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婚約破棄の不当性と慰謝料の正当性を認めさせる裁判であるが、どちらも破綻して、結論は目に見えている。
裁判長が原告側を諌めて座らせた後に、ホフマンとジェニファーを呼んで「これで結審とし一時間の休廷後に判決の言い渡しをするが異論は無いか」と確認した。
「いや..あの..そうですね..訴訟の取り下げを...」と言い淀むホフマンにジェニファーが「一人の女性に言いがかりをつけて裁判所に引っ張って来ておいて、旗色が悪くなったら取り下げるって、勝手に終わらせる気ですか」と強い口調で責めた。
「私どもは「一方的な婚約破棄」と訴えられた件を論破すべく準備万端ですし、フレデリカ嬢の名誉のためにも充分に戦う覚悟を持ってここに来ていますの。」
ジェニファーは「深酒で浮腫んだ顔の原告とは気概が違うのよ、ホフマンさん。」と皮肉った。
ホフマンは振り返ってアンソニーを見た。
傲慢さと尊大さが二日酔いを纏って座っている。
「戦う術が潰えたなら、判決を受け入れなさいな。」
ジェニファーは、被告側の勝訴を確信している。
それと同じ様にホフマンは自分たちの敗訴を確信していた。
「休廷とします。」
裁判長が立ち上がり、書記官と共に出て行く。
ホフマンはがっくりと肩を落として原告席に縫い留められたように動けずにいた。
アンソニーも形勢が悪いと感じ始めていたので「今日のところはこれで勘弁してやる」と言って訴訟を取り下げようと思っていた。
「もう帰りたいんだが...」
他人事の様に言ったアンソニーにホフマンが呆れた声で「それは無理です」と答えた。
「もう始まってしまった訴訟ですので被告側の承諾が無ければ取り下げられません。」
「フレデリカに取り下げに同意する様言ったら良い。」
この末っ子...馬鹿なのかとホフマンは目を細める。
「無理です。」
「何故だ?」
この末っ子...馬鹿なんだなとホフマンは下唇を噛んだ。
「自分が勝てるのに取り下げに応じる訳が無いでしょう。」
もうため息までついて、呆れた様子も隠さないホフマン。
「貴方に出来るのは裁判費用の支払い準備と、この後フレデリカ嬢から反訴されないようにひたすら神に祈る事です。」
(反訴されても、私は代理人など引き受けないけどな!)
「裁判費用?!」と驚くアンソニーは“費用はフレデリカ側が払う”と言っただろうと詰め寄った。
「“こちらが勝ったら”です!負けますから!払うんです!」
あぁ、成功報酬も無いのだな...とホフマンは今更ながら気が付いた。
あれこれと皮算用していたと言うのに。
「無理だ...巡察隊を辞めて金が無い。」
フルフルと首と手を振るアンソニーに
「そんな事、知らねーよ!」
いよいよキレたホフマンであった。
▼
休廷となり、フレデリカとジェニファーは法廷を出て裁判所の中庭に有るベンチへ向かった。
「フレデリカ嬢!」
リドリー・ラザフォードが立ち上がる。
ウォルトは身体を捻ってフレデリカとジェニファーに向き直った。
「出番かい?」とウォルト。
「いいえ。殿下にご足労頂かなくとも勝ちます。」
そもそも相手になりませんわとジェニファーが肩をすくめて笑った。
「訴状にあったこと以上の事は出て来ませんでしたし、アンソニーの女性関係も身辺すら調べがなかった様で...本人が喋ったことだけを信用して私の一方的な婚約破棄だと思い込んだみたいです。」
フレデリカが危惧していたのはアンソニーの有責で破棄する事を端折ってしまった事で、フレデリカが一方的であったとされる事。
“アンソニーも婚約の取り消しに同意したのに、それを否定される”事であった。
孤児院の門扉前でアンソニー側も二人の関係を「終わりだ!」と言った事実が有るのに「言ってない」と、「説得したのに聞いても貰えなかった」と訴状通りに“一方的な婚約破棄だ”を貫かれる事になった際には、リドリーとウォルトに証人として出廷してもらい証言をお願いする手筈であった。
候爵夫人のジェニファーが自ら王弟殿下を訪ねて話をしてくれたところ、本日わざわざ裁判所内に待機してくれていたのだ。
「ウォルト様、ウォルト様が控えて居てくださる事が大変心強く、堂々として居られました。ありがとうございました。」
フレデリカが深々と頭を下げた。
「出番がなくて良かったと思う事にしよう。」
ウォルトが渋い声でそう言うと「「まだ呼ばれないかなぁ」って楽しみにしていたんだ、ウォルト様は。」とリドリーが暴露して「黙れ」と脛を蹴られた。
「痛っ!....それで、フレデリカ嬢。今後反訴状は提出するのかい?」
蹴られた脛をさすりながらリドリーがフレデリカに問う。
