権利をめぐって、あるいは名誉毀損をめぐって戦ってきた経験と力量のある法律家の伝と財力がある。
はっきり言ってコックス子爵家なんて吹き飛ばせるほどの財力がマクガイア子爵家にはあるのだ。
わざわざフレデリカにひけらかす事はしないがマクガイア家は裕福なのだ。
「大丈夫よフレデリカ。私が付いているわ。」
トリシアがフレデリカを抱きしめる。
「叩けば埃だらけのあの男と、品行方正な貴方。訴訟を取り下げて頭も下げるのはコックス家の方よ!」
フレデリカ自身は品行方正の定義が分からないが、王都に出て来て以来倹しく真面目に働いてきた自負はある。
もしこの件で醜聞となり今後の御縁にケチがついたなら刺繍職人として生きていけば良いんだとフレデリカの肝が座った。
「トリシア様。売られた喧嘩は買います。アンソニーの思うようにはさせません。」
フレデリカの決意にトリシアはもう一度強く抱きしめた。
「こんな書面だけで脅してくるなら可愛いものよ。
もしアンソニーが待ち伏せしていたり、見かけない男が付き纏ったりしたら、それは洒落にならない。直ぐに言うのよ?!」
トリシアからすれば、力任せの八つ当たりや報復が怖ろしい。
「はい。充分気を付けます。」
フレデリカは呑気に「全て片付いた」と思っていた事を反省した。
物事は自分の側からだけでなく相手側からも捉える事が必要なのだと。
自分の正義と別のベクトルで相手側にも正義がある。
お門違いの正義でも、とっ散らかった正義でも、アンソニーが思う正義の名の下に挑まれた戦いにフレデリカが巻き込まれた事は確かであった。
▼
悶々とした夜が明けて、フレデリカは誰よりも早く工房に出勤した。
何となく、いつものルーティンで動くのが怖くて早い時間にいつもと順路を変えて歩き工房に着いてやっと呼吸が楽になるフレデリカであった。
好きな事を生業に出来るということは有難い。
不安や憤りも、繊細な刺繍に集中することで忘れることができた。
オーブグリーンのサテン地に銀糸で刺し続ける蔦の刺繍は本当に見事なものであった。
「フレデリカ、区切りの良いところで私の部屋へいらっしゃい。」
トリシアが声を掛ける。
アンソニーの案件かと一気にざわついた心中では区切りの良いところまで刺せないと、フレデリカは針を置いてトリシアの部屋へ向かった。
▼
ノックをして「グレントです」と名乗れば
「フレデリカ、入って」とトリシアの返事が。
何度目かに入ったトリシアの個室には作業台に引き始めたばかりの型紙が広がっていた。
その作業台の奥にあるソファーから一人の女性が立ち上がった。
「フレデリカ。マクガイア家の顧問弁護士、ジェニファー・ハーモンよ。」
黒髪をキュッと纏めて美しい額全開のジェニファーが「初めまして」と右手を差し出す。
「フレデリカ・グレントです」と名乗って握手を交わしたフレデリカ。脳内で“ハーモン”という聞き覚えのある名字が海馬のどの引出しにあるか探っていると、トリシアが「ハーモン候爵閣下の奥様よ」と正解を発した。
サンニコラス王国に7つ存在していた候爵家。
この秋に古参のボウ候爵家が不祥事を起こして候爵位を剥奪されて降爵となり、国内の候爵家は6家門となった。
その内のひとつがハーモン候爵家で、当主は長く大臣職に付いているが、夫人も負けじと働く女性であった。
貴族の夫人、令嬢が職を得て働くことを良しとしない風潮も未だ残る社交界であるが、サンニコラス王国の王妃自らが議会に参加し外交にも携わる事で、次第に働く女性貴族も増えてきた昨今。
ばりばり働くトリシアとジェニファーは爵位の高低を超えて交流があり親友でもあった。
トリシアはフレデリカを座らせて、ジェニファーと共に反対側のソファーへ身体を滑らせた。
