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3話 カラスとお嬢様
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結構歩いているつもりなのだが、一向にお嬢様の姿が見えない。時計を見ると……ああ、家を出てそろそろ3時間たつな。お嬢様はいったいどこまで助けに行っているのだろうか。名前も顔も知らない相手を助けに行っているのだから、探すのはいつも苦労する。何を目印にして探せばいいのか。その材料が全くないのだから。
あたりをキョロキョロと見回す。休日とはいえまだ朝方だからか周りには人はおらず、いるのはカラスだけだった。ちょうどいい。あのカラスにお嬢様を見かけたか聞いてみよう。
「こんにちは」
電柱に止まっているカラスに向かって話しかけると、カラスは家の塀に降りてきてカァ、と鳴いた。
「今日は珍しい日ね、また妖じゃない」
カラスは少しご機嫌のようだ。これなら情報を聞き出せるかもしれない。
それにまた、と言っていたらもしかしたら私が来る前に他の妖怪、お嬢様を見かけているのかもしれない。
「少し聞きたいのですが……。腰くらいまで髪のある、十代後半くらいの少女の姿をした妖を見ませんでしたか」
私が彼に目線を合わせながら問うと、カラスは一度、カァと鳴いてから答えてくれた。
「見たわよ。15分くらい前のことだったから、まだ近くにいるんじゃない」
よかった。どうやら方角はあっていたようだ。ありがとうございます、とお礼を告げると、カラスはまた鳴きながらどこかへ飛んでいってしまった。
カラスが見えなくなるまで見送ってから私はまた歩き出した。この近くにいることは間違い無いのだが、と思いながら進んでいくと1人の男の子とすれ違った。その表情はどこか暗いように感じる。……あれ。
「あっ、あの」
いきなり声をかけられて驚いたようだ。男の子は肩をビクッと振るわせてゆっくりとこちらを振り返った。そりゃあ、執事服のまったく知らない男に話しかけられたら驚きもするだろう。執事服の男が歩いているだけでも少し見てしまうだろうに。
「なにか……」
少しびくびくしながら男の子は私に話しかけてきた。
「ああ、すみません。……あの、髪の長い少女を見ませんでしたか」
なんだかこの少年から、お嬢様の匂いがするというか、気配がするというか。もしかして、お嬢様……。
「あら、やーくん。来たのね」
男の子より少し背の高いくらいの少女が彼の後ろにいきなり姿を表した。なるで瞬間移動でもしたかのように、彼女は突然そこに現れたのだ。
あたりをキョロキョロと見回す。休日とはいえまだ朝方だからか周りには人はおらず、いるのはカラスだけだった。ちょうどいい。あのカラスにお嬢様を見かけたか聞いてみよう。
「こんにちは」
電柱に止まっているカラスに向かって話しかけると、カラスは家の塀に降りてきてカァ、と鳴いた。
「今日は珍しい日ね、また妖じゃない」
カラスは少しご機嫌のようだ。これなら情報を聞き出せるかもしれない。
それにまた、と言っていたらもしかしたら私が来る前に他の妖怪、お嬢様を見かけているのかもしれない。
「少し聞きたいのですが……。腰くらいまで髪のある、十代後半くらいの少女の姿をした妖を見ませんでしたか」
私が彼に目線を合わせながら問うと、カラスは一度、カァと鳴いてから答えてくれた。
「見たわよ。15分くらい前のことだったから、まだ近くにいるんじゃない」
よかった。どうやら方角はあっていたようだ。ありがとうございます、とお礼を告げると、カラスはまた鳴きながらどこかへ飛んでいってしまった。
カラスが見えなくなるまで見送ってから私はまた歩き出した。この近くにいることは間違い無いのだが、と思いながら進んでいくと1人の男の子とすれ違った。その表情はどこか暗いように感じる。……あれ。
「あっ、あの」
いきなり声をかけられて驚いたようだ。男の子は肩をビクッと振るわせてゆっくりとこちらを振り返った。そりゃあ、執事服のまったく知らない男に話しかけられたら驚きもするだろう。執事服の男が歩いているだけでも少し見てしまうだろうに。
「なにか……」
少しびくびくしながら男の子は私に話しかけてきた。
「ああ、すみません。……あの、髪の長い少女を見ませんでしたか」
なんだかこの少年から、お嬢様の匂いがするというか、気配がするというか。もしかして、お嬢様……。
「あら、やーくん。来たのね」
男の子より少し背の高いくらいの少女が彼の後ろにいきなり姿を表した。なるで瞬間移動でもしたかのように、彼女は突然そこに現れたのだ。
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