ウォルトとも先ほどから「コックス子爵家に責任を取らせて領地に引き取ってもらいたいものだ」と話していたのだ。
振られて裁判を起こした彼奴が、この度敗訴して今後どう動くのか気になる...アンソニーが王都にいるのはフレデリカにとって落ち着かない事だろうとリドリーは心配していた。
「反訴は考えていません」とフレデリカ。
代理人のジェニファーは“婚約破棄の原因はアンソニーであると明らかになるのだから慰謝料の請求が出来る”と言ってくれているが、もうアンソニーの事に時間を割くのが面倒であるというのがフレデリカの本心であった。
「アンソニーからは何も要らないです。」
フレデリカが短く答える。
「今回の訴訟で貴方の醜聞になったのではないか?」
ウォルトが心配するのは男爵令嬢として、この婚約破棄のゴタゴタに巻き込まれたフレデリカが今後の社交界で醜聞に塗れる事であった。
ウォルトは火災で負った傷痕の事で、同情の名を借りて面白可笑しく話題に上がる数年間を過ごした。
自分の事で無くとも年に2度出席する社交界パーティーで下世話な噂に群がる貴族に辟易しているのであった。
社交界における他人の不幸話は格好のネタであり、底意地の悪さと無責任なでまかせ話はいつの世も変わらない。
自分は男だから良い。王弟としての権威が鎧にもなっているから、悪意や嘲笑にひと睨みで黙らせることが出来た。
今もそうだ。未だ独身のウォルトの事をやんややんやと騒ぐ外野の煩わしさに、王弟であるからこそ釘を刺す事ができる。
フレデリカは未だ若い。爵位も低い。大いに侮られるだろう。
この一件で縁談に曰くが着くようなことが無いように、自身の潔白と清廉性を訴えた方が良い気がするのだが...。
「私は一応貴族の端くれですが、社交界には縁遠いですし、今後の縁談に影響があったとしても、それはそれで構わないのです。
実際に私の浅はかな判断でコックス子爵令息と付き合ってしまった訳ですし、それを悔やんでいるところですから、懺悔のつもりで暫くは出会いなど求めず仕事に邁進いたします。」
フレデリカは近しい人達さえ真実を知ってくれていれば良いのです...と言ってこの裁判を以て終わりにすると明言するのであった。
“出会いなど求めない”とフレデリカがきっぱり言うのを聞いてリドリーが複雑な...それでいて寂し気な顔をした事にジェニファーは気付いた。
すぐ横でウォルトが小さくため息をついたことで「あぁウォルト殿下も気付いていらっしゃるのね」と目線を送れば、ウォルトが頷く形で肯定する。
若者たちの恋路は見守るしかないが、どうか行き着く先に幸あれ!と願うジェニファーとウォルトなのであった。
裁判長が原告側を諌めて座らせた後に、ホフマンとジェニファーを呼んで「これで結審とし一時間の休廷後に判決の言い渡しをするが異論は無いか」と確認した。
「いや..あの..そうですね..訴訟の取り下げを...」と言い淀むホフマンにジェニファーが「一人の女性に言いがかりをつけて裁判所に引っ張って来ておいて、旗色が悪くなったら取り下げるって、勝手に終わらせる気ですか」と強い口調で責めた。
「私どもは「一方的な婚約破棄」と訴えられた件を論破すべく準備万端ですし、フレデリカ嬢の名誉のためにも充分に戦う覚悟を持ってここに来ていますの。」
ジェニファーは「深酒で浮腫んだ顔の原告とは気概が違うのよ、ホフマンさん。」と皮肉った。
ホフマンは振り返ってアンソニーを見た。
傲慢さと尊大さが二日酔いを纏って座っている。
「戦う術が潰えたなら、判決を受け入れなさいな。」
ジェニファーは、被告側の勝訴を確信している。
それと同じ様にホフマンは自分たちの敗訴を確信していた。
「休廷とします。」
裁判長が立ち上がり、書記官と共に出て行く。
ホフマンはがっくりと肩を落として原告席に縫い留められたように動けずにいた。
アンソニーも形勢が悪いと感じ始めていたので「今日のところはこれで勘弁してやる」と言って訴訟を取り下げようと思っていた。
「もう帰りたいんだが...」
他人事の様に言ったアンソニーにホフマンが呆れた声で「それは無理です」と答えた。
「もう始まってしまった訴訟ですので被告側の承諾が無ければ取り下げられません。」
「フレデリカに取り下げに同意する様言ったら良い。」
この末っ子...馬鹿なのかとホフマンは目を細める。
「無理です。」
「何故だ?」
この末っ子...馬鹿なんだなとホフマンは下唇を噛んだ。
「自分が勝てるのに取り下げに応じる訳が無いでしょう。」
もうため息までついて、呆れた様子も隠さないホフマン。
「貴方に出来るのは裁判費用の支払い準備と、この後フレデリカ嬢から反訴されないようにひたすら神に祈る事です。」
(反訴されても、私は代理人など引き受けないけどな!)
