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第二章 風の星霊 シルフィ エルフの森編
エルフの過去3 エルフ族の始まり
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エルフィ含め、この森にやってきたものたちは大木を伐採をしようとしているヒューマンを待った。
何日ほどかたった今、もともと好きな風や自然の生命と戯れ、仲良く過ごしていた。
そして皆、見ず知らずの集まりだが互いに同じ意志を持っている者たち。打ち解け合うのに時間はそんなに必要なかった。
「ほんとにくるのかなー?こんな森までやってくるなんて思えないんだけど。」
「まぁ来た時には俺の作った弓矢でバヒュン!と1発かましてやるぜ!」
「だから私が説得するって言ってるじゃんかー!」
青年とたわいもない会話をするエルフィ。こちらまで暖かくなるような雰囲気。
だけどそれは、突然にやってきた。
〝…エルフィ。きたわよ。森の中に。〟
「え?」
〝急いで!根源まで走って!〟
森の泉で遊んでいたエルフィ達は駆け足で大木のところまで向かって行った。
風の精霊の力を借りることでいくらばかりかヒューマンの時よりも足取りは軽かった。
大木の前にたどり着くと、そこに向かってくる軍勢というべきだろうか。数人の若男が大木を切り落とすための道具を持ってるものたちの影が見えた。
「さーて、何日かかるかねぇ。」
「何日かかってもこれさえあれば何年も楽に過ごせるからなぁ!」
ガハハハハ!!
そんな彼らの会話がエルフィの脳を揺らす。
〝エルフィ!…みんなで!〟
「待って!!!!これを傷つけたらダメなの!!」
皆影に隠れている中、一人で大木の前で両手を広げて彼女は仁王立ちをする。
少女なりの声を荒げる。
「これ以上ここを荒らさないで!!みんなのためなの!」
その声に応戦する軍勢。
「なんだお前!!」
「女の子じゃねーか?」
「おいおいこんなとこ一人じゃ危ないぞー?」
エルフィから見える軍勢の人影は次第にシルエットではなくしっかりと写し出される。
しかしそれは逆も同じこと。彼らは気づく。
「…!おい!!あの子顔から!」
「なんだありゃ!!妖怪かなんかか!」
「油断するなよ!何するかわからんぞ!」
それは一瞬だった。
「…おい!!」
〝エルフィ!危ない!!〟
ヒュッ!!ドス!!
軍勢の1人がなんの躊躇いもなく彼女に矢を放った。
無情にもそれは彼女の左胸を貫通した。
矢の勢いに押され後ろへ倒れ込む。
「危険な奴は早々に排除しておくべきだ。例えそれが女で子供であっても、あれは異種だ。こんな森に一人で森にいるわけがない。大木を回収して去るぞ。」
軍勢の1人、彼女を撃った者が語る。なんとも冷酷な光景だ。
ウォァァァァア!!!
「な!なんだ!?」
木の影に隠れていた『風に選ばれた者』
たちはエルフィの倒れた姿を見るやいなや、我先にと怒り狂い、全員で軍勢に突撃。
たまらず軍勢側も矢を放ち、手持ちのものを投げ応戦。
しかし、風の力を扱うもの達の前では到底歯が立たない。全て強風で逆方向へと押し返される。傷を負うものもいた。命を落とすものもいた。まさに小さな戦争が起こっていた。
そんな時、エルフィの体が仰向けのまま宙を舞う。
〝エルフィ。まだよ。まだ諦めたらダメなの。あなたは私と一体になって。ごめんね。こんなことに巻き込んで。まだ私を、、あなたが好きでいてくれるなら。これから先もずっと。友達でいましょ。〟
姿の見えない精霊シル。だがその声は確かに泣いていた。
エルフィの顔だけだった模様が全身に光る。耳は更に尖っていった。刺さった矢は触れることなく引き抜いた。彼女はもう、、、彼女ではなかった。
「みんな!避けて!!」
力強く開いた瞳。大粒の涙を風になびかせながら、軍勢に大きな風魔法を繰り出した。
たちまち突風に傷を負わされ、遠くに吹っ飛んでしまうものもいた。
そこにいた軍勢はみな、エルフィに恐怖を感じ逃げていった。
その中の1人にエルフィは耳元でこう伝えた。
「この森に次近づいたら、間違いなく殺すわ。」
「ひぃっ!わ、わかった!!もうなにもしない!!お、、お前ら!逃げるぞ!」
そうやって立ち去っていくヒューマン。
しかし風の精霊に選ばれた者たちはそのエルフィの姿に驚いて、ただ後ろからその立ち姿を眺めていることしかできなかった。全身緑の模様に何倍も尖った耳。そして背中には羽が生えていた。
「エルフィ、、。」
そう声をかけたのはあの青年だった。
「…ごめんね。説得できなかった。でも、みんな無事でよかった!」
「お前…その姿…。」
「シル。死を覚悟した寸前に、精霊の声が聞こえたの。ううん。もう今は精霊みたいなもんかな。エヘヘ。」
「えっと、、。すまない。。」
「ううん。私が間違ってたのかもしれない。あの人たちとは和解できなかったのかも。これから先も私はここを守り続けるわ。」
「そ、それなら俺たちも!」
「あーそうだな。こんな姿で帰るとこなんてねぇし。」
他のみんなも「そうだそうだ!」と同じようなことを言っている。
「みんな…。」
「それに、友を1人にしない。」
エルフィは泣いた。嬉しさと悲しさが混じっているような嗚咽を漏らして。
「…私、みんなを見守ってるから!絶対!これから先もみんなのそばにいるから!この森だけは、絶対守り抜いて!私たちの家族のためにも!友のためにも!」
何日ほどかたった今、もともと好きな風や自然の生命と戯れ、仲良く過ごしていた。
そして皆、見ず知らずの集まりだが互いに同じ意志を持っている者たち。打ち解け合うのに時間はそんなに必要なかった。
「ほんとにくるのかなー?こんな森までやってくるなんて思えないんだけど。」
「まぁ来た時には俺の作った弓矢でバヒュン!と1発かましてやるぜ!」
「だから私が説得するって言ってるじゃんかー!」
青年とたわいもない会話をするエルフィ。こちらまで暖かくなるような雰囲気。
だけどそれは、突然にやってきた。
〝…エルフィ。きたわよ。森の中に。〟
「え?」
〝急いで!根源まで走って!〟
森の泉で遊んでいたエルフィ達は駆け足で大木のところまで向かって行った。
風の精霊の力を借りることでいくらばかりかヒューマンの時よりも足取りは軽かった。
大木の前にたどり着くと、そこに向かってくる軍勢というべきだろうか。数人の若男が大木を切り落とすための道具を持ってるものたちの影が見えた。
「さーて、何日かかるかねぇ。」
「何日かかってもこれさえあれば何年も楽に過ごせるからなぁ!」
ガハハハハ!!