「この...昨日の書類をジェニファーに見せたの。その際に貴方とあの男との交際について大雑把に話したのだけど...ごめんなさいね、貴方のいない所で。」
トリシアはフレデリカから聞かされていた範囲でジェニファーに話したのだと説明した。
「いいえ、そんな。かえってお礼を申し上げます」とフレデリカは早速弁護士に話を通してくれたトリシアに感謝した。
「それでね、グレント嬢」とジェニファー。
「どうぞフレデリカと呼んでください。」
「では、そうするわ。ありがとう、フレデリカ。」
引っ詰めた髪と眼鏡で厳しい第一印象のジェニファーであったが、その笑顔も声も柔らかく安心できるものであった。
「それでね、確認したいのだけれど、貴方とコックス氏との関係性がどの程度まで進んでいたか..ということを。」
「関係性が..どの程度まで...とは?」
「肉体関係があったかどうかって事よ。」
フレデリカがピンと来ない様子にトリシアが単刀直入に聞く。
「にく...!まさか!!」
フレデリカは両手をブンブン、首もブンブン振って否定する。
「落ち着いてフレデリカ。首がもげるわ」
真っ赤になっているフレデリカに「大丈夫よ確認しただけなのだから」とトリシアが言って「信じているわ、勿論」とジェニファーも深く頷いた。
涙目で、“アンソニーの意味ありげな誘う言葉と赤羅様な接触を掻い潜ってきたのです!”と訴えれば、「偉い!」とトリシアはテーブルを超えてフレデリカの隣に座った。
「それで同僚から“フレデリカはわかってない”とか責められていたのね?」
「アンソニーが不満気に吐露したらしく...はい。」
フレデリカはこの事が不利に働くのかと不安になった。
「ねぇジェニファー、この件については証人も大丈夫そうね?」
そう話すトリシアは先ほどからフレデリカの震える手を握っていてくれる。
「そうね!オーケー!
それにしても...公的にも私的にすらも婚約の書類も無く、お互いの両親に会うでもなく、肉体関係も無い。有るのはこいつが贈った指輪だけ...ということね?」
「はい、そうです。」
ジェニファーがメモを取りながら聞き取ってフレデリカが答える。
「...何をどうしたら婚約不履行で訴えられると思ったのかしら、こいつ。」
アンソニーの事をトリシアは“あの男”と呼ぶが、ジェニファーは“こいつ”呼ばわりする。
「ほら、ここにフレデリカに指輪をはじめ、色々貢いだって書いてあるでしょ?」
トリシアが鼻の頭にしわを寄せて「“誠意を尽くしたのに裏切られた”ですって。浮気しておいて馬鹿じゃないの?!」とぶった切る。
「多分、自分の不貞行為は隠しているのだと思います」
フレデリカが言うと、ジェニファーもきっとそうでしょうねと同意した。
アンソニーの実家があるコックス家の領地は王都から遠い。
王都での様子はアンソニーが報告しない限り伺い知れないのだろう。
「きっと貴方には訴訟を戦う術も伝も無いから、脅して困らせて醜聞に巻き込もうと...嫌がらせよ、つまりはね。」
ジェニファーの言う様に、もしフレデリカの側にトリシアが居なければ、フレデリカは初めて齎された訴状に青くなって途方に暮れていただろう。
自分で自分の正当性を訴えて相手の弁護士と戦うか、ありったけの貯金を費やして弁護士を雇うか。
所詮、男爵家の娘でしかないフレデリカに勝ち目があっただろうか。
フレデリカは改めて己の境遇に感謝するのであった。
フレデリカが不安気に呟けば、トリシアは「上等よ」と鼻で笑った。
爵位をかさに、うら若い令嬢を脅かそうとしてるのよ。
向こうの弁護士だって当主だって兄達だって、原告側が不貞行為をしていたことや職務規定違反の件は聞いていないと思うわ。
都合よく喋って、書かせただけよこんなの!
