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煉獄篇
第十六話④
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エリザちゃんはお姉ちゃんのあそこを撫でる。
「ひっ……!」
それにお姉ちゃんは短く悲鳴をあげ、怯えた様子で身をよじった。ただ拘束されていて、身を守ることも、逃れることもできない。
「安心して。痛いことしないから」
そうエリザちゃんが優しく言った。
エリザちゃんはお姉ちゃんの割れ目の間の上にある、笠をかぶった突起を指の腹で撫でているようだった。
「おねがいします……もうこんなこと、やめてください……」
お姉ちゃんは泣きながら、エリザちゃんに懇願した。
「それじゃハナちゃんに代わってもらう? その場合、最初からやり直しになるけど」
それにお姉ちゃんは唇を噛んで、つぶった目から涙をこぼした。
エリザちゃんの言う通り、今からでも代わるべきかもしれなかった。それなのに言い出せないのは、私がこのゲームに勝てると思っているからではなくて、ただ怖くて仕方なかったからかもしれない。
あんなことをされるのが怖い。今までエリザちゃんに無理やり何度もされてきたけれど、こんなふうにオモチャにされて、死ぬようなことをされるのが恐ろしくて仕方なかった。
私じゃなくてよかった──そんなことを思う私なんて死んでしまえばいいのに。
「痛かったね、苦しかったね。もう平気だから。安心して」
この地獄を生み出した張本人のエリザちゃんが、優しくお姉ちゃんの頭を撫でたり、頬にキスをしながら、白々しく言った。本当にお姉ちゃんのことを思うのなら、こんなこと今すぐにやめさせてほしい。
エリザちゃんは蛇のように体を巻きつけて、時間をかけて、じっくりとお姉ちゃんの体をなぶり尽くしていった。首を舐め、胸を舐め、ヘソを舐めて、その間にも右手でお姉ちゃんのあそこを凌辱することをやめない。
「あっ、ああ──」
お姉ちゃんが切なく、体を震わせた。エリザちゃんの指でイかされたようだった。
「二点目」
それと同時にアラームが鳴った。
エリザちゃんは体を離し、ベッドから降りる。
「2、2、3、0か。少しまずいかな」
そう言ったエリザちゃんは相変わらず微笑んでいたけれど、その声音に焦りのようなものが感じられた。
もしかしたら私は、エリザちゃんに勝つことができるのではないか。希望が見えてきた。
私はベッドに乗り、お姉ちゃんを見る。もうお姉ちゃんは泣き疲れて、体をいいようにされて、力無く横たわっていた。うつろな目は何も見ていないようで、口は半開きになっていた。
「咲良さん、お姉さんのあそこ、口でしてあげたら」
「え?」
突然姫山さんが言った。アドバイスのつもりなのか、何かほかに目的があるのか。
「ハナちゃん、マリーちゃんの言うことは聞いちゃダメだよ」
「私はアドバイスしているだけ。エリザちゃんこそ、負けそうだからって見苦しいよ」
それにエリザちゃんが無言になる。
この二人がこんな険悪になるのは初めて見た。
エリザちゃんに対して、砂村さんは口答えをしても、絶対的に、私以上に服従している。それなのに姫山さんは、服従しているのではなく、対等な関係のように感じられた。
ただ今はそんなことを考えている暇はない。
私はお姉ちゃんのために、エリザちゃんに勝たなければならない。
「一秒前よ。スタート」
砂村さんが開始を告げた。
私はお姉ちゃんに覆い被さり、抱きしめるように、体を重ねた。そして耳元で、決意を改めて告げる。
「絶対に、私が勝つからね……こんなこと、もうおわらせるから……」
それが私に唯一できることで、絶対にしなければならないことだった。
「ハナちゃん……」
お姉ちゃんが弱々しく、消えそうなか細い声で私を呼んだ。
私はお姉ちゃんにキスをした。それにお姉ちゃんは無意識に舌を絡めてきた。私はお姉ちゃんの口を、舌を吸い、胸の先を撫でる。それにお姉ちゃんの鼻から、甘く切ない吐息が漏れた。
これ以上何かせずに、このままお姉ちゃんを優しく慰めていたいけれど、私は勝たなければならない。私はお姉ちゃんのあそこに手を伸ばし、指で触れた。
「んっ……」
