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1話 私の秘密

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 高校生って、知っていますか。前世で何度仲間に問いかけただろうか。けれど、私のこの世界での仲間は、誰も分からないと言う。当たり前だ。この世界はもう、私のいた平和な世界では無いのだから。そして私は、仲間に囲まれ、ある意味孤独な死を迎えた。

 少し前まで、この世界では世界的な戦争が起きていた。魔力で体が構成されている魔族、魔物達と、人間達の戦いだ。
 その戦争の始まりは、魔族に属した裏切り者の人間がいたと言うこと。その女は人間なのに、人間の敵をまとめ、魔王として君臨したのだ。その裏切り者を、いつまで経っても小競り合いの無くならない魔の国と人間の国を鎮めるために、勇者が倒した途端、戦争は一気に激化した。勇者は戦争を止めようと一生をかけたが、その悲願は遂に叶わず、10年以上前に死んでしまったらしい。
 人々は勇者の努力を讃え、これからは勇者の願いを継ぎ、魔を名乗るものを滅ぼすことを誓った。
 ……というのは少し間違いで。勇者のおかげで、人間達がいい方向にまとまったのは事実だ。どこが間違っているのかというと、魔王が裏切り者だということ。確かに彼女は人間の敵である魔に属するものの王として君臨したが、決して人間達の敵になったわけでは無い。むしろ、あまり人間を襲わないように注意していたくらいだ。
 どうしてそんなに誰も知らない昔のことを詳しく知っているのか。それは簡単だ。それは私が、前世でその魔王だったからだ。

 前世の私は、最初から魔王だったわけでも、この世界にいたわけでも無い。私は、別の世界で高校に通っていた、普通の少女だった。少女というと何だか違和感のある大人びた性格だったが、私は確かにあの世界で学生をやっていたんだ。
 暖かい家族や優しい友人達に囲まれ、幸せな日々を送っていたある日。少し薄暗い帰り道を歩いていたとき、私は何か深い穴に落ちた。気がつけば、もうそこは見慣れない森の中で。そんな中、1人の魔族に出会って。彼はかなり強く、私に優しく接してくれた。今思えば、彼は私に、友人以上の感情も抱いていたのでは無いかと思う。
 彼の屋敷で暮らす中、私は沢山の魔族や魔物に会った。そして、彼らはことごとく私に忠誠を誓ったのだ。はっきり言って、寂しかった。優越感がなかったと言えば嘘になるが、私はやっぱり家族に会いたかったし、友達が欲しかった。わけもわからず落ちてきたこの世界で、一人ぼっちになった気分だった。
 それでも、私は努力を続けた。私を慕ってくれる生き物達には傷ついてほしくなかったから、必死に平和になるように努力した。そして私は、突如侵入してきた勇者に、殺された。
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