STAR STONE STORY

ニッコーゴウ

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序章 旅の始まり

悲劇

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2人はヴァイス祭りが近づくにつれ、より一層修行に励んだ。

~~~ヴァイス祭り前日~~~

「今日はゆっくり休める日にしようか」
レインはカイルに真っ先に提案をした。

「そーだな。ホントの決着は明日だな!お互い万全で戦おうな!」

「あぁ。決勝で会おう!」

とある青春ドラマのようなものが繰り広げられた後、2人は明日に備え休暇をとることにした。

レインはいつも1人になると行くところがある。島の最北部はヒューマンの手がほとんど加わっていない自然ありのままの姿で残っている。
潮風をリズムに小鳥のさえずりをメロディにしながらゆっくり横になるだけ。
レインはこれに浸る時間がとても好きだった。

「やっぱり、ここが1番いいや。」

ぼそっと独り言をつぶやくと、日々の修行であまりにも疲れていたのか深い眠りについた。深呼吸をするたび体の一部一部が喜びを感じているような、そんな感覚に陥りながら。。。


「やば!!!!寝すぎた!!」

ハッ!っと目を覚ますと降り注ぐかのように輝きを放つ星々と月が目の前に貼り付けられていた。

ムクっと上半身を起こしたら全身の毛が全て逆立つほど驚愕な光景がレインを出迎えた。


「村が・・・・・・燃えてる・・・?」

集落の方から大きく立ち上り揺れ動く炎と黒と白の煙が見えた。

レインは気づいたら体が勝手に動き始めていた。何が出来るかなんて何も考えず、ただただ嘘であってほしいなどと願いながら必死に村へ急いだ。


レインはひざまずいた。初めて見る村がまるまる火に包まれあらゆるものが崩れていく姿を。悲鳴。火傷をおって倒れている人影。・・・火傷?
違った。レインをこれでもかと言わんばかりに何度も驚かせてくる。

火傷をおってる村人をよく見ると、剣傷の後が。

「これは・・・。どいつだ!!くそ!!」

そしてレインはふと我に一瞬返ったと同時にまた熱風を切り裂くように走った。

「カイル!!ヴァイス!!」

家の方に駆けつけると不気味にも無傷だった。だが、立ち止まる余裕もなく扉を蹴り開いた。

「カイ!・・・・・・ル?」

そこにはレインが1度もまだ見たことがない悪夢を見ているかのような光景があった。

レインの方から後ろ姿でカイルは壁に長剣を突き刺していた。その剣の柄と壁のあいだには突き刺されたヴァイスがぐったりとしながら大量の血を流していた。

「ハハハハッ。レイン。遅かったなぁ。」

聞いたことがないようなカイルの声だった。
何が起こってるのか分からない。体は全く動かなかった。レインの思考回路は機能せずにカイルを見ることしかできなかったのだ。

「しかし伝説の騎士なんてこんなもんかぁ。」
剣を引き抜き、ヴァイスは床に倒れ込んだ。意識すらないだろう。

「カイル!!!」

レインはわけも分からない怒りのままカイルに立ち向かい壁ごとぶち壊す蹴りでカイルごと吹き飛ばした。

「お前どーしたんだよ!!村はなんでこんなことに。わけわっかんねーよ。目を覚ませよ!!」

レインの怒りの罵声にカイルは何もなかったかのように立ち上がって不気味な笑みを浮かべながら話し始めた。

「レイン。話してやるよ。村を焼き払ったのは俺だ。この剣で村のヤツら全員を切りつけたさ。こんな村じゃほんと強いヤツなんて1人もいなかったぜ。200人が俺一人に傷一つも付けられやしない。もし祭りがあれば決勝は間違いなく俺たちだったなぁ。」

「カイル!!!!」

「ハハハハッ。そんなこと聞いてないってか。そうだなぁ。レイン、お前が寝てた間に俺は出会ったんだよ。・・・ジンに。」

「ジ・・・ン・・・。」

「驚いたか?そうさ。あのジンだよ。ヴァイスがいつも語ってた封じ込めたはずのな。」

カイルはレインが寝てる間に起きたことをすべて語り始めた。
~~~~~~~~~~~~
カイルはヴァイス祭りでレインに負けるのが怖くて1人で隠れて修行をしていた。そこに黒いフードで覆われた初見の男が現れ、カイルに言った。