「裁判費用?!」と驚くアンソニーは“費用はフレデリカ側が払う”と言っただろうと詰め寄った。
「“こちらが勝ったら”です!負けますから!払うんです!」
あぁ、成功報酬も無いのだな...とホフマンは今更ながら気が付いた。
あれこれと皮算用していたと言うのに。
「無理だ...巡察隊を辞めて金が無い。」
フルフルと首と手を振るアンソニーに
「そんな事、知らねーよ!」
いよいよキレたホフマンであった。
▼
休廷となり、フレデリカとジェニファーは法廷を出て裁判所の中庭に有るベンチへ向かった。
「フレデリカ嬢!」
リドリー・ラザフォードが立ち上がる。
ウォルトは身体を捻ってフレデリカとジェニファーに向き直った。
「出番かい?」とウォルト。
「いいえ。殿下にご足労頂かなくとも勝ちます。」
そもそも相手になりませんわとジェニファーが肩をすくめて笑った。
「訴状にあったこと以上の事は出て来ませんでしたし、アンソニーの女性関係も身辺すら調べがなかった様で...本人が喋ったことだけを信用して私の一方的な婚約破棄だと思い込んだみたいです。」
フレデリカが危惧していたのはアンソニーの有責で破棄する事を端折ってしまった事で、フレデリカが一方的であったとされる事。
“アンソニーも婚約の取り消しに同意したのに、それを否定される”事であった。
孤児院の門扉前でアンソニー側も二人の関係を「終わりだ!」と言った事実が有るのに「言ってない」と、「説得したのに聞いても貰えなかった」と訴状通りに“一方的な婚約破棄だ”を貫かれる事になった際には、リドリーとウォルトに証人として出廷してもらい証言をお願いする手筈であった。
候爵夫人のジェニファーが自ら王弟殿下を訪ねて話をしてくれたところ、本日わざわざ裁判所内に待機してくれていたのだ。
「ウォルト様、ウォルト様が控えて居てくださる事が大変心強く、堂々として居られました。ありがとうございました。」
フレデリカが深々と頭を下げた。
「出番がなくて良かったと思う事にしよう。」
ウォルトが渋い声でそう言うと「「まだ呼ばれないかなぁ」って楽しみにしていたんだ、ウォルト様は。」とリドリーが暴露して「黙れ」と脛を蹴られた。
「痛っ!....それで、フレデリカ嬢。今後反訴状は提出するのかい?」
蹴られた脛をさすりながらリドリーがフレデリカに問う。
ウォルトとも先ほどから「コックス子爵家に責任を取らせて領地に引き取ってもらいたいものだ」と話していたのだ。
振られて裁判を起こした彼奴が、この度敗訴して今後どう動くのか気になる...アンソニーが王都にいるのはフレデリカにとって落ち着かない事だろうとリドリーは心配していた。
「反訴は考えていません」とフレデリカ。
代理人のジェニファーは“婚約破棄の原因はアンソニーであると明らかになるのだから慰謝料の請求が出来る”と言ってくれているが、もうアンソニーの事に時間を割くのが面倒であるというのがフレデリカの本心であった。
「アンソニーからは何も要らないです。」
フレデリカが短く答える。
「今回の訴訟で貴方の醜聞になったのではないか?」
ウォルトが心配するのは男爵令嬢として、この婚約破棄のゴタゴタに巻き込まれたフレデリカが今後の社交界で醜聞に塗れる事であった。
ウォルトは火災で負った傷痕の事で、同情の名を借りて面白可笑しく話題に上がる数年間を過ごした。
自分の事で無くとも年に2度出席する社交界パーティーで下世話な噂に群がる貴族に辟易しているのであった。
社交界における他人の不幸話は格好のネタであり、底意地の悪さと無責任なでまかせ話はいつの世も変わらない。
自分は男だから良い。王弟としての権威が鎧にもなっているから、悪意や嘲笑にひと睨みで黙らせることが出来た。
今もそうだ。未だ独身のウォルトの事をやんややんやと騒ぐ外野の煩わしさに、王弟であるからこそ釘を刺す事ができる。
フレデリカは未だ若い。爵位も低い。大いに侮られるだろう。
この一件で縁談に曰くが着くようなことが無いように、自身の潔白と清廉性を訴えた方が良い気がするのだが...。
「私は一応貴族の端くれですが、社交界には縁遠いですし、今後の縁談に影響があったとしても、それはそれで構わないのです。
実際に私の浅はかな判断でコックス子爵令息と付き合ってしまった訳ですし、それを悔やんでいるところですから、懺悔のつもりで暫くは出会いなど求めず仕事に邁進いたします。」
フレデリカは近しい人達さえ真実を知ってくれていれば良いのです...と言ってこの裁判を以て終わりにすると明言するのであった。
“出会いなど求めない”とフレデリカがきっぱり言うのを聞いてリドリーが複雑な...それでいて寂し気な顔をした事にジェニファーは気付いた。
すぐ横でウォルトが小さくため息をついたことで「あぁウォルト殿下も気付いていらっしゃるのね」と目線を送れば、ウォルトが頷く形で肯定する。
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