お姉ちゃんは怯えるように体を強張らせた。安心させる言葉をかけようと思ったけれど、すがるようにお姉ちゃんがキスを求めてきたので、私はそのまま口を重ね続けた。
私は心の中で、何度もイってくれることを願った。ここで点数を稼げれば、エリザちゃんにも、姫山さんにも勝てる。あんな二人よりも、きっとお姉ちゃんの体は私のことを選んでくれる。そう信じていても、焦りが込み上げてきた。
「あと二分だよ」
エリザちゃんが言った。どこかわざとらしい気がした。それでも私を焦らせるのに十分だった。
私はお姉ちゃんのあそこをこする指を速める。弾力のあるお姉ちゃんの感触。痛そうに張りつめたそれを転がすように。
「んっ……くっ……!」
お姉ちゃんの口から漏れる声は、痛くて苦しそうだった。
ごめんなさい、お姉ちゃん──心の中で謝った。
「一分前」
わざとエリザちゃんは私を急かしているようだった。
ちょうどそのとき、お姉ちゃんは体を引きつらせて、小さく震えた。
「ハナちゃん、三点目」
それは十秒にも満たなかったので、見過ごされるかと思ったけれど、ちゃんとカウントしてくれた。
そして私の番がおわる。
「2、3、3、0か」
エリザちゃんが口元に手を当て、思案するように言った。
姫山さんと同点になったけれど、私はあと一回で、まだ姫山さんは二回残っている。
私と交代で姫山さんがお姉ちゃんのそばに寄った。
私は両手を重ねて、誰かもわからない神様に、この地獄から救ってくれることを祈った。
* * *
姫山さんはお姉ちゃんの足の間に座る。
「中はダリアちゃんに破壊されちゃったけど、マリーちゃんはどうするのかな? 繊細な加減ができる?」
「私が破壊したって何よ?」
エリザちゃんはどこか挑発的な言い方だった。砂村さんは心外な様子で、眉を寄せて険しい顔をしていた。
姫山さんはエリザちゃんを無視して、お姉ちゃんの腰を抱え込むように、股の間に顔を沈める。
お姉ちゃんの体が怯えたように、一瞬だけ跳ねた。
姫山さんはしっかりとお姉ちゃんの腰を固定した。お姉ちゃんが身をよじっても、彼女は微動だにしなかった。まるでそういう形をした彫像か、一つの装置のように感じられた。ただ彼女の舌がお姉ちゃんのそこを舐めて、水気のある音をぴちゃぴちゃと鳴らしていた。
「なるほどね。舌なら指と違って、柔らかいし、力もないから、加減をする必要がないのか」
エリザちゃんが感心したように言った。
お姉ちゃんはつらそうに、ぐっと腕に力を入れて、拘束いっぱいに、堪えているようだった。
少しずつ姫山さんの舐める間隔が速くなっていく。それにつれてお姉ちゃんは背中を反らしていく。
「いや……やだっ……! もうやだっ……!」
お姉ちゃんがもうイきそうになっていることがわかった。顔を真っ赤にして、唇をきつく結んでいた。
「やだ……やだっ……! やめて……もうやめて……!」
お姉ちゃんは悲鳴をあげた。姫山さんに責め立てられる感覚に、心の底から恐怖しているようだった。
「誰か……助けて……!」
お姉ちゃんの助けを求める悲鳴。それを聞いても、私の体は助けようと、少しも動かなかった。ただ胸を貫かれたような痛みだけがあった。
もしお姉ちゃんに名前を呼ばれていたら、私は失格になったとしても、お姉ちゃんを助けようとしただろう。けれどお姉ちゃんは、私の名前を呼んでくれなかった。もうお姉ちゃんの中で、私は助けを求める相手として、少しも期待されていないのだと思い知らされた。
「ああああああ──」
獣のような声をあげて、顔を仰け反らせて、つま先をぴんと張り、お姉ちゃんは体を震わせた。
「マリーちゃん、四点目」
姫山さんは得点や、お姉ちゃんの様子も、まったく気にせず続ける。身悶えするお姉ちゃんを抱え込んで、相変わらず微動だにしない。
お姉ちゃんは頭を振って、人とは思えない声をあげ続けていた。わずかに聞き取れる範囲では、姫山さんに許しを乞うような、助けを求めるようなことを言っていた。
そのうちにお姉ちゃんは、今まで以上に、獣のような恐ろしい声をあげる。それは深い谷底から響くような、「オオオ」とも「ボオオ」ともつかない濁った声だった。
「マリーちゃん、五点目」