訴状を中指で弾く。
トリシアは逞しい。
実際トリシアは何度も裁判を経験していた。
デザインの盗用や権利をめぐって、あるいは名誉毀損をめぐって戦ってきた経験と力量のある法律家の伝と財力がある。
はっきり言ってコックス子爵家なんて吹き飛ばせるほどの財力がマクガイア子爵家にはあるのだ。
わざわざフレデリカにひけらかす事はしないがマクガイア家は裕福なのだ。
「大丈夫よフレデリカ。私が付いているわ。」
トリシアがフレデリカを抱きしめる。
「叩けば埃だらけのあの男と、品行方正な貴方。訴訟を取り下げて頭も下げるのはコックス家の方よ!」
フレデリカ自身は品行方正の定義が分からないが、王都に出て来て以来倹しく真面目に働いてきた自負はある。
もしこの件で醜聞となり今後の御縁にケチがついたなら刺繍職人として生きていけば良いんだとフレデリカの肝が座った。
「トリシア様。売られた喧嘩は買います。アンソニーの思うようにはさせません。」
フレデリカの決意にトリシアはもう一度強く抱きしめた。
「こんな書面だけで脅してくるなら可愛いものよ。
もしアンソニーが待ち伏せしていたり、見かけない男が付き纏ったりしたら、それは洒落にならない。直ぐに言うのよ?!」
トリシアからすれば、力任せの八つ当たりや報復が怖ろしい。
「はい。充分気を付けます。」
フレデリカは呑気に「全て片付いた」と思っていた事を反省した。
物事は自分の側からだけでなく相手側からも捉える事が必要なのだと。
自分の正義と別のベクトルで相手側にも正義がある。
お門違いの正義でも、とっ散らかった正義でも、アンソニーが思う正義の名の下に挑まれた戦いにフレデリカが巻き込まれた事は確かであった。
▼
悶々とした夜が明けて、フレデリカは誰よりも早く工房に出勤した。
何となく、いつものルーティンで動くのが怖くて早い時間にいつもと順路を変えて歩き工房に着いてやっと呼吸が楽になるフレデリカであった。
好きな事を生業に出来るということは有難い。
不安や憤りも、繊細な刺繍に集中することで忘れることができた。
オーブグリーンのサテン地に銀糸で刺し続ける蔦の刺繍は本当に見事なものであった。
「フレデリカ、区切りの良いところで私の部屋へいらっしゃい。」
トリシアが声を掛ける。
アンソニーの案件かと一気にざわついた心中では区切りの良いところまで刺せないと、フレデリカは針を置いてトリシアの部屋へ向かった。
▼
ノックをして「グレントです」と名乗れば
「フレデリカ、入って」とトリシアの返事が。
何度目かに入ったトリシアの個室には作業台に引き始めたばかりの型紙が広がっていた。
その作業台の奥にあるソファーから一人の女性が立ち上がった。
「フレデリカ。マクガイア家の顧問弁護士、ジェニファー・ハーモンよ。」
黒髪をキュッと纏めて美しい額全開のジェニファーが「初めまして」と右手を差し出す。
「フレデリカ・グレントです」と名乗って握手を交わしたフレデリカ。脳内で“ハーモン”という聞き覚えのある名字が海馬のどの引出しにあるか探っていると、トリシアが「ハーモン候爵閣下の奥様よ」と正解を発した。
サンニコラス王国に7つ存在していた候爵家。
この秋に古参のボウ候爵家が不祥事を起こして候爵位を剥奪されて降爵となり、国内の候爵家は6家門となった。
その内のひとつがハーモン候爵家で、当主は長く大臣職に付いているが、夫人も負けじと働く女性であった。
貴族の夫人、令嬢が職を得て働くことを良しとしない風潮も未だ残る社交界であるが、サンニコラス王国の王妃自らが議会に参加し外交にも携わる事で、次第に働く女性貴族も増えてきた昨今。
ばりばり働くトリシアとジェニファーは爵位の高低を超えて交流があり親友でもあった。