そんな彼らの会話がエルフィの脳を揺らす。
〝エルフィ!…みんなで!〟
「待って!!!!これを傷つけたらダメなの!!」
皆影に隠れている中、一人で大木の前で両手を広げて彼女は仁王立ちをする。
少女なりの声を荒げる。
「これ以上ここを荒らさないで!!みんなのためなの!」
その声に応戦する軍勢。
「なんだお前!!」
「女の子じゃねーか?」
「おいおいこんなとこ一人じゃ危ないぞー?」
エルフィから見える軍勢の人影は次第にシルエットではなくしっかりと写し出される。
しかしそれは逆も同じこと。彼らは気づく。
「…!おい!!あの子顔から!」
「なんだありゃ!!妖怪かなんかか!」
「油断するなよ!何するかわからんぞ!」
それは一瞬だった。
「…おい!!」
〝エルフィ!危ない!!〟
ヒュッ!!ドス!!
軍勢の1人がなんの躊躇いもなく彼女に矢を放った。
無情にもそれは彼女の左胸を貫通した。
矢の勢いに押され後ろへ倒れ込む。
「危険な奴は早々に排除しておくべきだ。例えそれが女で子供であっても、あれは異種だ。こんな森に一人で森にいるわけがない。大木を回収して去るぞ。」
軍勢の1人、彼女を撃った者が語る。なんとも冷酷な光景だ。
ウォァァァァア!!!
「な!なんだ!?」
木の影に隠れていた『風に選ばれた者』
たちはエルフィの倒れた姿を見るやいなや、我先にと怒り狂い、全員で軍勢に突撃。
たまらず軍勢側も矢を放ち、手持ちのものを投げ応戦。
しかし、風の力を扱うもの達の前では到底歯が立たない。全て強風で逆方向へと押し返される。傷を負うものもいた。命を落とすものもいた。まさに小さな戦争が起こっていた。
そんな時、エルフィの体が仰向けのまま宙を舞う。
〝エルフィ。まだよ。まだ諦めたらダメなの。あなたは私と一体になって。ごめんね。こんなことに巻き込んで。まだ私を、、あなたが好きでいてくれるなら。これから先もずっと。友達でいましょ。〟
姿の見えない精霊シル。だがその声は確かに泣いていた。
エルフィの顔だけだった模様が全身に光る。耳は更に尖っていった。刺さった矢は触れることなく引き抜いた。彼女はもう、、、彼女ではなかった。
「みんな!避けて!!」
力強く開いた瞳。大粒の涙を風になびかせながら、軍勢に大きな風魔法を繰り出した。
たちまち突風に傷を負わされ、遠くに吹っ飛んでしまうものもいた。
そこにいた軍勢はみな、エルフィに恐怖を感じ逃げていった。
その中の1人にエルフィは耳元でこう伝えた。
「この森に次近づいたら、間違いなく殺すわ。」
「ひぃっ!わ、わかった!!もうなにもしない!!お、、お前ら!逃げるぞ!」
そうやって立ち去っていくヒューマン。
しかし風の精霊に選ばれた者たちはそのエルフィの姿に驚いて、ただ後ろからその立ち姿を眺めていることしかできなかった。全身緑の模様に何倍も尖った耳。そして背中には羽が生えていた。
「エルフィ、、。」
そう声をかけたのはあの青年だった。
「…ごめんね。説得できなかった。でも、みんな無事でよかった!」
「お前…その姿…。」
「シル。死を覚悟した寸前に、精霊の声が聞こえたの。ううん。もう今は精霊みたいなもんかな。エヘヘ。」
「えっと、、。すまない。。」
「ううん。私が間違ってたのかもしれない。あの人たちとは和解できなかったのかも。これから先も私はここを守り続けるわ。」
「そ、それなら俺たちも!」
「あーそうだな。こんな姿で帰るとこなんてねぇし。」
他のみんなも「そうだそうだ!」と同じようなことを言っている。
「みんな…。」
「それに、友を1人にしない。」
エルフィは泣いた。嬉しさと悲しさが混じっているような嗚咽を漏らして。
「…私、みんなを見守ってるから!絶対!これから先もみんなのそばにいるから!この森だけは、絶対守り抜いて!私たちの家族のためにも!友のためにも!」
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