その声とともに、お姉ちゃんは白目を剥いて、体を仰け反らせて、激しく痙攣していた。それでも姫山さんはまだやめない。ただお姉ちゃんは、その痙攣がおさまると、まるで心臓が止まったかのように、ぐったりと動かなくなった。
「お、おねえちゃん……⁉︎」
私はその異変に、お姉ちゃんが死んでしまったように見えて、どうしたらいいかわからなくなった。
「ちょっと、エリザ、あれやばくない⁉︎」
砂村さんもそれに気づいたようだった。
「え、あぁ。気絶しただけでしょ?」
「ここで死なれたら困るんだけど?」
「あぁ、えぇ、っと……」
エリザちゃんも困惑しているようだった。
「そんな死ぬことなんてあるのかな?」
そう困ったように笑うエリザちゃんに、私はゲームを止める気がないことがわかった。
私は自分が失格することも、もう構っていられなかった。
「姫山さん、やめて!」
ベッドに駆け上がり、姫山さんの体を引き剥がそうとしたけれど、しっかりとお姉ちゃんの足を抱え込んでいて、その腕を剥がすこともできなかった。
「もうやめて! お姉ちゃんが、死んじゃう!」
「マリーちゃん、終了!」
エリザちゃんの声と同時に、驚くほど簡単に姫山さんの体を引き剥がせた。
私は呆気にとられそうになったけれど、急いでお姉ちゃんの顔をのぞきこみ、必死に声をかける。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
お姉ちゃんは、裏返りそうなほど白目を剥いていて、口は力なく開かれ、その奥から、か細く擦り切れそうな息の音がした。
生きていることはわかったけれど、このまま死んでしまうのではないか不安で仕方なかった。
「お姉ちゃん、やだ、死なないで! お姉ちゃん!」
肩を揺すっても、お姉ちゃんは起きる気配はなかった。
「酸欠か何かで気絶しただけだから、そのうち起きるよ」
エリザちゃんの声は少しも心配する様子がなかった。
そこでアラームが鳴った。
「まだ私の番だったのに」
姫山さんが不満そうに言った。
「うーん、ダリアちゃんはどうしたい?」
「え?」
「ハナちゃんと私はマリーちゃんの妨害をしたから失格。ダリアちゃんが続けたいのなら、このまま続行になるかな。マリーちゃんはどう思う?」
「残り時間でもう一回イかせられたと思う。だから一点加点してくれるならいいよ」
「じゃあマリーちゃんは、これで合計6点だね」
私たちを無視して、三人はそんな勝手な話をしていた。
お姉ちゃんは穏やかに目をつぶり、呼吸も落ち着いてきたけれど、肌から血の気が引いて、体が冷え切っていた。こんな状態のお姉ちゃんに、彼女たちは続きをしようとしているのか。
「もう……もうやめて、ください……お姉ちゃんが、死んじゃう……」
それに砂村さんは顔をしかめて、怒った様子で言う。
「私だってやりたくないわよ! でもこのままじゃマリーに負けちゃうんだもの」
それに姫山さんはどこか呆れたように言う。
「いや、ダリアちゃんには無理でしょ。どのみち私の勝ちだから、好きにしていいけど」
それに砂村さんは悔しそうな顔をしていた。
そこでエリザちゃんが軽く手を叩く。
「それじゃ、こうしたらどうかな? ハナちゃんはお姉ちゃんに続けさせたくない。ダリアちゃんは続きがしたい」
「いや、別にしたくないけど……」
「マリーちゃんが構わないならだけど、続きはハナちゃんに代わりをしてもらうのはどうかな」
「え?」
私は目の前が暗くなって、耳鳴りが聞こえてきた。
「私は別になんでもいい。どうせ勝つから」
「まあ、こんな汚いのとするよりはいいかしら」
姫山さんも砂村さんも、エリザちゃんの提案を受け入れた。
「ハナちゃん、どうする?」
もしここで私が応じなければ、今にも死にそうなお姉ちゃんに、あの続きをするに違いない。けれど私にあんなの耐えられるわけがない。
私はお姉ちゃんを抱きしめる。私の大好きなお姉ちゃん。そのお姉ちゃんの体は冷たかった。弱々しく、小さな息をしている。
「やりま、す……」
声が裏返りそうになった。ほとんど無意識にそう口にしていた。
お姉ちゃんに比べたら、たったの三回だ。十五分。エリザちゃんに今までされてきたことを考えれば、たった十五分我慢すればいい。
「うーん、私も参加したかったな。残念。それじゃハナちゃん、準備しようか」
そう言ってエリザちゃんはお姉ちゃんの手足の拘束具を外す。