「お前の力では誰にも勝てん。」

「なんだ!誰だお前!!」

「我が名はジン。いずれこのアストラシアを新世界へと導くものだ。」

「ジン・・・。なんでこんなところに!」

カイルは木剣を投げ捨て腰にかけていた長剣を抜刀し、切りつけようとした。

キーーーーーン!
大きな音と同時に長剣はジンに触れる少し手前で折れていた。

ジンがゆっくり手をカイルの方に向けると、カイルは重石でも胸に投げつけられた感覚で何メートルも後ろの木まで飛ばされた。

「カイル。貴様は間違っている。にして弱い。弱さを知ることは強さ?そんなことを父にでも教わったか?」

「ぐっ。」

カイルはジンのたった1回の攻撃で身動きが取れないくらいのダメージだった。

「教えてやる。強さとは怒り。恨み。執念だ。」

「俺が怒りを持ってるのはお前だけどな。」

「ふっ。その怒りがあるからお前は俺に剣を振った。それは強さだ。弱さを知れば立ち向かうことすらできない。」

カイルは少し耳を傾けた。

「そして、恨み。お前は気づいてないかもしれないが、お前の父にもお前の大親友かな?まるで兄弟のような者にもだ。お前は恨みをもっている。」

「そんなはずは!・・・。」

カイルの頭によぎったのは父ヴァイスがレインの強さを褒めている姿だった。

「あるだろう?恨みが」

カイルはそれと似たような光景をどんどん思い出していった。すると体になにか気のようなものを感じた。これこそ本当はジンの闇の力なのだが。カイルはもうジンの手の中で動かされていた。

「これは・・・。」

「言っただろう?恨みとは強さだ。そして、お前は強くなりたい執念がある。どんなに辛いことでも、どんなに悲しいことでも乗り越える強さがあるならお前に力を俺がやろう。」

「…やらねーわけねーだろ。何でもしてやるよ。」

こうやってカイルは闇の力に完全に染まってしまったのだ。
~~~~~~~~~~~~~~~

「~とまぁ、最後にヴァイスとレインをやろうと思ったらヴァイスしかいなかったんだよ。伝説の騎士はどれほどかと思っていたが、ほんとにこんなに弱いとはね。」

「実の親父だろ!!!」

「こんなやつが親父なわけねーだろ!!!レイン!!」

カイルは腰にさしてた剣2本のうちの1本をレインに投げ渡した。

「決勝をしようか。」

カイルは自分の剣を抜くとレインに向かって上から剣を振り下ろした。

レインは間一髪で後ろに下がり避けた。
しかし、カイルは剣技から流れるような回し蹴りをレインの腹部にもろに入れた。

レインは一瞬息が止まり激痛とともに遠くに飛ばされた。

「ぐっ。なんだ・・・この強さは。」

「これが俺の力だ。どーだ?俺は1度もお前に勝ったことないんだがな。」

「カイル・・・。そんなことのために。」

カイルはレインの肩に剣を突き刺した。

「ぐわーーーっ!!」

思わず叫び声と息が切れ始めるレイン。
剣を引き抜きカイルが話す。

「そんなこと?1番になれず、親に愛されずにいたことがそんなことだと?」

座り込んでいたレインの顎にカイルは蹴りこんだ。倒れ込むレイン

「お前は殺さん。苦しめ。苦しんで俺に挑んでこい。俺の方が強いと、貴様に教えてやるよ。俺は次、【エルフの森】を荒らしてやるつもりだ。助けてやりたいなら来るんだな。」

「カイル!!!」

そう言い放つとカイルに闇の影が包み込み姿を消した。


肩の痛みを抑えながらレインはヴァイスが心配で、フラフラになりながらボロボロの家に1度戻った。

「ヴァイス!大丈夫か!!」

「レイ・・・ンか・・・。」

「カイルが・・・。」

「あぁ。ジンが復活してるとはな・・・。」

「もう喋るな!」

「レイ・・・ン。・・・いいか。・・・よく聞け。」

彼は命が途切れる前にレインの手を残りの力で強く掴み語り始めた。

「ジンは・・・強力だ。・・・やつを止めるんだ。カイルは操られてる。カイルを・・・。俺の大切な息子を・・・。」

「わかった!!分かったから・・・!」

「俺の力をほんの少しだけお前に分ける・・・。星に願え。サラエフはきっと・・・お前に力を・・・・・・。」

ヴァイスの最後の力はただの手の重みに代わり、息絶えた。

レインは震える体と涙の中、勝手に体が動いてたんだ。剣を掲げ、輝く星に強く願った。
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