トリシアはフレデリカを座らせて、ジェニファーと共に反対側のソファーへ身体を滑らせた。
「この...昨日の書類をジェニファーに見せたの。その際に貴方とあの男との交際について大雑把に話したのだけど...ごめんなさいね、貴方のいない所で。」
トリシアはフレデリカから聞かされていた範囲でジェニファーに話したのだと説明した。
「いいえ、そんな。かえってお礼を申し上げます」とフレデリカは早速弁護士に話を通してくれたトリシアに感謝した。
「それでね、グレント嬢」とジェニファー。
「どうぞフレデリカと呼んでください。」
「では、そうするわ。ありがとう、フレデリカ。」
引っ詰めた髪と眼鏡で厳しい第一印象のジェニファーであったが、その笑顔も声も柔らかく安心できるものであった。
「それでね、確認したいのだけれど、貴方とコックス氏との関係性がどの程度まで進んでいたか..ということを。」
「関係性が..どの程度まで...とは?」
「肉体関係があったかどうかって事よ。」
フレデリカがピンと来ない様子にトリシアが単刀直入に聞く。
「にく...!まさか!!」
フレデリカは両手をブンブン、首もブンブン振って否定する。
「落ち着いてフレデリカ。首がもげるわ」
真っ赤になっているフレデリカに「大丈夫よ確認しただけなのだから」とトリシアが言って「信じているわ、勿論」とジェニファーも深く頷いた。
涙目で、“アンソニーの意味ありげな誘う言葉と赤羅様な接触を掻い潜ってきたのです!”と訴えれば、「偉い!」とトリシアはテーブルを超えてフレデリカの隣に座った。
「それで同僚から“フレデリカはわかってない”とか責められていたのね?」
「アンソニーが不満気に吐露したらしく...はい。」
フレデリカはこの事が不利に働くのかと不安になった。
「ねぇジェニファー、この件については証人も大丈夫そうね?」
そう話すトリシアは先ほどからフレデリカの震える手を握っていてくれる。
「そうね!オーケー!
それにしても...公的にも私的にすらも婚約の書類も無く、お互いの両親に会うでもなく、肉体関係も無い。有るのはこいつが贈った指輪だけ...ということね?」
「はい、そうです。」
ジェニファーがメモを取りながら聞き取ってフレデリカが答える。
「...何をどうしたら婚約不履行で訴えられると思ったのかしら、こいつ。」
アンソニーの事をトリシアは“あの男”と呼ぶが、ジェニファーは“こいつ”呼ばわりする。
「ほら、ここにフレデリカに指輪をはじめ、色々貢いだって書いてあるでしょ?」
トリシアが鼻の頭にしわを寄せて「“誠意を尽くしたのに裏切られた”ですって。浮気しておいて馬鹿じゃないの?!」とぶった切る。
「多分、自分の不貞行為は隠しているのだと思います」
フレデリカが言うと、ジェニファーもきっとそうでしょうねと同意した。
アンソニーの実家があるコックス家の領地は王都から遠い。
王都での様子はアンソニーが報告しない限り伺い知れないのだろう。
「きっと貴方には訴訟を戦う術も伝も無いから、脅して困らせて醜聞に巻き込もうと...嫌がらせよ、つまりはね。」
ジェニファーの言う様に、もしフレデリカの側にトリシアが居なければ、フレデリカは初めて齎された訴状に青くなって途方に暮れていただろう。
自分で自分の正当性を訴えて相手の弁護士と戦うか、ありったけの貯金を費やして弁護士を雇うか。
所詮、男爵家の娘でしかないフレデリカに勝ち目があっただろうか。
フレデリカは改めて己の境遇に感謝するのであった。
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