STAR STONE STORY

ニッコーゴウ

文字の大きさ
3 / 13
序章 旅の始まり

炎の星霊サラエフ

しおりを挟む
「ヴァイス...。彼のためにも!!幼き頃からの友人カイルのためにも・・・!星霊よ!!!俺に・・・!俺に力を!」

レインの肩傷から滲み出る血。深い傷。のはずが、みるみるうちに傷口がおさまっていき、血は止まりつつあった。
きっとヴァイスの残すとか言ってた力のおかげかなとレインは思った。

キーーーーーーン!

急に空が光ったかと思うと、ひとつの星が大きな光を放っていた。レインはなんの根拠もないのに、理解していた。

「サラエフ...。」

星の光が輝いている空から更に輝きを放つ何かがレインの前に降ってきた。

「これは・・・星石?」

「...なぜ力を得る?何のために...。」

まるで星の光を目の前で見ているような輝きを放つ石にレインはずっと見つめることは出来ず、思わず腕でそれを防ぎながら石の言葉に答えた。

「・・・。サラエフは何のために力を貸す?」

「・・・。驚いた。我の質問に質問で返した者は初めてだ。いいだろう。応えてやろう。我ら星霊は我らが思う誠のためにしか力を与えぬ。」

「誠...。」

「お主は我の力を何に使う?」

「・・・友を救う。」

「なるほど。しかし、我の誠は友ではなく、血だ。」

「血?」

「血は受け継がれる。それを絶やさないためなら我の力を貸すが。お主にそれの意志はない。」

「......。」

「星霊の1人に友のためになら力を貸すものがおる。」

「なら...!」

「もう既に他のものと契約が成立しておる。」

「・・・他にも。星霊がもう動いているのか。」

「アストラシアを救うためだ。闇の力は強大だ。強き意志があるものにしか我らの力は引き出せぬ。弱きものには我らはおもすぎる。」

レインは絶望を感じていた。アストラシアの危機、友との別れ。自分の弱さを星霊に教えられ、黙って世界を見ていることしかできなくなるかもしれないこの現状に。

「だが。お主の願いは我に届いた。」

「?」

「願いとは力。我を呼ぶほどのお主の力は友のための願いなのか。」

レインは少し考え、驚きの表情とともに閃いた。

「ヴァイスだ!」

「!?ヴァイス・・・!」

「そうだ!ヴァイスが最後に俺に残した力で肩におった傷を癒し、俺の願いを強めたんだ。」

「なんと...。ヴァイスが・・・。しかしなぜ...。」

「俺の友は...ヴァイスの息子だ。」

「!!・・・そういうことか。ヴァイスは古き我が友。彼の戦いを1番近くで見たのだ。」

「ヴァイスの願いと俺の願いは共通だ。カイルを救いたい。」

「血を絶やさないために。君がヴァイスの願いも受け継いだのだな。」

「あぁ。俺も物心ついた時からヴァイスに育てられた。カイルを救ってヴァイスに安らかな眠りを与えたい。」

「...。いいだろう。お主の願いは我がしかと引き受けた。お主の願いが強くなるほど我の力もまた強くなる。しかし、身体も相当の代償がある。使い方を誤るでないぞ。」

「わかった。最後は粉々になってでもカイルを助けてやる!」

「それぐらいの覚悟があるなら我も遠慮はせんぞ。思う存分使ってみるがいい。」

「...ありがとうサラエフ!これからよろしくな!」

「しかし、お主の願いはてっきり…。」

「ん?」

「...なるほど。」

「ん?なんだよ。」

「いや、我々は関与できることが決まっておる。お主がもうひとつの受け継いだ願いに気づいた時に話すとしよう。」

「もう1つ?受け継いだ?」

「長旅になるのだ。いずれゆっくり話すとしよう。星石に我はいつだっている。レイン。君のこれからの行動、言動すべて見ておる。お主とともに、我も生きよう。」

「よくわかんないけど、よろしく頼むよ!」

光がゆっくり消え、星石綺麗な透明で中央に赤い球体が燃えるように輝いていた。それをレインは拾い上げ、大事そうにしまった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令嬢と弟が相思相愛だったのでお邪魔虫は退場します!どうか末永くお幸せに!

ユウ
ファンタジー
乙女ゲームの王子に転生してしまったが断罪イベント三秒前。 婚約者を蔑ろにして酷い仕打ちをした最低王子に転生したと気づいたのですべての罪を被る事を決意したフィルベルトは公の前で。 「本日を持って私は廃嫡する!王座は弟に譲り、婚約者のマリアンナとは婚約解消とする!」 「「「は?」」」 「これまでの不始末の全ては私にある。責任を取って罪を償う…全て悪いのはこの私だ」 前代未聞の出来事。 王太子殿下自ら廃嫡を宣言し婚約者への謝罪をした後にフィルベルトは廃嫡となった。 これでハッピーエンド。 一代限りの辺境伯爵の地位を許され、二人の幸福を願ったのだった。 その潔さにフィルベルトはたちまち平民の心を掴んでしまった。 対する悪役令嬢と第二王子には不測の事態が起きてしまい、外交問題を起こしてしまうのだったが…。 タイトル変更しました。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ヒロインは修道院に行った

菜花
ファンタジー
乙女ゲームに転生した。でも他の転生者が既に攻略キャラを攻略済みのようだった……。カクヨム様でも投稿中。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

処理中です...