次に縛りつけられるのは私。
まるでこのベッドが生贄の祭壇のように思えてきた。
「ひっ……!」
それにお姉ちゃんは短く悲鳴をあげ、怯えた様子で身をよじった。ただ拘束されていて、身を守ることも、逃れることもできない。
「安心して。痛いことしないから」
そうエリザちゃんが優しく言った。
エリザちゃんはお姉ちゃんの割れ目の間の上にある、笠をかぶった突起を指の腹で撫でているようだった。
「おねがいします……もうこんなこと、やめてください……」
お姉ちゃんは泣きながら、エリザちゃんに懇願した。
「それじゃハナちゃんに代わってもらう? その場合、最初からやり直しになるけど」
それにお姉ちゃんは唇を噛んで、つぶった目から涙をこぼした。
エリザちゃんの言う通り、今からでも代わるべきかもしれなかった。それなのに言い出せないのは、私がこのゲームに勝てると思っているからではなくて、ただ怖くて仕方なかったからかもしれない。
あんなことをされるのが怖い。今までエリザちゃんに無理やり何度もされてきたけれど、こんなふうにオモチャにされて、死ぬようなことをされるのが恐ろしくて仕方なかった。
私じゃなくてよかった──そんなことを思う私なんて死んでしまえばいいのに。
「痛かったね、苦しかったね。もう平気だから。安心して」
この地獄を生み出した張本人のエリザちゃんが、優しくお姉ちゃんの頭を撫でたり、頬にキスをしながら、白々しく言った。本当にお姉ちゃんのことを思うのなら、こんなこと今すぐにやめさせてほしい。
エリザちゃんは蛇のように体を巻きつけて、時間をかけて、じっくりとお姉ちゃんの体をなぶり尽くしていった。首を舐め、胸を舐め、ヘソを舐めて、その間にも右手でお姉ちゃんのあそこを凌辱することをやめない。
「あっ、ああ──」
お姉ちゃんが切なく、体を震わせた。エリザちゃんの指でイかされたようだった。
「二点目」
それと同時にアラームが鳴った。
エリザちゃんは体を離し、ベッドから降りる。
「2、2、3、0か。少しまずいかな」
そう言ったエリザちゃんは相変わらず微笑んでいたけれど、その声音に焦りのようなものが感じられた。
もしかしたら私は、エリザちゃんに勝つことができるのではないか。希望が見えてきた。
私はベッドに乗り、お姉ちゃんを見る。もうお姉ちゃんは泣き疲れて、体をいいようにされて、力無く横たわっていた。うつろな目は何も見ていないようで、口は半開きになっていた。
「咲良さん、お姉さんのあそこ、口でしてあげたら」
「え?」
突然姫山さんが言った。アドバイスのつもりなのか、何かほかに目的があるのか。
「ハナちゃん、マリーちゃんの言うことは聞いちゃダメだよ」
「私はアドバイスしているだけ。エリザちゃんこそ、負けそうだからって見苦しいよ」
それにエリザちゃんが無言になる。
この二人がこんな険悪になるのは初めて見た。
エリザちゃんに対して、砂村さんは口答えをしても、絶対的に、私以上に服従している。それなのに姫山さんは、服従しているのではなく、対等な関係のように感じられた。
ただ今はそんなことを考えている暇はない。
私はお姉ちゃんのために、エリザちゃんに勝たなければならない。
「一秒前よ。スタート」
砂村さんが開始を告げた。
私はお姉ちゃんに覆い被さり、抱きしめるように、体を重ねた。そして耳元で、決意を改めて告げる。
「絶対に、私が勝つからね……こんなこと、もうおわらせるから……」
それが私に唯一できることで、絶対にしなければならないことだった。
「ハナちゃん……」
お姉ちゃんが弱々しく、消えそうなか細い声で私を呼んだ。
私はお姉ちゃんにキスをした。それにお姉ちゃんは無意識に舌を絡めてきた。私はお姉ちゃんの口を、舌を吸い、胸の先を撫でる。それにお姉ちゃんの鼻から、甘く切ない吐息が漏れた。
これ以上何かせずに、このままお姉ちゃんを優しく慰めていたいけれど、私は勝たなければならない。私はお姉ちゃんのあそこに手を伸ばし、指で触れた。
「んっ……」
お姉ちゃんは怯えるように体を強張らせた。安心させる言葉をかけようと思ったけれど、すがるようにお姉ちゃんがキスを求めてきたので、私はそのまま口を重ね続けた。
