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4話 報告
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だんだんと日が暮れてきた頃。夕飯です、と呼びにきたメイドさんに連れられて、私は食堂に向かっていた。
「おねーさま」
後ろから何かにものすごい勢いで体当たりされ、バランスを崩す。けれど、私は倒れる前にバランスをなんとか正すことができた。この声は。
「ごきげんよう、お姉様」
まるで太陽に照らされたお花のような笑顔で私の腰にまとわりつく私の可愛い妹、イラ。昔はかわいくて仕方がなかったが、今はもうなんとも思えない。けれど、ここで態度を変えてしまっては浮気を知っているというのと同じだ。
「ごきげんよう、イラ。今日は何をしていたのですか」
イラとイラを連れてきたメイドさんが加わり、4人で食堂に向かう。イラは演技なのか分からないくらい自然に笑っている。
「私は、今日は友達と会ってきました」
平然と嘘をつく私の妹。まゆ1つ動かさず、天使のような笑顔で。でもね、私は知っているのよ。今日あなたは私の婚約者と会ってきたのでしょう。さぞ楽しかったでしょうね。あなたの彼氏が遊ぶために使うお金は、どこから出ていると思っているのかしら。
「そう。よかったわね」
私は知ってしまったのだ。2人の間に何があったのかを。
先程、メイドさんが呼びにきた少し前。ジッノーレと影のリーダーのシャドウが揃って報告に来た。シャドウはもともと孤児だったのを私が拾い、影部隊からそのまま名前をいただいたのだ。
「ご報告いたします」
黒い布をマスクがわりに巻いたシャドウが私に報告書を手渡した。全身、それこそ髪まで真っ黒のシャドウには似合わない、可愛らしい模様の入った紙だ。私が顔をしかめると、ジッノーレが慌てて口を開いた。
「申し訳ありません、そちらの方が喜ばれるだろうと私が提案させていただいたんです」
ジッノーレの配慮なら、仕方がない。確かに、嬉しくなかったわけではないのだから。
「ありがとう。嬉しいわ。けれど、今後は控えてちょうだい。場合によっては、お父様にもお見せするのだから」
資料に目を通しながらジッノーレに注意をするように促した。謝るような声が聞こえてきたのだが、私はそれどころではなかった。
そこには、信じがたい事実が記されていた。イラとリミス様があってキスをしているのを目撃した人がいること、リミス様が色々な女性と会っていたこと、イラが、にん、しん、したこ、と。
妊娠したとなれば、近いうちに婚約破棄を言い渡されることになるか、妹と私を両方娶ることになるかのどちらかだろうが、前者の可能性が高いだろう。全く。どうやらかなり面倒なことになりそうだ。けれど、なんとかなると信じよう。私には、切り札ががあるのだから。
「おねーさま」
後ろから何かにものすごい勢いで体当たりされ、バランスを崩す。けれど、私は倒れる前にバランスをなんとか正すことができた。この声は。
「ごきげんよう、お姉様」
まるで太陽に照らされたお花のような笑顔で私の腰にまとわりつく私の可愛い妹、イラ。昔はかわいくて仕方がなかったが、今はもうなんとも思えない。けれど、ここで態度を変えてしまっては浮気を知っているというのと同じだ。
「ごきげんよう、イラ。今日は何をしていたのですか」
イラとイラを連れてきたメイドさんが加わり、4人で食堂に向かう。イラは演技なのか分からないくらい自然に笑っている。
「私は、今日は友達と会ってきました」
平然と嘘をつく私の妹。まゆ1つ動かさず、天使のような笑顔で。でもね、私は知っているのよ。今日あなたは私の婚約者と会ってきたのでしょう。さぞ楽しかったでしょうね。あなたの彼氏が遊ぶために使うお金は、どこから出ていると思っているのかしら。
「そう。よかったわね」
私は知ってしまったのだ。2人の間に何があったのかを。
先程、メイドさんが呼びにきた少し前。ジッノーレと影のリーダーのシャドウが揃って報告に来た。シャドウはもともと孤児だったのを私が拾い、影部隊からそのまま名前をいただいたのだ。
「ご報告いたします」
黒い布をマスクがわりに巻いたシャドウが私に報告書を手渡した。全身、それこそ髪まで真っ黒のシャドウには似合わない、可愛らしい模様の入った紙だ。私が顔をしかめると、ジッノーレが慌てて口を開いた。
「申し訳ありません、そちらの方が喜ばれるだろうと私が提案させていただいたんです」
ジッノーレの配慮なら、仕方がない。確かに、嬉しくなかったわけではないのだから。
「ありがとう。嬉しいわ。けれど、今後は控えてちょうだい。場合によっては、お父様にもお見せするのだから」
資料に目を通しながらジッノーレに注意をするように促した。謝るような声が聞こえてきたのだが、私はそれどころではなかった。
そこには、信じがたい事実が記されていた。イラとリミス様があってキスをしているのを目撃した人がいること、リミス様が色々な女性と会っていたこと、イラが、にん、しん、したこ、と。
妊娠したとなれば、近いうちに婚約破棄を言い渡されることになるか、妹と私を両方娶ることになるかのどちらかだろうが、前者の可能性が高いだろう。全く。どうやらかなり面倒なことになりそうだ。けれど、なんとかなると信じよう。私には、切り札ががあるのだから。
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