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しおりを挟むこのサングラスも当然防弾だ。レンズだけではなく柄の部分も含めた全てが防弾になっている。レンズには仕掛けがあり、あらゆる光から目を守る。周りの状況に応じて自動で色を変えてもくれる。柄の部分はボタンを押せば幅が拡がってこめかみを守り、耳を覆いかぶさるように保護してくれる。淵の部分も同時に拡がり眉間を守る。完璧な武装だ。
チャックや飾りつけのボタン、ベルトなどの金具も当然特殊だ。ダイヤモンドよりも硬い素材を開発して使用している。それはこの裏地以上の強度がある。しかし残念ながら、糸状に加工することは出来なかった。武器の針は、その素材を使用し、加工して造ったものだ。この武器だけが、私のスーツにとっての弱点にもなっている。この武器を奪われて攻撃をされれば命の保証は出来ない。革をも貫き、衝撃もそのままに突き刺さる。しかしそれは私自身を守るための妥協点だ。この武器がなくてこのスーツを盗まれてしまったなら、その相手に立ち向かう術がなくなってしまう。それを防ぐための手段としても用意している。もしもこの武器を盗まれてしまったのなら、このスーツの意味は失われる。そんなことは分かっている。しかし、自身の身を守る術はこのスーツだけではない。私はそのためにも身体を鍛えてきた。この身体はこの武器にも簡単には負けはしない。それに加えてこの武器には一つの弱点がある。それは水分に物凄く弱いということ。少しの水に触れてしまえばそのまま三分も経過すればボロボロに解けてしまう。手に浮かぶ汗でも同じこと。注意を払って扱わなければ真価を発揮しないで消えていく。儚い武器を作ってしまった。しかし同じ素材を使ったサングラスは耐水仕様だ。不思議な素材で、その強度を緩めれば雨だけでなく水中でも解けることはない。それに加えて普通の銃弾なら簡単に弾き返してしまう強度は保っている。けれどそれでは武器として物足りなかった。突き詰めた結果の弱点なんだ。
私は上着もズボンもピッチリとしたものを好んでいる。ブカブカなものは動きにくくて困る。万が一の隙間も今の時代には好ましくない。それになりよりピッチリとしたスーツは身体のラインを美しく見せてくれる。
このスーツも考え方によっては武器になる。身を守るための楯や鎧が時には武器になるのと同じ理由だ。しかし私はこのスーツを登録はしなかった。奪われる危険を避けるためだ。武器と認識しなければわざわざこのスーツを奪おうと考える者は少ないはず。余計な危険は、避けるのが最善の策だと思う。
私はこの準備を半年も前から始めている。法律の執行が噂されたその日から開発を始めた。政府が本気でいることを、私には感じられたからだ。周りの連中は冗談だと思っていたり、政府に反発したり、現実逃避をしたりしていたけれど。
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