私は心の中で、何度もイってくれることを願った。ここで点数を稼げれば、エリザちゃんにも、姫山さんにも勝てる。あんな二人よりも、きっとお姉ちゃんの体は私のことを選んでくれる。そう信じていても、焦りが込み上げてきた。
「あと二分だよ」
エリザちゃんが言った。どこかわざとらしい気がした。それでも私を焦らせるのに十分だった。
私はお姉ちゃんのあそこをこする指を速める。弾力のあるお姉ちゃんの感触。痛そうに張りつめたそれを転がすように。
「んっ……くっ……!」
お姉ちゃんの口から漏れる声は、痛くて苦しそうだった。
ごめんなさい、お姉ちゃん──心の中で謝った。
「一分前」
わざとエリザちゃんは私を急かしているようだった。
ちょうどそのとき、お姉ちゃんは体を引きつらせて、小さく震えた。
「ハナちゃん、三点目」
それは十秒にも満たなかったので、見過ごされるかと思ったけれど、ちゃんとカウントしてくれた。
そして私の番がおわる。
「2、3、3、0か」
エリザちゃんが口元に手を当て、思案するように言った。
姫山さんと同点になったけれど、私はあと一回で、まだ姫山さんは二回残っている。
私と交代で姫山さんがお姉ちゃんのそばに寄った。
私は両手を重ねて、誰かもわからない神様に、この地獄から救ってくれることを祈った。
* * *
姫山さんはお姉ちゃんの足の間に座る。
「中はダリアちゃんに破壊されちゃったけど、マリーちゃんはどうするのかな? 繊細な加減ができる?」
「私が破壊したって何よ?」
エリザちゃんはどこか挑発的な言い方だった。砂村さんは心外な様子で、眉を寄せて険しい顔をしていた。
姫山さんはエリザちゃんを無視して、お姉ちゃんの腰を抱え込むように、股の間に顔を沈める。
お姉ちゃんの体が怯えたように、一瞬だけ跳ねた。
姫山さんはしっかりとお姉ちゃんの腰を固定した。お姉ちゃんが身をよじっても、彼女は微動だにしなかった。まるでそういう形をした彫像か、一つの装置のように感じられた。ただ彼女の舌がお姉ちゃんのそこを舐めて、水気のある音をぴちゃぴちゃと鳴らしていた。
「なるほどね。舌なら指と違って、柔らかいし、力もないから、加減をする必要がないのか」
エリザちゃんが感心したように言った。
お姉ちゃんはつらそうに、ぐっと腕に力を入れて、拘束いっぱいに、堪えているようだった。
少しずつ姫山さんの舐める間隔が速くなっていく。それにつれてお姉ちゃんは背中を反らしていく。
「いや……やだっ……! もうやだっ……!」
お姉ちゃんがもうイきそうになっていることがわかった。顔を真っ赤にして、唇をきつく結んでいた。
「やだ……やだっ……! やめて……もうやめて……!」
お姉ちゃんは悲鳴をあげた。姫山さんに責め立てられる感覚に、心の底から恐怖しているようだった。
「誰か……助けて……!」
お姉ちゃんの助けを求める悲鳴。それを聞いても、私の体は助けようと、少しも動かなかった。ただ胸を貫かれたような痛みだけがあった。
もしお姉ちゃんに名前を呼ばれていたら、私は失格になったとしても、お姉ちゃんを助けようとしただろう。けれどお姉ちゃんは、私の名前を呼んでくれなかった。もうお姉ちゃんの中で、私は助けを求める相手として、少しも期待されていないのだと思い知らされた。
「ああああああ──」
獣のような声をあげて、顔を仰け反らせて、つま先をぴんと張り、お姉ちゃんは体を震わせた。
「マリーちゃん、四点目」
姫山さんは得点や、お姉ちゃんの様子も、まったく気にせず続ける。身悶えするお姉ちゃんを抱え込んで、相変わらず微動だにしない。
お姉ちゃんは頭を振って、人とは思えない声をあげ続けていた。わずかに聞き取れる範囲では、姫山さんに許しを乞うような、助けを求めるようなことを言っていた。
そのうちにお姉ちゃんは、今まで以上に、獣のような恐ろしい声をあげる。それは深い谷底から響くような、「オオオ」とも「ボオオ」ともつかない濁った声だった。
「マリーちゃん、五点目」
その声とともに、お姉ちゃんは白目を剥いて、体を仰け反らせて、激しく痙攣していた。それでも姫山さんはまだやめない。ただお姉ちゃんは、その痙攣がおさまると、まるで心臓が止まったかのように、ぐったりと動かなくなった。
「お、おねえちゃん……⁉︎」
私はその異変に、お姉ちゃんが死んでしまったように見えて、どうしたらいいかわからなくなった。
「ちょっと、エリザ、あれやばくない⁉︎」
砂村さんもそれに気づいたようだった。
「え、あぁ。気絶しただけでしょ?」
「ここで死なれたら困るんだけど?」
「あぁ、えぇ、っと……」
エリザちゃんも困惑しているようだった。
「そんな死ぬことなんてあるのかな?」
そう困ったように笑うエリザちゃんに、私はゲームを止める気がないことがわかった。
私は自分が失格することも、もう構っていられなかった。
「姫山さん、やめて!」
ベッドに駆け上がり、姫山さんの体を引き剥がそうとしたけれど、しっかりとお姉ちゃんの足を抱え込んでいて、その腕を剥がすこともできなかった。
「もうやめて! お姉ちゃんが、死んじゃう!」
「マリーちゃん、終了!」
エリザちゃんの声と同時に、驚くほど簡単に姫山さんの体を引き剥がせた。
私は呆気にとられそうになったけれど、急いでお姉ちゃんの顔をのぞきこみ、必死に声をかける。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
お姉ちゃんは、裏返りそうなほど白目を剥いていて、口は力なく開かれ、その奥から、か細く擦り切れそうな息の音がした。
生きていることはわかったけれど、このまま死んでしまうのではないか不安で仕方なかった。
「お姉ちゃん、やだ、死なないで! お姉ちゃん!」
肩を揺すっても、お姉ちゃんは起きる気配はなかった。
「酸欠か何かで気絶しただけだから、そのうち起きるよ」
エリザちゃんの声は少しも心配する様子がなかった。
そこでアラームが鳴った。
「まだ私の番だったのに」
姫山さんが不満そうに言った。
「うーん、ダリアちゃんはどうしたい?」
「え?」
「ハナちゃんと私はマリーちゃんの妨害をしたから失格。ダリアちゃんが続けたいのなら、このまま続行になるかな。マリーちゃんはどう思う?」
「残り時間でもう一回イかせられたと思う。だから一点加点してくれるならいいよ」
「じゃあマリーちゃんは、これで合計6点だね」
私たちを無視して、三人はそんな勝手な話をしていた。
お姉ちゃんは穏やかに目をつぶり、呼吸も落ち着いてきたけれど、肌から血の気が引いて、体が冷え切っていた。こんな状態のお姉ちゃんに、彼女たちは続きをしようとしているのか。
「もう……もうやめて、ください……お姉ちゃんが、死んじゃう……」
それに砂村さんは顔をしかめて、怒った様子で言う。
「私だってやりたくないわよ! でもこのままじゃマリーに負けちゃうんだもの」
それに姫山さんはどこか呆れたように言う。
「いや、ダリアちゃんには無理でしょ。どのみち私の勝ちだから、好きにしていいけど」
それに砂村さんは悔しそうな顔をしていた。
そこでエリザちゃんが軽く手を叩く。
「それじゃ、こうしたらどうかな? ハナちゃんはお姉ちゃんに続けさせたくない。ダリアちゃんは続きがしたい」
「いや、別にしたくないけど……」
「マリーちゃんが構わないならだけど、続きはハナちゃんに代わりをしてもらうのはどうかな」
「え?」
私は目の前が暗くなって、耳鳴りが聞こえてきた。
「私は別になんでもいい。どうせ勝つから」
「まあ、こんな汚いのとするよりはいいかしら」
姫山さんも砂村さんも、エリザちゃんの提案を受け入れた。
「ハナちゃん、どうする?」
もしここで私が応じなければ、今にも死にそうなお姉ちゃんに、あの続きをするに違いない。けれど私にあんなの耐えられるわけがない。
私はお姉ちゃんを抱きしめる。私の大好きなお姉ちゃん。そのお姉ちゃんの体は冷たかった。弱々しく、小さな息をしている。
「やりま、す……」
声が裏返りそうになった。ほとんど無意識にそう口にしていた。
お姉ちゃんに比べたら、たったの三回だ。十五分。エリザちゃんに今までされてきたことを考えれば、たった十五分我慢すればいい。
「うーん、私も参加したかったな。残念。それじゃハナちゃん、準備しようか」
そう言ってエリザちゃんはお姉ちゃんの手足の拘束具を外す。
次に縛りつけられるのは私。
まるでこのベッドが生贄の祭壇のように思えてきた。
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